株式会社アクティブアンドカンパニーが人事領域で起こす革新と、「あきらめない」人材を求める理由

人材の育成策や若手の登用方法などで注目されている企業を紹介する本企画。

今回は、組織・人事に特化したコンサルティングファームである株式会社アクティブアンドカンパニーにお話を伺いました。

株式会社アクティブアンドカンパニーとは

2006年1月に設立された株式会社アクティブアンドカンパニーは、組織・人事のプロとして戦略立案から業務効率化までをワンストップで提供しています。

顧客を活性化するために導入している、アクティベーションマネジメントを用いたコンサルティングが高く評価されています。

コーポレートアイデンティティには「『伝統』になる『革新』を、いまから。」を掲げており、顧客の「第二人事部」としての経営をサポートしています。

会社名 株式会社アクティブアンドカンパニー
住所 東京都千代田区九段南3-8-11 飛栄九段ビル5階(受付4階)
事業内容 ・組織・人事コンサルティング事業
・企業における従業員の採用手続及び教育研修業務の受託
・インターネット等を利用した各種情報提供サービス
・有料職業紹介事業
・労働者派遣事業
設立 2006年1月
公式ページ https://www.aand.co.jp/

今回は、株式会社アクティブアンドカンパニーが推進している「組織・人事・人材を介した経営コンサルティング」について、代表取締役兼CEOを務める大野順也様にお話を伺いました。

さらには、人材育成や若手の登用に関する考え方と手法、社員自らが策定する人事制度、同社の特徴である「仕事に向き合う姿勢」をお聞きするとともに、採用のポイントについてもお話しいただきました。

本日お話を伺った方
株式会社アクティブアンドカンパニーの代表取締役社長兼CEOの大野順也様

株式会社アクティブアンドカンパニー
代表取締役社長兼CEO

大野 順也さん

「組織・人事・人材を介した経営コンサルティング」で組織の課題を解決

株式会社アクティブアンドカンパニーの企業理念
▲アクティブアンドカンパニーさんの企業理念。

編集部

最初に、アクティブアンドカンパニーさんの事業概要をお教えいただけますでしょうか?

大野さん

弊社は「組織・人事コンサルティング」を創業事業としており、現在では「組織、人事領域のワンストップソリューション」を提供しています。

クライアントの皆様のニーズにあわせたソリューションを提供しているため、扱うサービスも幅広いです。具体的には、人事制度構築や教育研修、自社開発のHRオートメーションシステム「サイレコ」、そしてグループ会社である給与計算のBPOサービスもそこに含まれます。

少子高齢化が進む日本の経済界は今「人的資本経営」に注目するなど、人材の活用をますます重視しています。そこで弊社は人材の見地から「その会社をどのようによくしていけるのか」ということをメインテーマとして事業を展開しています。弊社ではこれを「組織・人事・人材を介した経営コンサルティング」と呼んでいます。

編集部

御社のコンサルティングがお客様にどのような効果をもたらしたのか、具体的な事例をお聞かせください。

大野さん

一例として、従業員数700名ほどのIT企業に対し、人事制度設計と育成体系を構築したケースが挙げられます。弊社が協力させていただいた結果、過去には20%以上あった離職率が、10%を切るまでに改善したんです。

そして特筆すべきことは、当該企業の社員の会社に対するロイヤルティが高まったことです。新卒や中途入社の新人に対して、自社の魅力を積極的に語りかける社員が非常に増えて、企業文化自体も変わっていったんですね。このことは、課題認識から設計・運用まで支援したことによる成果だと考えています。

経営者と現場とのギャップに気付いて起業を決意

編集部

大野さんのご経歴を拝見すると、アクティブアンドカンパニーさんを設立するまでに、大手人材会社やコンサルティング会社でキャリアを積み上げられています。そこでのご経験が起業につながったのでしょうか?

