革新的な事業内容を展開するスタートアップ企業を紹介するこの企画。今回は、スパイスキューブ株式会社にお話を伺いました。
同社は、小スペース・低価格で始められる農業装置「アグロット」の提供を通じて植物工場の事業化を支援する、アグリテック系スタートアップです。工場の設置に加え、収穫した野菜の販路開拓や買取サポートまでトータルで支援し、次世代農業システムの確立を進めています。
今回は代表取締役の須貝さん、営業部の吉浦さん、広報部の樋口さんに、革新的な事業の強みや今後の展開、スタートアップならではの働き方について詳しくお話を伺いました。
スパイスキューブ株式会社のミッション:世界中どこでも農業の実現
▲代表取締役の須貝さん
編集部
はじめに、スパイスキューブ株式会社を設立された背景を教えてください。
代表・須貝さん
元々私は20代のときからずっと農業に従事してきた“農業オタク”です。その中で既存の農業ビジネスで将来的な食料自給率、食の安全性を担保していけるのか疑問を持っていました。自分に子どもができたこともきっかけとなり、未来の子どもたちに安全安心でおいしい野菜を食べてもらうためには次世代につながる新たな農業システムが必要だと考え、スパイスキューブの設立に至りました。
スパイスキューブのミッションは「世界中どこでも農業を実現」すること。当社の事業を通じて農業人口の増大、ひいては食料自給率の向上につなげていきたいというビジョンを描いています。
植物工場設置のコスト削減、6次産業化のトータルサポートが強み
▲水とLEDで葉物野菜を育てる農業装置「アグロット」
編集部
アグリテック系事業は他にもあると思いますが、スパイスキューブさんならではの独自性はどういった点にあるのでしょうか。
営業・吉浦さん
一番大きいのが、一般的な植物工場よりも低コストで事業化が実現できる点です。従来の植物工場は資金力のある大企業などが1億円以上のコストを投入し、スケールメリットを活かして運用していくという形が一般的でした。しかしスパイスキューブの提供する農業装置を導入すれば、都心の空き工場や空き物件などを活用して植物工場を建設できるため、莫大にかかる初期費用を従来の5分の1以下まで削減可能です。
またスパイスキューブでは農業コンサルトの派遣により、生産方法や施設オペレーションなどの生産技術承継、販路開拓、6次産業化までをトータルでサポートしています。植物工場の建設だけでなく、農業をビジネスとして成立させるための支援を行うこのサポート体制もスパイスキューブならではの強みといえるでしょう。
編集部
露地栽培ではないため味が気になる方も多いと思いますが、その点はいかがでしょうか。
広報・樋口さん
水とLEDのみで栽培している分、土からくるえぐみがなく、野菜本来の味わいが感じられる野菜となっています。ドレッシングをかけずにオリーブオイルと塩だけでサラダにできるくらい、味には自信があります!
代表・須貝さん
東武ホテルレバント東京や神戸ポートピアホテルなど、関東・関西の著名なホテル内にあるレストランでも当社の農業装置で育てた野菜を使っていただいています。シェフからは味はもちろんのこと、地元産の無農薬野菜という点、土や農薬が付いていないため洗う手間がない点も評価いただいています。
革新的な農業システムの全国展開と、社内体制の強化で成長スピードを加速させる
編集部
スパイスキューブさんが考えていらっしゃる今後の展開を教えていただけますか?
代表・須貝さん
農業人口を増やす、食料自給率を上げるという目標に向けて、今後はこの農業システムを関西だけでなく全国に展開していきたいと考えています。そのためにも個人農家だけでなく地域の企業も巻き込みながら事業の確度を上げていけたらと思っています。
一方で、私としてはダイレクトエアキャプチャーという技術と農業を融合させ、二酸化炭素を削減する研究を追求していきたいという希望も持っています。設立から6年目というアーリー期にあって、農業に関する新たな可能性を探っていくためにも、今の事業を任せられるような人材育成や新しい人材の確保も同時に進めていきたいです。
スタートアップを支える社員が語る、スパイスキューブの職場環境
編集部
スパイスキューブでどのような方が働かれているのかについても伺いたいと思います。現在御社は今回インタビューにお越しいただいた3名で運営されているとのことですが、吉浦さん、樋口さんの簡単なご経歴と現在のお仕事内容を教えてください。
営業・吉浦さん
私は前職では医師や薬剤師に医薬品を紹介する仕事をしており、2023年の4月にスパイスキューブに転職しました。現在は営業を中心に、植物工場立ち上げのための計画立案や、農業コンサルタントとしての現地支援などの役割を担っています。
▲営業部の営業・吉浦さん
広報・樋口さん
私は旅行関連の仕事を経て今年6月に広報として入社しました。現在は会社広報に携わりつつ、研修期間として野菜の生産方法や販路開拓に関するさまざまなことを学んでいます。
▲広報部の広報・樋口さん
編集部
営業・吉浦さんは入社から1年半経過されているとのことですが、スパイスキューブさんで働いた上での率直な感想をお聞かせいただけますか?
