「日本一働きやすい市役所」へ。舞鶴市役所のワークライフバランスを高める制度と採用情報

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、京都府の舞鶴市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。

「日本一働きやすい市役所」を目指し、働き方改革を積極的に推進する舞鶴市役所。定時退社を促すPC強制シャットダウン制度、業務改革研修の実施、育児休業取得推進など、ワークライフバランスを大切にしながら働ける環境づくりに力を入れています。

また、若手職員の意見を積極的に取り入れる風通しの良い職場風土も特徴で、アイデアを実現できる機会が多くあります。

今回は、舞鶴市役所の働き方改革や職場環境について、総務部人事課の藤村さん、産業振興部産業活力課の新村さんにお話をお聞きしました。

本日お話を伺った方
舞鶴市役所職員の藤村さん

舞鶴市役所 総務部人事課 主事

藤村 日南子さん


舞鶴市役所の総務部人事課で主事を務める。2024年度に現在の部署に異動。取材では同市役所の人事制度の改革について紹介してくれた。

舞鶴市役所職員の新村さん

舞鶴市役所 産業振興部産業活力課 主事

新村 晋平さん


舞鶴市役所の産業振興部産業活力課で主事を務める。金融系の民間企業で勤めた後、2023年度に入庁。企業の人材確保支援や、中高生への市内企業紹介などを担当。

舞鶴市役所の働き方改革:三本柱で「働きやすさ」をアップ!

ガッツポーズをする、舞鶴市役所職員の皆さん

編集部

舞鶴市役所の人事に関する取り組みについて、特徴をお教えいただけますか?

藤村さん

一番大きな特徴は、2023年度から働き方改革への取り組みを本格的に進め、2024年12月の議会でも市長が「日本一働きやすい市役所」を目指すことを公言していることです。

現在行っている具体的な取り組みは、大きく「働きやすい環境作り」「主体的な学びの支援」「職員を守る風土」の三本柱です。実際に働いている職員のモチベーションアップにもつながってきていますし、また今後、受験・入庁される方にも魅力に感じて頂けたら嬉しいですね。

働きやすい環境:PC電源オフなどの施策でワークライフバランス向上

それぞれのデスクでお仕事中の、舞鶴市役所職員の皆さん

編集部

まず、働き方改革の1つ目である「働きやすい環境づくり」について教えてください。

藤村さん

まず、毎週木曜日17時30分に、職員のパソコンが強制シャットダウンされる取り組みを令和5年から開始しました。時間内にしっかりと仕事を終わらせ、プライベートも大切にしてほしいという思いからです。

編集部

実際に時間外労働が減少するなど、何か効果は出ていますか?

藤村さん

強制シャットダウンを実施する木曜日は、時間外勤務をする職員が明らかに少なくなっています。そのこともあり、令和5年度の職員一人当たりの時間外勤務は月平均13.04時間でした。

この取り組みの施行後、各所属長が職員に状況の聞き取りを行いました。中には「市民対応中にパソコンが切れてしまい困った」という意見もありましたが、「物理的にパソコンが切れることで気持ちの切り替えができ、ワークライフバランスが取りやすい」「残業している人に『帰ろう』と声をかけやすくなった」といった前向きな声が多く聞かれました。

木曜日は職員同士で飲みに誘い合う光景も見られ、コミュニケーションの推進にもつながったように思います。

編集部

ワークライフバランスに関連して、例えば子育て中の職員さんへの支援などはありますか?

藤村さん

舞鶴市役所では、育児休業取得推進に特に力を入れています。

女性の取得率100%はもちろんのこと、男性にも積極的に取得を呼びかけ、実際に、令和5年度の男性職員の育児休業取得率は58.8%と高い数字を達成しました。育児に関する制度をまとめた職員向けパンフレットの中に、育休を取得した男性職員が体験談を載せるなど、職員発信の動きもあります。

また、今後に向けた取り組みとして、子育てや介護をしている職員が1時間刻みで始業時間を選択できる「時差出勤制度」や、残業が長引いた翌日はゆっくり出勤できる「勤務間インターバル制度」も、準備を進めています。

主体的な学びの支援:業務改革研修会を通じた意識の変革

業務改革研修を受ける、舞鶴市役所職員の皆さん
▲全職員を対象に行われた、業務改革研修会

編集部

続いて、2つ目の「主体的な学びの支援」について教えてください。

藤村さん

職員一人ひとりが自分の能力を高めることを目的とした業務改革研修会を実施したり、副業制度の周知を通じて地域活動への参加を推進したりしています。

編集部

業務改革研修会の具体的な内容を教えて頂けますか?