大野さん

私のファーストキャリアは大手の人材派遣会社でした。そこで営業や営業推進、営業企画などを歴任しました。ここで強く感じたことは、現場と経営層とのギャップです。

現場に近い部署で働いていた時期には、他の社員から会社への愚痴を聞くことがありました。中には「こうやれば会社はもっとよくなる。なのに、なぜやらないんだ。」という傾聴に値する意見も多かったのです。

また、ポジションが変わって事業推進室で仕事をしていた時期には、経営陣と話す機会もありました。そこでわかったことは、多くの経営者が「どうすれば社員をもっと幸せにできるのか」を真剣に考えているということです。しかしそれは、社員にはなかなか伝わりにくい。つまり、かみ合っていないんですね。

編集部

そこがビジネスチャンスだったのですね。

大野さん

そうです。コンサルティングという手法を使えば、両者をかみ合わせるビジネスができるのではないか。そう考えてコンサルティング株式会社に転職し、組織・人事コンサルティングの業務に従事、その後アクティブアンドカンパニーを設立しました。

守るべき伝統と変えるべき方法論との区分けが重要

株式会社アクティブアンドカンパニーのパンフレット

編集部

アクティブアンドカンパニーさんのコーポレートアイデンティティである「『伝統』になる『革新』を、いまから。」は、とてもインパクトのあるメッセージだと感じました。

大野さん

ありがとうございます。弊社の事業を一言でいうと「新しい未来創造」だと思っています。ですから社員には常に「組織・人事・人材領域を社会適応モデルにアップデートする」ということを周知しています。

ただし伝統は別です。伝統とはその会社や組織の根底にある、非常に大切な想いなんです。これは守らなければいけない。そのうえで、手法や方法は、時代に応じてどんどんアップデートしていけばいいんです。

ところが変えていくべき手法や方法が、いつの間にか伝統になってしまっているケースもかなりあります。ですから本当に守るべき伝統と、変えていくべき手法とを、きちんと切り分けないといけない。「守る」と「変える」の線引きを、今一度明確にしましょうということを申し上げています。

編集部

確かに、古くなった手法を守り続けることには意味がないですよね。

大野さん

そうなんです。特にこれから少子高齢化がますます進展する日本では、積極的に手法や方法を変えていかざるを得なくなります。だからこそ、変えるべき部分と守るべき部分の明確化が必要なんです。

新しい革新、新しい方法、そして新しいカルチャー作りを人に対して求めるのであれば、新たな教育が必要になります。そしてこれを、会社や組織に求めるのであれば、新たな制度設計が重要になります。弊社ではそういった提案を、今後ますます積極的におこなっていこうと考えています。

「若手のスピード昇格」も当たり前。誰もが発言・実行する風土

株式会社アクティブアンドカンパニーのメンバーによるミーティング風景

編集部

では次に、アクティブアンドカンパニーさんの人員体制についてお聞きします。従業員数は約80人、平均年齢は33歳と伺いました。実際の年齢構成はどんな状況でしょうか?

大野さん

現状では若手とベテラン層が厚く、その中間層がやや薄くなっている状況です。特に今は若手が非常に多くなっています。それは新卒を積極的に採用しているからです。

編集部

資料を拝見すると、新卒で入社した2年目の方がグループ長に昇格するなど、若手の活躍が目立っているように感じました。意欲や能力があれば、社歴や年齢に関係なく抜擢されるのですね。

大野さん

そうです。弊社では基本的に、年齢や性別、新卒・中途、そして経験の有無などを問わずに仕事を任せています。そのうえできちんと成果を出したメンバーを、どんどん昇格させています。若手にもチャンスがたくさんあります。逆にいえば年齢や社歴が上でも、成果を出せなければ降格することになります。実力主義を徹底しています。

編集部

若手の昇格で、特に印象に残っている事例はありますか?

大野さん

アクティブアンドカンパニーでは、ある役割を任された若手が成果を出して、チーム長やグループ長へとスピード昇格することはよくあることです。新しい事業にしても、社歴の長いメンバーだけに任せているのではありません。若手にもチャンスを与えており、これを成果に結びつけているケースが多くあります。ですから若手の活躍は弊社にとって、ごく普通のことなんです。

編集部

若手の活躍を導き出す環境作りについては、どんなことを重視していますか?

大野さん

基本的には「誰もが発言しやすい環境作り」を重視しています。発言をして、積極的にチャンスをつかんでほしいと思っています。そのための環境作りは、常に怠らないようにしているつもりです。

そしてメンバーには「発言するだけではなく、きちんとやり遂げなさい」ということを言っています。普通はこういうことをいうと、途端に発言しなくなる人が増えると思うんです。ところが弊社の場合、これで発言が減ることはありません。そこが弊社メンバーの頼もしい部分だと思っています。

社員を評価する「人事制度」を社員自らが策定

編集部

アクティブアンドカンパニーさんの制度で、他社にはないような独自のものはありますか?

