若手社員の育成やワークライフバランスに力を入れている企業を紹介するこの企画。今回は、「ポッカレモン100」「キレートレモン」など、数々のヒット商品を生み出し続けているポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社を取材させていただきました。
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社とは
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社は、株式会社ポッカコーポレーションとサッポロ飲料株式会社が統合して2012年に設立、翌2013年から事業を開始した食品・飲料メーカーです。
事業を開始して11年目ですので、ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社としての歴史は決して長くありません。しかし、ポッカコーポレーションとサッポロ飲料の事業自体はどちらも1957年から脈々と続いており、同年に発売されてから60年以上愛されてきた「ポッカレモン」をはじめ多くのロングセラー商品を擁しています。
会社名 | ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 (英文名:POKKA SAPPORO FOOD & BEVERAGE LTD.) |
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住所 | 本社(本店):愛知県名古屋市中区栄3‐27‐1 東京本社:東京都渋谷区恵比寿4‐20‐1 |
事業内容 | 飲料水および食品事業、外食事業、その他 |
設立 | 2012年3月30日 |
公式ページ | https://www.pokkasapporo-fb.jp/ |
働き方 | スーパーフレックス、テレワーク ※製造現場などの一部職場は対象外 |
今回は、ワークライフバランスを実現するための取り組み、若手の活躍と育成、採用にあたって求めている人物像などについて、人事総務部労政グループの山田はるかさん、人事総務部人事グループの浅野梨紗さん、調達部資材グループの渡邉豪さんにお話を聞かせていただきました。
ポッカレモンなどたくさんの「おいしい」を世の中へ
編集部
まず最初に、ポッカサッポロフード&ビバレッジさんの事業内容について教えてください。
山田さん
食品・飲料メーカーとして、新しい「おいしい」を生み出すべくレモン事業、飲料事業、スープ事業、プランツミルク事業(※)の4事業を展開しています。
(※)プランツミルクとは、豆乳やアーモンドミルクのような植物性食材からつくられた代替ミルクのこと
いちばん知名度が高いのはレモン事業だと思います。ただ、有難いことにそのほかの3事業でもお客様に長く愛していただいているブランドや商品が多く、聞き覚えがあったり、パッケージを見かけたり、商品を手に取っていただいたりしたことがあるというものがいくつも存在するのではないかと思います。
編集部
それぞれの事業には、どういったブランドや商品があるのでしょうか。
山田さん
レモン事業では「ポッカレモン100」「キレートレモン」の2つが基幹ブランドです。飲料事業では「TOCHIとCRAFT」「がぶ飲み」「ポッカコーヒー」のシリーズ、「つぶたっぷり贅沢みかん」などの「ほおばる果実」シリーズがご好評いただいています。スープ事業では「じっくりコトコト」シリーズがメインブランドです。
プランツミルク事業は、豆乳ヨーグルトの「SOYBIO」や豆乳飲料の「ソヤファーム」、アーモンドミルクの「アーモンド・ブリーズ」などのブランドを展開しています。
編集部
レモン事業、飲料事業、スープ事業、プランツミルク事業と、幅広い事業を展開し、それぞれの事業内で多くのヒットシリーズを生み出しているわけですね。
男性育休の取得推進などワークライフバランスに注力
▲3カ月の育児休業を取得した渡邉さんの調達部での業務の様子
編集部
ポッカサッポロフード&ビバレッジさんでは、ワークライフバランスを実現するためにどのような取り組みをされていらっしゃいますか。
