開智所沢中等教育学校の先生と生徒が本棚の前で議論している様子

2024年開校!開智所沢中等教育学校の教員が作り上げる”新しい教育現場”とは

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、開智所沢中等教育学校にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同校で働く魅力をご紹介します。

2024年4月に開校した開智所沢中等教育学校は、教員にとって魅力的な特徴を持つ学校です。新設校ならではの「ゼロから新しい学校を作り上げる」というやりがいある機会に加え、30代・40代を中心としながらも、20代の若手から豊富な経験を持つベテランまで、多様な教員が活躍できる環境が整っています。

年齢や経験に関係なく活発な意見交換ができ、子育て世代が全体の約3分の1を占めるなど、ワークライフバランスを重視した働き方改革も積極的に推進。教育現場でのキャリアアップを目指す方にとって、新たな可能性が広がる職場といえます。

今回は、開校初年度ならではの挑戦や若手教員の活躍、ワークライフバランスの取り組みについて、太田先生、齋藤先生、坂田先生にお話を伺いました。

本日お話を伺った方
開智所沢中等教育学校・教頭補佐 広報主任の太田先生

開智所沢中等教育学校
教頭補佐 広報主任

太田先生

開智所沢中等教育学校・生徒会担当の齋藤先生

開智所沢中等教育学校
生徒会担当

齋藤先生

開智所沢中等教育学校・進路主任の坂田先生

開智所沢中等教育学校
進路主任

坂田先生

教員2年目でプロジェクトリーダーに!若手が活躍する開智所沢中等教育学校

開智所沢中等教育学校の国語科教員・齋藤先生の授業風景
▲開智高等学校の卒業生で、教員2年目の齋藤先生

編集部

最初に、御校で若手教員として活躍する齋藤先生からお話を伺いたいと思います。開智所沢中等教育学校に着任された経緯について教えていただけますでしょうか。

齋藤先生

国語科を担当する齋藤と申します。教員2年目で、教科以外では生徒会と文化祭実行委員会を担当しています(2024年11月現在)。

教員1年目は、岩槻区にある系列校の開智中学校で勤務していましたが、開智所沢中等教育学校の新校舎立ち上げのタイミングでお声がけいただき、本校への異動を決めました。管理職の方から「生徒と一緒にゼロから新しい学校を作り上げる経験は貴重だ」とお話をいただき、”新しい学校作りに自分が携われるなんて…”とワクワクしたことを今でも覚えています。

太田先生

実は齋藤先生は開智高等学校の卒業生で、在学中は生徒会長を務めていました。本校への異動は、齋藤先生の経験と実績を評価させていただいた結果でした。教員2年目ですが、開智の卒業生で本校への理解が深いため、生徒会や文化祭実行委員会のプロジェクトリーダーを担ってもらっています。

編集部

生徒会担当として活躍されているとのことですが、その担当に決まった経緯を教えていただけますか?

齋藤先生

太田先生からお話があった通り、在学中は生徒会長を務めていたので、自分の経験を活かすのなら生徒会だと思っていました。その気持ちを汲み取っていただき、生徒会担当に割り振ってもらえたのではないかと思っています。

ゼロからスタートさせた文化祭では、生徒たちのバックアップに尽力

開智所沢中等教育学校の文化祭のようす

編集部

スタートしたばかりの学校では、新設校でしか体感できないやりがいや楽しさがあるかと思います。そのあたりについて、齋藤先生はどのように感じていらっしゃいますか?

齋藤先生

文化祭を例に挙げると本当に何もないところからのスタートで、文化祭の名称も生徒たちと一緒に考えていきました。

太田先生

本校の文化祭の名称は、生徒たちが考えた案を全職員の前でプレゼンしてもらい、了承するという形を取っています。”プレゼンまでの準備は自分たちだけで行った!”と生徒は考えていると思うのですが、実は私たち教員が裏方としてサポートしています(笑)。つじつま合わせなど細やかな調整をしながら、生徒たちをさりげなく支援していくイメージです。

編集部

表立ってアドバイスするのではなく、生徒主体で考えられるようなサポートをされているんですね。他にも、生徒さんたちをサポートする上で、工夫していることなどはありますか?

