ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、新潟県佐渡市にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、佐渡市で働く魅力をご紹介します。
保育士や消防士などを含めた常勤職員が1,000名以上在籍する佐渡市は、少子高齢化や人口減少などの地域課題の解決に向けてチャレンジしており、積極的な人材育成と先進的な取り組みを推進しています。
若手職員を内閣府や国土交通省など、官公庁へ派遣する制度や、30代での係長登用など、チャレンジ精神を重視した組織づくりを行っており、離島ならではの豊かな自然環境の中で地域の未来を創造する仕事に携わることができます。
若手職員の成長を促す新潟県佐渡市の「研修派遣制度」とは
▲取材にご対応いただいた総務部総務課人事係の田沼さん(左)と渡部さん(右)、企画部総合政策課政策推進係の和田さん(中)
編集部
佐渡市が実践している、若手職員の成長をサポートする取り組みについて教えてください。
田沼さん
佐渡市の特徴的な取り組みとして、国の省庁を中心に、佐渡市外の各種官公庁への研修派遣制度があります。年間10名程度の職員を派遣しており、主に20代から30代前半の若手職員が対象です。
原則2年間の研修期間中に、国の業務の進め方や政策決定のプロセス、スピード感などを学び、佐渡市に戻ってきてから、その経験を日常業務へ還元します。この取り組みは、他の自治体と比べて積極的に行なっていると思います。
この制度の対象は全職員ですが、それぞれ家庭の事情もありますので、希望する職員にその機会を提供しています。実際に、本日同席している渡部が10年程前に新潟県庁へ、和田は2023年まで国土交通省に出向していました。
省庁での経験で身につけた知識と広い視野を現在の業務に活かしている
編集部
研修を通じてどのような経験が得られましたか。
和田さん
私は国土交通省の離島振興課に出向し、全国の離島を集めたイベントの実施などを担当しました。大きい組織で勤務をすることができたので、市役所勤務だけでは得ることのできない視野の広い考え方に触れることができてとても有意義でした。
他の自治体から来ている方々との交流で広い人脈も築くことができ、佐渡市に戻ってからもその関係性を活かすことができると考えています。
編集部
研修で得た経験が日常業務で活かされたエピソードがあれば教えてください。
和田さん
現在、総合政策課の交付金を取り扱う部署に所属しており、国土交通省時代に学んだ法律の仕組みや計画の立て方、予算の流れなどの知識が役立っています。なお、国交省では佐渡市とも関わりがある「離島活性化交付金」にも携わっていたので、現在の業務とも繋がるところはありますね。
また、こういった仕事では国の予算スケジュールに合わせて市の予算をどう組み立てていくかというスケジューリングが非常に大事なのですが、当時の経験を活かしながら業務にあたっています。
編集部
ちなみに、国交省と佐渡市役所の勤務においてギャップなどは感じましたか?
和田さん
いえ、そこまで違いは感じなかったですね。もちろん国を支える省庁ですからバイタリティとスピード感を持って働く人はたくさんいましたが、佐渡市にもスピード感はあります。
ただ、国会が決めたことを都道府県や自治体に落とし込んでいく省庁と、市民一人ひとりにサービスを展開する市役所では、後者のほうが業務の幅と分量が大きくなる傾向はあるかもしれません。その分大変ではあるのですが、佐渡市ではデジタルも活用しながら効率化を図っているところです。
30代でも係長に昇進可能。佐渡市独自の昇進制度とは
編集部
佐渡市役所への入庁後、業務を学んでいく流れを教えてください。
田沼さん
基本的に入庁後10年間で3つ程の部署を経験し、適性を見極めていきます。最初の3年間は、市役所の業務内容や仕事への取り組み方などの基礎を学んでいただきます。市役所職員としての土台を築き、次の部署で業務に臨んでもらう流れになります。
新卒採用職員向けには、ビジネスマナーや公務員としての服務規律などの基礎について集合研修で学びます。その他にも、県の研修所で1週間程度の研修があり、さらに各部署でOJTを行います。配属先の係長や主任と一緒に業務の流れを確認しながら、実践的に学んでいきます。
編集部
昇進制度について教えてください。
田沼さん
主事から主任までは基本的に経験年数に応じて昇進します。ただ、2022年から係長昇任試験制度を導入しており、主任クラスの職員であれば立候補制で受験が可能です。
以前は40代でないとなかなか係長になれませんでしたが、現在は30代半ばでも係長になれる制度が整い、実際にそのポジションに就いている職員も複数います。そのため、若手職員にとってモチベーションを高めながら仕事に臨める環境になっています。
編集部
早期で係長への昇進を目指す方には、どのような姿勢が求められますか。
田沼さん
新しいことに積極的にチャレンジする姿勢が重要です。受け身ではなく、自ら成長の機会を見出して積極的にチャレンジを続けて能力を着実に高めてほしいですね。そういった経験を積むことで、部下への指導力や事業推進力を養うことに繋がると思います。
数字だけでなく業務改善なども含めて評価
編集部
人事評価制度の仕組みはどのようになっていますか。
田沼さん
