事業創造ファーム「株式会社dotD」の果敢な挑戦を後押しするカルチャー

先進的な働き方や独自の企業文化を持つ会社に迫るこの企画。今回は、世の中に新たな価値を生み出す「事業創造ファーム」を標榜し、社内外で新規事業の立ち上げやサポートを行う株式会社dotDを取材しました。

株式会社dotDとは

dotDのミッション・ビジョン・バリュー
▲株式会社dotDが定めるミッション・ビジョン・バリュー(公式サイトから引用)

株式会社dotDでは、大企業が新規事業を立ち上げる際に、その構想、企画から試作、製品開発まで携わり、クライアントを成功に導くサポートを行っています。

一方で自社でも、社会問題やメンバーが身近に感じている課題と向き合い、試行を繰り返して、独自サービスの企画や開発、運営に取り組んでいます。

会社名 株式会社dotD
住所 東京都港区北青山2丁目14番4号WeWork the ARGYLE aoyama 6F
事業内容 ・レベニューシェア型新規事業支援
・プロトタイプ型開発サービス
・セールス&マーケティングサービス
・カスタマーサクセスサービス
・ペットテックアプリ開発・運営
・エドテックサービス開発・運営
・コミュニケーションプラットフォームの開発
設立 2018年9月
公式ページ https://dotd-inc.com/ja
働き方 リモート
フレックス

今回は、そんな株式会社dotDが手がける事業の内容や込める思い、一緒に働く人へ求める姿勢について、執行役員CSOの山中健太郎さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社dotD執行役員CSOの山中健太郎さん

株式会社dotD 執行役員CSO

山中健太郎さん

想いを挑戦に。新規事業で世の中に大きな価値を生む

dotDでの打ち合わせ風景

編集部

まず最初に、dotDさんはどのような事業に取り組んでいるのかをお聞かせいただけますでしょうか。

山中さん

私たちは、「あなたの想いを、挑戦に変える。」をミッションとして位置付けている会社です。事業内容を大まかにお伝えすると、自社で事業をつくる「自社事業」と、大企業の新規事業の立ち上げをサポートする「共創事業」の2つを軸としています。

自社事業では、愛犬のお散歩と健康食事管理アプリ「onedog」や、新規事業のKPI設定やリソース管理を適切に行うクラウド型事業創造プラットフォーム「dotHatch」などを立ち上げています。

dotDが提供する「dotHatch」のサービスイメージ
▲dotDさんが開発した「dotHatch」。新規事業づくりを幅広くサポートするプラットフォーム

山中さん

共創事業としては、自動車関連部品などを手がける企業「東海理化」さんと協業した「TOKAI RIKA Digitalkey」というプロジェクトが代表例になります。自動車をはじめ、車以外の乗り物やオフィスといった建物、駐車場などのデジタルキー化を促進させる取り組みです。

編集部

社内外で多角的に事業に取り組まれているのですね。dotDさんの創業はいつごろでしたでしょうか?

山中さん

dotDの創業は2018年9月で、スタートしてまだ4年半に満たない若い会社です。小野田(代表取締役CEOの小野田久視さん)自身が兼業で起業した会社なので、本格的に経営し始めてからはまだ3年ちょっとですね。社員数は30人強です。

編集部

事業にはどのように着手しているのですか?

山中さん

大企業の案件を同時にいくつも伴走していることに加え、自社事業の種のようなものも含めると、数多くの事業を並行して対処しています。一般的には、何か一つの事に集中した方がいいということを言われています。それでも、あえて複数分散しているのは、事業に関わる社員にとって、それぞれ価値があると思うもの、実現に向けて意欲を持てるものに打ち込んでほしいと望んでいるからです。

もちろん全部がうまくいくわけではないですけど、将来的に世の中に大きな価値をもたらすものがポコポコと連続的に生まれてきたらいいな、という思いで経営しています。そういったビジネスのあり方を、私たちは「事業創造ファーム」と呼んでいます。

愛犬の健康管理アプリなどをリリースしている「自社事業」

dotDが制作したアプリ「onedog」のキャプチャ
▲dotDさんが手がけた「onedog」。愛犬の散歩や通院履歴を記録することで、健康状態を把握できる

編集部

dotDさんの「自社事業」とはどのようなものか、具体例と共に伺えればと思います。

山中さん

名前の通り、自分たちの名義とリスク、お金で事業をつくっていくものです。例えば、弊社で一番古くて大きい自社事業が、先ほど挙げた「onedog」というアプリの開発になります。