齋藤先生

生徒たちが「やりたい!」と言ったことはできるだけ実現させてあげたいので、バックアップできる体制づくりを心がけていました。私がうまくサポートできないときには、周りの先生方が助けてくださったので、すごく安心感がありました。

「何か困ってることがあったら、いつでも仕事を振っていいからね」と声を掛けていただいたり、生徒にどう考えさせるのかの手立てを教えていただいたりなど、先生方それぞれのご経験から「こういうふうな指導をした方がいいんじゃないか」というアドバイスや提案をもらえたことがすごくありがたかったです。

開智所沢中等教育学校の文化祭でのステージ発表(左)、文化祭での展示(校庭に多数の傘が吊るされている)(右)

例えば、今年の文化祭では生徒から一般公開の希望が出て、友人や保護者を招きたいという声がありました。初年度ということもあり、安全管理の面から友人の来校は見送ることになったのですが、その過程で太田先生から、安全管理の方法や収容人数、教員の動き方など、生徒が普段考えないような視点についても考えさせるようアドバイスをいただき、生徒たちと一緒にベストな方法を考えました。

結果的に友人の来校は叶いませんでしたが、実現に向けて生徒たちと一緒に試行錯誤したことで、友人を呼べずにがっかりしていた生徒たちからも「楽しかった」という声をもらえて嬉しかったです。

ケーススタディを通して、ベテラン教員が若手教員のチャレンジを積極的にサポート

編集部

太田先生は、齋藤先生をはじめとした若い先生方のサポートをされる機会も多いかと思いますが、その中で心がけていらっしゃることがあればお聞きしたいです。

太田先生

基本はやっぱり「やってみる」ということですね。自分で対応できるならどんどんやってみて、それぞれが持つ教育観を大切にしてもらいたいです。

人を相手にする仕事なので、予期せぬ事態に遭遇したときは、過去に見た事例を踏まえながら、「この場合、人はこういう姿勢や動きをすることが多いから、こうした方がいいのかもしれないよね」というようなアドバイスをしています。経験則で全て当てはめるというよりは、ケーススタディのイメージですね。

開智所沢中等教育学校はいろんな学校からベテラン教員が集まった新しい学校なので、ケーススタディが豊富な点も若手教員にとってはプラスになるのではないかと思っています。

開智所沢中等教育学校の太田先生がインタビューに答えているようす
▲「まずはやってみること」を心がけていると話してくれた太田先生

編集部

ベテランの教員からアドバイスや提案がもらえる環境が整っているなら、若手教員も新しいことにチャレンジしやすそうですね。実際に齋藤先生ご自身はどのように感じていらっしゃいますか?

齋藤先生

意見を押し付けるのではなくて、「こういうのもいいんじゃない」というような提案をしてくださるので、とてもやりやすいです。あとは困ったときは絶対に助けてもらえるというふうに信頼できる先生方ばかりなので、頼りがいのある先輩がたくさんいるのは心強いですね。

キャリアや立場を超えて議論し作り上げる授業内容

開智所沢中等教育学校の世代の異なる先生たちが談笑している様子

編集部

授業内容はどのようにして決めていくのでしょうか?

太田先生

授業内容は、各教科の担当者で協力しながら作り上げています。例えば、齋藤先生が担当する国語科は20代の若手女性教員2名とベテランの男性教員1名という構成なんですが、キャリアや立場を超えて活発な議論を交わしている様子は傍から見ていて面白いです。

授業準備に関しても、教材を共有財産として活用することで効率化を図っているので、教員同士で協働しながら、より良い教育環境を作り上げていく工夫をしています。

編集部

そうした議論や準備を重ね、どのような授業をされているのでしょうか?

