活躍する若手エンジニアに注目し、企業の魅力を探るこの企画。今回は北海道札幌市に本社を置く、ゲーム開発事業を展開する株式会社ハ・ン・ドを取材しました。
数多くのメジャータイトルゲーム開発を担う株式会社ハ・ン・ド
株式会社ハ・ン・ドは、家庭用ゲーム、キッズアーケード、ソーシャルゲームなどにおいて、数多くの有名IPやメジャータイトルの開発に携わる企業です。ゲームの他、ソーシャルメディア、映像制作など幅広い開発を担っています。
札幌本社の他、東京と名古屋に拠点を置き、ゲーム開発の重要な工程でもあるデザイン・プログラミング・プランニングを一貫して担っていることを強みとしています。
会社名 | 株式会社ハ・ン・ド |
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住所 | 札幌市中央区北1条西3丁目2番地 井門札幌ビル |
事業内容 | ・家庭用ゲームソフトの企画、開発、受託 ・ソーシャルゲームの企画、制作、受託 ・CG映像の制作、受託 ・携帯電話関連ソフトの企画、開発、受託 ・コンピュータ・ソフトの企画、開発、受託 ・ネットワーク関連システム開発、受託 ・海外コンピュータ・ソフトのローカライズ及びポーティング |
設立 | 1993年2月26日 |
公式ページ | http://www.hand.co.jp/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
数々の人気作品を手掛ける株式会社ハ・ン・ドでは、若手からベテランまで多彩なスキルを持ったエンジニア、プログラマーが活躍しています。
そこで今回は、同社の若手活躍にスポットを当て、成長要因やそれを支える取り組みについて、代表取締役社長の三上哲さんと、入社4年目のテクニカルプログラマー、中山竜之介さんにお話を伺いました。
家庭用ゲーム機とスマートフォンアプリのゲーム開発事業を展開
編集部
ゲーム開発事業をはじめ、ソーシャルメディア事業、モバイル事業など多彩な事業を展開されているハ・ン・ドさんですが、主軸となっている事業についてお聞かせいただけますでしょうか。
三上さん
家庭用ゲーム機のゲーム開発からスタートした当社の主軸は、ゲーム開発事業です。最近はスマートフォン用アプリゲームの開発も多くなっており、家庭用ゲーム機とスマートフォンの両方を手がけているのが特徴です。また、ゲームを制作する技術者のスキルを活かし、3DCGなどの映像制作にも対応しています。
20代の若手から50代のベテランまで活躍するハ・ン・ドのエンジニア
編集部
次に、ハ・ン・ドさんで活躍されているエンジニアについて伺います。御社に在籍するエンジニアの年齢層からお聞かせいただけますでしょうか。
三上さん
20代から40代が各世代でおり、中には20代からゲーム開発に携わっている50代のベテランエンジニアも在籍しています。
編集部
20代の若手エンジニアである中山さんは、入社4年と伺っております。ハ・ン・ドさんに入社されたきっかけやお仕事内容についてお聞かせください。
中山さん
地元が北海道の私は、札幌市の専門学校でゲーム制作を学びました。ありきたりの理由ではありますが、好きなゲーム作りを仕事にしたいと思い、当社に入社しました。
編集部
幅広い年代のエンジニアがそれぞれのスキルを活かし、活躍されているのですね。
大人気ゲームのローカライズを担当した若手エンジニアの現在地
編集部
中山さんはテクニカルプログラマーとのことですが、お仕事内容についてご紹介いただけますでしょうか。
中山さん
テクニカルプログラマーとしてプログラムを書いています。具体的にお話できる作品の中では、人気漫画・アニメ「クレヨンしんちゃん」を題材にしたアドベンチャーゲーム「クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』(以下「炭の町のシロ」)」の制作プロジェクトに参加しました。
