注目企業の躍進の理由や新しい働き方などについて、企業インタビューをしていくこの企画。今回は、ビジネスの効率化や快適なオフィス作りに必要な“人・物・情報”をワンストップでサポートする「株式会社庚伸」にインタビューしました。
企業に必要な“人・物・情報”をワンストップで提案する「株式会社庚伸」
株式会社庚伸は、ビジネスの効率化や快適なオフィス作りに必要な"人・物・情報"をワンストップでサポートする企業です。
多様化するニーズや時代の変化に合わせて事業を展開・拡大し、OA機器販売から人材派遣、業務請負、システム開発、WEB制作、Eコマースサイト運営など、幅広い分野でビジネスを成長させています。
会社名 | 株式会社庚伸 |
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住所 | 東京都中央区八丁堀2-26-9 グランデビルディング3F |
事業内容 |
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設立 | 1990年10月4日 |
公式ページ | https://www.koushin.co.jp/ |
今回は株式会社庚伸の宮澤さん、竹川さん、渡邉さんに、創業以来堅調に売上を伸ばし続けている理由や、エンジニアの仕事内容ややりがいについてお話を聞かせていただきました。
株式会社庚伸の成長要因:多様なサービスの連携とBPOニーズへの対応
▲直近5年間の売上推移
編集部
庚伸さんは1990年の創業から堅調に成長されており、近年の売上高の推移も右肩上がりだと伺いました。直近の売上について、可能な範囲で教えていただけますか?
宮澤さん
直近の33期(2022年9月1日〜2023年8月)の売上は、おおよそ34億2,500万円です。第28期と比較すると、約10億円増加し、138.9%の成長を達成しています。
編集部
順調に売上を伸ばしている、その要因を教えてください。
宮澤さん
特定の要因というよりも、複合的な理由があります。弊社はオフィスの"人・物・情報"をワンストップでサポートしているのが特徴ですが、直近期はそれぞれのサービスがうまく連携したことが大きな要因だと考えています。
例えば、コロナ禍では複合機のメンテナンス分野で売上減少がありましたが、一方でリモートワーク需要が増加しました。VPN環境の構築や、Microsoft365、Googleワークスペースなどのクラウドシステム運用の提案が好評で、全体として業績の向上につながりました。
また、自社製品がリモートワークのニーズにマッチしたことも大きな要因です。特に、登録人数無制限定額制の勤怠管理システム「Dr.オフィスLookJOB2」は、リモートワーク導入企業にとって非常に有用でした。従来のタイムカードや出勤簿での管理が難しくなった企業様からの需要が急増し、売上増加に貢献しました。
『ゼロから始めるBPO』:業務プロセス整理からシステム化まで提供する庚伸の強み
編集部
コロナ禍で急増したリモートワーク需要に対応できたことで、売上を伸ばせたのですね。
宮澤さん
はい、そうですね。また、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスも需要が高まっています。弊社は人材派遣事業も行っていますが、派遣事業は減少傾向にある一方で、BPOサービスが活発化しています。
近年、多くの企業が人材不足に悩んでおり、採用が困難になっています。そのため、人材採用の代替策として、主要業務以外の業務をアウトソーシングするBPOサービスへのニーズが高まっています。
このようなニーズに応えられたことが、弊社の業績が徐々に向上している要因の一つだと考えています。
編集部
『ゼロから始めるBPO』というサービス名でBPO事業も展開されているとのことですが、御社ならではの特徴はありますか?
宮澤さん
弊社のサービスの特徴としては、業務プロセスを明確化し、そのノウハウを企業様に還元しています。
特に最近の人手不足に伴ってBPOを検討される企業様の場合、多くは業務プロセスが明確になっていません。一般的なBPO事業者では、プロセスが明確でないと業務を受託しないケースがほとんどです。そのため、お客様が自力で業務プロセスを整理する必要がありますが、これにはノウハウが必要です。
また、業務プロセスが不明確なまま外部委託すると、将来その業務を自社に戻そうとしても対応できなくなる可能性があります。
弊社の場合、まず業務プロセスを詳細に把握し、効率化や無駄の排除を行います。整備したプロセスとノウハウを還元しますので、業務委託終了後も効率や品質を維持できます。
さらに、弊社は自社のシステム部門を活用し、業務の一部をシステム化したり、RPA(※)を導入したりすることで生産性を向上させた状態で業務をお返しすることも可能です。
※ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)の略称。従来人間が行っていた作業をロボットが自動で行う仕組み
業務請負とシステム開発の両方を行っているため、企業様のご要望や状況、業務内容に応じて、最適なソリューションをご提案できるのが弊社の強みの一つだと考えています。
クライアントに選ばれる理由:中小企業向けの手厚くきめ細かいワンストップサポート
編集部
クライアントさんに選ばれる理由はどういったところだとお考えですか?
