日本のお菓子をサブスクで世界へ。ICHIGOの理念とグローバルな働く環境

日本のお菓子をサブスクで世界へ。ICHIGOの理念とグローバルな働く環境(求職者向け)

ユニークな文化を持ち成長している企業や、若手メンバーが活躍している企業を紹介する本企画。今回は、海外向けのサブスクリプションサービスなどを展開し、日本文化を発信している株式会社ICHIGOにインタビューを実施しました。

株式会社ICHIGOとは

株式会社ICHIGOの公式サイトトップページ
▲日本の文化を海外に伝えるICHIGO。公式サイトの背景も伝統的な和柄で訪問者を楽しませている(公式サイトより引用)

2015年に設立された株式会社ICHIGOは、「世界中をJAPANにする」というミッションを掲げ、日本の文化や魅力を世界へ発信するべく各種サブスクリプションサービスを中心に事業展開しています。

現在、社員の8割は外国籍のメンバーで、社内は英語と日本語が飛び交うグローバルかつ活気のある環境です。「同社のサービスのファンだから」という理由で入社するスタッフも多く、国籍や年齢、職種などの壁がないフラットな関係性が特徴的です。

会社名 株式会社ICHIGO
住所 東京都港区芝五丁目13-18 いちご三田ビル7階
事業内容 ・サブスクリプションサービス
・ソーシャルコマースサービス
・オンラインクレーンゲームサービス
設立 2015年8月3日
公式ページ https://ichigo.com/
働き方 出社およびリモートワーク

今回は、創業者でありCEOを務める近本あゆみさんに、海外で躍進を続ける魅力あるサービスの舞台裏や、企業が成長していくにあたって重視している若手の活躍などについて、お話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社ICHIGOのCEOを務める近本あゆみさん

株式会社ICHIGO
CEO

近本 あゆみさん

日本のお菓子や雑貨を海外に。「越境サブスク」を展開

株式会社ICHIGOのサブスクサービス「TOKYO TREAT」の商品イメージ
▲人気のお菓子やソフトドリンクを詰め合わせた「TOKYO TREAT」。日本限定のアイテムも多数。

編集部

最初に、ICHIGOさんの事業内容についてお聞かせください。

近本さん

私たちは、「世界中をJAPANにする」というミッションからもおわかりいただけるとおり、お菓子やキャラクター雑貨など日本らしい文化を海外に届けるサービスを展開しています。なので、お客様は海外の方がメインです。

特徴としては、単純なECではなくサブスクリプションサービスという形で提供していることが挙げられます。現在、自社サービス6つのうち4つがサブスクですね。残り2つはサブスク商品の単品販売と、オンラインクレーンゲームです。

世界中どこにいたとしても、サブスクのサービスに契約していただければ、定期的に自宅に商品が届きます。

編集部

日本のお菓子のキャッチーな魅力は、インバウンドのシーンでも人気だとメディアで話題になっていますよね。各サービスについて、具体的な内容を教えていただけますか?

近本さん

2015年創業当初から今まで人気サービスとして弊社が提供しているのが、国内限定の商品を含め人気スナックやジュースなどを詰め込んだ「TOKYO TREAT」です。また、2021年からスタートした「Sakuraco」は、地方で歴史を築き上げてきた老舗和菓子メーカーの商品を取り扱っています。

株式会社ICHIGOのサブスクサービス「Sakuraco」の商品イメージ
▲日本各地の和菓子をセレクトする「Sakuraco」は、地方老舗メーカーの活性化にも貢献している。

編集部

日本の文化を体験したい外国のユーザーがお菓子を楽しめるだけでなく、国内のメーカーにとっても販路拡大の救いの一手となるサービスですね。

近本さん

おっしゃるとおりです。海外に販路を広げるお手伝いしてきたメーカーさんは、延べ60社以上となります。海外に流通しにくい期間限定・地域限定商品も、ICHIGOがキュレーションをすることで、グローバルマーケットに提供していく企画を次々と立ち上げています。

株式会社ICHIGOのオンラインクレーンゲームサービス「TokyoCatch」の画面イメージ
▲オンラインクレーンゲームの「TokyoCatch」。海外からクレーンゲームが楽しめ、獲得した景品は海を越えて自宅に届く。

欧米などを中心に200万人近くのユーザーを獲得

サービスのパッケージを持つ株式会社ICHIGOのCEO近本さん

編集部

現在、ICHIGOさんのサービスを利用しているユーザーの方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

近本さん

「TokyoTreat」「Sakuraco」といった弊社のサービスの登録者数をすべて合計すると、200万人近くという数字になります(2023年7月時点)。「この時期から急激に増加した」ということは特になくて、本当にコツコツと伸びていった印象ですね。

編集部

海外ユーザーが中心とのことですが、どの国の方が多いですか?