藤村さん

これは「働き方改革を実現するには、職員自らの意識も変革する必要がある」という考えから、日々の仕事をより効率的にすることを目的に実施したものです。民間のシステム関連企業から講師を招き、デジタル技術も活用しつつ、業務改革(BPR)の目的や意義、進め方などの基礎を学びました。

個人的には、それまで“業務改革”といってもピンとこない部分がありましたが、研修を通じて自分の業務に落とし込んで考えることができ、やるべきことが明確に見えるようになりました。

編集部

副業制度というのはどのような形でしょうか?

藤村さん

公務員なので、企業での兼業は禁止されていますが、NPO活動や地域内の活動への参加については、報酬が発生したとしても問題ありません。こういったことを積極的に職員に周知して、職員が地域と関わり、またそれが市での仕事にもフィードバックされるという、良い循環を目指しています。

職員を守る風土:メンタルヘルス・カスタマーハラスメント対策

編集部

3つ目の柱「職員を守る風土」についてはいかがでしょうか。

藤村さん

これは、メンタルヘルスや社会問題にもなっているカスタマーハラスメントなどへの対策を進め、職員が安心して働ける職場環境をつくる取り組みです。

メンタルヘルスについては、心の疲れに早期に気づけるような仕組みづくりや、ストレスを発散するための方法、そして周囲の職員へのフォロー方法などを記したマニュアルを現在作成中です。これまでも、休職後に復帰する場合に慣らし勤務などの制度はありましたが、よりきめ細かいサポート体制を目指しています。

カスタマーハラスメントについては、強い姿勢で撲滅するんだということを、しっかりと市長が宣言しています。

風通しが良く、職員のアイデアが歓迎される環境

PCを見ながら談笑する、舞鶴市役所職員の皆さん

編集部

職場の雰囲気や文化・風土についてお聞かせ頂けますか?

新村さん

親切な人が多く、温かな雰囲気を感じています。職員同士、家庭への配慮もあり、例えば朝「子どもの支度に時間がかかったので少し遅れます」といったことも気軽に言える雰囲気です。先ほどお話ししたような制度面の充実ももちろんですが、この風通しの良さも魅力的だと思っています。

また、市長からの呼びかけにより、若手職員と市長との定期的な意見交換会を実施しています。1回6人×70分で、市長が日ごろ考えていることを職員に伝え、また職員も感じていることを率直に市長に伝えるための場です。市長が「何でも気軽に話してね」というフランクな姿勢なので、若手職員も構えることなく臨んでいますね。

舞鶴市役所の内観
▲明るく、開放的な雰囲気の舞鶴市役所

藤村さん

私は2024年度から人事課に異動してきましたが、上司に自分の意見を躊躇なく言える環境を実感しています。業務をする中で「もう少しこうした方がやりやすい」といった些細な提案でも、しっかりと拾い上げて、その意見をブラッシュアップしてもらえるので、非常に働きやすいです。

編集部

職員の方の意見が業務に反映された、具体的な例があればご紹介頂けますか?

藤村さん

一例として、職員採用パンフレットの制作があります。民間企業は魅力を発信するためのパンフレットを作っているのに舞鶴市役所にはないと気づいた職員が「こういうパンフレットを作りたい」と、声を上げたことがきっかけでした。

それを上司に相談したところ「ぜひやろう」と前向きに受け止めてもらい、市長まで話を通して実現させました。他部署の協力も得ながら、写真の撮影、記事の執筆、デザインなど、ほぼすべて職員の手作りで仕上げた自信作です。職員発信のアイデアをみんなで実現できる、この職場の風土は素晴らしいと胸を張れますね。

舞鶴市の採用案内パンフレット
▲職員の高いモチベーションとチームワークによって完成した、力作の採用案内パンフレット

民間企業から転職した職員が語る「市民の役に立てるやりがい」

パソコンに向かって仕事中の舞鶴市役所の新村さん

編集部

新村さんは市外からの移住とあわせ、民間企業から転職されたとのことですが、どういったご経緯だったのでしょうか。

新村さん

私は元々、市外で金融関係の仕事をしていましたが、プライベートでご縁があり、舞鶴市へ移住を検討していたんです。その頃にちょうど舞鶴市の職員募集を知り、行政職であればこれまでのスキルを活かしつつ、より幅広い方のお手伝いができると考え、2023年度に移住と転職を決意しました。

編集部

現在のお仕事のやりがいはいかがですか?

