倒産危機からV字回復。株式会社丸山製麺が「冷凍ラーメン」事業を生み出せた理由とは

倒産危機からV字回復。株式会社丸山製麺が「冷凍ラーメン」事業を生み出せた理由とは(求職者向け)

積極的に挑戦を続け、独自のビジネスを展開しながら成長を続けている企業をインタビューする本企画。今回は、自家製麺の卸売りや冷凍ラーメン自動販売機事業を展開している株式会社丸山製麺にお話を伺いました。

株式会社丸山製麺とは

株式会社丸山製麺のロゴ

2023年で創業65周年を迎えた株式会社丸山製麺は、飲食店などの食品関連事業者に向けて自家製麺を卸しています。麺製造に関する国家資格「製麺技能士」が9名在籍しているなど確かな製麺技術を誇っており、取引している事業者は都内を中心に3,000カ所以上です。

会社名 株式会社丸山製麺
住所 東京都大田区上池台5-20-13
事業内容 ・麺の製造、卸売り
・冷凍ラーメン自動販売機事業
設立 1958年11月
公式ページ https://www.maru-men.co.jp/

安定して事業を展開してきた株式会社丸山製麺ですが、新型コロナウイルスの影響により売り上げが激減。一時は倒産の危機を迎えました。しかし、2021年に立ち上げた冷凍ラーメン自動販売機事業が起死回生の一手となり、現在はインターン生を受け入れるほどの成長を見せています。

今回は、成長の要因や同社の社風について取締役の丸山晃司さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社丸山製麺の取締役である丸山晃司さん

株式会社丸山製麺
取締役

丸山 晃司さん

飲食店などへの麺卸売やラーメン自販機事業を展開

株式会社丸山製麺の工場内の製麺風景

編集部

初めに、丸山製麺さんの事業内容について伺わせてください。

丸山さん

丸山製麺は麺の製造・販売をおこなっており、BtoBのみならずBtoCの事業を展開しています。

創業以来続けているBtoBの事業が、飲食店など食品関連事業者様に向けたオーダーメイド麺の卸売り事業です。食感やコシ、太さ、形状など、お客様のご希望に合わせた麺を手掛けております。取り扱っているのは中華麺やうどん、そばなどあらゆる麺です。

BtoC事業については、2021年3月から冷凍ラーメン自動販売機「ヌードルツアーズ」を展開しています。こちらは1食1,000円、24時間いつでも好きな時に全国の名店のラーメンが食べられるというものです。

お店で作られたスープを冷凍し、麺については丸山製麺の麺が使用されています。老舗食品メーカーとテクノロジーを掛け合わせた新規事業だといえるでしょう。

株式会社丸山製麺の冷凍ラーメン自販機サービス「ヌードルツアーズ」の商品
▲ヌードルツアーズの商品の一部。有名店とのコラボレーションも多い。

編集部

全国の名店の味を自宅で楽しめるというのは魅力的なサービスですね。ラインナップされているお店については元々丸山製麺さんとお取引があったお店なのでしょうか?

丸山さん

スープを提供いただいているお店は、ヌードルツアーズのために新規でお願いさせていただいたお店ばかりです。私が一から営業して回りました。お店側とは何度も試食を重ね、納得いただくまでに半年かかった例もありましたね。

これまで積み重ねた製麺技術があるからこそ実現できた事業だと思います。

編集部

新規事業は丸山さんの営業力と丸山製麺さんの技術力の結晶といえるのですね。

ヌードルツアーズ展開後、2年余りで累計販売食数50万食を突破

株式会社丸山製麺の冷凍ラーメン自販機サービス「ヌードルツアーズ」の購入イメージ

編集部

丸山製麺さんの成長の推移についてお教えください。

丸山さん

ヌードルツアーズを展開して以降、右肩上がりで成長を続けています。累計販売食数は50万食を突破しており、自動販売機については日本全国で200台以上設置させていただいております。設置場所は大型ショッピングモールから駅、空港などさまざまです。

編集部

新規事業を展開されてから2年余りで、すさまじい伸び方をされているのですね。要因としては何が挙げられるでしょうか?