齋藤先生

例えば、授業の中で作者の気持ちについて考える際、「答えが1つで、作者の気持ちなんてわかるわけじゃないじゃないか」と苦手意識を持つ生徒も多いのですが、探究型の授業だと「答えが1つと限らなくてもいい」というような内容で進めることができます。

例えば、高校の教材に使われている江國香織さんの小説を授業に用いたときは、中学1年生でも読めるように心情把握から始め、私視点から書かれていたものを別の視点で読み取って物語を書き直すような創作活動まで発展させました。生徒たちは自由に表現できることに喜びを感じ、オリジナリティ溢れる作品をたくさん書いてくれましたよ。

このように教科での取り組みを活かしながら、学校全体としても新しい挑戦を続けています。

新設校「開智所沢中等教育学校」ならではの魅力とやりがい

編集部

坂田先生は教員歴10年とのことですが、新設校で働く魅力ややりがいをどのように感じていらっしゃいますか?

坂田先生

全てが初めての経験なので、通常の教員生活ではできないことを体験できる点ですね。もちろん大変ですが、それは心地よい大変さというか、やりがいのある大変さなので、とても貴重な経験をさせていただいています。

編集部

実際に坂田先生が御校でいろいろ経験された中で、特に印象に残っているものがあれば伺いたいです。

坂田先生

1学期の宿泊行事で、海に行って探究をする「磯のフィールドワーク」が印象に残っています。生徒と教職員合わせて400人近い規模の宿泊行事を、前例のない状態から作り上げました。既存の学校なら型があるのですが、本校はゼロから作り上げていかなければならなかったので、それがとにかく大変でした。

開智所沢中等教育学校が実施する磯のフィールドワークのようす
▲「磯のフィールドワーク」の実施風景

編集部

大変な中でも、坂田先生が心地よさを感じられた理由は何だと考えていらっしゃいますか?

坂田先生

行事が成り立って、無事に終えられたことですね。ほっとすると同時に大きな自信につながりました。

また、本校では多くの先生が他校での教員経験をお持ちなので、それぞれの経験に基づいた具体的なアドバイスをもらえましたし、「こういう事例があったからこうした方がいい」といった実践的な提案もいただけたので、先生方の協力があってこそ成り立った行事だと思っています。

働き方改革を実践!定時退勤が当たり前の職場環境

開智所沢中等教育学校の進路主任である坂田先生の授業風景
▲進路主任も務める坂田先生の授業風景

編集部

坂田先生ご自身が感じている、子育て世代にとっての働きやすさについて教えていただけますか?

坂田先生

まず、子育て中の先生が多いことが心強いですね。雑談の中で育児の相談やアドバイスをいただけます。最近では1歳9ヶ月になる娘のイヤイヤ期への対処方法や、妻と良好な関係を築くコツも教えてもらったりしました(笑)

また、定時になれば皆さんさっと帰られるので、残業しなければならないという雰囲気もなく、とても助かっています

編集部

定時に退勤できる雰囲気があるのは、子育て中の先生方にとってとても魅力的だと思います。ちなみに開智所沢中等教育学校の教職員の年齢層と子育て世代の割合はどのような感じでしょうか?

太田先生

30代、40代を中心に、小さなお子さんがいる先生が多いですね。教職員の約3分の1以上が子育て世代です。

教員の負担を軽減するICT活用事例

編集部

先ほど、御校では定時で帰宅される方が多いというお話がありましたが、子育て世代に対する周囲の気遣いや業務効率化の取り組みとして工夫されていることがあれば教えていただきたいです。

太田先生

例えば、時短勤務制度を利用している教員には、担任など負荷のかかる業務を振らないなどの人事上の配慮をしています。また、会議の途中であっても「退勤時間がきたら抜けるのが当然」というような空気感を作ったりもしていますね。定時がきたら帰ることが当たり前な雰囲気なので、子育て中の教員でも比較的働きやすいかと思います。

ほかにも、Googleツールを活用して情報共有を効率化していますので、朝の連絡事項はスプレッドシートで共有し、会議ではGoogleドキュメントでリアルタイムに議事録を作成するなど、できるだけ業務時間を削減するよう心がけています。

坂田先生

私も日々その恩恵を感じていて、会議に参加できない場合でもデータで情報共有されているので、後からアクセスして確認できて便利です。子育て中であることは、保護者の方々にも理解していただいていて、「無理をしないでください」といった温かい言葉もかけていただいています。