年に2回、業績と能力の2項目で評価します。業績評価についてですが、ふるさと納税や税の徴収率など数値化できるものもあれば、市民の満足度や窓口業務の効率性など数字で表すことが難しい指標もあります。
あとは、毎年同じことをやっていればいいというわけではないので、デジタル化に関する提案であったり、スピーディーかつミスのない業務フローにするべくマニュアルを改善したりと、業務改善というところも評価の対象にしていますね。
自治体の業務は必ずしも数字だけでは評価できないので、市民のためになるような取り組みも加味しながら評価するよう心掛けています。
佐渡市の職場環境:お互いにサポートする風通しの良い組織
編集部
民間と比べた職場の雰囲気が気になる人も多いと思うのですが、佐渡市役所についてはいかがでしょうか。
和田さん
とても和やかな雰囲気で、意見交換もしやすく、お互いにサポートし合っている環境だと思いますね。
その一例として、私が観光課にいたとき「さどまる倶楽部」というサービスをアプリ化するプロジェクトを担当したときのことを思い出します。私はアプリのシステムについてあまり詳しくなくて苦労していたのですが、同部署のITに詳しいスタッフが別の係にも関わらず親身に手伝ってくれたんです。
市役所では定期的に異動があるので、多様な経験を積めるというメリットはあるものの、どうしても業務でわからない部分が出てきます。助け合いの精神というか、人間関係を大切にする風土があるので、そんなときもすごく働きやすいと感じています。
田沼さん
そのサポートは、部署内だけにとどまりません。配属先によって差はありますが、一つの部署だけで完結する業務はほとんどないため、多くの職員が横との連携を取りながら業務を進めています。
編集部
職員の皆さんが大切にしているマインドがあれば教えてください。
田沼さん
市役所は市民のみなさんに一番近い存在の自治体です。佐渡市長も市民のために仕事をさせていただいているといったメッセージを発信しているので、市民のために働こうというマインドを大切にしています。
また、先ほどお伝えした人事評価制度においても、「市民のために頑張った」という点を適切に査定に反映して、処遇改善に繋げる制度設計も進めています。
編集部
佐渡市役所を働きやすい職場環境にするために、何か取り組んでいることはありますか。
田沼さん
市民の方が窓口に来られる関係上、フレックスタイムやテレワークの導入は難しい面がありますが、夜間の説明会やイベントがある場合は、柔軟に勤務時間を調整できる制度を設けています。
佐渡市からのメッセージ:地域課題に取り組みたい人を歓迎
編集部
最後になりますが佐渡市で働くことに興味・関心のある読者に向けてメッセージをお願いします。
和田さん
私は佐渡市出身で大学進学を機に上京しました。佐渡から離れたことで地元の魅力に気付き、就職先を佐渡市役所にしました。
佐渡には山、海、川があり、島の北から南まで様々な食材が採れて、資源が非常に豊富です。このような魅力的な環境はなかなか無いと思います。また、満員電車での通勤のストレスもありません。都会暮らしとは異なる魅力がある職場ではないでしょうか。
田沼さん
佐渡市は離島という特性から、少子高齢化や人口減少などの課題が他地域と比べると10年早く進行しているといっても過言ではなく、ある意味、地域課題に対して先進的な取り組みにチャレンジできる環境です。
地域課題の解決に向けて、新しい取り組みを積極的に導入するには、若い方々のチャレンジ精神が特に必要です。佐渡市を活気ある自治体として発展させられるように、ぜひそういったマインドを持った方と一緒に仕事ができればと思っています。
編集部
佐渡市役所は若手職員が活躍できる土壌が用意されており、今後多くの地方自治体が直面する地域課題に対していち早くチャレンジできるやり甲斐もありそうです。また豊かな自然環境も魅力的ですね。本日はありがとうございました。
編集後記
人々の価値観や世間を行き交う情報が多様化・複雑化している昨今、自治体の仕事もそれに比例して業務量が増しているそうです。
今回インタビューをさせていただいた皆さんはそんな状況下においても、より効率的により良いサービスを佐渡市民に提供していこうという前向きな姿勢を随所に感じました。地域課題解決の最前線を行く佐渡市の取り組みに要注目です!
この記事のまとめ
佐渡市のキャリア支援 | ・若手職員の成長を支援する制度が充実 ・国の省庁や他自治体への研修派遣制度を設けている ・30代半ばでの係長昇進など、若手の早期登用制度がある ・業績評価と能力評価の2軸で人事評価を行っている |
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組織文化 | ・部署を超えた部門間連携が活発な組織文化 ・お互いにサポートし合う風通しの良い職場環境 ・市民のためという共通の意識を大切にしている |
採用方針 | ・自然豊かで通勤などのストレスもなく、そこに魅力を感じる人を歓迎 ・地域課題が進行しているので先進的な取り組みにチャレンジしたい人はマッチする |
佐渡市役所の基本情報
住所 | 新潟県佐渡市千種232 |
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公式ページ | https://www.city.sado.niigata.jp/ |
採用について | 公式ウェブサイトやSNS、広報誌から募集 |
募集職種 | 一般事務や保育士など |