独自性のある事業で目覚ましい成長を続ける企業を紹介する本企画。今回は、プロダクトの開発者向けに特化したセキュリティサービスを提供する株式会社Flatt Securityにインタビューしました。
株式会社Flatt Securityとは
株式会社Flatt Securityは、プロダクトの開発者向けに特化したセキュリティサービスを提供しています。
「セキュリティプロダクト事業」ではAWS・Google Cloudなどのパブリッククラウドのセキュリティを監視する「Shisho Cloud」を提供しており、「プロフェッショナルサービス事業」では、企業が開発したプロダクトのセキュリティ診断や、開発者のためのセキュアコーディング学習プラットフォーム「KENRO」の提供を行っています。
会社名 | 株式会社Flatt Security |
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住所 | 東京都文京区本郷3-43-16コア本郷ビル2A |
事業内容 | サイバーセキュリティ関連サービス |
設立 | 2017年5月 |
公式ページ | https://flatt.tech/ |
働き方 | ・フレックスタイム制(コアタイム12:00〜17:00) ・リモート勤務可(フルリモート実績あり) ・育児・介護時短勤務制度あり |
2019年にセキュリティ事業を開始してから、株式会社Flatt Securityの業績は急拡大を続けており、2022年度の売上高はセキュリティ事業創業時と比較して23倍となりました。今後は、国内シェアのさらなる拡大を目指すとともに、グローバル展開も視野に入れています。
今回は、セールスの清沢悠里さんと、広報の寺山ひかりさんに、企業成長の背景や、若手メンバーの活躍についてお話を伺いました。
開発者向けのセキュリティサービスで「世界に愛されるインターネット時代のものづくり企業」を目指す
▲株式会社Flatt Securityは「テクノロジーの力を最大化し、世界で愛される企業になる。」をビジョンに開発者向けのセキュリティサービスを展開する。(公式サイトから引用)
編集部
まずはじめに、Flatt Securityさんの事業内容について教えてください。
寺山さん
弊社は、「テクノロジーの力を最大化し、世界で愛される企業になる。」をビジョンに、ソフトウェアやハードウェアなどのプロダクトの開発者向けに特化したセキュリティサービスを提供しています。
事業は大きく2つに分かれており、ひとつ目の「セキュリティプロダクト事業」では、多くのお客様が共通して抱えるセキュリティの課題を解決し、セキュリティ対策を自動化するためのプロダクトを開発し、提供しています。
もうひとつは「プロフェッショナルサービス事業」で、お客様が個別に抱えているセキュリティの課題を、セキュリティの専門家である弊社のエンジニアの専門技術を提供することで解決しています。
編集部
Flatt Securityさんは、目指す姿を「世界で愛されるインターネット時代のものづくり企業」と表現していますね。
寺山さん
はい。かつて日本が「ものづくり大国」と言われていたように、インターネット時代となっても日本から世界に通用するものを生み出したいという思いが込められています。
そのため、開発者に寄り添ったセキュリティプロダクトという「もの」を自社で作るとともに、それによって企業様のプロダクト開発という「ものづくり」も支えるような事業を展開しています。
自社プロダクトの開発やセキュリティ診断など複数事業を展開
編集部
セキュリティプロダクト事業とプロフェッショナルサービス事業の具体的な内容についても、お伺いできますか?
清沢さん
セキュリティプロダクト事業としては、AWSやGoogle Cloudといったパブリッククラウド運用を堅牢化するセキュリティSaaSの「Shisho Cloud(シショウクラウド)」を提供しています。これは、エンジニアが開発で使うAWSやGoogle Cloudといったパブリッククラウドのセキュリティを監視するプロダクトで、2023年8月に正式版をリリースしました。
編集部
AWSやGoogle Cloudは、アマゾンやGoogleといったクラウド運営事業者がセキュリティを担うわけではないのですか?