宮澤さん
弊社は、東京を中心とした中小企業のお客様がメインです。そのため、一対一の接点を持ちながら、お客様の状況やご要望に沿った手厚く、きめ細やかなサポートを提供しています。これが選ばれる理由だと考えています。
例えば、事務所移転の場合、物件探しから引っ越し先のネットワーク構築、什器・OA機器の手配まで、全ての工程を弊社でワンストップでサポートしています。中小企業では総務の方が全てを担当することが多いので、このようなサービスは大変重宝されています。
また、請求書の郵送作業など、システム導入後のフォローアップも行っています。
編集部
リモートワークをされている企業様も多いですが、リモートによるサポートなどもあるのでしょうか?
宮澤さん
はい、コールセンター&リモートサポート「Dr.オフィスSystan」というサービスを提供しています。特徴的なのは、他社様の製品・サービスについてもサポートしている点です。
例えば、プリンターの不具合の場合、プリンター本体だけでなく、ネットワークやPCなど様々な原因が考えられます。弊社にお電話いただければ、原因の特定から遠隔操作による修復、必要に応じて実地訪問まで行います。
このような継続的なサポートにより、「わからないことがあったら庚伸さんに聞こう」とお声掛けいただく機会が増えています。これが、新しい商品やサービスの提案をスムーズに行える基盤となっています。
編集部
なるほど。幅広い事業展開がサポートの充実につながり、お客様からの信頼を得ているということですね。
庚伸のエンジニア:自社製品開発から受託開発まで幅広い業務に携わる環境
編集部
御社のシステム部門には、どのような職種の方々が在籍されていますか?
竹川さん
システムエンジニアをはじめ、カスタマーエンジニア、フィールドエンジニアが在籍しています。さらに、プロジェクトマネージャーやプログラマーなど、多岐にわたる役割をこなせる多才なメンバーが揃っています。
編集部
具体的にはどのような業務を行っているのでしょうか?
竹川さん
主に自社製品の開発を行っています。例えば、「Dr.オフィスLookJOB2」、販売管理ソフト「Dr.オフィスDDPro」、消防用設備点検管理ソフトウェア「Dr.オフィス Inspector」などがあります。
また、お客様の要望に応じてスクラッチ開発(※)も行っています。
※パッケージなどを利用せず、1からオリジナルのシステムやソフトウェアを開発すること
編集部
受託開発の具体例を教えていただけますか?
竹川さん
販売管理システムの改修依頼が多いですね。お客様は同じ業種でも、それぞれ独自の管理方法やポリシーをお持ちです。
例えば、ある案件では通常の「見積、受注、売上」という流れに、お客様の要望で「契約処理」という新しい工程を受注の前に追加しました。このように、お客様固有の業務プロセスに合わせたカスタマイズを行っています。
クライアントの根本的な問題解決と迅速な成果実現
編集部
御社でエンジニアとして働くやりがいについてお聞かせください。
竹川さん
クライアントの持つ悩みや困り事を根本から解決して、喜んでもらえることがやりがいだと思います。
お客様は基本的にやりたいことだけをお話しされますが、実はその裏に根本的な問題があることがあります。その問題を解決しないと、効果的な運用ができないケースがあります。
そうした問題に対して、お客様ご自身が解決策を見出せるように提案し、開発に取り組み、最適なシステムをご提供していきます。
大企業では業務や運用の改善に数年かかることもありますが、中小企業では2〜3ヶ月ほどで達成できることがほとんどです。そのため、頻繁にお客様の問題解決に携わることができ、その度に達成感ややりがいを感じられます。
また、パッケージソフトウェアに関しても様々な要望があります。ただし、全ての要望を実現しようとすると破綻してしまうことが多いのです。
「その中で最適なものはどれか、さらに自分たちが力を発揮できるのはどういうことか」を考えて取り組むことで、商品企画から開発まで全てに関われる楽しさもあります。
編集部
商品企画から携わる具体例をお聞かせいただけますか?