大野さん

人事制度そのものを社員に作らせていることですね。最初の制度設計はもちろん私が携わりましたが、その後のバージョンアップなどを担当したのは、私ではなく人事担当でもありません。その人事評価を受ける社員が、自分達で制度を作っています。

編集部

社員から「こうすれば会社はもっとよくなる」という意見が出てくれば、柔軟に対応しているということですか?

大野さん

そうです。実際にそういったプロジェクトがあります。

編集部

では若手の方の活躍をサポートする制度には、どんなものがありますか?

大野さん

例えば入社後のガイダンスや外部研修への参加、あるいは年2回の目標管理による人事評価や表彰制度などですね。こういうことはすべて、当たり前にやっています。また、1on1によるキャリア相談なども積極的に行っています。

入社式で流した涙は、入社してくれたことへの感謝の気持ち

編集部

資料を拝見して目にとまったのは、大野さんが入社式で涙を流したという逸話です。これを知って「大野社長は人情に厚い方だとわかり入社を決めた」というメンバーの方の発言もありました。これはどういった経緯だったのでしょうか?

大野さん

「入社してくれて本当にありがとう」という感謝の気持ちですね。アクティブアンドカンパニーはコンサルティング会社なので、手に取れるような商品もなければ、わかりやすいサービスもない。あるものといえば、私が掲げているビジネスモデルと企業理念ぐらいです。

それにもかかわらず、新卒のメンバー達は入社してくれたんです。自分の社会人生活をスタートする会社として、弊社を選んでくれたわけじゃないですか。そう考えると嬉しいですよね。そして、いい意味でのプレッシャーも感じます。そういう思いが入り交じった感謝の表れです。

編集部

大野さんは「人を大事にする」という思いが強いのでしょうね。

大野さん

それは、もちろんそうです。ただし、大事にするための手法は、人によっていろいろあると思います。私の場合、人を大事にするということは「本気で仕事と向き合う人を育てる」ということなんです。

ですから、中には「社長は厳しい」という社員がいるかもしれませんし、ひょっとすると「怖い」と感じている人がいるかもしれません。

それでも私は、その人がこれから10年、20年、30年と働いていく上で必要なことを、教え続けるべきだと思っています。それは、職業観や仕事に対するスタンスなどですね。そういった大事なことは、常に伝え続けるべきなんです。

他社との差別化の源泉は「仕事に向き合う姿勢」

編集部

大野さんのそうしたお考えは、そのままアクティブアンドカンパニーさんの特性であり強みになっているように感じます。

大野さん

それが本質だと思うんですよ。世の中にこれだけの数の企業がある中で、弊社は特色を持って事業を行っている自信や自負があります。しかし、人によっては「他の会社と何も変わらない」と判断する方もいるかもしれません。そうならないためには、他社とどんどん差別化をしていかなければいけない。

では、差別化の源泉は何かといえば、それは「仕事に向き合う姿勢」だと思っています。仕事に向き合う姿勢は、ものすごく大事なんです。姿勢がしっかりしていればしているほどその人は伸びるし、どんな状況に陥っても身を立てることができます。

逆に姿勢がしっかりしていない人は、荒波に遭遇すれば逃げるし、お客様にしっかりと向き合わない。そして仕事を儲かる・儲からないでしか判断しない。そんな判断は無駄だし、意味がないんです。

私は常に、こういった考え方でメンバーと話をしています。敏感に反応する人もいれば、逆に怖いと思う人もいると思います。それでも私はこれからも、この方向性で突き進んでいきます。

編集部

大野さんの生き方であり、ポリシーですね。

大野さん

世の中が、絶対にそういう人を求めているんですよ。このことに早く気付いてほしいだけなんです。それに気付いて対応できたら、ビジネスパーソンとしての市場価値は一気に高まります。私が言っているからとか、そういうことではないんです。

編集部

大野さんが一貫した姿勢で社員と接し、組織としての芯がぶれないことも、アクティブアンドカンパニーさんが成長を続けている一因だと言えそうですね。

全社員が出席する年に2回の「キックオフミーティング」

株式会社アクティブアンドカンパニーのオフィス風景

編集部

続いてアクティブアンドカンパニーさんの社内の雰囲気をお伺いします。非常にオープンで開放的なのだろうと想像しているのですが、いかがでしょうか?