近本さん

私たちのサービスはすべて英語で展開しているので、やはり英語圏の国が多いです。一番多いのはアメリカで、その次はイギリス、カナダ、オーストラリア、さらには英語圏以外のヨーロッパ各国、アジア、アフリカ、中東という感じです。全体としては、欧米のお客様が大半を占めています。

男女比でいうと、扱っている商品がお菓子やキャラクターグッズ、化粧品なので、8割近くが女性の方です。オンラインのサービスということもあり、年齢層としては20~40代ぐらいの方がメインとなっています。

編集部

200万人近くのユーザーが、日本の各商品を楽しみにされているんですね。受け取った方たちの笑顔を想像できるようなお仕事で、すごくやりがいがあるのだろうなと感じました。

支持される理由は、地道なマーケティングと丁寧な商品づくり

株式会社ICHIGOのサブスクサービス「Sakuraco」のイメージ
▲商品のセレクトからパッケージのデザイン、配送まで、自社による丁寧な仕事にこだわっている。

編集部

海外向けのECサイトは数多くあるでしょうし、近年は個人輸入も比較的かんたんにできるかと思います。その中で、ICHIGOさんが多くのユーザーに支持されている理由は何でしょうか。

近本さん

理由のひとつとしては、マーケティングを戦略的に進めたことが大きいと思います。私たちは創業時からデジタルマーケティング、SNSマーケティング、そしてインフルエンサーマーケティングをコツコツとやってきたんです。その成果は間違いなく出ていると感じています。

編集部

やはりECサイト運営ではマーケティングは不可欠なんですね。また、商品そのものの魅力もポイントでしょうか?

近本さん

そうですね。お客様に支持をしていただいている最大の理由は、やはり商品の豊富なラインナップやクオリティの高さにあると思います。

たとえばサブスクで商品を詰め合わせて送るときは、毎月テーマを変えているんです。各サービスにバイヤーがいるのですが、毎回1ヶ月くらいかけて考え、全国の商品をセレクトしています。

また、自社でオリジナルの商品開発をする際は、海外の方が好きな味やパッケージデザインにこだわっています。商品のクオリティをキープし続けることや、商品開発にすごく時間をかけているところが、他社との差別化のポイントですね。

内製化でクオリティを保つ。商品の梱包まで社内で実施

編集部

サービスの立ち上げから運営まで、全て「自社でやること」にこだわっていると伺ったのですが、具体的にはどのような体制なのでしょうか。

近本さん

いわゆる一気通貫型で、できる限り広い範囲の業務を内製化するようにしています。エンジニアやデザイナー、マーケティングなどについて担当社員がいるほか、商品の梱包や配送業者に受け渡しをするところまで、すべて自社でやっていることは特徴だと思いますね。

編集部

梱包や配送を外注しないECは、めずらしいのではないかと思います。メリットはどこにあるのでしょうか。

近本さん

他社のサービスに比べて、ICHIGOの場合はご注文をいただいてからお客様の手元に届くまでのスピードが圧倒的に速いんです。このことは大きなメリットですね。

クオリティが担保できることも重要です。外部業者に委託をすればたしかに楽ではあるのですが、自分たちの目が届かなくなるというリスクもあります。お客様にとって「注文したものが期待通りのクオリティですぐ届く」というのはすごく大事な部分だと思うので、そこはこだわっていますね。

あとは、自分たちでやることによって価格も抑えられます。浮いた分は商品原価に回すことでお客様に還元できるので、その点もメリットだといえます。

編集部

内製化によって、サービスの質を下げず、ユーザーに少しでも速く届けるというICHIGOさんの強い信念を感じました。こういったところが、成長し続けられている理由なのだろうと思いました。

起業のきっかけは「日本のお菓子」の魅力を発見したこと

富士山と桜が壁に描かれている株式会社ICHIGOのオフィス風景

編集部

続いて、近本さんがICHIGOの事業を始められたきっかけを伺ってもよろしいでしょうか。

近本さん

私は元々、大手人材・広告系の企業に勤めていたのですが、当時から「起業したい」という思いがあったんです。

その職場では国内向けのECの企画をやっていて、ちょうど日本にいらっしゃる海外の方がすごく増えてきた時期でした。同じECでも海外向けに展開したほうが、もっとチャンスがあるんじゃないかなと思って、現在のサービスの構想を描きはじめました。