2023年1月に子会社を設立したのですが、元々は小野田が、ペットオーナーとして犬を飼っていて「こういうものがあったら良いな」とか「ここが改善されると暮らしやすくなるな」といった思いを起点に、プロダクトにしていったものです。

onedogのサービスはお散歩管理から始まって、食事や排泄のログが取れたり、ペット保険を保険会社と一緒につくったりといった変遷を経てきました。今は、ドッグフードの領域にも進出しています。

他にも変わり種のものだと、亀が好きな社員と新規事業を作りたい社員の2人で、「亀の餌サービス」をつくろうという動きもあります。実は、亀の餌を確保するのは結構大変な作業らしいんですね。亀にとって安全な野草を毎日選り分ける必要があるということなので、その作業の負担軽減をできればというサービス内容になります。

そういった独特な着眼点も、みんな面白がりながら仕事をしています。「そんな規模の小さいビジネスなんかやめちゃえ」みたいなことを言う人はいません。

編集部

自社事業では、ペットに関連した事業など、個人が着目した分野に事業を展開することも可能なんですね。dotDさんのチャレンジを重んじるカルチャーが感じられます。

立ち上げから販売までクライアントを手厚く支援する「共創事業」

dotDが東海理化と協業して行うプロジェクト「TOKAI RIKA Digitalkey」のサービスイメージ
▲dotDさんが東海理化と協業して行う「TOKAI RIKA Digitalkey」。あらゆる鍵のデジタル化を進め、安全で便利な社会の実現を目指す

編集部

先ほどはdotDさんの「自社事業」について伺いましたが、「共創事業」についてはいかがでしょうか?

山中さん

こちらは、大企業に伴走して一緒に新しい事業をつくっていくスタイルのものです。自動車会社やメガバンク、ベンチャー企業、携帯キャリアといった事業者とタッグを組んでいます。

一例として、トヨタ自動車系列のサプライヤー「東海理化」さんと協業したプロジェクト「TOKAI RIKA Digitalkey」では、事業戦略の策定や営業の支援を行いました。これは、生活で利用する様々な鍵をデジタル化し、それらをスマートシティを支えるサービスに繋げるというプロジェクトです。

成果の一環として、車の鍵の解錠、施錠をスマートフォンで行うシステムが、福岡市のカーシェアサービス会社で採用されています。

スピード感や寄り添う姿勢が大手企業から高評価

dotDでの打ち合わせ風景

編集部

dotDさんは比較的新しい企業だと思いますが、数々の大手企業から声がかかっているのは何故でしょうか?

山中さん

ポイントは3つあると思っています。

1つ目は会社が小さいが故かもしれないんですけど、小回りが利くというところですね。「こういうプロジェクトやりたいんだけど」と言われた時に、スピード感をもって気の利いた提案ができたり、プロジェクトの途中で何かが変更になった時にこちらも柔軟に体制を組み替えたりと、アプローチを変えたりすることができます。

2つ目は、事業の立ち上げだけではなくて、その後の売っていく段階まで一緒に進めていくという姿勢に共感していただくことが多いです。これは、CEOの小野田が元々法人営業やビジネスデベロップメントをやってきた人物だということに起因しています。

3つ目ですが、失敗談も含めて事業を一緒に考えていけるというのが、なかなか他にないのだと思います。私たちは自社事業にいろいろチャレンジしていて、当然ながら成功することより失敗することの方が多いです。そういった経験をフィードバックできることについて、信頼されているというか、魅力を感じて弊社と一緒に仕事をしてくださっていると感じています。

編集部

自社事業での経験も、共創事業のブラッシュアップに繋がっているのでしょうか。

山中さん

はい。強調しておきたいのは、自社事業と共創事業のどちらも強い思いを持って取り組んでいるということです。この手の会社で多いのは、「自社の事業が本命で、他社と取り組む事業はある程度キャッシュが潤沢になったらやらなくなる」というケースです。しかし、私たちの考え方は違います。

今の自社事業は潤沢なキャッシュを生み出すほどには至ってないので、共創事業でキャッシュを得て、それを自社事業に投資するという構造になっています。ただ、自社事業でキャッシュが出せるようになってきたら、むしろ共創事業でリスクを取るプレーができていくと思うんです。

あとは、大企業と一緒に共同出資で会社をつくるとか、リソースを借りて何か面白いものを見いだし、ある程度見通しがついたら一緒に乗っかってもらうといった考えもあります。そういった取り組みには、お金に余裕があればより一層、積極的に臨めるんじゃないかと思っていますね。