企画設計から設定、プログラミング、CGと、ゲーム全般の開発を当社が請け負うなか、私はUI(ユーザーインターフェース)を担当しました。
編集部
UIはゲームにおいて必須の要素になると思われます。苦労されたことや工夫されたことなどがあればぜひ、ご紹介いただけますでしょうか。
中山さん
「炭の町のシロ」は日本語版で制作後、海外版を作ることが開発途中で決まったので、ゲーム内のセリフやナレーションを別の言語に切り替えるなど、ローカライズの面で苦労しました。
単語などを全て別の言語で書いたとき、文字数、長さが変わります。8〜9の言語の翻訳が届いたらすぐに組み込めるよう、最初からプログラムで仕組みを作っておくなど、目には見えない中身のところでプログラムを工夫しました。
三上さん
プログラムでうまく組むことができれば、言語が後から増えても翻訳さえ届けばどんどんできるようになります。その部分を最初にプログラマーが設計して組めるかどうかが、とても重要なんです。
そこに失敗すると1言語増えるたびにプログラマーが作業をしなければならないので、中山が担当した業務はとても重要と言えます。
自分が手がけたゲームの反響がやりがいに
編集部
「炭の町のシロ」は発売以降、人気を博しているゲームですが、プロジェクトに参加したプログラマーとしての率直な思いをお聞かせください。
中山さん
発売されたゲームをやりながら、「ここを作るとき、大変だったな」と思い出すことはあります。「炭の町のシロ」は私が初めて手がけた大きなプロジェクトだったので、友達に自慢することができました。「クレヨンしんちゃん」が好きな友人とも会話が弾みます。
このプロジェクト以外にも、自分が手がけたゲームを著名なインフルエンサーが実際に遊んでいるのを目にしたとき、プレイしている様子をSNSや動画サイトの実況で見ると嬉しい気持ちになります。
編集部
エンドユーザーの率直な感想を知ることで、次の開発にも活かすことができますね。
現在、開発中のアクションゲームのプロトタイプを担当。製品化に向けて奮闘中!
編集部
ハ・ン・ドさんが手掛けるさまざまなゲームのプログラミングをされている中山さんですが、現在(※)、担っているプロジェクトについて、差し支えのない範囲でお話しいただけると幸いです。
(※)取材時の2024年4月時点
中山さん
現在は、開発中のアクションゲームのプロトタイプを担当しています。どんな商品にできるか、簡単な試作品を作ってみようというイメージです。現在のフェーズとしてはプログラマーとゲームの内容を考えるプランナー、CGを作るデザイナーと日々話し合いながら試作品を作っている段階です。
編集部
三上さんにお聞きします。プロトタイプということは試作の段階と思われます。ハ・ン・ドさんでは今後、どのような展開を予定されているのでしょうか。
三上さん
当社はこれまで大手ゲームメーカー様から発売されるゲームを多数手がけてきました。その場合、キャラクター設定などはメーカー様と一緒に試作から作り上げていきます。今回、中山が担当しているのは「こんなゲームを作ってみたらどうだろう」というお題の中で、スタッフが面白いと思うゲームを検討しながら開発しています。
編集部
なるほど。発売がとても楽しみです!
大規模プロジェクトに若手を積極的にアサイン。成長を後押し
編集部
ハ・ン・ドさんでは中山さんのように、プロジェクトに若手が積極的に参加されることが多いのでしょうか。
三上さん
「炭の町のシロ」のプロジェクトは通常よりも少ない4名のプログラマーがメインとなって進めました。その中でも中山は一番の若手として頑張ってくれました。
若手が大きなタイトルに参加することは当社では当たり前となっています。若手にはベテランプログラマーと共にプロジェクトに参加し、プログラミングをしながら学んでもらいたいという思いがあります。
編集部
なるほど。実際に大きなプロジェクトに参加したことで、先輩から学んだことや中山さん自身が成長を感じたことはありますか?
