福井市役所で働く魅力:市長への事業提案や若手プロジェクトチーム結成などの活躍機会あり

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、福井県の福井市役所にインタビューしました。この記事では、就職・転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。

福井市役所では、若手職員の活躍を積極的に後押しする独自の取り組みを展開しています。具体的には「チャレンジみらい予算」や「20%ルール」など、若手職員の自主性を尊重した制度が充実。また、新入職員一人ひとりに専属の先輩職員がつき、仕事面・生活面ともに相談に乗ってくれる「ジョブコーチ制度」がある点も特徴。手厚いサポートを受けながらも、主体性を発揮して活躍できる職場環境です。

今回は、福井市役所の若手育成に向けた取り組みや、女性の活躍支援、職場の風土について、職員課の岩本さん・川島さん・桑島さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
福井市役所の岩本さん

岩本 貢大さん

福井市役所 総務部 職員課 主査(人事係、主に人材育成を担当)。中途入社後、産業振興業務や窓口業務を経てJIAM(全国市町村研修財団)へ2年間派遣され、派遣修了後に人材育成を担当する職員課に配属。

福井市役所の川島さん

川島 健太さん

福井市役所 総務部 職員課 主査(人事係、主に人事制度や採用等を担当)。中途入社後、商業振興業務などを経て経済産業省へ2年間派遣された後、人事制度などを担当する職員課に配属。

福井市役所の桑島さん

桑島 惇一さん

福井市役所 総務部 職員課 主事(人事係、主に人事制度や採用等を担当)。中途入社後、水産振興業務や新幹線整備業務を経て、職員採用などを担当する職員課に配属。

福井市役所の若手活躍:市長への事業提案など独自の取り組み多数

福井市役所の川島さんのインタビュー風景
▲取材にご対応いただいた川島さん(右)

編集部

福井市役所では若手の育成に注力され、職員の活躍を後押しする取り組みをいくつか行っていると伺っています。具体的な内容を教えていただけますか?

川島さん

主に2つの取り組みを実施しています。1つ目は、若手職員が市長に直接事業を提案できる「チャレンジみらい予算」という制度で、令和5年度は12の事業が予算化されました。例えば、粗大ごみ収集センターに持ち込まれた再利用可能な物をメルカリで販売する取り組みは、メディアでも取り上げられて大きな反響がありましたね。

なお、提案方法には個人提案とチーム提案の2種類があり、個人提案は自分の所属部署の課題解決を目指すもので、チーム提案はテーマを比較的自由に設定できます。毎年12月から年末にかけて準備を進め、1月中旬に市長へのプレゼンテーションを行う形です。参加者は個人提案が約10人、チーム提案が2〜3チーム程度です。

この提案制度を契機に設立された本市の代表的なチームが、「福井市ナッジ・ユニット」です。このチームは、20歳代から30歳代の7~8人ほどの若手職員で構成されたチームで、ナッジ理論(※)を取り入れた政策作りを通じて市民サービスの向上や行政運営の効率化を図っています。
(※)ナッジ理論:行動科学に基づいた小さなきっかけで人々の意思決定に影響を与え、行動変容を促す手法・戦略

このチームのメンバーは全て自発的に手を挙げて参加した有志で、本市でのナッジ普及を担当する総合政策課の職員をはじめ、情報系、環境系、地域振興など、様々な部署の職員が参加しています。

実際の成果として、健康管理センターと協力してがん検診の受診率向上に取り組み、ナッジ理論を活用して検診の申込みを促すハガキの内容を改善したところ、受診率が大きく向上しました。具体的には、情報を簡潔に載せる、受診によるインセンティブを強調するなど複数のパターンを送付した上で、効果の高いものを見極めるという手法を取りました。