大野さん

そのとおりですね。例えば、社長室も大げさに設けるようなことはなく、会議室の一角に私の席があるだけのことです。いつでも誰でも気軽に立ち寄れます。実際に、普段は会議室として使っています。

編集部

オフィスはフリーアドレスとお聞きしました。メンバーのみなさんは、お互いに話がしやすい環境なのでしょうね。

大野さん

そうですね。話はしやすいと思いますよ。メンバー同士の交流も活発で、例えば年に2回、全社員が出席する「キックオフミーティング」を開催しています。また、「オレンジ手当」という補助金を支給しています。これはメンバー同士のコミュニケーションを円滑にするための飲食費手当といった感じですね。

編集部

そこには大野さんが参加することもあるのですか?

大野さん

私が参加することもありますが基本的にはメンバー同士で、そういう会を積極的に開催してほしいと思っています。オレンジ手当はそのために支給しているという意味合いが強いです。会社からの補助があれば、そういう会を開きやすいですからね。

活躍している人の共通点は「あきらめないこと」

株式会社アクティブアンドカンパニーの代表取締役社長兼CEOの大野順也様

編集部

では続いて、採用について伺います。アクティブアンドカンパニーさんで活躍できるのは、どのようなタイプの方でしょうか?

大野さん

「あきらめない人」です。それ以外はありません。

編集部

シンプルかつ明快ですね。

大野さん

どんな仕事にもきちんと向き合って、粘り強く成果に対してコミットできること。そして人としての成長を継続し続けること。本当にそれだけですね。あきらめないことが、弊社で活躍できる方の共通点です。

編集部

採用面接において重視しているポイントをお聞かせください。

大野さん

この業界や弊社のこと、そして弊社のサービスをきちんと理解しているかどうかですね。コンサルティング会社に対しては、イメージだけでキラキラしている感じや憧れを抱く方が多いんですよ。そういう憧れだけで応募いただく方がたくさんいます。でもコンサルティング会社は、そんなに綺麗ではないし、キラキラもしていません。

ですから採用面接では、この業界や弊社のことを知っているか、あるいは知ろうとしているかをしっかりと見極めています。浮ついたイメージだけでの採用はしません。お互いが不幸になるからです。「なぜこの仕事がしたいのか」という動機がしっかりとしている方は、やはりこの先、お客様ときちんと向き合えるんですね。

編集部

御社のことやコンサルティングという仕事を、どこまで真剣にリサーチしてきたのか、という点を見ているのですね。

コンサルタントは、最後の最後までお客様に付き合う職業

編集部

現在所属されているメンバーの採用時のエピソードで、印象的なものがあれば教えてください。

大野さん

例えば、父親が会社を経営しているメンバーがいます。彼は学生時代に、社長である父親の悪口をいっている社員を偶然見てしまったんです。その時は本当に悔しい思いをしたそうです。

彼からすれば会社とは、「全員で協力しながら大きく発展させ、自分達の豊かさを追求するべきもの」なんですね。そういう会社作りを支援するために、コンサルタントになりたいとの思いが強くなってうちを志望してきたんです。こういう明確な動機があれば、どんな苦労があってもあきらめずにやり遂げてくれるはずです。

編集部

やはりあきらめないことに行き着くわけですね。

大野さん

そうです。お客様がコンサルティング会社に依頼するのは、課題を自社だけで解決できないからですよね。それにもかかわらず、コンサルタントがあきらめてしまったら、その会社はそこで終わってしまう。それぐらいの危機感や緊張感を持って取り組んでくれる人でない限り、一緒に仕事はできません。

あきらめずに愚直になって、最後の最後までお客様に付き合おうと思ってくれる人と働きたいんです。入社いただいてからはそういう教育をしますし、そういうスタンスでしかメンバーと接しません。その中で結果を出している社員は、仮に別の会社へ移ったとしても、やはり活躍しています。

編集部

本日のお話を伺って、クライアントである企業と向き合うコンサルタントという職業について、そしてアクティブアンドカンパニーさんがどんな信念を持って仕事に取り組んでいるか、すごくよく理解できました。ありがとうございました。

■取材協力
株式会社アクティブアンドカンパニー https://www.aand.co.jp/
採用ページ https://www.aand.co.jp/recruit/