竹川さん
例えば、「Dr.オフィスLookJOB2」は、以前は固定労働制のみに対応していました。1日8時間、1週40時間を超えると"残業"となる仕様でした。しかし、お客様から「変形労働制に対応してほしい」という要望が多く寄せられました。
通常、こういった要望には部分的なスクラッチ開発を行い、お客様専用のソフトとして提供して解決しています。
しかし、これまでの経験やノウハウを活かし、「このような製品が必要とされているのでは」と判断し、開発に着手しました。様々な改善を重ね、新機能を搭載した製品をリリースしています。
自社完結型案件で全工程に関われる経験を積む
編集部
竹川さんだからこそできる仕事などはあるのでしょうか?
竹川さん
弊社では、大がかりな案件をお請けするケースはあまり多くありません。代わりに、1つ1つの業務単位でのシステム開発をお受けすることが多いです。その特徴として、関わる案件の全ての工程に携わることができます。
本当に1から最後まで、全工程を自社で完結させるケースが多いので、お客様の業務にも精通しますし、新しい技術を取り入れ、身につけることもしやすい環境です。これは弊社の大きな特徴だと考えています。
編集部
案件の全工程に関われるのは、幅広い知識やスキルを身につけられるので社員さんの早い成長にも繋がりそうですね。自社で完結できるということは、クライアント様も安心して任せられるポイントだと感じました。
現役エンジニアが語る:庚伸の働きやすい環境と充実したサポート体制
編集部
実際にエンジニアとして活躍されている渡邉さんにお話を伺いたいと思います。まず、エンジニアチームの雰囲気はいかがですか?
渡邉さん
エンジニアチームは、作業中は集中して黙々と仕事をしていますが、話し合いの際は和気あいあいとした雰囲気です。わからないことや行き詰まったことがあれば、気軽に相談できる環境が整っています。
例えば、「この問題の解決方法がわからない」や「複数のアプローチがある中で最適な選択肢は何か」といった相談をすると、同僚たちは「こういう方法が考えられる」「このようなアプローチを試してみては」と、具体的な助言とともに親切に答えてくれます。
編集部
庚伸さんでのやりがいや、仕事のやりやすさはどういったところで感じていますか?
渡邉さん
仕事のやりやすさという点では、わからないことがあっても理解できるまで丁寧に待ってもらえることに、とても感謝しています。
入社時の私のスキルレベルは、授業でC言語、研究でPythonを学び、就活用のポートフォリオとしてJavaScriptとPythonでアプリを作った程度でした。
庚伸では少人数チームで開発を行うため、多岐にわたる業務に携わる機会があります。その結果、サーバー設定やネットワークなど、未経験の分野にも数多く直面してきました。
しかし、周囲の方々が私の理解度に合わせて辛抱強くサポートしてくれるおかげで、着実にスキルアップできていると実感しています。
編集部
お話を聞いていると、精神的な安心感を持ちながらお仕事できる環境だと感じるのですが、いかがですか?
渡邉さん
その通りです。入社前は新規事業を担当するベンチャー部門への配属が決まり、「能力不足で置いていかれるのではないか」と不安を感じていました。
しかし、実際に働き始めてみると、十分な時間をかけて理解を深められる環境で、適切な指導も受けられるため、安心して業務に取り組むことができています。
スキルアップの秘訣:自主性を重視し、周囲からの適切なサポートを受ける環境
編集部
渡邉さんがスキルアップを実感したのは、どういった時ですか?
渡邉さん
入社当初はプログラムはある程度書ける程度の実力でしたが、サーバーに関する知識はほとんどありませんでした。最初はコマンドもほとんどわからない状態でしたが、基本的なサーバー構築手順を1から自分で作り上げた時に、スキルアップを実感しました。
また、Webアプリチームとしてのドキュメント類はほとんどない状態だったので、自分で作成する必要がありました。ドキュメント作成はいろんな分野に通じていて、全体を見渡せていないと作れないので、自分で作成できた時は力が付いたと実感しました。
編集部
スキルアップはどのように進めていったのですか?
渡邉さん
自分で「これだ」というものができたら、他の人に見せてフィードバックをもらい、改善していく方法をとっています。
ただ質問して答えだけをもらうのではなく、まずは自分で進めます。ある程度進んだ段階、または疑問点が出てきたところで周りの人にいろんな道筋を教えてもらい、最終的には自分の力でたどり着くことで少しずつ力を付けていきました。
このやり方でいろいろなものを作成し、知識やスキルを培っています。
短期プロジェクトで得られる頻繁な達成感と成功体験
編集部
渡邉さんは仕事をされている中で、どういうところでやりがいを感じますか?
