社会課題の解決に寄与する先進的な事業に取り組み、成長を続ける企業を特集するこの企画。今回は国内最大のDX推進プラットフォーム「SIGNATE」を運営する株式会社SIGNATEにお話を伺いました。
DX人材育成のリーディングカンパニー・株式会社SIGNATE
株式会社SIGNATEは企業のDX推進をミッションに掲げ、AI開発やデータ分析を行うDX人材の育成・活用事業を推進し、開発から育成まで企業のDXをトータルサポートする企業です。
昨今、国内の労働力不足を背景に企業のDX推進は重要トピックとして注目されてはいるものの、DX推進を担う人材不足などを背景に、思うように進捗していないのが現状です。そんな中で株式会社SIGNATEはコンペティションを通じた企業側とDX人材のマッチングによる「社外の人材活用」、そしてDX教育サービスによる「社内の人材活用」の両面からDX人材育成・活用のソリューションを提供し、企業のDX推進に貢献しています。
会社名 | 株式会社SIGNATE |
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住所 | 東京都千代田区神田錦町2-2-1KANDA SQUARE WeWork内 |
事業内容 | ・AI開発 ・開発コンペティション運営 ・ビッグデータ解析 ・データサイエンス教育研修 ・データサイエンティスト採用支援 ・ビッグデータ活用事業コンサルティング ・AI関連ソフトウエア開発等 |
設立 | 2017年5月1日 |
公式ページ | https://signate.co.jp/ |
株式会社SIGNATEが運営するデータサイエンスプラットフォーム「SIGNATE」はデータサイエンティストやAI・データ分析人材が登録する会員10万人以上を擁する日本最大のプラットフォームとなっています。また株式会社SIGNATE自体も、大手企業や官公庁のDX推進に多数関わり、DX推進における高い技術・ノウハウを有する企業として信頼・実績を積み上げています。
今回は、そんな株式会社SIGNATEの広報・田辺さん、人事・磯部さんのお二人にお話を伺いました。株式会社SIGNATEが2017年の設立以来成長を続ける背景や、若手社員の活躍の秘訣に迫っています。
企業のDX推進に向け、ハイブリッドなDX人材活用サービスを提供
編集部
まずはSIGNATEさんの事業内容について簡単に教えてください。
田辺さん
SIGNATEは社会全体のDX推進における人材不足という課題を解決することをミッションに掲げるベンチャー企業です。国内最大のDX推進プラットフォーム「SIGNATE」を運営しており、そこで「社外人材活用」と「社内の人材活用」の2軸からソリューションを提供しています。
社外人材活用の面で行っているのは「SIGNATE Competition(コンペティション)」という、コンペティションを通じ企業のAI開発・データ分析を支援する取り組みです。社内人材活用の面では、「SIGNATE Cloud(クラウド)」という、企業のDX人材育成をサポートするサービスを提供しています。この社内・社外の2軸からハイブリッドソリューションを提供することで、DX人材不足という社会課題の解決に挑戦しています。
オープンイノベーション形式で企業とDX人材をマッチングする「SIGNATE Competition」
▲企業と会員の双方にメリットのある「SIGNATE Competition(コンペティション)」
編集部
「SIGNATE Competition」というのは具体的にどのようなサービスなのでしょうか。
田辺さん
簡単に言うと「企業がAI開発やDX推進プロジェクトを進めていく上で必要な知見・人材を、SIGNATEのプラットフォームを通じてコンペティション形式で募る」という取り組みです。企業が持つ課題やデータをSIGNATEが運営するプラットフォーム「SIGNATE」を通じて提供していただき、それを元にSIGNATEに登録した会員様がご自身でアルゴリズム作成し投稿していく、という形で実施しています。
編集部
コンペティション形式という、さまざまな方が競い合う形にすることで、企業は最も高精度のアルゴリズムを調達することができるんですね。コンペティションに参加される会員様というのはどのような方が多いのでしょうか?