清沢さん
これらの運営企業は、クラウド運営企業とユーザーの責任範囲について「責任共有モデル」を採用しており、データの管理や保護などのセキュリティについてはユーザーの責任範囲と定義づけられています。
つまり、利用する企業側でクラウドセキュリティの継続的な運用や体制構築をすることが求められるのです。
編集部
多くの企業が開発にパブリッククラウドを使用しているので、「Shisho Cloud」のようなプロダクトでセキュリティを担保する必要があるのですね。
プロフェッショナルサービス事業についても、詳しく教えてください。
清沢さん
プロフェッショナルサービス事業では、高度な技術力を持つ専門家によるセキュリティ診断を行っています。
お客様が開発したプロダクトにセキュリティ上のリスクがあるかどうかを弊社のセキュリティエンジニアが確認し、セキュリティリスクを発見した際は発見内容や対応方針などを報告書にまとめて提供しています。弊社には国内外のセキュリティコンテストで多数の実績を収めているエンジニアも複数在籍しており、高い技術力と、それを生かした独自の診断スタイルを提供できるのが強みとなっています。
編集部
企業のセキュリティ対策は喫緊の課題になっているので、開発したプロダクトに対するセキュリティ診断の重要性も高まっているのではないでしょうか。
清沢さん
その通りです。このほか、プロフェッショナルサービス事業では開発者のためのセキュアコーディング学習プラットフォーム「KENRO(ケンロー)」の提供を行っています。
先ほど紹介したセキュリティ診断は、企業様のプロダクトが完成したタイミングで攻撃リスクを診断するものですが、「KENRO」は、それより前のコーディング段階におけるセキュリティ強化を目的としたサービスです。
三択問題のテストを受けるだけのeラーニングとは異なり、実際にWebアプリケーションを攻撃する「ハッキング演習」や、コードの脆弱性を修正する「堅牢化演習」など、実践的なトレーニングを通じてセキュアコーディングを学ぶことができます。
編集部
エンジニアが開発を行う段階で脆弱性を作り出さないようなプログラミングができれば、プロダクトの完成後にリスクが発覚して修正する必要もなくなり、リリースまでの時間が節約できますね。
売上は4年で23倍!Flatt Securityの急成長の理由とは
編集部
ここからは、企業の成長をテーマにお話を伺います。まず、これまでの売上や組織の拡大について教えていただけますでしょうか?
寺山さん
弊社は2019年にサイバーセキュリティ事業をスタートして以来、成長を続けており、2022年度の売上高は2019年度の23倍を記録しました。業績の拡大に伴って組織も拡大傾向にあり、現在の従業員数は33名です。
また、弊社では売り上げの成長を給与として社員に還元する取り組みを積極的に行っています。
全正社員の平均給与は、事業成長とともに上昇を続けており、直近の2022年度の下半期については昇給率が全体で4.7%と、高い水準を実現しました。平均昇給額は、年間36万円程度です。
編集部
会社の成長が報酬に反映されることは、社員のモチベーションにもつながりそうですね。
開発者向けに特化した事業で優位性を持つ
編集部
Flatt Securityさんが飛躍的な成長を実現できる背景には、どのような要因があるとお考えですか?
清沢さん
大きな要因として挙げられるのは、開発者向けのセキュリティサービスに特化している弊社の事業に優位性があることです。
昨今、開発を行うエンジニアが事業の意思決定者になることが増えており、エンジニアが価値を感じるサービスを提供する重要性も高まっています。セキュリティ診断を手がける企業は国内にも多数ありますが、徹底的に開発者視点に立ったサービスに特化している企業はあまりなく、その独自性が強みとなっています。
編集部
事業を始める際に「開発者向け」に着目した理由は何だったのでしょうか?
寺山さん
CEOの井手は、メルカリさんをはじめとする複数のテック系スタートアップでエンジニアインターンを経験しているのですが、自ら開発者として活動するなかで、開発とセキュリティの距離が遠くなりがちな点に課題を感じていたそうです。
開発を担う部署とセキュリティを担う部署が分かれていることもしばしばで、開発者はどんどん開発をしたいのに、セキュリティ担当者がリスクを懸念して開発をストップするというような事態が起きてしまいます。
本来一緒であるべき開発とセキュリティがバラバラになっている状態を解消し、開発スピードを損ねないでセキュリティを担保できるような仕組みを実現したいという思いが、弊社のサービスを生みました。
大企業も続々とサービス導入。人気漫画の技術監修も
編集部
どのような企業が、Flatt Securityさんのサービスを導入していますか?