編集部

多くの企業様は、dotDさんの技術面のみならず仕事に取り組む姿勢などもご覧になって「共創」したいと感じているのですね。自社事業とあわせて良いサイクルをつくっていくことで、より成長していかれるのだろうと思いました。

失敗を恐れず、価値ある事業を多くつくっていきたい

dotDでの打ち合わせ風景

編集部

続いて、dotDさんが事業に取り組む際の想いについて伺えますでしょうか。

山中さん

我々は「原体験」と呼んでいるんですけど、誰しもが世の中について「ここがおかしい」とか「こういうふうに変えたい」とか、何かモヤモヤしたものを持っていると思います。その中には「こうしたら解決できるかな」というアイデアまでたどり着いてる人もいるはずですが、思いを抱えた状態にとどまって、実行に移せない人がたくさんいると感じるんですよね。

私たちはそのアイデアについてリサーチしたり、検証したりしながら、実現させる挑戦をして形にするという事業をやっています。もちろん、挑戦の数が増えれば増えるほど失敗の数も増えますが、100回チャレンジするより、1万回チャレンジした方が、成功するものが生まれる可能性は高いと思います。たくさんの試行を重ねて、世の中に価値のある事業を少しでも多くつくっていきたいという理念があるんです。

大企業の一員として熱い思いを持つ人であれ、弊社の社員であれ、思いを挑戦に変えることができる場としてdotDを使ってもらう、もしくは所属してもらうということが理想ですね。

また、弊社には「後悔しない未来を創る。」というビジョンがあります。どういうことかというと、例えば「あの時、ああすれば良かった」「やりきれなかったな」などと思いを実現できずにキャリア、人生を終える方がいると思います。

そのような事態を減らすために、思いを直ちに実行に移すお手伝いをすることで後悔の無い未来をつくりたい。そういう望みが根幹にあるのがdotDという会社です。

起点は社員の思い。挙手制で事業を立ち上げる

編集部

実際に御社で新規事業にチャレンジされる場合、流れはどのようになっているのでしょうか?

山中さん

弊社の場合は全て、社員の思いが起点となっています。新規事業を立ち上げる会社には、「今はこういうのがトレンドだから」「このセグメントの人口が伸びるから」と、いわゆるトップダウン型で、計画的に領域を選んで事業をつくろうという雰囲気がありがちだと思います。ですが弊社では、社員が挙手制で事業をつくっていきます。それが非常に大きなポイントです。

編集部

まず、社員の方に「こういうことをやりたい」という意志があるということですね。

山中さん

はい。その意志の発信に対して、他のメンバーがバックアップしていきます。「やっちゃいけないことはあるんですか」とよく質問されるんですけど、今のところはないです。もちろん公序良俗に反するものはNGを出すとは思いますけど、「これはしちゃいけない」「この領域でなければいけない」みたいなことはありません。

新規事業の提案も活発です。小野田の発案で、社内の知見共有のためにクラウド上に「新規事業のネタ帳」というページをつくって、「何かやりたいことを思いついたらここにどんどんメモして」と呼びかけたんですね。そうしたら、約半年のあいだに100個弱のアイデアが集まりました。

編集部

すごいですね!社員の皆さんのモチベーションの高さと、意見を発信することを尊重する企業姿勢がうかがえます。

当たり前にとらわれない社内カルチャー

dotDでの打ち合わせ風景

編集部

dotDの社員の皆さんに共通する行動指針のようなものはあるのでしょうか?

山中さん

社員の行動のベースになるものでいうと、「Paddle」「Mingle」「be Crazy」という3つのバリューが当てはまるかと思います。

「Paddle」は、船を一緒にこいでいくというニュアンスです。人数が少ない会社ですし、声を出すだけの船頭はあまりいらないと思っています。 挑戦する社風にあわせて自ら貢献できる姿勢や、周囲の環境の変化に対応して自分をアップデートし続ける姿勢が求められています。

「Mingle」は「混ざる」「交流する」という意味です。1人で考えて答えが出ることって、たかが知れていると思うんです。大体そういうものは既に課題が解決されていたり、サービスが実現していたりしています。せっかくいろんな人がいるからには、いろんな知恵を混ぜ合わせて新しい答えを出していきたいという思いを込めていますね。

「be Crazy」は、当たり前にとらわれないという意味です。何かおかしいとか、やりたいと思った時に率直に発言ができる環境は、とても大事だと思います。そうやって社員が自分の頭で考え、失敗しても成功するまで挑戦し続けられる組織でありたい、なければいけないと思っています。

チームを組みプロジェクトを立案する事業創造合宿

編集部

バリューに象徴されるような、dotDさんのカルチャーを体現する取り組みはあるでしょうか?