田辺さん
SIGNATEが運営する「SIGNATE」は現状10万人超という国内最大の会員組織を有しています。その中には大手企業に勤めるデータサイエンティストの方から情報系の学部で学ぶ学生まで、さまざまなスキルの方が登録していますよ。
編集部
さまざまなレベル、スキルをお持ちの方が一斉にコンペティションに参加して、競争形式でアルゴリズムを作成していくことになるんですね。
田辺さん
その通りです。コンペティションによって、データの種別や評価指標の軸は変わります。投稿されたアルゴリズムのランキングはリアルタイムで分かるようになっています。参加されている方はランキング上位を目指し、コンペティション期間中に毎日投稿をされている方もいらっしゃいます。
最終的にランキング上位のアルゴリズムは、企業に権利譲渡され、その代わりに、企業から賞金や賞品などが授与されるという仕組みです。
「SIGNATE Competition」の特徴は、DX人材を求める企業様と、活躍の場を求めるDX人材のマッチングができるという点です。それに加えて、会員様同士が解法などを共有し合うことで、データサイエンティストの学びの場としても機能しています。
▲「コンペティション」という競争形式だからこそ、切磋琢磨し精度の高いアルゴリズムが生み出されている
10年足らずで国内最大のプラットフォームに成長
▲会員数は右肩上がりに上昇。2023年現在は10万人を突破!(公式サイトから引用)
編集部
先ほども「SIGNATE」が国内最大の会員数だというお話をいただいておりましたが、どのくらいの期間でそれ程多くの会員組織となられたのでしょうか。
田辺さん
SIGNATEという社名となったのは2017年ですが、コンペティション事業自体は2013年頃から実施していました。そこから約10年で会員数10万人を突破したことになりますね。
編集部
10年足らずで10万人超の会員数となったんですね!その中で、急激に会員数が伸びたタイミングなどはありますか?
田辺さん
いえ、どこかのタイミングで顕著な伸びがあったのではなく、コンスタントに会員数を増やしてきました。ここ10年程で日本国内でAI技術は急速に発展してきているものの、AI・データ分析コンペティションに取り組む企業は国内にはまだまだ多くはありません。その点で、SIGNATEはパイオニアとしてこのコンペティションという事業をリードしてきたリーディングカンパニーと言えると自負しています。
国の案件を手掛ける確かな実績と、企業・会員双方へのメリットの供与が急成長の秘訣
編集部
今おっしゃったようにSIGNATEさんがリーディングカンパニーであること、またAIが発展しているという社会潮流の他に、急成長に寄与するSIGNATEさんならではの事業の強みはどこにあるとお考えですか?
田辺さん
1つは、SIGNATE自身の実績により企業様から信頼を得られていることです。SIGNATEでは大手企業様をはじめ、国や自治体のDX推進の案件も数多く手がけています。多くの企業様のコンペティションが誘致できているのは、SIGNATE自身が信頼に足る実績を積み上げているからこそだと思っています。
もう1つは、このAI開発・データ分析コンペティションの事業が企業・会員双方のニーズを満たしていることです。企業様にとって自社でデータサイエンティストを採用するハードルは高く、AI開発やデータ分析を内製化するのは難しい現状があります。また1社に発注して失敗するリスクもあります。
しかし、SIGNATEにご依頼いただくことで10万人の知見を総合した精度の高いアルゴリズム開発が可能となるというメリットがあるのです。
また会員様の多くは実際の現場に出たときに活用できる実用的なスキルを求めています。SIGNATEのコンペティションでは企業様のリアルなデータを使ったアルゴリズム開発ができるため、知識だけでなく実際の現場で活かせるスキルを積み上げていくことができます。
もちろんスキル習得だけでなく、会員様の活躍の場になっていることも大きなポイントです。コンペティション形式のため、上位にランクインしてご自身のスキルを証明したいという会員様のニーズも満たすものとなっています。さらに、就職や転職の際に「SIGNATEでGrandMasterの称号獲得」や「〇〇コンペで1位受賞」など履歴書に記載いただけるほどです。
このように、企業様側のニーズ、会員様のニーズ、弊社自身の実績などさまざまな要素がスパイラルに絡み合っていくことで、国内最大のプラットフォームになるまでに成長できたのだと考えます。
今後はDX人材の採用を支援する新サービスも展開
編集部
SIGNATEさんが考える今後の展開を教えてください。
田辺さん