編集部

海外向けの商材の中でも、「日本のお菓子」に着目した理由は何だったのでしょうか。

近本さん

日本のお菓子は、海外の方にすごく人気があるんですよね。来日した観光客が一番買うものは、実はお菓子だともいわれています。海外在住の日本人が一時帰国される際に、現地の方から「お菓子を買ってきてほしい」とリクエストをもらうという話もよく聞きます。

これは、日本のお菓子ならではの需要だと思うんです。なので、最初にECをやるにあたって、「海外の方に幅広く受け入れられ、バラエティも豊富で、長く販売できるものは?」と考えた結果、選んだのがお菓子だったという経緯です。

取引先から教わった、日本のお菓子と文化の深いつながり

編集部

実際にICHIGOさんの事業が成長していく中で、日本のお菓子に対する発見もありましたか。

近本さん

いろんなお菓子メーカーさんとお付き合いをさせていただく中でわかってきたのですが、日本のお菓子は、日本の文化に結びついてるものなんですよね。例えば、おかきやあられは、神様にお供えしたお餅を揚げて大切に食べたところから始まったという話を取引先の方から伺いました。

編集部

お供えという文化、そして食べ物を粗末にしない文化から、おかきが生まれたということですね。

近本さん

はい。売上に必ずしも直結する商品でなくても、日本の伝統的な文化を次世代に繋げていくために、何百年も同じものを作り続けているメーカーさんが多いんです。

そういうお話を伺って、自分が日本の文化を継承していく手助けや、日本の素晴らしい文化を海外の方に発信することができないかと思いはじめました。このことについては、会社を始めてから取引先の方に教えていただいた部分も大きいです。

編集部

数百年単位の歴史を持つ企業の重みを感じました。海外向けのECという事業が、日本のお菓子文化の発展や継承にもつながっているのですね。

インバウンドは商機。日本の価値あるものを、もっと海外へ広めたい

編集部

今後、ICHIGOさんはどのようなサービスを展開していかれるのでしょうか?

近本さん

日本には、クオリティの高さに驚かれるものや、文化的な価値を持つものがお菓子以外にもたくさんあると思うんですね。たとえば伝統工芸品もそうですし、アニメや漫画、ゲーム、フィギュアなども、立派な日本の文化です。

いわゆるサブカル的な商品はある程度認知されてきているとは思うのですが、まだまだ足りていないはずです。日本人自身があまり気づいていないけど、海外の方から価値があると思われているものを、どんどん発信していきたいと思っています。

編集部

ユーザーに対するアプローチの仕方にも、新しいアイデアがあるのでしょうか。

近本さん

現在、インバウンドで日本にいらっしゃる観光客が増えていますよね。日本の価値あるものを求めている外国の方は、実際に日本に来られるケースも多いんです。来日中の方に対しても、ICHIGOを通してアプローチできる事業を展開していきたいと考えています。

プレゼンから即決で販売開始も。若手の積極性を活かす組織

株式会社ICHIGOオフィス内の勤務風景

編集部

次に、ICHIGOさんで働かれているメンバーの方々についてお話を伺いたいです。社内の平均年齢はどれくらいでしょうか?

近本さん

現時点ではおおよそ28歳くらいで、スタートアップということもありかなり若手が多い組織だと思います。

カルチャーとして、弊社は年功序列ではなく「どれだけ会社に対して貢献しているか」が評価基準になります。「日本のものを海外の方に良いクオリティでスピーディーに届けたい」という会社の方針に共感して頑張っているメンバーは、入社年次などに関係なく役職を持って活躍しています。

もちろん、給与面でも成果に報いるようにしています。入社後2~3年で給与が2倍になっている社員もいますし、他社との比較は難しいですが、20代でもかなりの高年収を実現しているマネージャーもいました。

編集部

実際に、若手の方が意欲的にプランを打ち出して活躍されたという事例はあるでしょうか?

近本さん

たとえば単品販売のサイトのバイヤーが、「今まで取り扱っていなかった伝統工芸品を売りたい」と提案してくれたんです。海外ユーザーの視点でリサーチし、デザインを含めて自分で考えてプレゼンをしてくれました。

私としても可能性を感じたので、「いいね、やろう!」ということで販売を決定し、次の日からサイトに商品が並ぶというようなことはしょっちゅうありますね。

このスピード感は、バックオフィスの部分でも同様です。スマホで勤怠管理ができるシステムをメンバーが調べてくれて、「在宅勤務の方にも便利なので、このシステムに移行したいです」と提案されたときも、「それでいきましょう」と即決しました。

