新しい働き方を取り入れていたり、独自の企業文化を持っている企業にインタビューするこの企画。今回は、企業の人材と集客を中心とした課題解決などを行い、顧客の事業成功のためにパートナーとして伴走する株式会社トーコンを取材しました。
株式会社トーコンとは
▲トーコンさんは「代替えの利かない会社になる」というビジョンを掲げている(公式サイトから引用)
株式会社トーコンは、「採用支援事業」「広告・PR・自社メディア」「アウトソーシング・コンサルティング・教育」「ホームページ・WEB・企画商品」の4つのビジネスフィールドにおいて、集客・採用や人材育成・定着に関わる悩みを解決するツールの提案・作成をすることで、お客様の事業を成功に導いています。
会社名 | 株式会社トーコン |
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住所 | 東京都中央区日本橋蛎殻町1-33-11 味岡蛎殻町ビル4階 |
事業内容 | 求人広告事業 広告・PR・自社メディア アウトソーシング・コンサルティング・教育 ホームページ・WEB・企画商品 |
設立 | 1966年5月11日 |
公式ページ | https://tokon.co.jp/ |
働き方 | リモートをメインにしたり、出社とリモートのハイブリッド等、1人ひとりがパフォーマンスを最大化できる働き方を柔軟に選択可 コアタイム無しのスーパーフレックスタイム制度 ※勤務例外時間帯 22:00~7:00(この時間帯の勤務は禁止) |
トーコンは「働き方改革」という言葉が叫ばれるようになる以前から、企業の社会的責任と、社員にとっての仕事の意義に向き合ってきました。様々なバックボーンをもった人材が、自他を共に認め、融合することで仕事の質を上げ、お客様との信頼関係を築いてきた企業です。
社員が働き続けたいと思う理由やお客様への向き合い方、SDGsへの取り組み、多様性を大切にした福利厚生等について、広報/採用・成長支援グループゼネラルマネージャーの前原加奈さんにお話を伺いました。
お客様の代わりに最適なサービスを選び、採用・集客を支援
編集部
はじめに、トーコンさんの事業内容について教えてください。
前原さん
トーコンは主に求人広告の代理店として、設立時から企業の採用支援に取り組んできた会社です。2022年10月で58期目を迎えています。
現在は事業を採用の分野からさらに広げ、成長支援・組織支援など人材全般の企業支援、また企業や店舗の集客・PR支援などを通して、お客様の抱える課題を見出し、解決に導く事業支援をさせていただいています。
お客様の事業に関するお悩みは更に多岐にわたり、同時に世の中の様々な広告・ツールなど解決手法も日々変化をしています。そのため、弊社でもまずは自分達が新しい技術を取り入れてチャレンジしています。例えば、単純作業をRPAに置き換えたり、これまで紙で取り交わしていた書類を電子契約に変更するなどのDX推進があげられます。その中でもいいものはお客様にもご案内しています。
私たちは代理店ですので、まさに「お客様の代わりに最適なサービスを選ぶ」という立場でもあるわけです。その上で、自分達も中小企業のモデルとなるべく、日々新しいことにトライし続けていきたいと考えています。
広告を中心とした4つの事業分野を展開
▲日本全国の企業様の事業成功のために4つの拠点で事業を展開している(公式サイトから引用)
編集部
トーコンさんには現在4つの事業分野がありますよね。具体的に教えていただけますか?