営業・吉浦さん
スパイスキューブには、業務知識だけでなく社会人としての基本姿勢など、幅広い学びが得られる職場環境があると感じています。現在はさまざまな役割を横断的に任せていただいているため大変さもありますが、それ以上に新たな学びを得たり、自分でも知らなかった得意分野を発見したりできるなど、自分自身の成長につながっているなと実感しています。
もう1つスパイスキューブに入って新鮮だったのが、社員の提案を受け入れる社風です。代表には日頃から「何でも提案して良い」と言われているんですよ。ただ提案するだけでなくその提案を採用してもらえる環境があるからこそ、前向きにいろいろなことに挑戦できています。
編集部
「社員の提案を受け入れる」という社風の裏には、どのような思いがあるのでしょうか。
代表・須貝さん
私は経営者として“現場視点”を最も大切にしたいと考えています。現場で働いているからこそ得られる気づきは、サービス改善の上でとても重要です。実際にこれまで吉浦から提案されたことで現場の生産業務を改善した事例もあるんですよ。年齢や立場に関係なく、現場から上がってきた意見は積極的に受け入れて、サービスの改善につなげていきたいと考えています。
評価次第では社長になることも!?“能力主義”の評価体制
編集部
営業・吉浦さん、広報・樋口さんはお二人とも農業分野以外から転職されていますが、スパイスキューブさんでは農業関係の知識や経験はなくても問題ないのでしょうか。
代表・須貝さん
採用にあたって農業経験は重視していません。農業技術の習得自体はそこまでハードルは高くないため、むしろ入社後に情熱や積極性を持ってそれを習得しようとする姿勢、そして数字で成果を出せるかを重要視しています。
営業・吉浦さん
入社後には知識習得のためにフォロー体制もありますが、スパイスキューブで働く上で重要なのは、受け身ではなく自ら主体的に行動する姿勢です。フォローを待つだけでなく自分の意見や考えを積極的に発信することで、フィードバックを受けながら成長していくことができると思います。
編集部
数字で成果を出せるかを重要視しているとのことで、スパイスキューブさんの具体的な評価体制についても教えていただけますか?
代表・須貝さん
スパイスキューブでは定性的な評価を極力なくし、数字で評価をする能力主義を取っています。私自身会社員として長く働く中で、社内政治やコミュニケーションが評価に影響する不平等さを身を持って実感してきました。だからこそスパイスキューブでは自分の主観や関係性など曖昧な評価基準ではなく、きちんと目に見える数字、成果で評価する体制としています。実際にグループ会社では、入社2年目で社長を務めている社員もいるんですよ。
一方でただ数字だけを見て判断してしまうと、数字が上がっていない原因は何なのか見落としてしまうこともあります。そのため先ほど吉浦からもあったように、社員の「積極性」も数字とあわせて重要な評価ポイントとしています。自分自身の存在意義や価値を会社や社会に対してアピールする積極性や行動力があればおのずと成果もあがってくるだろう、というのがスパイスキューブにおける評価の考え方です。
編集部
先ほども社員の方の提案を柔軟に受け入れるとのお話がありましたが、評価においてもフラットに社員の能力や積極性を見ていくということですね。
代表・須貝さん
その通りです。もし私よりも能力が高いという評価になれば、スパイスキューブの社長もその社員に任せるつもりです。実は吉浦も乗り気なんですよ(笑)。
営業・吉浦さん
もちろん会社を乗っ取ろうというわけではないのですが(笑)、今後須貝が新たな事業に注力していく中で、自分が責任を持って今のスパイスキューブを任せられるような人材になれればと考えています。
代表・須貝さん
スパイスキューブ内で上を目指すことももちろんですが、自分の人生を豊かにするためにスパイスキューブを利用して成長してほしいというのが私の思いです。吉浦や樋口が今後スパイスキューブで得たノウハウをもって独立するとしても、私としては全く構いません。未来の子どもたちのため、社会のための会社として、関与する人間全員の幸せにつながる存在にスパイスキューブがなれたらと考えています。
スパイスキューブは働く場所も時間も自由。自分で働き方をコントロール
▲リモートワークを基本としながら、事務所での作業も可能
編集部
働き方や会社カルチャーについても伺います。スパイスキューブではそれぞれの裁量に任せた働き方を採用されていると伺ったのですが、実際にどのような働き方をされているのでしょうか。
広報・樋口さん