山田さん
生産性を高めながら、いかに健やかにやりがいをもって働いていただくかということをトータルで推進しています。その1つとして有給休暇の取得推進をしているのですが、弊社の有休取得日数は平均で年間約10日となっており、まだ道半ばといったところです。
ただし、「全社一律でルールを決めて有休取得を推進する」ことが、必ずしも働きやすさに寄与するわけではありません。部署や仕事のあり方によって、どうすればワークライフバランスが実現するのか、どのように有休を取得しやすい環境をつくっていけばよいのかを、各部署が主体となり一緒に考えていくような形で進めています。
編集部
全社的な取り組みというのは、何か実施されていらっしゃいますか。
山田さん
安全衛生委員会で目標を掲げ、目標達成に向けた取り組みを労使で検討・実施する枠組みにしています。直近では、東京本社安全衛生委員会で「3か月間有休プラス1日キャンペーン」を展開しました。また、男性社員に対する育児休業取得の推進も全社的に行っています。
編集部
男性社員の方は、どれくらいの長さの育児休業を取得されているのでしょうか。
渡邉さん
個人や部署によってさまざまです。私は2022年の1月20日頃から4月のゴールデンウィーク手前まで、3カ月間の育児休業をいただきました。
上司や周囲のサポートで3カ月の男性育休後もスムーズに復帰
編集部
渡邉さんのご経歴や業務内容を、簡単にご説明いただけますでしょうか。
渡邉さん
2017年にポッカサッポロフード&ビバレッジに入社し、今年で7年目です。調達部という部署の資材グループで業務を行っています。商品に使われているペットボトル・缶・瓶・紙パックといった弊社の品質基準に合致した容器包装を、必要な量・必要なタイミングかつ適正価格で資材パートナー様から購入していく、というのが主な業務です。
編集部
育児休業を取得するにあたって不安などはございませんでしたか。
渡邉さん
ゼロではないものの、ほとんどありませんでした。もともと、妻の妊娠については安定期に入ったタイミングで上司に報告をしており、その時に「育休を取りたいという希望があるのなら、取ってくれていいからね」と言っていただいていたんです。周囲に男性で育児休業を取っている友人がいたこともあって、自分も取ってみようかと考えるようになりました。
それに加えて、妻が妊娠中につわりがひどく肉体的にも精神的にもつらそうでしたので、出産直後の育児の部分に少しでも協力できればと思い、育児休業を取得することにしたという経緯があります。実際に取得を申し出たときにも「奥さんのサポートをしっかり頑張ってね」と快く応援していただきました。
仕事面で他のメンバーには負担をかけてしまったと思いますが、取得に関して何か言われることもなく、復帰後も「おかえり」と温かく対応してくださって有難かったです。
編集部
育児休業はいかがでしたでしょうか。
渡邉さん
第1子ということもあり、父親として子育てをしっかりしていきたいと最初から思っていたのですが、実際に生まれてみると本当に可愛くて、自分が面倒を見ていかねばという決意が自然と生まれました。
男性で3カ月の育児休業なんて長いのではと、感じる方もいらっしゃると思います。しかし、1日寝かしつけで終わってしまったりと、過ごしてみればあっという間でした。大変なことももちろんあったものの、一言でまとめれば「楽しかった」です。
編集部
育児休業後に仕事に戻られた際に、何か困ったことなどはございませんでしたか。
渡邉さん
途中途中で、上司から「子育てはどう?」というような連絡をいただいていましたし、復帰する直前には「復帰したあとはこういう感じで仕事が待っているよ」と教えていただきました。そのため、困ったことなどはなく、スムーズに復帰できたと思います。
スーパーフレックスやテレワークを利用してセルフコントロール
編集部
有給休暇や育児休業のほかに、ワークライフバランスを実現させる取り組みがございましたら、教えてください。
山田さん
働き方ということでいうと、ポッカサッポロフード&ビバレッジでは社会情勢的にテレワークが必要とされる前から、スーパーフレックス制度とテレワーク制度を導入しています。