中山さん
UIを作る中で行き詰まったときは局所的に先輩に助けてもらいました。技術的なことを直接聞くことは少なかったのですが、プロジェクトに入った時点で先輩の書いたプログラムがすでに動いてる状態だったので、プログラムを見ながら自分もソースコードを真似したり、それに合わせて作ることで自然とスキルアップができたように感じます。
また、規模の大きなプロジェクトに入るということ自体、とても勉強になりました。苦労したことはありましたが乗り越えたことで成長できたと感じています。
三上さん
大きなプロジェクトになると、数年に及ぶものがあります。若手が最初から参加することもあれば、途中から参加することもありますが、どちらにしても最初は先輩たちがどんどんペースを作ります。基本の動きが出来てきたところで、若手にゲーム内で動くメニューやミニゲームを任せるようにしています。
プログラマーの特徴や得意分野を伸ばしながらスキルアップをサポート
編集部
先輩と一緒に仕事をすることで、若手の成長を後押しするほか、スキルアップをサポートするうえでハ・ン・ドさんが心がけていることはありますか?
三上さん
例えば、先輩が書いたプログラムでバグが出た場合、若手にはまず、問題が小さくすぐ解決できそうな箇所を任せます。そして徐々に難しいバグも任せていくといった段階を踏み、成長機会を与えるよう心がけています。
ゲーム開発に明確な答えはなく、面白いものを作ることが最大のミッションです。プランナーが「こんなふうに作りたい」と提案をしても、プログラマーが「このほうが簡単だし面白そう」と提案することもあります。他にもCGデザイナーと話をして提案するなど、その分野が得意なプログラマーにどんどん任せることもあります。
このように、それぞれの人の特徴や得意分野を見いだし、伸ばしていくことを先輩陣がうまくやってくれていると感じます。
編集部
若手プログラマーの視点や意見が、開発のヒントになったり刺激になることはありますか?
三上さん
もちろんあります。面白いゲームのことや、トレンドに対する意見は当社では必須です。40代、50代のベテランも、若手が薦める新しいゲームや流行っているゲームを知ることで、開発に活かすことができます。
編集部
ハ・ン・ドさんでは、成長機会を与えながら頼りになる先輩方が若手をしっかり支えているだけではなく、若手の意見も積極的に取り入れているのですね。
面白いゲーム開発のカギはコミュニケーションと活気
編集部
ハ・ン・ドさんでは、職種間のコミュニケーションも盛んなのですね。
三上さん
それは必須ですね。活気的に動いているプロジェクトのほうが結果的にも面白いものになります。ゲーム制作会社はいくつかありますが、会社によってはプログラミングだけ、デザインだけとするところもあります。それに対し、当社はプランナー、プログラマー、デザイナーが在籍しているので、シームレスな開発が可能です。
外部と組むとなると、プランナーはプログラマーに仕様書を書く際、かなり詳細なものを求められますが、社内チームで開発する場合、細かい部分は口頭で伝えることができます。例えば、「中山君のスキルがあれば、これぐらい伝えておけば任せて大丈夫」というように、動いたのを確認し、最終仕上げはどうするかをみんなでわいわい話しながら決めることもあります。
編集部
中山さんもプランナーさんやデザイナーさんとコミュニケーションを図りながら仕事を進められているのでしょうか。
中山さん
特にUIは、プランナーやデザイナーと提示された仕様についてすり合わせをすることが多いです。プログラマーの視点にはない部分を気にかけていることがわかれば、次回からその箇所をあらかじめ組み立てるなど、勉強させてもらいました。
質問に的確に応えるハ・ン・ドの頼れる先輩
編集部
これまでのお話からも、ハ・ン・ドさんの人間関係の良さや、社内の良い雰囲気が感じられます。中山さんから見た御社の雰囲気や社風についてお聞かせください。
中山さん