この取り組みは、環境省が主催した令和6年度の「ベストナッジ賞」コンテストで環境大臣賞を受賞しました。

福井市役所のベストナッジ賞コンテスト受賞時の記念写真
▲ベストナッジ賞コンテスト受賞時の西行福井市長との記念写真

川島さん

また、令和6年度は23~25歳までの若手職員4人が集まり、新たなチーム提案に向けて頑張っています。本市行政に若者の熱い視点をもっと取り入れたいという強い思いで、福井市行政全体とZ世代を結びつける「クリエイトフクイプロジェクト」を企画しています。

これは、地域課題やまちづくりに関心のある若者約30名を「Z世代クリエイター」として本市のおよそ6つの課に配属し、観光や農業、福祉など様々な分野でイベント企画や情報発信などに職員と連携して取り組んでもらう事業内容で、約150万円の予算提案を予定しています。

若い職員達が、楽しそうにプロジェクト企画に取り組んでいる姿を見ると、私達のような中堅職員も、とても良い刺激を受けますね。

2つ目は「20%ルール」という制度です。これは勤務時間の20%を所属外の業務に使えるというもので、例えば週5日勤務なら1日分を所属外の活動に充てることができます。2024年9月にスタートしたばかりの取り組みですが、開始からわずか3ヶ月で約20人が活用しています。

ただし、適用される業務は、チャレンジみらい予算など、各所属から支援要請のある業務に限定されています。

希望制による外部機関への派遣研修制度もあり

福井市役所の岩本さんのインタビュー風景
▲取材にご対応いただいた岩本さん

編集部

若手職員向けの研修制度についても教えてください。

岩本さん

毎年、異動方針の一環として、外部機関への派遣研修制度を設けています。例えば国の機関や、自治体職員向けの専門研修機関などへの派遣の機会があります。これは職員に向けて「チャレンジしてみませんか」という形で案内し、希望する職員等の中から年間3~4人程度を派遣しています。

編集部

岩本さん自身も派遣研修のご経験があるとお聞きしています。どのような学びがありましたか?

岩本さん

私は滋賀県大津市にある総務省の研修機関(JIAM)に2年間派遣されたんです。そこでは他の自治体職員との情報共有ができただけでなく、森林行政や介護行政など様々な分野の研修作りを学びました。

その際に培った研修設計のノウハウは、研修後に配属された職員課での人材育成業務に大きく役立っています。学んできたことを直接活かせる部署で働けることは、非常に大きなやりがいですね。

福井市役所の女性活躍:秘書課長などの主要ポストに多数就任

福井市役所のテーブルトークの様子
▲女性職員によるテーブルトークの様子

編集部

福井市役所では女性職員も多数活躍されていると伺いました。具体的な状況を教えていただけますか?

川島さん

全体の職員のうち40%が女性職員で、管理職については20%強が女性です。例えば市長秘書を務める秘書課長や予算を担当する財政課長、そして議会関係を担う議会庶務課長といった主要なポストで女性が多数活躍していますね。

この背景には、福井市の西行市長自身が女性の活躍推進に強い想いを持っており、主要ポストでの女性の活躍が組織全体の成長につながるという考えがあります。

編集部

女性の働きやすさを後押しする取り組みについても教えていただけますか?

岩本さん

令和6年度から「テーブルトーク」という取り組みを始めました。これは2ヶ月に1回程度開催される少人数制の対話の場で、例えば「育児と仕事の両立」をテーマに、育休から復職間もない女性職員や関心のある職員が集まって先輩職員と経験を共有したり、男性の育休取得者をゲストスピーカーとして招いて育休取得を考えている職員との情報交換の場を設けたりしています。

参加者からは「先輩の経験を聞けてモヤモヤが解消された」「このような機会を設けてもらえてありがたい」といった声が寄せられており、働きやすい職場づくりにつながっているように感じます。

福井市役所の風土:相談・フォローし合う馴染みやすい雰囲気

福井市役所の桑島さんのインタビュー風景
▲取材にご対応いただいた桑島さん(右)

編集部

福井市役所の職場の雰囲気についてはどう感じていますか?

