世界初の抗がん剤を開発。株式会社FerroptoCureの創薬ベンチャーとしての働きがい

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、株式会社FerroptoCure(フェロトキュア)にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。

2022年5月に研究者によって設立された同社は、人間に備わっている細胞のメカニズム「フェロトーシス」を活用した抗がん剤の開発に取り組んでおり、研究・開発のプロフェッショナルが集結し、前例を見ない新薬の実用化を目指しています。リモートワークやフレックスタイム制も導入し、海外からもジョインできる環境です。

今回は代表取締役の大槻雄士さんに、同社の取り組みや社内カルチャー、求める人物像などについて取材を行いました。

本日お話を伺った方
株式会社FerroptoCureの代表取締役・大槻雄士さん

株式会社FerroptoCure
代表取締役

大槻 雄士さん

次世代の抗がん薬を創る。元外科医が設立したスタートアップ

株式会社FerroptoCureが活動する施設「iCONM in collaboration with BioLabs」の外観とオフィススペース

編集部

大槻さんは元々、外科医をされていたそうですね。なぜ、FerroptoCureの設立に至ったのでしょうか?

大槻さん

もともとのきっかけは、外科医時代に多くのがん患者さんを担当したことです。最前線でがん患者さんたちに関わる中で、「まだまだがんは治らない病気だ」という厳しい現実を思い知らされました。同時に「新しい薬」の必要性を痛感し、アカデミア(大学)でのがん研究をスタートしたんです。

ただ、がん研究を進めていくと今度は「創薬の壁」に直面しました。新しい薬を作るには当然ながら、まとまった資金が必要です。また、薬にするのは製薬会社なので、ビジネス的な視点が欠かせないことに気付きました。

所属していたアカデミアでは資金不足に陥ることもあったため、5名の研究者と共同でがん研究とビジネスの両方を担う「株式会社FerroptoCure」を設立しました。

編集部

御社のミッションについても教えていただけますか?

大槻さん

ミッションは「フェロトーシス創薬で病気を治す」です。フェロトーシスとは、酸化ストレスによって起こる細胞死のメカニズムです。

通常は、古くなった細胞が死んで新たな細胞が生まれますが、がん細胞になるとこのメカニズムが崩壊します。本来死ぬはずの古い細胞がどんどん増殖し、体を蝕んでいくのです。フェロトーシスを使った薬を投与することで、破壊したメカニズムを正常に戻し、がん細胞の消滅を目指します。

この「フェロトーシス誘導性抗がん剤」は、前例のない世界初の薬となります。現在は「治験」の段階まで進み、乳がんの患者さんに薬を飲んでもらって効果を確認している状態です。効果が実証されたら薬の承認を取り、将来的には全てのがんを標的にしたいと考えています。

FerroptoCureの組織:研究とビジネスの両方に長けるメンバーが揃う

編集部

現在、何名ぐらいの方々がFerroptoCureで働いているのでしょうか?

大槻さん

フルタイムで働いている者が5名、業務委託のメンバーを含めると10名ほどです。人数は多くありませんが、女性のメンバーも在籍しています。

フルタイムのメンバーには私と一緒に会社を設立した研究者も含まれており、バックオフィスや研究員、経営管理など、それぞれの得意分野で活躍してくれています。

経歴はさまざまですが、研究・開発の経験はもちろん、開発した薬を製薬メーカーにアピールする力に長けたメンバーが多いですね。例えば、患者さんに薬を飲んでもらって成果・課題をまとめた経験がある者や、複数のベンチャー企業を渡り歩き、事業を軌道に乗せてきた者など、実力のあるメンバーがそろっています。

編集部

FerroptoCureに入社すると、どのような経験ができるのでしょうか?

大槻さん

研究者としての専門性を深めると同時に、ビジネスに携わることが可能です。弊社は創薬のベンチャーとしては珍しく、がん患者さんに薬を投与する「臨床試験」まで進んでいます。患者さんと近い距離で研究に取り組めるので、研究者としての力量も鍛えられます。

2022年に設立したスタートアップ企業でメンバーの数もそれほど多くないため、研究職であってもビジネスに携わる機会が多いです。研究者としての腕を磨きながらビジネスの経験を積めるのは、弊社の強みだと思っています。

海外への事業展開に向け、外国籍のメンバーを歓迎

株式会社FerroptoCureの代表取締役・大槻雄士さんが海外で研究者と交流する様子
▲海外で研究者と交流する大槻さん。活躍の場はグローバルに広がっている

編集部

御社は、外国籍の方の採用にも前向きだと伺いました。現在、外国籍のメンバーは何名ぐらい在籍されているのでしょうか?

大槻さん

現在(2024年10月取材)は、アメリカ人のメンバーが1人在籍しています。フルタイムは1名ですが、業務委託では海外メンバーもたくさん活躍中です。業務委託のメンバーは薬の開発経験があったり、その国の規制に詳しかったりと、専門性の高い方々ばかりです。

編集部

外国籍の方を採用する目的を教えていただけますか?

大槻さん

大きな目的は、海外へ向けた事業展開です。製薬会社の数でいうと当然ながら国内より国外のほうが圧倒的に多いため、ビジネスのフィールドとしてもグローバルに広げていくことを視野に入れています。

言語はもちろん、ビジネスを進める上ではその国のカルチャーへの理解も大切です。薬の開発において、海外の機関との共同研究といった国際的な協力は欠かせません。

海外の方と英語でやり取りしたり、先方との信頼を築いたりする際に、外国籍のメンバーの力が必要だと思っています。

リモートワーク・フレックスタイム制で、柔軟に働ける

編集部

海外に住んでいる場合は、リモートワークを活用するのでしょうか?