製造現場など一部の職場は対象外ですが、コアタイムがなく、セルフマネジメントや自己リーダーシップの下で、5時から22時のあいだで柔軟に業務時間を決めることが可能です。勤務場所も選択できますので育児や介護との両立もしやすく、「働きやすさ」の向上にひと役かっています。
また、お子さんが小学生までの社員は時短勤務も選択可能です。いろいろな働き方を組み合わせながら、ライフワークキャリアの実現につなげてほしいと思います。
編集部
有給休暇や育児休業の取得を推進しつつ、勤務自体も業務時間や勤務場所に融通がきき、子育てとの両立など自分の置かれた状況のなかで最大限効果的に効率的に働けるよう自身で調整ができるというのは有難いですね。
グループ間の異動も含め、若手がいろいろな場所で活躍
▲ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社のオフィス
編集部
ワークライフバランスに続き、今回の特集のもう1つのテーマである「若手活躍」についてお話を伺わせてください。ポッカサッポロフード&ビバレッジさんでは、若手社員にも重要なお仕事を任せていらっしゃるのでしょうか。
浅野さん
そうですね。例えば営業職であれば、取引額や取り組みが大きい重点企業を入社2年目3年目の社員が担当するというようなことが普通に行われています。売り上げが大きい広域系のコンビニエンスストアを、20代後半から30代の若手メンバーが担当していることも多いです。
もちろん営業だけでなく、研究開発やマーケティングでも比較的若いメンバーが主力ブランド担当になったりしています。
編集部
サッポログループ間での異動や出向というのはあるのでしょうか。
山田さん
はい、社員が自ら「あの会社でこういった仕事をしたい!」とサッポログループ内の公募に手を挙げて異動する場合もありますし、育成の一環として会社から「あの会社でこういったノウハウやスキルを学んできてほしい」ということで出向に送り出す場合もあります。
チューター制度や戦略的ジョブローテーションで若手を育成
編集部
若手社員の方を育成したり、フォローしたりするような体制がございましたら教えてください。
浅野さん
「若手成長支援プログラム」という新入社員研修をはじめとする入社3年目までの階層別研修を連続性がある育成パッケージにしたプログラムや、「チューター制度」などがあります。
「チューター制度」というのは、新卒で入社した社員に入社から1年間チューターと呼ばれる育成担当の先輩社員が1人ついて、伴走しながらOJTで育成をしていくという制度です。チューターがハブにはなりますが、チューターに対しての研修やサポートも行っており「若手社員を組織で育てる」という体制がつくられています。
編集部
スキルアップのための勉強会や研修というのはございますでしょうか。
浅野さん
他部署で約3~5日の業務体験ができる「社内インターン」や、短時間で行われる公募型のワークショップを通してさまざまなテーマを学ぶことができる自主参加型の「マナVIVA!」、さまざまな部門・職種・勤務地をローテーションして自分の持つ可能性を増やしてもらう「戦略的ジョブローテーション」などがあります。
また、若手グローバル人財育成プログラム「GPC」などサッポログループ全体で実施している研修もあるので、興味がある研修があれば、ポッカサッポロフード&ビバレッジが会社独自でやるものだけではなく、いろいろな公募研修にチャレンジできます。
将来を見据えて他部署での業務体験ができる「社内インターン」
編集部
「社内インターン」につきまして、もう少し詳しく教えてください。
渡邉さん
ポッカサッポロフード&ビバレッジの新しい取り組みとして、2021年から導入された制度です。自分のこれからのキャリアを見据えて、現在所属している部署とは別の興味や関心がある部署に行き3~5日の業務体験をすることができます。
私の同期もこの「社内インターン」で今の部署ではないところでの業務を経験しましたし、昨年の11月には私が所属している調達部で「社内インターン」を数日受け入れました。興味のある部署の業務に直接触れられる機会ですし、部署間の相互理解にもつながる良い制度だと思います。
編集部
応募には入社年数など決まりがある制度なのでしょうか?