桑島さん

私は民間企業からの転職組なのですが、入職前は市役所業務というと「窓口業務」や「黙々とパソコンに向かう仕事」といったイメージを持っていました。しかし、実際に入ってみると企画業務もありますし、みんなでワイワイと相談しながら仕事を進める雰囲気があって、イメージとのギャップを感じましたね。

そういった気軽に相談し合う風土を支えているのが、新入職員一人ひとりに専属の先輩職員がつき、仕事面から生活面まで何でも相談に乗る「ジョブコーチ制度」です。私自身も、入職時には事務システムの使い方から市民や企業との会議の進め方まで、本当に様々なことを相談させていただきました。

岩本さん

ジョブコーチ制度は新入職員に関しては全員に案内していますが、経験者採用の方についてはご本人の希望で利用するかどうか選んでいただいています。

編集部

働きやすさの面ではいかがでしょうか?

桑島さん

とても働きやすい環境です。例えば、子どもの突発的な発熱などで急な対応が必要な時も、チームメンバーがすぐにフォローしてくれます。

育児休暇も取得しやすく、実際に男性職員の取得も増えています。今年も複数の男性職員が1ヶ月程度の育休を取得していますし、そういった休暇取得が当たり前の雰囲気がありますね。このような環境は、周りの職員が互いの仕事を理解し、フォローし合える関係があるからこそだと思います。

福井市役所から就職・転職希望者へのメッセージ

福井市役所の若手社員たちのミーティング風景

編集部

就職・転職を検討されている方々へ、最後にメッセージをお願いできますでしょうか?

桑島さん

2024年3月16日の北陸新幹線開業により、福井県は「100年に一度の転換期」を迎えています。これまであまり注目されてこなかった福井市・福井県ですが、東京から新幹線が直通となり、新たな可能性が広がってきています。市役所としても、これを一つの通過点として捉え、さらなる発展を目指しています。

この転換期にある福井市で働くことは、非常に魅力的な機会だと考えています。「チャレンジみらい予算」をはじめとする様々な制度により、若手職員が活躍できる環境が整っておりますので、「市民のために働きたい」「福井市を盛り上げていきたい」という想いをお持ちの方にぜひ加わっていただけたら嬉しいです。

編集部

本日はありがとうございました!

編集後記

市長へ直接政策提案ができる「チャレンジみらい予算」、業務時間の20%を担当業務以外に使える「20%ルール」など、意欲ある職員が所属の垣根を超えて活躍できる仕組みが目白押しの福井市役所様。「女性活躍推進課」「テーブルトーク」など職員の働きやすさを増進する取り組みも着々と進めており、非常に魅力的な職場だと感じました。

福井市役所の働き方のまとめ

若手の活躍
  • 若手が市長へ直接事業提案できる制度あり
  • 20代職員によるチーム提案ではZ世代に向けた企画も予定
  • 勤務時間の20%を他部署業務に活用可能
女性の活躍
  • 管理職の20%が女性
  • 秘書課長など重要ポストに女性を積極登用
  • 育児と仕事の両立支援制度が充実
職場環境
  • チームで相談しながら業務を進行
  • 新入職員に専属の先輩職員がつく
  • 育休取得が当たり前の雰囲気
  • 急な休暇でもチームで柔軟にフォロー
育成制度
  • ジョブコーチによる手厚いサポート体制
  • 国の機関等への派遣研修制度あり
求める人材
  • 市民のために働きたい人
  • 福井市の発展に貢献したい人
  • チャレンジ精神のある人

福井市役所の基本情報

福井市役所の外観
▲福井市役所の外観

市役所名 福井県 福井市役所
住所 福井県福井市大手3丁目10番1号
事業内容 福井市の行政業務全般
公式ページ https://www.city.fukui.lg.jp/
採用ページ https://www.city.fukui.lg.jp/sisei/jinji/saiyou/index.html
募集職種 土木、建築、機械、電気の技術職
※学歴不問、経験3年以上
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。