短期的には、今の「SIGNATE Competition」の事業にある「企業と人材のマッチング」という側面を発展させたサービス「SIGNATE Partners(パートナーズ)」をローンチしました。コンペティションが間接的な企業支援でしたが、これからは直接企業様と会員個人をつなぎ、企業の支援ができるような事業となっています。
磯部さん
もう一歩先の将来としては、現在SIGNATEで進めているそれぞれの事業を有機的につなぎエコシステム(※)化していきたいと考えています。
※エコシステム…企業間・サービス間で相互連携し共存する仕組みのこと。
CEO齊藤さんが面接時に語っていたとても印象的な言葉があります。
「【学ぶ】と【働く】の融合」を達成したい。これは、高額な教材費を払って時間を費やして学んでも採用時には即戦力や実務経験をとわれて働けない。また、頭にインプットはできるが手を動かせる実践の場がなくスキルが身体にしみついていないため仕事で発揮できない。など、埋もれた才能が活躍できる機会が少ない現状を打開したいという想いから発せられた言葉です。
そのため、SIGNATEではぶつ切りになっている両者を融合させ、データ人材をエンパワーメントできる仕組みを実現化できたらと思っています。
編集部
今後は事業をさらに多角的に展開されていくんですね。さらに事業同士を連携させることで、SIGNATEさんの構築されるシステムが国内のDX推進全体を底上げしていくものになることが期待されます。
新事業部「TaaS」では若手メンバーを中心に新規事業を創出
編集部
続いて若手活躍のテーマに移らせていただきます。SIGNATEさんは現在、どのような年齢構成なのでしょうか。
磯部さん
SIGNATEの平均年齢は2023年7月現在で32.8歳なのですが、年齢構成のボリューム層は20代後半、30代前半となっています。
特に若手社員が活躍しているのは「Taas Business Group」という事業部です。TaaSは2023年7月の組織再編によって新たに立ち上げた事業部で、今後成長していく事業部です。そのため新しく入っていただくメンバーは全員が幹部候補。今後はさらにAI/IT戦略コンサルタントのポジションで活躍する人材の採用も行っていきたいと考えています。
編集部
新しい事業部となるTaaSでは、若手社員の方はどのようなことに取り組まれているのでしょうか。
磯部さん
TaaSでは30歳前後のメンバーを中心に新規事業の開発に取り組んでいます。さまざまなバックグラウンドを持つメンバーがゼロイチで事業を立ち上げるために、日々高速で仮説検証を繰り返していますよ。
AI/IT戦略コンサルタントのポジションでの採用を計画していると言いましたが、新しく加わっていただく方にも単にコンサルをするというだけではなく、事業を0からつくりだす事業開発・企画・推進に携わっていただくことになります。
若手社員成長のカギは、知識・ミッションをインプットできる研修+社員自身の主体性
編集部
SIGNATEさんでは日々切磋琢磨して若手社員の方々がご活躍されていると思いますが、会社として社員の方の成長を後押しする制度などはあるのでしょうか。
磯部さん
中途社員は同じ部署の先輩がOJT研修を行う場合も多いと思うのですが、SIGNATEでは入社オリエンテーションをはじめ、配属先でも入社後2週間、グループ全体で研修に関わり、事業に必要な知識だけでなく事業戦略やグループミッションのインプットを集中的に行っています。実務に関することはもちろん、ビジネスフレームワークなどもお伝えしていますよ。
研修の最後には、それぞれで目標達成に向けたアクションプランを立て、発表してもらっています。実際に研修を受けた社員からは、かなりの情報量だった、濃厚な期間だったという声も聞いており、かなり良いインプットができる場となっているのではないでしょうか。
研修を終えてから実際の業務に取り組んでいただくことになります。もちろんいきなり自走できるわけではありませんが、社員同士でかなり積極的にコミュニケーションを取っており、それがスピーディーな成長につながっているなと感じます。目的意識の高い人が集まっているため、自身の成長に関する意識や主体性を高く持って取り組んでくれていますね。
編集部
入社後研修の中で業務の基礎知識だけでなく、会社全体の方向性も落とし込み、さらに自分自身のアクションプランも明確にした上で業務にあたることができるのですね。また社員の方の自主性も大きく成長に寄与しているということが良く分かりました。
多職種で情報交換ができる「朝会」など、社員同士のコミュニケーションが成長を後押し
編集部
社員同士のコミュニケーションについても触れていただきましたが、SIGNATEさんでは社員同士のコミュニケーションを促進するために取り組んでいることはありますか?