前原さん
トーコンには4つのビジネスフィールドがあります。
まず、最も長い歴史を持つのが「採用支援」です。様々な業種の上場企業、中小企業など、人材採用に悩む企業の経営者もしくはそれに近い方とお話をさせていただき、課題や求めている人材をヒアリングして、最適な求人広告媒体の選定や原稿内容のご提案を行います。2018年からは人材紹介事業も立ち上がり、より幅広い支援が実現しています。
2つ目は「集客・PR・SNS」で、美容業界のお客様(美容室・エステ・ネイルサロン等)から始まり、現在では一般企業や飲食店などを幅広くお手伝いしています。「もっと多くの人に自分達の商品・サービスを知ってもらいたい」といった、集客のお悩みを抱えるお客様の課題を解決していきます。
3つ目の「アウトソーシング・コンサルティング・教育」においては、求人広告から範囲を広げ、選考プロセスの改善、従業員の成長支援など幅広い悩みを解決しています。「応募受付フローを改善したい」「社内活性化のための研修を導入したい」「人事評価制度を見直したい」といった具体的な要望にお応えしています。
また、4つ目は上記のようなお悩みに付随したホームページのご提案、作成、パンフレット、DVD、チラシなどの採用・集客ツールのご提案です。美容・医療の専門領域では、専門学校とのタイアップによる就活イベントや経営者セミナーなども自社で企画・開催しています。
女性が活躍しやすい柔軟な働き方は、多様性の入口
編集部
トーコンさんでは、社員の約7割を女性が占めているとお聞きしました。女性が活躍しやすい環境を実現するための取り組みについて教えてください。
前原さん
女性だけでなく、広く全社員の働きやすさを考え、弊社ではスーパーフレックス制度やリモート勤務などを導入しています。東京都中央区のワーク・ライフ・バランス推進企業に認定されたり、福岡県からは「女性活躍推進企業」の認証も得ているので、外部からも高く評価いただき、とても嬉しく感じています。
編集部
そのような制度設計をされた理由はなんだったのでしょうか。
前原さん
人材・広告という業界の性質上なのでしょうか。もともと女性からの応募は多く、私がトーコンに最初に入社した約20年前から、女性の役員や管理職の比率は一般的な企業と比較して高かったと記憶しています。
その中で、ある女性社員が結婚というライフイベントを控え、「自分はいずれ出産や子育てをしていきたいが、その時、これまでと同じように営業職として働けるのか不安だ」という声をあげたことがありました。よくよく社内を見渡すと、確かに育児と営業職を両立させている女性は比率で考えると少ない状況でした。
そこで、結婚や出産に限らず、介護なども含めて様々なライフイベントを迎えたとしても、長く働き続けられるような制度に変えていこうという取り組みが始まって、現在に至ります。
編集部
そんなきっかけがあったんですね。現在の状況はいかがでしょうか?
前原さん
すでにたくさんのモデルケースがあります。子どもができても同じ働き方を続けたい人や、子どもを優先して働き方を変えたい人など様々な選択肢があって、各自で考えられるようになっているんです。
働く時間だけではなく、仕事の難易度や量、そこに紐づく報酬など、上司と半年に1度の目標設定の場で相談ができます。子育て中の女性だけではなく、誰もが自分の人生を生きる上で、自分らしく、長く働き続けられるような環境に向けて、当時から積み重ねられた取り組みの成果だと思います。
編集部
1人の社員の声をきっかけにして、育児と仕事との両立のため、そしてさまざまなライフイベントを考慮した働き方にするために改善を続けてこられたんですね。長い歴史を持ちながらも、良い方向に変化し続けるというのはすばらしいと感じました。
リモートワークが自立した働き方の選択肢として定着
編集部
柔軟な働き方に対する改善のスピード感を感じるお話でした。試行錯誤の取り組みの中で、結果的にそれが働き方の改革に繋がっていったということですね。リモートワークの導入によるメリットはありましたか。
前原さん
たくさんありました。わかりやすいものとしては、子育てにかかる時間の都合上、出勤が必須になっていると短時間勤務にせざるを得ない育児中の社員が、リモートワークによってフルタイム勤務に戻るという選択もできるようになったことは印象的でした。
また、例えば通勤時間が短縮され時間のゆとりができるので、「朝早起きして近所の美味しいパン屋さんで買ってきた焼きたてのパンを食べながら準備をしよう」「前から気になっていたヨガを始めてみた」などと、ちょっとした社員のQOL(※)の向上に寄与できたと思います。