編集部

もちろんしっかりとした提案は必要だと思いますが、それだけ自分の意見が反映されるとやりがいがあるでしょうね。

近本さん

マネジメント層とメンバーとの距離がすごく近いので、良い提案はすぐに通ります。決め手に欠けるときは、「この部分のデータが必要なので、もう一度プレゼンしてください」などとフィードバックをして、ポジティブな提案をムダにしないようにしています。

自由に発言・提案をおこない、それが受け入れられるカルチャーがあるので、自分を成長させたい方には良い環境ではないかなと思いますね。

社内の7割が外国籍。最初は英語を話せなくても、入社後に自然と上達

株式会社ICHIGOのオンラインミーティングの様子

編集部

ICHIGOさんは海外向けに事業を展開されているので、やはりインターナショナルな職場環境なのでしょうか。

近本さん

そうですね。外国籍の社員が7割以上を占めています。やはりその国のお客様のニーズを一番理解できるのは出身者なので、外国のメンバーが多いですね。出身国でいうと10カ国ぐらいで、社内ではいろんな国の言語が飛び交っています(笑)。

編集部

英語はどの程度のレベルを求められるのでしょうか。

近本さん

職種にもよりますが、たとえば日本人向けのバイヤーやバックオフィスでは、英語を必須にはしていないです。ICHIGOで働いている外国人メンバーは、日本が好きで、レベルの差はあれど日本語も話せる人たちなので、コミュニケーションは問題なく取れます。そこはあまり心配しなくていいのかなと思いますね。

ただ、英語がつねに飛び交っている職場なので、英語で業務を進めていくスキルを身につけたい方にはぴったりだと思います。最初は全然しゃべれなくても、積極的に外国籍のメンバーと交流していく中で、今は普通に話せている者もいます。

私としては、英語はツールでしかないと思っています。今は翻訳機器もすごく進化していますし、ミーティングでは同時通訳も可能です。語学力よりも、その職種でのスペシャルなスキルや経験のほうを、採用では重視していますね。

編集部

英語が役立つシーンはかなり多いと思いますが、必須というわけではないんですね。とはいえ、積極性がある方なら自然と英語の能力も上がっていきそうな環境だと思いました。

ICHIGOのサービスが好きでジョインしたメンバーが多い

編集部

ところで、ICHIGOさんの外国人メンバーは、実際にサービスを利用していた「ファン」が多いと伺ったのですが、これは本当でしょうか?

近本さん

そうなんです。ユーザーとしてICHIGOのサービスを好きで、結果として働きたくなって応募してくれたというケースは結構多いです。利用する側から作る側に回りたいという動機で来てくれたパターンですね。

編集部

日本人のメンバーだと、どのような経歴の方がいらっしゃるのですか。

近本さん

前職でいうと地方公務員だったりエンタメ系の会社だったりといろいろですが、「日本のものを海外に発信していくこと」に興味があったり、「留学したときに日本のお菓子の人気を実感したので携わってみたい」という想いがあったりと、事業に魅力を感じているメンバーが多いです。

会社も自分も成長する、いいスパイラルを一緒に描きたい

株式会社ICHIGOのオフィス風景

編集部

最後に、この記事を読んでICHIGOさんに興味を抱いた読者の方に向けて、メッセージをいただければと思います。

近本さん

ICHIGOでは、会社のビジョンの先にあるものを考えながら自発的に行動してくれるメンバーに対しては、伸びしろに期待をしてどんどん仕事を任せています。仕事を任せた結果、事業が広がって、メンバー個人も会社も伸びていくという、いいスパイラルで進んでいくケースが多いです。

スタートアップのフェーズなので、仕事がきっちり分業化されているとか、これだけやればいいというテンプレートが用意されているわけではありません。でもその分、経営陣との距離も近いですし、自分が成し遂げたことが会社の業績や運営方法にダイレクトに反映する面白さがあると思います。

自分で考えて業務を改善していくのが好きな方や、会社と一緒に成長したいと思っている人に来てほしいと考えています。そして、そういう気持ちで頑張ってくれる人を正当に評価する会社であると、自信を持って言えます。

現在は特にエンジニアを積極的に募集していて、最先端の技術で自社サービスを開発していけたり、リモートワークも問題なく可能だったりと、興味を持っていただけるポイントは多いと思います。グローバルな環境でチャレンジしてみたいという方は、ぜひご連絡ください!

編集部

新しいメンバーと一緒に、ICHIGOさんが日本の文化をもっと世界へと発信していかれる未来を期待しています。本日は、どうもありがとうございました。

■取材協力
株式会社ICHIGO:https://ichigo.com/
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