令和6年度は8割が転職組!日高市役所の社会人経験者を歓迎する採用制度とサポート体制

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、埼玉県の南西部に位置する人口5万5,000人ほどの自治体である日高市を支える「日高市役所」にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、日高市役所で働く魅力をご紹介します。

令和6年度採用者の実に8割が社会人経験者という日高市役所。40歳未満まで採用枠を広げ、事務職未経験者や転職者を積極的に受け入れています。また、手厚い教育体制や育休取得率の高さ、職員会開催のイベントなど活発な職場交流を通じて、働きやすい環境づくりにも力を入れています。

今回は、日高市役所の採用制度や働き方について、総務課人事厚生担当の木村主査にお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
日高市役所 木村圭太さん

日高市役所
総務部 総務課 人事厚生担当・主査

木村圭太さん

転職者が8割を占める年も!社会人経験者採用実績が豊富な日高市役所

採用活動を行う日高市役所の木村さんたち
▲人事厚生担当・主査として採用活動を行う木村さん(左端)

編集部

まずは木村さんのご経歴や、入庁のきっかけについてお聞かせください。

木村さん

大学卒業後に2年間、民間企業で働いていました。より多くの人と関わり、地域密着の仕事がしたいと転職を考えていたところ、日高市役所とご縁があり入庁しました。

前職と比較して最も大きな違いは、民間企業では利益追求のために顧客を選別せざるをえないのに対して、市役所では全ての市民の生活に最後まで寄り添うことができる点だと思っています。市民の方が喜んでくれたり、感謝の言葉をいただけることにやりがいを感じています。

日高市役所に入庁してから6年間は前職の経験が活かせる「収税課」に配属され、税金の納付方法の相談を受けたり、納付に結びつかない方の財産の差し押さえ、口座振替などの業務を担当しました。その後2年間は「子育て応援課」で、保育施設の入園手続きや保育料徴収などを担当し、令和5年度から「総務課」で採用業務を担当しています。

編集部

木村さんのように転職で入庁される方は多いのでしょうか。

木村さん

転職者は令和6年度採用者では8割を占めました。ここまで高い経験者採用率となっている理由としては、日高市役所で職員の年齢層が少ない30~40代の職員を確保するため、40歳未満まで採用枠を広げている点が挙げられます。最近では、民間企業で働いていた地元出身のUターン者や市内や近隣に新居を構えたのをきっかけに転職する方も増えていますね。

編集部

具体的には、どのような業界からの転職者がいらっしゃいますか?

木村さん

目立つのは他市町村や県など、公務員から公務員への転職です。それ以外では営業や接客業ですかね。金融機関からの転職者も一定数います。

転職の動機としては、職員の人柄の良さを挙げる方が多いです。実際に採用説明会などで人事担当職員と接する中で「この人たちと一緒に働きたい」と感じていただけるようです。また、交通のアクセスが良く、自然豊かな環境で働けることも魅力です。

日高市民まつりの風景
▲秋に開催される「日高市民まつり」ステージイベントの開催やグルメ店も大集結!子どもから大人まで楽しめる

充実した教育体制:先輩職員による手厚いフォロー

日高市役所の新規採用職員に対する研修の様子
▲新規採用職員の研修風景

編集部

採用と関連して、新規採用職員へのサポート体制についても教えてください。

木村さん

どの自治体も職員一人当たりの業務量が増加傾向にあり、周りの職員を気にかける余裕が減るなか、当市では特に新規採用職員への配慮を大切にしています。例えば、業務中でも定期的に新規採用職員に先輩職員から声をかけ、わからないことを確認したり、困難な事務があればサポートしてあげるなど、一人で悩まない環境づくりを意識している職員もいます。

こういった周りへの気配りができる職員が、未経験者や新卒者にとって働きやすい環境を作っています。

また、様々な研修(講習)を実施していますが、特徴的なものの一つが「普通救命講習」です。職員が心肺蘇生などの応急手当の知識を持つことは意義があると考えており、新規採用職員を中心に講習を行っています。また、新規採用職員以外でも、講習を受けていない職員を幅広い年齢層から募集して実施しています。3時間ほどの実技講習で、普段接点の少ない部署の職員同士が一緒に体を動かしながら学ぶ機会となっています。