清沢さん
サイバーエージェントさんや、東京ガスさん、日本経済新聞社さんなどの大手企業様から、スタートアップまで、さまざまな企業様に導入いただいています。SaaS企業様への導入実績も多数あり、SmartHRさんやアンドパッドさん、カケハシさん、プレイドさんなどにご利用いただいています。
編集部
Flatt Securityさんは、起業家とエンジニアが主人公の人気漫画で、2023年の夏にドラマ化もされた『トリリオンゲーム』に、技術監修として協力されたと伺いました。
寺山さん
はい。弊社は漫画の連載開始時から技術監修を務めており、ドラマでもIT・セキュリティ技術監修として協力させてもらいました。
技術的な内容の監修はもちろんですが、漫画のなかで描かれた、主人公が自宅で起業するシーンでは、弊社が創業したばかりの頃の写真をお渡しして作画の参考にしていただくなど、スタートアップ・起業に関するシーンでもご協力させていただくこともあります。
編集部
反響はいかがでしたか?
寺山さん
今まで接点のなかった会社の方から、漫画やドラマをきっかけにお声がけいただくことが増えました。また、ドラマでは技術的な内容をわかりやすく映像化するお手伝いをしたので、それを見たメディア様などから技術的な解説のご依頼をいただくこともあります。
編集部
メディア協力などで積極的な情報発信をされていることも、Flatt Securityさんの存在感につながっているのですね。
今後は海外展開も視野に、さらなる成長を目指す
編集部
Flatt Securityさんのビジョンには、「世界で愛される企業になる」という表現がありますが、海外展開も視野に入れているのでしょうか?
寺山さん
はい。弊社は、創業時からグローバルで戦える企業を目指すという意思を持っています。
特に、先ほどご紹介した「Shisho Cloud」は、アマゾンのAWSなどグローバル企業が世界で展開するクラウドを対象としたセキュリティSaaSなので、海外展開がしやすいというメリットがあります。そのため、開発段階から海外展開を見据えて、開発チームの公用語を英語にするなどの体制づくりも行いました。
編集部
世界進出という目標を掲げて成長を続けるFlatt Securityさん、今後のサービス展開も楽しみです。
平均年齢29.6歳のFlatt Securityには若手が活躍できる環境がある
▲メンバーの年齢構成のボリュームゾーンは20代後半と、若手が活躍している。
編集部
Flatt Securityさんは、社員の平均年齢が30歳以下ということで、若手メンバーが活躍する機会も多いのでしょうか?
寺山さん
はい。例えば、高校卒業後に入社した10代の最年少社員がエンジニアとして活躍しており、セキュリティ診断の担当として有名な製品の脆弱性を多数発見するなど、目覚ましい実績を上げています。
ビジネス職でも、業界未経験で入社して活躍しているメンバーがたくさんいます。弊社には年齢に関わらず能力で評価するカルチャーがあるので、若手でも積極的に挑戦しようという人が多いと感じます。
エンジニアの連携が密だから、セールス担当が技術に関する知識を吸収できる
編集部
清沢さんも若手メンバーとして、セールスの分野で活躍されているということですが、現在のお仕事について詳しく教えていただけますか?
清沢さん
私は、前職ではセキュリティとは全く関連がないSaaSの会社で営業をしていたのですが、技術に関する知識や営業のスキルを伸ばしたいという思いがあり、20代後半でセキュリティを手がける弊社に転職しました。
現在は、「KENRO」とセキュリティ診断のふたつのサービスのセールスを担当しています。新規のお客様のお問い合わせからご発注までの全ての対応のほか、セキュリティ診断については企業様ごとに診断の内容が異なるので、最適な診断プランのご提案や見積もり作成、納品スケジュールの調整を行っています。
編集部
社内の雰囲気や制度で、若手メンバーの活躍にプラスになっていると感じる点はありますか?
清沢さん
技術に関する初歩的な質問でも、エンジニアは喜んで教えてくれるので、学びやすい環境があると感じます。
弊社のセールスは、コンサルティングセールスに非常に近く、お客様ごとのニーズや事情に寄り添った最適な提案を行うことが必要になってきます。だからこそ、実務を通じてエンジニアと密にやり取りをしながら知識を高めたり、わからないことがあれば積極的に周りに聞いて解決する力がつきます。
編集部
営業部門とエンジニア部門のコミュニケーションの密度は企業によってだいぶ異なるようですが、Flatt Securityさんの場合はしっかりと連携しているということでしょうか?