山中さん

想いを持って事業に挑戦することが会社の生命線なので、そういった動きを意図的につくっていくために「.(ドット)camp」という事業創造合宿を年1回やっています。

自分で事業をつくりたい人を弊社では「シーダー」、種をまく人と呼ぶんですが、キャンプの前にまずはシーダーになりたい人を募集するんです。その後、シーダーのアイデアをもとにプロジェクトを設定し、どのプロジェクトに関わりたいかをみんなに問いかけた上で、マッチングをしてチームをつくります。

キャンプ前には2カ月ぐらい準備期間を設けているので、チームごとにいろんなリサーチをしたり、場合によってはインタビューなども進めておきます。

キャンプでは1泊2日、缶詰めで事業計画を立てて、最後は全員の前で自分たちの成果を伝えます。キャンプ1回当たりで7〜8件のアイデアが上がってきますね。そこから、本気度や事業立ち上げへの確信度が高まった人は、そのまま役員に予算をもらいにいきます。

2022年10月のキャンプで出たアイデアの一つが、先ほどお伝えした「亀の餌サービス」なんです。まだ本格的な展開には至ってないですが、少しずつ前に進んでいるようです。あとは、採用をもっと上手にやるためのツールをつくることも検討しています。

編集部

キャンプはすごく盛り上がりそうですね。そのようなイベントが成立するということは、皆さんそれぞれが事業主になれるぐらいのビジネスアイデアをお持ちなのではないでしょうか?

山中さん

壮大なアイデアがあるというよりは、目の付け所が鋭い人が多い気がします。いずれにしても弊社に入ってくるからには、事業オーナーになりたいとか、子会社の社長になってやるといった意欲の持ち主がたくさんいますね。

フレックスやリモート勤務にも柔軟に対応

dotDでの打ち合わせ風景

編集部

現在のdotDさんの勤務体系についてもお教えいただけますか?

山中さん

現在はフレックス勤務が基本で、無駄なミーティングは省き、リモート勤務にも柔軟に対応しています。入社してみたらフレックスやリモートの働き方がすごく心地よくて、今も在籍し続けているという社員もいますし、入社するきっかけのひとつにもなっているかもしれません。

編集部

福利厚生に関する制度はどのようなものがありますか?

山中さん

仕事に必要なスペックのラップトップやディスプレイなどを入社時に貸与しているほか、リモート手当やスマートフォンの通信費補助制度も用意しています。また事業に関連して、ペットを飼っている社員に支給する「ペット手当」もあります。

オフィスは、外苑前駅徒歩5分のWeWorkに構えています。ドリンクはコーヒーからアルコールまで揃っていて、お洒落なオープンスペースで気持ちよく仕事ができると思います。

自ら挑み、互いに助け合える人を募集

dotD採用情報ページのキャプチャ
▲dotDさんが求める人物像(公式サイトの採用情報から引用)

編集部

最後に伺いたいのですが、dotDさんにフィットする人材はどのような方になるのでしょうか?

山中さん

次のようなタイプの方がフィットしやすいというか、楽しめる会社じゃないかと思っていますね。

1つ目は、先ほどの話にもあったのですが、弊社で「シーダー」と呼ぶ種をまくタイプの人です。つまり、dotDという場を使って自分で挑戦したいという思いがある人ですね。大企業の新規事業に伴走することに前向きに取り組みながら、一方で忙しい時間の合間を縫い、自分で新しい事業を育てていきたいという意欲がある人は向いていると思います。

2つ目は、「これをやりたい」という思いを持ってる人に対して、「自分の持っている特技で助けてあげたい」といった考えを持っている人です。このタイプの方は「グロワー」、芽を育てる人と呼んでいます。

最後は「プロワー」、土を耕す人です。シーダーやグロワーが作業に集中できる環境をつくる人のことを指します。専門知識や能力を持っている人だけではなく、シーダーおよびグロワーに「もっと頑張って」と、献身的にサポートしてあげられる人の存在も不可欠なんです。

編集部

さまざまな思い、能力、感性を持った人の連携で、dotDさんのお仕事が成り立っているのですね。興味深い話をお聞かせいただき感謝しております。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

■取材協力
株式会社dotD:https://dotd-inc.com/ja
採用ページ:https://dotd-inc.com/ja/careers