ちなみに、日高市消防団に所属している市の職員が講師として指導しており、すべて自前で講習を行っています。

働きやすい職場環境:充実した福利厚生と庁内制度

編集部

職員さんの多様な働き方を支える制度の中で、特に利用されているものをご紹介ください。

木村さん

日高市役所では、育児休業の取得率が高いことが大きな特徴です。取得率は女性が100%で、男性も令和4年度実績では100%を達成し、現在も高水準を維持しています。男性は平均して2~3か月の育休を取得しており、1年近く取得する職員もいます。

例えば、市役所の職員同士のご夫婦の場合、女性が1年で職場復帰し、そのタイミングに合わせ男性が半年以上育休を取得するといったケースもありました。実は私自身も2度育休を取得させていただきましたが、取得時も復帰時も周りのサポートが本当に手厚く、大変ありがたかったです。

活発な庁内交流:運動会(令和5年度実施)や課内旅行などで醸成される職場の一体感

日高市役所で行われた運動会の様子

編集部

職場の雰囲気についてお聞かせください。

木村さん

良好な人間関係と職場環境がパフォーマンスの向上につながると考えて、新規採用職員のメンタルヘルスに特に配慮しています。個人的には、のびのびと仕事ができる雰囲気の中で、しっかりと成果を出していける、そんなバランスの取れた職場だと自負しています。

編集部

職員同士のコミュニケーションを活性化させる、特徴的なイベントがありましたら、ぜひご紹介ください。

木村さん

まず、すべての課ではありませんが、課内の親睦を深めるために歓送迎会等の懇親会や課内旅行を実施しています。課内旅行の行先は各課で自由に決めており、関西や東北などさまざまで、普段なかなか行けないような場所にツアーのような形で行くこともあります。毎年楽しみにしている職員も多く、参加率も非常に高いです。

こうした課内旅行は、普段の業務では見られない一面を知る良い機会となっています。もちろん強制ではなく、参加は自由です。ちなみに今年度、私の所属する総務課では、私が幹事として企画した東京観光旅行に行きまして、みなさんと交流を深められました。

また、令和5年度には職員会主催の運動会も開催されました。平日の勤務後、市の体育館で行われた一大イベントです。大玉転がしや借り物競争など、協力し合って楽しめる競技が用意され、職員の過半数が参加しました。谷ケ﨑市長も競技に参加するなど、普段は接点の少ない他部署の職員との和気あいあいとした交流の場となりました。毎年度違うイベントを実施するため、毎年楽しみな行事の一つとなっています。

日高市役所で行われた運動会に参加する職員たち
▲秋に行われた運動会には、職員の過半数が参加

なお、就任13年目の谷ケ﨑照雄市長は、当市の元職員ということもあり、組織の状況や職員について理解が深く、どの職員に対しても気さくに接してくださいます。また、日頃から窓口や現場の状況を把握するため、市長自ら各部署を回り、職員と直接対話する機会を設けています。(2024年12月時点)

日高市の谷ケ﨑市長が各部署を訪問して職員と交流している様子
▲アットホームな雰囲気で、谷ケ﨑市長(中央)と職員の距離も近い

若手活躍:入庁3年目までの特別チームが市長へ政策提言

日高市役所の若手職員政策創造プロジェクトチームの会議風景
▲若手職員政策創造プロジェクトチームの会議風景

編集部

若手の活躍を推進するような取り組みはありますか。

木村さん

入庁3年目までの有志の職員により結成される「若手職員政策創造プロジェクトチーム(若手PT)」という取り組みがあります。毎年特定の課題に対する政策提言を行っており、若手職員にとっては市長に対して直接提言できる貴重な機会になっています。入庁3年目までの職員であれば、年齢や新卒・既卒などに関係なく誰でも応募できます。

編集部

具体的にはどのような提言活動を行っているのでしょうか。

木村さん

例えば令和5年度は、職員採用関連のプロジェクトに取り組みました。現役職員へのインタビューを行い、仕事内容や入庁のきっかけ、試験対策などについてまとめています。採用に関する説明会でもこの取り組みは職場のイメージをつかみやすいと好評で、多くの方に日高市役所の職員として働くことに興味を持っていただくきっかけになっています。