渡邉さん
お客様の「これをしてほしい、こういうものができたらいいな」という要望に対して、実際にものを作り上げたときや、完成品を使ってみた時のお客様の声を聞いたりした時にやりがいを感じます。
また、新しい知識を習得できたり、以前は時間がかかっていた作業が効率的にできるようになったりする時は、自身のスキルアップを実感でき、喜びを感じます。
編集部
クライアントは中小企業様が多くて、距離も近いからこそ、より達成感が感じられるという面もあるのでしょうか?
渡邉さん
そうですね。中小企業様が主なクライアントなので、大規模な開発プロジェクトは少ないですが、それが自分にとってはメリットになっています。
開発期間が比較的短いので、成功体験や達成感を得る機会が多くあります。大手企業に勤める友人から聞く話では、数年単位の長期プロジェクトも珍しくないそうです。
頻繁に成功体験を積めることは、自己成長を加速させるだけでなく、仕事へのやりがいを強く感じる大きな要因になっています。
編集部
挑戦して達成感・成功体験を得られる機会が多い環境だからこそ、スキルアップのスピードが早く、生産性の向上にも繋がっているのではと感じました。
庚伸のエンジニア採用強化:Webアプリケーション開発チームの拡大戦略
編集部
採用についてもお伺いしたいと思います。庚伸さんはエンジニアを積極的に採用したいそうですが、その背景をお聞かせいただけますか?
竹川さん
はい。現在、Webアプリのチームは4人しかいません。少人数だからこそのメリットもありますが、今後はここを強化していきたいと考えています。
これまではスクラッチ開発、つまり一から全て自社で開発することが多かったのですが、スクラッチ開発は製作者しか仕様がわからないという問題があるんですね。もちろん、ドキュメントである程度は共有されていますが、いざサポートするとなると、素早い対応が必要になるので、一々ドキュメントを確認するのでは時間のロスになってしまいます。
一方、パッケージソフトウェアならば、開発の工数も減らせますし、販売もできます。今後はフォームアプリケーションよりも、Webアプリケーションの需要が高まっていくと予想されます。
Webアプリチームとしては、どんどんパッケージ製品開発にシフトしていく方針なので、人員を増やしていきたいです。この戦略転換に伴い、より多くのエンジニアが必要になると考えています。
サポート体制と全工程経験を通じた段階的な成長機会
編集部
改めて、御社で働くことの魅力を教えてください。
竹川さん
小さいチームだからこそ、上流から下流まで全工程に携わりやすいです。一般的には下流工程を長い期間経験してから中級、上級へとステップアップするケースが多いですが、弊社では初めから全体に携わることができます。
そのため、チャレンジ精神や好奇心が旺盛な方には、とても楽しんでいただけると思います。
ただし、初めから全てを任せるわけではありません。まずは簡単な作業から始めて、先輩社員がサポートしながら、段階的にレベルアップできるような体制を整えています。
竹川さん
また、他部門とのコミュニケーションを取れる機会が用意されているところも魅力の一つです。
庚伸には開発部門だけでなく、営業、人材紹介、フィールドエンジニア、メンテナンス部隊、PCサポート部隊など、様々な部門があります。
社内の部門間の連携が重要なため、総務部門が主導して、社員旅行や会社全体でのお散歩イベント「春レク」など、社員同士が交流を図れる機会を設けています。
求める人材像:自発的に課題を見つけ、挑戦し続けられるエンジニア
編集部
最後に、庚伸さんにとってどういった方がフィットするか、一緒に仕事をしたい人材像をお聞かせください。
竹川さん
求める人材は、コーディングなどのエンジニアスキルに加え、物事を深掘りできたり、様々なことに挑戦できる方です。
言われたことだけをこなすのではなく、自ら課題を見つけて取り組み、わからないことがあれば周囲に相談できる好奇心旺盛な方が庚伸に向いていると思います。そういった方と一緒に働きたいですね。
編集部
クライアントの悩みや課題をワンストップで解決しようとする庚伸さんの姿勢が信頼を集め、売上を伸ばすことができているのですね。
幅広い事業内容と多様な案件を扱う中で、積極的に業務に関わり、自発的にスキルや知識を身につける姿勢を持つ方が活躍されるのだろうと感じました。
本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社庚伸:https://www.koushin.co.jp/
採用ページ:https://koushin.co.jp/recruit/