働き方は本当に自由です。私は研修中ということもあり植物工場の現場に足を運ぶことが多いのですが、基本的にはパソコンさえあればどこでも仕事ができます。一般の会社にあるような定例会議もなく、働く場所・時間の制限もないため、自由な時間の使い方ができるのがスパイスキューブの魅力です。
代表・須貝さん
ただし時間の制約がない分、残業に関しても自分の裁量で行ってもらっています。推奨はしていませんが、農業という仕事の性質上、土日の休日出勤をするケースも少なくありません。責任を伴う自由な働き方ができるという点で、自分で自分の働き方をコントロールしたいという方にはぴったりの環境があると思います。
編集部
なるほど。働く場所は自由とのことですが、事務所も設置されているんですよね。
広報・樋口さん
難波の近くの桜川に事務所を設けています。自宅ばかりだと集中が続かないし、カフェなどを頻繁に利用すると費用がかかるため、作業スペースがあることはとてもありがたいなと思っています。
営業・吉浦さん
私も普段自宅やコワーキングスペース、カフェなどさまざまな場所で自由に働いていますが、事務所も重宝しています。事務所に行けば2人に会えるのもポイントです(笑)。
全員フラットに審査される毎年の“Tシャツデザインコンペ”で盛り上がる!
編集部
スパイスキューブさんならではの社内カルチャーやイベントなどはありますか?
代表・須貝さん
毎年、会社Tシャツデザインの社内コンペを実施しています!誰がデザインしたのか分からない状態にしてパートやアルバイトの方も含めた社内投票を行っています。私はデザインが得意なので毎年負けないように頑張っているのですが、2年連続で吉浦に負けてしまっているんです(笑)。
広報・樋口さん
私も一度挑戦しましたが、吉浦には敵わなかったですね。
営業・吉浦さん
2年連続選ばれて、正直気分が良いです(笑)!
代表・須貝さん
社内全体が盛り上がる、毎年恒例のイベントになっていますよ。
編集部
これまでのインタビューからもとても良い雰囲気があるなと伝わってきましたが、社内イベントの事例からも、会社全体に和やかでフラットなカルチャーがあることが良く分かりました。
メッセージ:評価も年収も“自分次第”の環境に魅力を感じる方はぜひ
編集部
最後に、スパイスキューブに興味を持った求職者の方に向けてメッセージをお願いします。
広報・樋口さん
スパイスキューブには何でも挑戦できる環境が整っています。頑張ろう!という気持ちがある方はぜひ私たちと一緒に組織をつくっていきましょう。
営業・吉浦さん
私はもともと農業に興味があったのですが、スタートアップで働くつもりはありませんでした。しかしスパイスキューブに出会い、不安ながらも飛び込んでみたことで、さまざまな発見、学びを得ることができました。
スパイスキューブは「できる」ではなく「やりたい」という気持ちがあれば挑戦できる環境があります。自分自身の経験にとらわれず、「やりたい」という気持ちを持つ方はぜひスパイスキューブに来ていただけると嬉しいです。
代表・須貝さん
スタートアップの魅力は、自分次第で人生のサイズ感を大きくしていけるところにあります。曖昧な評価基準や決まった業務しかできない環境に不満を感じる方には、ぜひスタートアップをおすすめしたいです。
中でもスパイスキューブではいきなり副社長になったり、グループ会社の社長になったり、年収が倍増したりと、能力主義だからこそスピード感を持ってどんどん上に上がっていける環境があります。もちろん成果を出せないと取り残されてしまうリスクもありますが、自分自身の責任で人生のサイズ感を大きくしていくことを楽しめる方はぜひスパイスキューブにジョインしていただければと思います。
編集部
須貝さん、吉浦さん、樋口さん、本日はお忙しい中貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!
スパイスキューブ株式会社の基本情報
住所 | 大阪府大阪市浪速区桜川1-1-30 |
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事業内容 | 植物工場の事業化支援、農業装置の設計開発 |
設立 | 2018年2月 |
働き方 | リモートワーク フレックスタイム制度 |
公式ページ | https://www.spicecube.biz/ |
採用ページ | 公式サイトの採用ページ:https://www.spicecube.biz/recruit Wantedly:https://www.wantedly.com/companies/spicecube |
募集職種 | 営業、広報 |