丸山さん

ヌードルツアーズがここまで求められた理由としては、コロナ禍によって外食の制限がかかったことが挙げられるでしょう。やはり自宅にいながらお店の味が楽しめるという点が大きかったと思います。ラーメン屋に入りにくいと感じている女性や、小さなお子さまがいらっしゃる方からも好評を得ております。

加えて、自動販売機を設置した直後からYouTuberに取り上げられるなどネットで話題を呼んだことも、ヌードルツアーズが成長する上で大きかったですね。

ラーメンを提供するお店からしても、コロナ禍で苦しんでいる中で売り上げを確保するための手段の一つとなったと思います。

編集部

丸山製麺さんと飲食店さんとで、Win-Winの関係になれたことも成長要因といえるのですね。

コロナ禍で倒産危機、V字回復の要因はトライアンドエラーを繰り返すこと

株式会社丸山製麺の冷凍ラーメン自販機サービス「ヌードルツアーズ」

編集部

なぜヌードルツアーズを展開することとなったのでしょうか?

丸山さん

丸山製麺がヌードルツアーズを展開することとなったきっかけはコロナ禍です。飲食店が営業を自粛した影響もあり、売り上げが8割減となってしまいました。緊急事態宣言が解除されてからもなかなか売り上げは回復せず、従業員の出社を半分に抑えることもありましたね。

あと半年で倒産してしまうかもしれないという状況になったことで、起死回生の一手としてヌードルツアーズを始めました。

編集部

新規事業によってV字回復したことからも見ても先見の明があるように思いますがいかがでしょうか?

丸山さん

実はヌードルツアーズの前にもさまざまな新規事業にトライしていたのです。コロナ禍を受けてまず挑戦したのは、麺の通販と社屋での麺の直売でした。

直売については思った以上の需要があり、初日は200~300人の行列ができたほどでした。麺の通販では、有名ラーメン店とコラボして冷凍ラーメンを取り扱いました。これがヌードルツアーズの元となっていますね。

編集部

さまざまな試行錯誤をした末でのヌードルツアーズだったのですね。

丸山さん

新規事業については、とにかく数多くやってみないとわからないところがあります。ヌードルツアーズに至るまでの過程では、もちろんうまくいかなかったこともありました。

2020年11月からうどんのサブスクサービスを展開していましたが、半年ほどでクローズしています。小麦粉の品質の違いを楽しめるという点が特徴でしたが、少しニッチすぎるサービスでしたね。

とにかく売り上げを作っていかなければ会社がつぶれてしまうという現実があったため、打てる手はなんでも打つという状況でした。

編集部

トライアンドエラーを繰り返してきたからこそ、ヌードルツアーズのような大きな需要を生むサービスを展開できたということですね。今後の事業の展望はどのようにお考えでしょうか?

丸山さん

今後についてはまずヌードルツアーズの設置台数を増やしていきたいと考えています。もう一つの目標は海外展開です。海外については日本とのニーズの違いや輸出制限などの課題はありますが、一つずつクリアして進めていきたいですね。

100点でなくとも新しいことを進める挑戦を歓迎する社風

株式会社丸山製麺の取締役である丸山晃司さんと社員の皆さん

編集部

丸山製麺さんの社風について伺わせてください。

丸山さん

丸山製麺は若いメンバーが多く、チャレンジを推奨する雰囲気があります。素直で向上心があり、成長意欲がある方、チャレンジすることが好きな方ばかりですね。

編集部

さきほどの新規事業の取り組みからもチャレンジを歓迎する雰囲気があることがわかるのですが、そのような社風はどこから生まれているのでしょうか?

丸山さん

私自身がチャレンジし続ける姿勢を示していることが、丸山製麺の社風を作り上げている要因の一つとなっているかもしれません。

私は祖父の代から数えて3代目です。もともとはIT系のサイバーエージェントのグループ会社に勤めておりました。いずれは丸山製麺に戻るつもりで、若いころからさまざまな経験ができるという理由でIT系のベンチャー企業を就職先として選びました。

30歳になるころに会社を退職し、丸山製麺に戻りました。戻ったころはBtoBの事業も安定していましたので無理して新規事業を立ち上げる状況ではなかったのですが、将来的な視点に立った時にBtoCの新規事業は必要だと感じていました。

なかなか社長から許可が下りなかったのですが、新規事業の立ち上げには挑戦し続けていましたね。

株式会社丸山製麺の取締役である丸山晃司さん

編集部

実際にどんな新規事業に取り組まれたのでしょうか?