■若手PTから生まれた、職員紹介のインタビューコンテンツはこちら
https://www.city.hidaka.lg.jp/information/77/shiken/28337.html

人物重視の採用:語学やスポーツ・文化芸術での加点あり

日高市役所の採用活動の様子

編集部

日高市役所の採用試験の特徴について教えてください。

木村さん

「人物重視」の採用を心がけており、複数回にわたる受験者の人柄を引き出す丁寧な面接を実施しています。また大きな特徴として、資格等による加点制度を設けています。英語などの語学資格や、学生時代のスポーツ・文化芸術での実績なども評価の対象としています。

例えば語学資格では、英語検定準1級で5点、1級で10点、TOEICなら730点以上で5点の加点といった具合です。また、韓国の友好都市との関係から韓国語の資格も対象としています。その他、中国語、ポルトガル語、スペイン語なども評価対象です。

この他、一般的な公務員試験ではなく、民間企業でも使用されているSPI試験を早くから導入していることも特徴です。

また、令和6年度から、新卒者向けに大学・短期大学等からの推薦制度を導入しました。これは大学等で一定以上の成績を収めており、かつ日高市役所への入庁を強く希望する学生を、大学等から推薦していただく制度です。実際に導入してから、大学生や短大生の皆さんに興味を持ってもらえ、この制度を利用した学生は予想を超える人数でした。

他県の市役所の事例を参考にした制度なのですが、調べた限りでは県内ではもちろん、全国でもまだ珍しい制度です。

新しい取り組みにも積極的な市役所ですので、ぜひご興味お持ちいただけたら嬉しいです。

編集部

本日は日高市役所の採用の特徴や働き方、イベントを含めた職場の雰囲気など、転職を考える方に役立つ内容を聞かせていただき、ありがとうございました。

この記事のまとめ

中途採用の特徴
  • 令和6年度採用の8割が転職者
  • 40歳未満まで採用枠を広げ、幅広い年齢層を受入
  • 一般的な公務員試験ではなくSPI試験を採用
  • 語学資格やスポーツ・文化芸術実績による加点制度あり
カルチャー
  • 課内旅行などの親睦会への参加率が高く、コミュニケーションが活発
  • 市長との距離が近く、定期的な対話の機会あり
  • のびのびと働きながらも、しっかりと成果を出していける雰囲気
働きやすさ
  • 男女とも育休取得率が高く、男性でも3ヶ月以上の取得が一般的
  • 職員同士の結婚でも柔軟な育休取得が可能
  • メンタルヘルスに配慮した職場環境づくり
新入職員へのサポート
  • 先輩職員が新人職員に積極的に声をかける、質問しやすい環境
  • 業務の合間を見計らっての丁寧な指導
  • 普通救命講習など、部署を超えた研修機会あり
求める人物像
  • 市民の生活に寄り添える姿勢を持つ人
  • 地域密着型の仕事に興味がある人
  • 成果の追求に対して、ほどよいバランス感覚を持った人

日高市役所の基本情報

日高市にある巾着田の曼珠沙華の群生地
▲日高市の巾着田(きんちゃくだ)で見られる、幻想的な風景。巾着田は曼珠沙華(マンジュシャゲ:彼岸花)の群生地としても有名。

自治体名 日高市役所
住所 埼玉県日高市大字南平沢1020番地
公式ページ https://www.city.hidaka.lg.jp/
採用ページ https://www.city.hidaka.lg.jp/information/77/
募集職種 一般事務職、専門職(情報処理、土木、建築、福祉、保健師等)
※年度により異なる場合あり
取材・編集
保科有伽のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

保科 有伽

企業の採用や働き方に関する取材を担当し、サッポロビールやYahoo! JAPAN、キヤノンマーケティングジャパンなど、これまでに約500件の取材を実施。人事・採用の現場で15年以上の経験を持ち、国家資格キャリアコンサルタント、有料職業紹介責任者、メンタルヘルスマネジメントII種などの資格を有す専門家。