磯部さん
SIGNATEは基本的にリモートワーク(在宅勤務)なのですが、皆で情報交換できる機会として、各部署の必要頻度(毎日や週1回など)で「朝会」を実施しています。
またコミュニケーションツールとして使用しているSlackでもかなり活発にやり取りをしています。事業部ごとの個別チャンネルもオープンにしているため、別の事業部の人が何をしているのかという情報を誰でも取りに行ける体制になっているのも特徴です。
さらに、仮想空間でオフィスを再現してさらに気軽な情報交換に取り組んでいる事業部もあります。
編集部
「朝会」は具体的にどのような内容で行われているのでしょうか。
田辺さん
朝会にはグループ内だけでなく、職種・部署を超えていろいろなメンバーが参加し、本当にざっくばらんにさまざまなことを話していますね。SIGNATEでは皆が“自律人材”として情報を取りに行こうという気概を持っているため、こういったコミュニケーションの機会を捉えて本当に主体的に、積極的に情報交換を行っています。
例えば朝会では、職種は違うメンバー同士で会話することもあります。データサイエンティストをはじめ、エンジニア、コンサルタント、営業などいろいろな職種のメンバーがいるからこそ、職種の異なる方の仕事の進め方などを学ぶことができる場になっていますね。
編集部
かなり幅広い知識を得られる機会になっているんですね。そんな刺激的なコミュニケーションの機会が日常的にあるのはとても魅力的だと感じました。
SIGNATEで活躍できるのは「目的志向」の方。新規事業開発の経験を得たい方はぜひ
編集部
最後に、記事を読んでSIGNATEさんに興味を持った読者の方に向けて、メッセージをお願いします。
磯部さん
SIGNATEが求める人材、そしてSIGNATEで実際に活躍している人材に共通するのは「目的志向」であることです。現状、SIGNATEではオフィス出社ルールなど、働き方に関する制限を会社でかけることはなく社員が自己管理しています。だからこそ、ルーティンの仕事をこなす方ではなく、達成したい目的や目標を掲げ、それに対して自律的に行動している方はSIGNATEにフィットし、活躍していけるのではないかと考えます。
またSIGNATEでは現在、経験豊富な経営陣とディスカッションしつつ、若手社員を中心に事業開発を進めています。ゼロイチで事業を立ち上げる経験というのは、他ではなかなかできることではありません。新規事業の立ち上げや、その新規事業を自分の手で成長させていくという経験をしたい方に、ぜひジョインしてもらえると嬉しいです。
編集部
「目的志向」「情報を積極的に取りに行く」という言葉が、今回の取材の中で印象に残りました。スピーディーな事業成長を遂げながら、若手社員を中心とした新規事業開発も進められているSIGNATEさんでは、主体性と意欲を持って取り組むことで、他ではできない挑戦のチャンスをどんどんと掴み取っていくことができそうです。
本日はお忙しい中、ありがとうございました!
■取材協力
株式会社SIGNATE:https://signate.co.jp/
採用ページ:https://signate.snar.jp/index.aspx