社会に変革をもたらすスタートアップを紹介する本企画。今回は、ClipLine(クリップライン)株式会社にインタビューしました。
ClipLineは「『できる』をふやす」をミッションに掲げ、飲食や小売など多店舗展開するサービス業の生産性向上をサポートしています。
同社が提供するソリューション「ABILI(アビリ)」は、多拠点ビジネスの状態や課題を見える化し、店舗によって生じるバラつきを改善する総合プラットフォームです。吉野家やデニーズ、成城石井といった大手チェーンにも導入され、多拠点ビジネスにおける課題を解決しています。
今回は、ClipLine株式会社のお仕事の魅力について、代表取締役社長の高橋さんとコンサルタントとして活躍する千葉さんにお話を聞かせていただきました。
ClipLine株式会社のミッション「『できる』をふやす」とは
編集部
ClipLineさんは「『できる』をふやす」をミッションに掲げています。その背景にある想いを教えてください。
高橋さん
このミッションは、2018年に初めて開催した全社合宿で生まれました。熱海で2日間かけて5〜6人のチームに分かれてアイデアを出し合い、最終的にプレゼンと投票を経て「『できる』をふやす」に決まりました。
飲食業や小売業は単なるサービスの場ではなく生活を支える重要なインフラですが、国内のサービス業において、そこで働く人々の労働条件は必ずしも良いとは言えませんよね。働く方の多くは非正規社員で、中には新人も多く含まれています。とはいえ消費者にとってはそんな状況はわからないので、サービス品質が悪いと「この店はダメだ」と判断し、売上が下がりますし、そういう現場は生産性も高くないものです。
しかし、単純に正社員を雇用したり、非正規社員の時給を上げれば解決するかというと、そう簡単ではありません。というのも、一人ひとりの生産性が向上しない限り、全体の賃金を引き上げることは難しいからです。
賃金の底上げをするためには、アルバイトを始めたばかりの高校生が1ヶ月後にベテラン社員と同じくらいのレベルまで「できる」ことが増えるような仕組みが必要なんです。私たちは、「『できる』をふやす」仕組みを提供することで、これを実現したいと考えています。
それが弊社のプラットフォーム「ABILI」です。ABILIは人材育成やサービス品質向上など複数のソリューションを用意していて、本部と現場間、また各現場間に発生する「バラつき」を改善し成果を生み出すことを目的としています。これにより、小売・飲食に代表される多拠点ビジネスの生産性を上げていくというのが、ミッションの背景にある想いですね。
若手コンサルタントに聞く!ClipLineの成長環境とは
▲2024年3月に入社したコンサルタントの千葉さん。「Chain Consulting」はClipLineの子会社で、同社のコンサルティング部門の位置付け。
編集部
ここからは、コンサルタントとして活躍する千葉さんにお話を伺っていきます。まず、経歴と現在の業務をご紹介いただけますか?
千葉さん
私は新卒で大手家具量販店に入社し、3年間副店長の業務を経験しました。その後、ECコンサル企業を経て2024年3月にClipLineにジョインしました。
入社後はコンサルティング事業部に所属し、以前の経験を活かしながらコンサルタントとして働いています。コンサルとしての目的は、多拠点展開する企業様の収益性向上をサポートすることです。業務は大きく「診断フェーズ」と「実行フェーズ」に分かれます。
診断フェーズでは、顧客のデータを用いて店舗の数値上のバラつきを分析し、収益のポテンシャルを探ります。その後の実行フェーズでは、経営陣や、スーパーバイザー、店長などの現場のマネジメント層を巻き込んで店舗のあるべき姿を再定義したうえで、マネジメント手法の改善や現場業務の改善を進めながら店舗間のバラつきをなくし、収益を改善していきます。
編集部
お仕事をするうえで、大規模な小売店で働いた経験はどのように役立っていますか?
千葉さん
やはり、多店舗展開ビジネスの経験がとても活きていると感じています。店舗マネジメントや、店舗ごとのバラつきを解決する方法など、経験を通じて培ったスキルやノウハウがあるので、お客様に対して具体的な提案をすることができます。
高橋さん
大手のチェーン店だと、組織がしっかりしていて人材教育制度や店舗ごとの顧客体験などもシステマチックに整えられている印象があります。ただ、そうではないところがまだまだ多いので、自分の経験と比較して役立てることができているのでしょうね。
コンサルのプロや大手小売の出身者など、経験豊富な社員が揃う
編集部
ClipLineさんにはどんなメンバーが集まっているのでしょうか?
千葉さん
前職は本当にさまざまですが、特にカスタマーサクセス部門には、小売や飲食、物流などサービス業の経験者が多く集まっています。どのメンバーも、店舗間のばらつきという課題解決に対して強い思いを持っていると感じます。
いろいろな方と交流する機会があるのですが、その中で強く影響を受けた方を2人紹介させてください。まずは、直属の上司の小澤さんです。創業メンバーである小澤さんはコンサルティング業界で長くキャリアを築いてきた方で、私はコンサルにおいて重要なスキルを日々学んでいます。
特に勉強になるのは、お客様と一緒にプロジェクトを進めていく姿勢ですね。OJTのような形で毎日見ることができているので、自分の成長につながっていると感じます。
また、小澤さんの「お客様自身で改善し続けられる状態」を引き出していく力もコンサルティングをするうえで非常に参考になっています。
我々はコンサルタントとしてお客様と並走して会社の変革を進めていきますが、コンサルティングのプロジェクトはいつまでも続くわけではなく、最終的にはお客様で自走して課題に取り組み成果を生み出していかなければなりません。
そのため、我々がお客様とプロジェクトを進めていく中で、お客様側の主体性を引き出していくことも重要になります。コンサルタントというと一方的にアドバイスをしていくというイメージが強い方もいらっしゃると思いますが、小澤さんはあえて答えは提示せずに、お客様の疑問や言いたいことを整理しながら引き出し、お客様自身であるべき姿を見つけて改善を進めていける状態に導きます。
そうすることで、お客様が「言われたからやる」ではなく、「やるべきだと思うからやる」に変わり、私もそのような姿をたくさん目にしてきました。顧客が自走して課題を解決していくための仕組みを作っていく、そんな仕事の進め方が大変参考になっております。
▲千葉さんが多くを学んでいるという上司の小澤さん(左)。
また、カスタマーサクセスには世界展開する大手アパレルチェーン出身の梅澤さんという方がいます。この方はスーパーバイザーとして活躍されていた経験があり、店舗マネジメントの知識が非常に豊富です。マネジメント能力や関係者を巻き込んで仕事を進める推進力など、とても勉強になっています。
もちろんこのお二人だけではないのですが、特にコンサルティング事業部は少人数チームなので、日々フィードバックをもらいながら成長できる環境です。
ClipLineの独自制度とワークライフバランス
▲多部署とのつながりを重視するClipLine。定期的な全社総会の際には、お弁当を食べながら社員同士で交流する時間も。
ここからは、ClipLine株式会社の独自制度や交流と促進する取り組み、人事評価や働き方に関する点についてお聞きしていきます。