大槻さん

はい。業務委託のメンバーは基本的に、リモートワークを活用しています。弊社は専門性を重視しているため、居住地域に関係なく柔軟な働き方が可能です。

フルタイムのメンバーは川崎市内にあるラボ「iCONM in collaboration with BioLabs」でのオフィスワークのほか、自宅などでのリモートワークも選択できます。フレックスタイム制を採用しており、規定の時間内であれば自由に勤務時間を設定していただけます。

プロジェクトの前進に向けて団結!FerroptoCureのカルチャー

編集部

働き方について伺ってきましたが、社内の雰囲気はいかがでしょうか?

大槻さん

上下関係はなく、お互いに意見を出し合える雰囲気です。創薬のベンチャー企業は特に、経験を積んだベテランが多くなるので、堅い雰囲気だと思われるんですね。弊社には大学教授も多く在籍していますが、「製薬会社との商談に同席してほしいです」とお願いすると、快く引き受けてもらえるフランクさがあります。

最近バックオフィス担当として入社したメンバーが、和やかな雰囲気に驚き「良い意味で、大学教授のイメージが崩れた」と話していましたね。「プロジェクトを前に進める」ことを共通の目的に、経験値を超えて協力できるのは弊社の強みだと思っています。

月1〜2回で対面の会議を実施。会議終わりの飲み会で親睦を深める

編集部

メンバー同士が、対面で話をする機会はありますか?

大槻さん

1カ月に1〜2回程度、対面で会議をする機会を設けています。普段リモートで働いている人も会議に参加し、オフラインで話をしています。

会議が終わった後には、飲み会をするケースも多いです。飲み会の話題は自由で、アニメ・漫画といった共通の趣味で盛り上がるメンバーもいますね。年齢差や立場に関係なく、コミュニケーションを取り合えるアットホームな職場です。

求める人材:研究・開発の経験があり、チームワークが取れる人

株式会社FerroptoCureの代表取締役・大槻雄士さんとラボのある施設「iCONM in collaboration with BioLabs」のコミュニケーションエリア
▲取材に対応してくださった代表取締役の大槻さんと、ラボのコミュニケーションエリア

編集部

どのような方を、FerroptoCureのメンバーとして迎えたいですか?

大槻さん

研究を進めるだけではなく、研究内容を統括して薬の実用化につなげられる人と一緒に働きたいです。英語力が高いに越したことはないですが、必須条件ではありません。製薬メーカーや、薬関係のベンチャー企業での研究経験のある方は、きっとやりがいを持って働けると思います。

編集部

専門性以外には、どのようなスキルを重視しますか?

大槻さん

面接の際に確認しているのは、報告・連絡・相談のコミュニケーション力です。特に、1人で抱え込まないスキルは重要だと思います。弊社は少人数のスタートアップ企業なので、1人ひとりが抱える業務も多くなりがちです。

分からないことがあったときに自分だけで解決しようとせず、「この場合はどうすれば良いですか?」と、アドバイスを求めるコミュニケーション力が大切ですね。

メッセージ:新薬の臨床研究・実用化にチャレンジしたい人を歓迎

編集部

最後に、転職を検討している方々に向けてメッセージをお願いします。

大槻さん

FerroptoCureが研究するのは、これまでにないタイプの抗がん剤です。人間のがんはもちろん、ペットのがんにも効果が期待できます。ペットの治療薬の開発が遅れている状況なので、将来的にはペットへの適用をも実現したいです。

なお、弊社はすでに臨床試験を開始しています。前例が少ない分、大変さもありますが、新しい研究に挑戦したい方はきっとやりがいを持って働けると思います。

創薬の分野で社会に貢献したい方や、前例のない薬の開発にチャレンジしたい方は、ぜひ応募していただきたいです。一緒に働けることを楽しみにしています。

編集部

本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

この記事のまとめ

株式会社FerroptoCureの概要
  • フェロトーシスという細胞死のメカニズムを活用した新しい抗がん剤を開発
  • 川崎市内のラボ「iCONM in collaboration with BioLabs」で活動
組織文化
  • 研究者出身の代表(元外科医)を中心に、研究開発とビジネスの両方に長けたメンバーで構成
  • 上下関係なく意見を出し合える風通しの良い社風
  • 月1〜2回の対面会議とその後の懇親会でコミュニケーションを活性化
ワークスタイル
  • リモートワークとオフィスワーク(ラボ)のハイブリッド勤務
  • フレックスタイム制を導入
採用方針
  • 製薬メーカーや創薬ベンチャーでの研究開発経験者
  • 研究内容を統括し、薬の実用化につなげられる人材
  • 報告・連絡・相談ができる、チームワーク重視の人材
  • グローバル展開を視野に、外国籍メンバーも積極採用

株式会社FerroptoCureの基本情報

住所 東京都千代田区富士見1-3-11「デュープレックス富士見B's」4階
事業内容 フェロトーシスを標的とした治療薬の研究開発
設立 2022年5月
働き方
  • ハイブリッド勤務(川崎市内のラボに出社か、リモートワークを選択)
  • フレックスタイム制
公式ページ https://ferroptocure.com/
募集職種 研究開発系