年齢や経験を超えた風通しの良い職場環境

開智所沢中等教育学校の職員室外観

編集部

職員室の環境づくりなど、働きやすさの面で工夫されていることがありましたら教えていただけますか。

太田先生

とにかく明るい職場だと感じています。もちろん生徒に関する重要な案件など、真剣に取り組むべき課題は多いのですが、それを前向きに乗り切っていこうという雰囲気があります。

職員室の環境づくりにも細かな工夫があります。例えば、教員用デスクの幅は一般的な公立学校の100cmより20cm広い120cmを確保し、椅子の間隔も広めに設定することで、お互いがぶつかることなく快適に作業できる空間を実現しています。

大きな窓からは自然光が入り、教職員が一箇所に集まれる配置にしているので、世代を超えた自然なコミュニケーションが生まれやすいですね。

また、教員同士の関係性もフラットで、若手教員でも積極的に意見を出せる雰囲気があります。緊急対応が必要な場面があっても、士気が下がることなく、教員みんなで「よし、やるぞ!」という前向きな姿勢で取り組んでいます。

編集部

教員の多様性という点で、どのような経験や専門性を持つ先生方が在籍されているのでしょうか。

坂田先生

かなり多彩で、公立学校出身の教員や私立学校出身の教員、齋藤先生のような系列校からの異動組など、様々な経験を持つ先生方がバランスよく在籍しています。

例えば、理科の教員の中で博士号を持つベテラン教員は、蝶の研究を専門として世界を舞台に活躍されてきた方です。その先生の経験や知識からいつも新しい発見をもらっていますし、生物の見方一つとっても、「この木にはこの虫が集まりやすい」といった専門的な視点も教えていただけるので、日々刺激を受けています。

開智所沢中等教育学校では、新しい学校作りに興味がある方を歓迎

編集部

最後に、新しい学校作りに興味を持った方へメッセージをお願いできますか。

太田先生

本校は新しい学校を作り上げている段階なので、教育に対する強い想いを持った方を求めています。教育に関して「一家言がある」という方なら、きっと活躍できる環境だと思います。

様々なチャレンジができる職場環境があり、新しい教育手法の提案や教育プログラムの開発など、教員としての専門性を高める機会が豊富です。「こんなことをやってみたい」という提案に対して建設的な議論ができ、教員一人一人の成長をサポートする体制が整っていますので、パワフルで、生徒一人ひとりの心に寄り添える教育を目指せる方は、ぜひ一緒に新しい学校を作っていきましょう。

編集部

インタビューを通して、開智所沢中等教育学校の教職員全員で新たな教育環境の構築に臨んでいる様子や、人間関係の良さがひしひしと伝わってきました。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

開智所沢中等教育学校のカフェテリア(左上)、体育館(左下)、中庭(右)
▲開智所沢中等教育学校では、綺麗な校舎で新しい教育にチャレンジできる!

この記事のまとめ

教育環境の特徴
  • 探究型の授業や新しい教育プログラムの開発に積極的に取り組む環境
  • GoogleツールなどICTを活用した効率的な業務運営
  • 120cmの広めの教員用デスク、自然光が入る快適な職員室環境
キャリア発展機会
  • 新設校ならではの「ゼロから新しい学校を作り上げる」経験が可能
  • 年齢や経験に関係なく、新しい教育手法の提案や企画が可能
  • ベテラン教員から具体的なケーススタディに基づくアドバイスを得られる
組織風土
  • 30代・40代中心で、教職員の約3分の1が子育て世代
  • 世代や経験を超えた活発な意見交換が可能な風通しの良い環境
  • 教材の共有や協働作業を通じた効率的な業務推進
働き方の特徴
  • 定時退勤が当たり前の職場風土
  • 子育て世代への配慮(時短勤務制度、業務配分の工夫)
  • 会議や情報共有のデジタル化による業務効率化
教員の多様性
  • 公立・私立学校出身者、系列校からの異動など様々なバックグラウンド
  • 博士号保持者など専門性の高い教員が在籍
  • 20代の若手から豊富な経験を持つベテランまで幅広い年齢層

開智所沢中等教育学校の基本情報

住所 埼玉県所沢市大字松郷169
設立 2024年
公式ページ https://secondary.kts.ed.jp/
採用ページ https://secondary.kts.ed.jp/recruit/
募集職種 教員