新村さん

現在は産業活力課で、市内の企業さんの人材確保のご支援や雇用を担当し、合同就職説明会などの活動を行っています。また、市内の中高生を対象に、舞鶴市の企業や市内で働くメリットの紹介にも力を入れています。

その中で、企業の方から「舞鶴市役所は親身に対応してくれる」「雇用の面ですごく頑張ってくれた」などのお言葉を頂くこともあり、市民の皆様のお役に立てている実感が、大きなやりがいになっています。

移住を伴う転職経験者の話:舞鶴市の良さ

舞鶴市に現れた雲海
▲舞鶴市では、幻想的な雲海が見られることも

編集部

市外から来られた立場として、舞鶴市の良さはどういうところだとお感じになりますか?

新村さん

海と山に囲まれた自然環境があり、かつ程よい規模の都市なので暮らしやすいと感じています。

移住前は正直なところ、舞鶴市に対して田舎というイメージしかありませんでした。しかし、実際に住んでみるとスーパーや薬局、コンビニなどの生活インフラが整い、とても利便性の高いまちです。

交通アクセスが充実していて、東舞鶴、西舞鶴にはJRの駅がありますし、京阪神地区へは車で1時間半から2時間程度で行けます。平日は舞鶴での仕事、休日は都市部でのレジャーを楽しむという生活も可能なのが嬉しいですね。

採用情報|舞鶴市役所では、意欲高く取り組む人材を募集中

舞鶴市にある「舞鶴赤れんがパーク」の外観▲歴史的価値のある赤れんが倉庫が並び、日本遺産にも認定される「舞鶴赤れんがパーク」。イベント等にも利用され、市民に親しまれている

編集部

最後に、舞鶴市役所への転職を考えている方に向け、求める人材などの採用情報やメッセージを頂けますでしょうか。

藤村さん

舞鶴市役所にはさまざまな良さがありますが、なんといっても風通しの良い環境や良好な人間関係が、最大の魅力だと感じています。若手職員も意見を言いやすい環境が整っているので、やりたいことやアイデアをお持ちの方は、それを思う存分発揮して頂ければと思います。

編集部

インタビューを通して、本当に和気あいあいとした雰囲気の中、さまざまなことにチャレンジできる環境だということがよく分かりました。

本日はありがとうございました。

編集後記

パソコンの強制シャットダウンやメンタルヘルスケア、カスハラ対策など「日本一働きやすい市役所」にするための具体策が盛りだくさん。その力の入れ方が印象的でした。
職員の方々が企画からデザインまで手がけた採用パンフレット作成の事例からは、一人ひとりのアイデアや提案を大切にする組織風土が伝わってきました。

この記事のまとめ

働き方改革の特徴
  • 毎週木曜日17時30分のPC強制シャットダウンによる残業抑制
  • 職員一人当たりの月平均時間外勤務は13.04時間
育児支援・福利厚生
  • 男性の育児休業取得率58.8%を達成
  • 育休取得者の体験談を共有し、取得しやすい環境を整備
  • 育児関連制度をまとめたパンフレットを作成・配布
職場の特徴
  • 若手職員と市長との定期的なミーティングを実施
  • 職員の提案を積極的に採用する風通しの良い環境
  • 部署を超えた協力体制があり、プロジェクトを実現しやすい
キャリア形成支援
  • DXを活用した業務改革研修を全職員対象に実施
  • NPO活動など地域活動への参加を推奨
  • 民間企業経験者のスキルを活かせる職場環境
勤務地の特徴
  • 京阪神地区まで車で1.5〜2時間のアクセス
  • 生活インフラが充実し、日常生活の利便性が高い
  • 自然豊かな環境と都市部へのアクセスの両立

舞鶴市役所の基本情報

自治体名 舞鶴市役所
住所 京都府舞鶴市字北吸1044番地
公式ページ https://www.city.maizuru.kyoto.jp/
採用ページ https://public-connect.jp/employer/21985
募集職種 土木技術職・建築技術職
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。