新しい働き方を取り入れている企業に、お話を伺っているこの企画。今回は、コミュニティプラットフォーム「Tailor Works(テイラーワークス)」の提供を通じて、社会課題解決に資する成果を生み出す「共創型コミュニティ」の創出に取り組んでいる株式会社テイラーワークスにインタビューさせていただきました。
株式会社テイラーワークスとは
株式会社テイラーワークスは、地域や産業の課題解決の仕組みづくりを支援するコミュニティプラットフォーム「Tailor Works」を提供しています。「世界を変えるつながりを創る」をミッションに、「ひらめきにときめく社会へ」をビジョンとし、多様なステークホルダーが課題を共有しながら社会課題解決に資する成果を生み出していく「共創型コミュニティ」の創出を手掛けています。
会社名 | 株式会社テイラーワークス |
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住所 | 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア39階 |
事業内容 | コミュニティプラットフォームの企画・開発・運用支援 |
設立 | 2018年5月 |
公式ページ | https://tailorworks.com/ |
株式会社テイラーワークスの社員は、経営陣を除く全員がフルリモート勤務。全国各地から業務に携わる社員約30名が在籍する会社の風土や求める人材について、執行役員の土手本 怜(どてもとりょう)さんにお話を伺いました。
社会課題解決を促進する「共創型コミュニティ」を創出
編集部
最初に御社の事業内容についてご説明いただいてもよろしいでしょうか。
土手本さん
弊社は、地域や産業の課題解決の仕組みづくりを、コミュニティの創出・運営・活性化により支援を行うサービス「Tailor Works(テイラーワークス)」を提供しています。
産業に関わる全てのステークホルダーが、地域、業界、業種、テーマなど様々なコミュニティにアクセスすることで、課題を共有しながら解決し合える世界を実現し、多様な社会課題を解決するコレクティブインパクトの仕組み作りをサポートします。また、コミュニティコンサルティングといった伴走支援もご提案しています。
個人の方々は、Facebookのように無料でご自身のアカウントを発行していただくと、業種や地域に限らず、多様なビジネスパーソンとコミュニケーションや出会いが可能になります。コミュニティ内のイベントに参加したり、コンテンツ発信や課題のヒアリングなど、全国各地の地域事業者や団体へアクセスすることができます。
編集部
主なクライアントは自治体や企業になりますか? クライアントが「Tailor Works」を導入したきっかけや導入後の変化など、具体的な事例を伺ってもよろしいでしょうか。
土手本さん
主なクライアントは事業会社ほか自治体や地域金融機関などです。課題を伺い、クライアントの方々の持つアセット(経済資源)をコミュニティという形で「Tailor Works」上に開設していただいています。今稼働しているところでは、大田区産業振興協会、静岡銀行、静岡県庁などとお取組みをしています。
大田区は建築建設や製造業が強いエリアなので、その事業者の方々とは今までも助成金や対面で課題解決の取り組みはありましたが、次第に大田区の中だけでは課題解決が難しくなってきたと言います。
そこで、大田区産業振興協会が、大田区以外の方々に大田区の取り組みや企業を知ってもらおうと、「Tailor Works」上にオンラインコミュニティを立ち上げました。そのコミュニティを通じて、全国のさまざまなエリアの方々に、大田区の技術や企業が貢献できるような仕組みを作られています。
編集部
大田区産業振興協会は、企業の依頼を受けて、受注が可能な区内の企業を紹介することが役割のひとつかと思いますが「Tailor Works」を導入されたことで、大田区外からも依頼がくるようになり、大田区の企業が貢献できるようになったということですね。
土手本さん
はい、そうです。また、大田区はスタートアップ企業からの取り組みを増やしたいご意向もあり、「Tailor Works」上でアクセス可能な企業が増えることで、スタートアップ企業、大田区企業、そして大田区の産業全体に良い状況につながると思っています。
フルリモートでも活発にコミュニケーションをとる工夫
▲オンラインで開催した歓迎会の様子。フルリモートでも仲間意識を持てるように工夫されている
編集部
御社はほとんどの社員がフルリモート勤務と伺っています。社員の方は全国各地にいらっしゃるのでしょうか。
土手本さん
はい。当社は渋谷に本社がありますが、出社しているのは経営陣だけです。それ以外のメンバーは全員フルリモート勤務なので、社員は北海道の帯広市や札幌市から奄美大島まで点在しています。首都圏にいるメンバーも出社はせず、完全にオンラインでつながっている状況ですね。
編集部
フルリモート勤務の社員同士のコミュニケーションを円滑にするために、工夫されていることはありますか?