丸山さん

2018年の秋に、うどん居酒屋のM&Aを進めました。丸山製麺が手掛けているうどん麺を卸すということになっていたため小リスクで取り組める、ラーメンと比べてうどんならば大手の競合が少ないということで父親からの許可を得ることができましたね。

編集部

新規事業に挑むにあたってはどういった心がけが必要でしょうか?

丸山さん

新規事業を展開する上では、100点満点でなくとも素早くリリースしていくことが大切だと思います。例えばまだ70点だとしても、とにかく世に事業を展開していく。その後に改善して、100点に近づけていけば良いのだと考えています。

編集部

丸山製麺さんの社風がよくわかる丸山さんのエピソード、考え方だと感じました。

インターン生は「社長の右腕」として活躍できる

株式会社丸山製麺の取締役である丸山晃司さんとインターンの学生とのチャットツールでの交流
▲代表とインターンとの距離は近く、学生はビジネスパーソンとしての貴重な経験が得られる

編集部

インターンシップを2021年から受け入れられているとのことですが、現在何名のインターン生を受け入れているでしょうか?また、インターン生を受け入れることになった背景は何でしょうか?

丸山さん

インターン生については現在3名受け入れています。コロナ禍で新規事業を立ち上げるにあたって、体制強化のためにインターン生を受け入れることとなりました。

製麺業界でインターン生を受け入れているのは、極めて珍しいケースだと思います。

編集部

インターン生は実際にどんな業務に当たっているのでしょうか?

丸山さん

インターン生は職種でいうと営業職になります。代表直下でマーケティング施策の立案などを行うほか、新規開拓業務にも取り組んでもらっています。販売データの分析や、SNSなどでの広報業務にも携わってもらっていますね。

インターン生には、都度代表から仕事ぶりについてフィードバックがあります。1on1の機会もあり、まさに「代表の右腕」となって活躍してもらっています。

編集部

製麺業界でのインターンということで最初にイメージされたのが製麺工場での業務だったのですが、主にマーケティング業務に携わることとなるのですね。

丸山さん

丸山製麺はBtoBのフィールドで65年間事業を展開してきた会社です。丸山製麺だけに限らず、メーカーはプロダクトアウトの傾向が強いという特徴があります。いざBtoCの事業を展開しようと思っても、マーケットに注目するという視点が抜け落ちがちなのです。

ヌードルツアーズは、社外の事業者とコラボしていかなければ成り立ちません。また、一般のお客様に向けた広報戦略も必要です。なので、インターン生についてはその部分を中心に担っていただきたいと考えています。

編集部

実践的なマーケティングスキルが身に付きそうですね。どういった方が、丸山製麺さんのインターンシップに合っているでしょうか?

丸山さん

私自身、前職や丸山製麺で新規事業を手掛けています。食品業界に興味があることは前提ですが、新規事業やスタートアップに関心がある方は丸山製麺のインターンシップに向いていると思います。

編集部

65年という歴史があることから、どうすれば食品業界で長年ビジネスを展開できるのかというノウハウも得られそうですね。

前向きに新しいことにチャレンジできる人材を求む

株式会社丸山製麺の取締役である丸山晃司さん

編集部

最後に、丸山製麺さんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。

丸山さん

一般的に製麺業界は斜陽産業だといわれています。しかし、新しいことをかけ合わせていけば、今後もこの業界で事業を大きくできると信じています。なので、前向きに新しいことにチャレンジしていきたいという方にぜひ入社いただきたいです。

丸山製麺で活躍できる方の共通点は、何事も素直に吸収できるという点です。採用の際も現時点でのスキルで採用するのではなく、それぞれの強みは何かという点に注目しています。

食品業界でのビジネスに関心を持っている方、また新規事業の立ち上げに興味を持っている方は、ぜひ当社までご連絡ください。

編集部

製麺業界という歴史のある業界で新しいことにチャレンジできる。今後海外展開も考えている丸山製麺さんでは、刺激的な経験ができるのではないかと感じました。本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社丸山製麺:https://www.maru-men.co.jp/
採用ページ:https://www.maru-men.co.jp/job.html