優しい人が多いです。僕のようなまだ経験が浅いプログラマーにも上から目線で話すことはなく、わからないことや質問したことにはわかりやすく的確に答えてくれる先輩ばかりです。現在、私は出社勤務を選んでいますが、コロナ禍でリモートワークしていた際も、Slackで質問をするとすぐに対応してくれる聞きやすい環境です。
三上さん
ベテラン陣は若手を指導する立場ではありますが、作ってるノリは「こっちの方が面白そう」というように、20代も40代も同じような気がします。
プログラマーはリモート&出社のハイブリッド勤務が可能
編集部
ハ・ン・ドさんではリモートワークを導入されているとのことですが、出社勤務とのバランスなど、勤務形態はどのようになっているのでしょう。
三上さん
中山の場合、入社後の研修終了後、徐々に本格的にプロジェクトに参加するなかでコロナ禍になったため、プロジェクトメンバー全員が在宅勤務となりました。現在は以前のような出社勤務に戻りつつありますが、比較的在宅でも業務に支障がないプログラマーのなかには、リモートワークと出社勤務のハイブリッドで仕事をする者もいます。
Slackやテレビ会議などでコミュニケーションを図っているので、出社と比べても遜色はないように感じます。
編集部
リモートワークを選択する際のルールなどは設けられているのでしょうか。
三上さん
ざっくりとしたルールはありますが、リモートでも出社でも、しっかり仕事ができていればOKとしています。ただし、リモートワークのせいで効率が悪くなったり、コミュニケーションが難しくなってきた場合には、上長やリーダーが注意喚起をし、出社勤務を促すことがあります。
ゲーム作りを本気で楽しめる方を歓迎
編集部
最後に、採用に関することをお聞きします。転職を検討している読者に向け、改めて、ハ・ン・ドさんの強み、ジョインすることで得られる経験についてお聞かせください。
三上さん
札幌に本社を置く当社では、国内のみならず、海外向けのゲームソフトの販売も手がけています。札幌で作ったゲームを、アメリカやヨーロッパの人たちが楽しく遊び、その様子をSNSや動画サイトで見ることができます。世界中の人に楽しさと面白さを提供できることが当社の強みであり、やりがいです。
また、家庭用ゲームとスマートフォンアプリのゲームの両方を手掛ける当社には、家庭用ゲーム機にこだわる者も入れば、スマホアプリを得意とする者などさまざまなメンバーがいます。どのプロジェクトにアサインするかは得意なことや興味のある分野を考慮しています。
好きなアニメのキャラクターの案件を受注した場合は、希望を聞かせてもらう事でプロジェクトに携われる可能性もあります。
編集部
ハ・ン・ドさんにはどのような方がフィットすると思われますか?求める人物像や、採用におけるメッセージをお願いします。
中山さん
僕のように、ゲームをやるのも作るのも大好きな方にとって、当社の仕事はとてもフィットすると思います。そのような方とぜひ、一緒に働き、楽しみながらものづくりができれば嬉しいです。
三上さん
プログラムやCGは日進月歩です。学校で勉強をすれば必ずこの仕事ができるのではなく、仕事を始めてからの方が勉強することが多いと言えるでしょう。それはプランナーも同様です。
新しいゲームがどんどん出てくるなか、自分の好きな分野だけではなく、今の若い人はどんなゲームで遊んでるか、ニーズやトレンドをキャッチする感覚も重要です。大変なことも多々ありますが、だからこそ、プライベートでもゲームを楽しめるほど、好きでなければ務まらない仕事です。
私自身、この仕事を長く続けている理由は、ゼロから生み出すものづくりが楽しいからです。向上心を持ち続け、心からゲーム作りを楽しめる方を歓迎します。
編集部
お2人のお話から、ハ・ン・ドさんが若手育成に尽力すると共に、社員のみなさんが仕事を心から楽しみ、ゲームを愛されていることがわかりました。その思いは読者の心にも届いたと思われます。
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社ハ・ン・ド:http://www.hand.co.jp/
採用ページ:http://www.hand.co.jp/jobs/