土手本さん
毎日朝会を開いて情報共有をしたり、歓迎会や懇親会を開いて盛り上がったりと、オンラインでもコミュニケーションをとる機会は積極的につくるようにしています。新入社員の歓迎会では、お互いのことがよく理解できるようなアクティビティも取り入れていますので、馴染みやすいのではないかと思います。
また、実はそれらのイベントは、Zoomや「oVice(オヴィス)」というバーチャルオフィス上で実施しています。弊社は全メンバーが朝10時にoViceに出社するのですが、この制度を導入したのは、「Tailor Works」のサービスの一貫としてoViceとの連携ができるようになったことも理由です。
弊社のフルリモートの勤務スタイルでも、「ちょっと確認したいんだけど」というような声掛けが可能になりました。
各メンバーが勤務開始までのひとときを演出する「朝ラジオ」
▲毎朝実施している「朝ラジオ」の様子
編集部
御社の特徴的な取り組みとして、「朝ラジオ」という取り組みもあると伺いましたが、これはどのようなものでしょうか?
土手本さん
10時出社なので、大体10時ちょっと前から出社の準備をする人が多いんです。そこで、当月担当のメンバーが日替わりで朝9時55分から5分間、oVice上で自分の好きなテーマについて話す「朝ラジオ」を始めました。2023年1月時点で、もう1年近く続いていますね。
編集部
朝ラジオではどんなことを話されるのですか?
土手本さん
一番最初の頃は本当のラジオ番組みたいに、流してほしい音楽リクエストをポストできるGoogleフォームを用意していました。お互いの好きな音楽について「この音楽が好きです」「なんで好きなんですか」などのやりとりが生まれたりしていました。
最近はクオリティが上がってきて、動画を流す人もいたり、ラジオを飛び越えてテレビ番組のようになっています。各地域のメンバーによるご当地の動画やおいしいご飯の紹介、ゲーム好きなメンバーによるゲーム実況、お悩み相談コーナーなど多彩です。
在宅で仕事をしていると、仕事への切り替えがなかなか難しいので、緩く業務に入っていくきっかけに、その5分がちょうどいいのかなと思っています。話していると5分って意外とあっという間なので。朝ラジオが終わるタイミングで、「もうそろそろ10時になりましたね。みなさん朝会に行ってください」ということで本格的に業務が始まります。
年2回のキックオフでは、対面でワークショップを開催
▲キックオフで行われたワークショップの様子
編集部
バーチャルオフィスでリモート環境でも活発にコミュニケーションを取られていることを伺いましたが、そのほかに工夫されていることはありますか?
土手本さん
半期に1回オフラインで会う機会を作っています。キックオフミーティング(※)を上期と下期に行い、全員対面で会うので、みんなそれを楽しみにしていますね。春と秋に実施しており、初めてリアルで会うと画面を通しての印象とは違ったりして面白いです。
(※)キックオフミーティング:新たなプロジェクトを開始する際に行うミーティングのこと。
編集部
上期キックオフ、下期キックオフでは、どのようなことをするのでしょうか。
土手本さん
ミッションやビジョンを決めたり、会社のカルチャーを作っていく決め事は、オンラインでも進行はするのですが、オフラインで会話して決めていくことが多いです。前回のキックオフでは、実現したい世界観やプロダクトの目指すべき姿、継承していきたい企業のカルチャー、逆に改善した方がいいかもしれないことなどをワークショップでアウトプットしました。
ご当地のお土産を持ち寄るコンテストもキックオフの楽しみ
▲キックオフで行われた、ご当地お土産コンテストの様子
土手本さん
それと、反響があって続けていこうと思ってるのがご当地お土産コンテストです。全国各地のメンバーが予算の範囲内でご当地のお土産を買ってきて、プレゼンをしてもらうというものです。
歴史の背景から詳しく説明してくれる人もいれば、「人気なので食べてほしいです!」と熱く語る人もいたり、さまざまです。
編集部
面白い試みですね。前回のご当地お土産コンテストの1位はどこだったのですか。
土手本さん
前回の1位は福岡でした。福岡県内の社員数名で手分けして準備したと言っていました。
編集部
コミュニケーションにおいてさまざまな取り組みをされていることもあり、メンバー間もすごく和やかな雰囲気なんですね。
「世界を変えるつながりを創る」に共感できる人材を歓迎
編集部
御社の事業を運営していくにあたって、どのような人材を求めていますか?