清沢さん
そうですね。そこが、弊社の良さだと感じます。前職ではセールスとエンジニアの間に大きな壁があり、ほとんど関わることがありませんでしたが、弊社はエンジニアとの距離が近いので、どのようなメニューのご提案が適切であるかや、なぜそれが必要なのかなど、気になることがあればいつでも相談できます。私自身が理解した上でお客様にご提案できるので、セールスとしてのやりがいも感じています。
垣根を超えたコミュニケーションを促進するためにオフィスはフリーアドレスなので、気になることがあったらすぐに質問することができます。
編集部
セールスのお仕事では、エンジニアの方とどのような連携をとっていますか?
清沢さん
セキュリティ診断の場合、一口に診断と言っても非常に多くのバリエーションがあります。お客様側のプロダクトがどのような技術を使って開発されているのかであったり、インフラとしてAWSを使っている場合はAWSのどのようなサービスを使っているのかによって、実施する診断内容が大きく異なります。
お客様は、どのようなセキュリティ診断をすれば効果的な結果が得られるのかわからない状態で相談してくださることが多く、私たちの方から積極的に提案をさせていただくのですが、その時にエンジニアの知見を借りることが多いです。
エンジニアは「このような診断をすると良い」とか、「そちらの診断より、こちらの診断の方が優先度が高い」といった的確なアドバイスをくれるので、それを提案書に落とし込んでいます。
編集部
オープンにコミュニケーションできる環境があるからこそ、社員は多くの知識を吸収できますし、質の高いサービスを提供することにもつながっているのですね。
柔軟な働き方が可能なFlatt Security。有休は初年度から13日付与
編集部
フレックスタイム制度など、柔軟な働き方への取り組みはありますか?
寺山さん
弊社は、12時から17時をコアタイムとするフレックスタイム制度を導入しています。月の総労働時間が稼働日平均で1日あたり8時間以上を満たすことを条件に、各自が状況や都合に応じて日々の勤務時間を調整しています。
編集部
リモートワークについては、いかがですか?
寺山さん
遠方に住んでいるエンジニアの場合はフルリモートも可能としていますが、ビジネス職やコーポレート職のメンバーは出社とリモートのハイブリッドで勤務しています。出社頻度に関しては、週に2日程度の人が多く、子育て中のメンバーの場合は週に1度だったり、状況に応じて一時的にフルリモートで働いたりすることもあります。
一方、家賃補助制度を活用してオフィス近隣に住んでいるメンバーの場合、ほぼ毎日出社している場合も珍しくありません。一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方が選べる環境ではないかと思います。
編集部
自分の状況に合わせて柔軟に働ける環境があるのですね。
寺山さん
はい。このほか、入社初年度から有給休暇を13日付与しているのに加え、育児・介護に伴う時短勤務制度も導入しているので、仕事とプライベートを両立させやすい環境が整っていると感じます。
日々変わる環境を楽しみながら、事業を作り上げたい人を歓迎
編集部
現在、セールスを中心に新しいメンバーを積極採用しているということですが、Flatt Securityさんで活躍できるのはどのような方だと思いますか?
寺山さん
弊社は開発者向けのセキュリティという稀有な事業を行っています。だからこそ競合が少なく、成長を続けられるのですが、成長性が高いということは、事業や会社を取り巻く環境が日々めまぐるしく変わるということでもあります。
そのため、好奇心を持って日々の変化やトレンドについていける方や、前向きに新しいことにチャレンジできる方を必要としています。
将来的なグローバル展開を見据えていますが、国内市場におけるシェアもまだ十分とは言えず、組織も事業も成長途上です。新しくメンバーになる方と一緒に組織や事業を作り上げたいと思っていますので、このようなお仕事に興味をお持ちいただけましたら、ぜひご応募いただきたいです。
編集部
記事を読んでセールスのお仕事に興味を持った方に向けて、清沢さんからもメッセージをお願いします。
清沢さん
弊社のセールスは技術的な知識が求められるため、初めは難しいと感じることがあるかもしれません。しかし、部署の垣根を超えて助け合うカルチャーがあるので、心配はいりません。新しい分野の知識をインプットしたいと思っている方や、エンジニアなど異なる職種の人たちとお互いを尊重しあってコミュニケーションができる方なら、きっと成長を実感できると思います。
編集部
独自性のある事業で急成長を続けるFlatt Securityさん。社内の連携体制が整っているので、新しく入るメンバーも安心して国内シェア拡大や海外展開という目標にチャレンジできそうだと感じました。
本日は、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社Flatt Security:https://flatt.tech/
採用ページ:https://recruit.flatt.tech/