浅野さん
現在は、入社3年目からマネージャーになる前の一般社員が対象です。ただし、受け入れる側の部署の負担もあるため、どの部署にでも行けるというわけではありません。制度を開始した2021年は17部署が「社内インターン」を受け入れて26人が参加、翌2022年は31部署が受け入れて40人が参加しました。
編集部
「社内インターン」をきっかけに異動するということもあるのでしょうか。
浅野さん
応募理由は人それぞれですが、特に若手社員は将来のキャリアを考えて異動も視野に入れつつ、興味がある部署でまず体験をしてみたいという方も少なくないようです。
制度にとらわれない相談室や自主的な勉強会が若手の活躍を後押し
編集部
若手社員の方を育成するような制度がほかにもありましたら、教えてください。
山田さん
制度ではないのですが、人事総務部の社員が毎週金曜日の夜にオンライン相談室を開いています。2年目から4、5年目までの若手社員が話したいこと、報告したいことがあれば気軽にどうぞというスタンスで、2022年の11月から始めて今までに3、40人ほどと話をしたそうです。人事と若手がつながる良い手段ですので、将来的に制度化も考えています。
浅野さん
また、これも制度ではないのですが、若手社員の自主勉強会コミュニティがあります。3、4年目の社員が集まって、業務に関わる勉強会を業務時間外に自主的に行うコミュニティです。中堅社員や部署長が依頼に応じて講義をしたり、業務に活用できる知恵を伝授したりして、その取り組みをサポートしています。
編集部
勉強会というのはどういうテーマで行われているのでしょうか?
浅野さん
スーパーに行くと、特売やフェアなどで商品がドンと積んであることがありますよね。営業活動の一環として、効果的な陳列の仕方を「陳列のカリスマ社員」に習おうという勉強会を先日開催していまして、面白いなと感じました。
編集部
上司や先輩社員の方々は、皆さん快く協力してくださるのでしょうか。
浅野さん
スケジュールなどにもよりますが、概ね快く協力してくださっていると思います。ポッカサッポロフード&ビバレッジは、社長を含めて役職ではなく「~さん」付けで呼び合う風通しの良い会社です。そうした上下関係による壁の低さもあって、こうした自由なアクションが行われています。
編集部
「チューター制度」や「ジョブローテーション」といった受け身的な制度だけでなく、自ら希望部署の業務体験に手を挙げる「社内インターン」や自主的な勉強会の開催などが活発に行われていることに、若手活躍の秘訣があるように感じました。
新しい「おいしい」と未来の「あたりまえ」を一緒につくる人を募集
編集部
採用や人材育成において、御社ではどのような方に来てほしい、どのような人材を育成したいとお考えになっているのでしょうか。
浅野さん
ポッカサッポロフード&ビバレッジは「人と社会と向き合い、未来の食のあたりまえを創造する」という使命のもと、次の「おいしい」をつくり出して未来の「あたりまえ」にすることに挑んでいる会社です。
今の「あたりまえ」であるホットとコールドが切り替えられる冷温式自動販売機を発案して共同開発したのも、果汁飲料「リボンオレンジつぶつぶ1L」を日本のペットボトル入り清涼飲料の第1号として発売したのも弊社(どちらも統合前)でした。
0から1を生み出して新しい「おいしい」をつくり、驚きや食の楽しみなど「おいしい以上の価値」を人と社会に届けていくことに、リーダーシップを発揮して一緒に挑んでくれる方が望ましいです。
編集部
最後に、このインタビューを通してポッカサッポロフード&ビバレッジさんに興味を持たれた読者の方に、メッセージをお願いします。
浅野さん
会社は外身だけを見ていても本当のところというのはわかりません。興味を持って中身をよく調べてみると、面白い取り組みをしていたり、若手社員を応援している会社だったりというのは、弊社以外にも実はたくさんあると思います。
本当に行きたいと思っている会社については、簡単に取得できる情報だけではなく社員と直接話をするなど一歩踏み込んだ情報収集をして、会社の本当の姿をキャッチしてください。
編集部
会社の情報収集にしても業務にしても、一歩踏み込んで自ら積極的に動くことが大切だということですね。本日はどうもありがとうございました!
■取材協力
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社:https://www.pokkasapporo-fb.jp/
採用ページ:https://www.pokkasapporo-fb.jp/saiyou/