土手本さん
当社のミッションやビジョンに共感していただける方にご入社いただきたいと思っています。当社のミッションは「世界を変えるつながりを創る」で、ここで言う「世界」とは、先ほどから申し上げている地域や地方の文脈や、大企業のステークホルダーなど、個人を取り巻く環境を指しています。
そこの状態を変えるつながりを作っていくことが我々のミッションで、いろんな企業や自治体、個人の壁のないコミュニティを作ることで、世界を変革していきたいと思っています。
ビジョンの「ひらめきにときめく社会へ」は、我々の一人称ではなく二人称のイメージで作っています。ひらめく自分にときめいてくれる人がいて、ひらめいている人に自分がときめく社会。具体的には、コミュニティで出会いが生まれてひらめきを発信すると、そのひらめきに人が集って語り合い、プロジェクトして実現していく社会を「Tailor Works」のプラットフォームを通して作っていきたいですね。
ですから、自分の環境下で何かをプロジェクトを起こしたり、些細なことでも誰かと一緒に何かを作っていくことが好きな方にご入社いただきたいなと思っています。
地域に根差したプロジェクトに参画しながら働く人材も積極採用
編集部
テイラーワークスさんのミッションやビジョンを体現している社員の方がいらっしゃったら、ぜひお教えいただきたいです。
土手本さん
数多くいる中の一例ですが、高知県在住の楠瀬さんです。彼女は高知県出身で県外の大学に進学後、地元のクレーンメーカーに入社して人事を担当していましたが、そこで地元の学生は高知県以外の就職の選択肢を持ちにくく、一方でUターンやIターンが浸透しない現状に直面しました。
会社の中だけでは課題が解決できないと考えた彼女は、「まんまる高知」というコミュニティを立ち上げて、中学生や高校生、大学生に職業体験や働くきっかけ作りを推進する活動を始めました。その活動を続ける中で価値観の合う当社を知り、現在は「まんまる高知」の代表を続けながら当社の正社員として働いています。
また、大分県在住の渡邉さんも、大分県の「100人カイギ」というコミュニティの主要メンバーとして活動しています。「100人カイギ」は、大分県だけでなく、全国各地にある地域に根差したコミュニティです。彼女は当社で正社員として働きながら、大分県をどのように盛り上げていくかを考えていました。
編集部
実際に地域の課題解決に取り組んできた方々が、地元で活動を継続しながら御社の社員として働いているのですね。フルリモート勤務だからこそ、同じ価値観を共有した方々が全国から集まれる御社の環境は魅力ですね。
テイラーワークスから求職者へのメッセージ
▲今回インタビューでお話しいただいた土手本さん
編集部
最後にこの記事をご覧になって、御社に興味を持った方にメッセージをお願いします。
土手本さん
我々は、これから「個」の時代が来ると思っています。今までは大企業や政府が情報を管理し、個人が欲しい情報をリクエストしていましたが、これからの時代は情報は個人が管理し、個人がどんなテーマに、どういう方々に情報を開示するかを選べる時代になると思っています。
コミュニティも従来のように参加者が受動的に教えを乞うのではなく、参加者が主体的に行動を起こすことで、活性化していくと考えています。個人としても、積極的にコミュニティに関わることが、人間関係や人脈、ライフイベントを一層豊かにしてくれると思っているので、自分自身で活動していたり、誰かの活動を応援したいと思っている方は、ぜひご一緒できるとうれしいです。
日本全国はもちろん、海外の方もご応募をお待ちしています。
編集部
ありがとうございました。
■取材協力
株式会社テイラーワークス:https://tailorworks.com/
採用ページ:https://tailorworks.co.jp/careers/