(※)身体的にも精神的にも社会的にも完全に満足のいく状態にあること
あとは、家族との時間が創出できたという話も良く聞きます。新入社員が、在宅で頑張って仕事している様子をご家族がご覧になられて、「ちゃんとやっているんだな」と安心してもらえたという話も聞きました。こういう変化は、幸せな結果だと感じています。
▲2022年にはメタバースによるオンラインコミュニケーションにも挑戦
編集部
一般的には在宅勤務から出社に切り替えている会社も多いようですが、トーコンさんの現在の勤務体制はどのようになっていますか。
前原さん
新入社員には、最初の数ヶ月は仕事や仲間に慣れるためにも出社をメインにしてもらいますが、ある程度自分で仕事ができるようになったと上司が認めた段階で、在宅と出社を組み合わせたハイブリッドにしています。週1〜2回くらいの頻度で出社するメンバーが比較的多いのですが、月に1回しか出社しない社員もいます。
一時的にでも業務がパンクしてしまっている、難しい案件が続きちょっと気持ちが落ち込んでいるなどの場合も、上長が出社を促して近くでしっかりサポートするようにしています。目指すのは、自律的に働き方を選択できる状況ですね。
トーコンの誠実な社員の姿勢が最高のブランディング
編集部
続いて、トーコンさんの社員に共通していることについて教えていただけますか。
前原さん
自分たちでいうのはなんだか気恥ずかしい思いもありますが、「誠実」な社員が多いと感じています。私は人材業界のなかでいろいろと転職経験がありまして、比較的どの会社もカジュアルでオープンな社風であることが多いように感じます。ただ、その中でもトーコンのメンバーは、相手の可能性を信じてポジティブに向き合い、距離感を縮めながら親身になって対応する真面目さがあると思います。
弊社の従業員の結婚式にお客様から電報が届いたとか、社内表彰された社員に対してお客様からお祝いのお花が届いたという話を聞くことは珍しくありません。またある時、営業が歩いていて落ちているゴミを拾ってゴミ箱に捨てている様子を、近くの企業の社長様がご覧になられていて、「お前良い奴だな」とご発注をいただいたという逸話もあるんです(笑)。
私はTwitterをやっているんですが、いきなり見知らぬ方から「実は御社にお世話になっています。トーコンさんの社員がすごく好きです」のようなメッセージは定期的に受け取るんですよ。非常にありがたいことだなと思います。
会社として大切にしていることを、現場の社員がお客様に対して実践している結果なのだと感じます。これがトーコンの企業文化を象徴するエピソードだと思いますし、最高のブランディングだなと思います。
これだけ情報が行き交う時代において、様々な垣根が淡くなっています。弊社では「honest branding」と言っているんですが、社内・社外など分けることなく、一貫したメッセージをあらゆるステークホルダーに発信し続けること。これが一番大切であり、一番届く企業としての情報発信だと思っています。
社員がずっと働きたい場所になるために。多様性を企業力へ!
編集部
前原さんがお仕事される中で実感されている、トーコンさんの「企業力」について、ぜひ教えてください。
前原さん
実は、私はアルムナイ採用(※)になります。20代の中ごろにトーコンに在籍していたのですが、30代に入ったタイミングで家庭の事情もあり関西に転居することになりました。当時は地方支社もなく、リモートで働くという概念もなかったため、退職という道を選びました。
(※)その企業を離職した社員を再雇用する採用の方法のこと。
その後、色々な経験を経て東京に戻ってくることになり、「戻ってこないか」というオファーをもらった経緯があります。それ自体、なかなか当たり前のことではないと感じています。1人ひとりの可能性を活かすという点で、自分自身が1つの事例でもあるんです。中小企業でこれほど多様性を企業力に活かそうとしている会社は本当に少なくて、非常にレアな会社だと思います。
また、社内では性別について意識することはほとんどなく、それよりもその人の「個性」みたいなものをどうやって組み合わせれば相乗効果やパワーに変えていけるのかということが考えられています。こうしたことを真面目に考えられている企業はあまりないと感じていて、先進的だと感じています。
多様な働き方を受け入れようとすることには、多くの企業が取り組んでいると思いますが、受け入れてかつ自分たちのパワーにしようと取り組んでいることは、私がトーコンに戻って働き続けている理由の一つだと思います。
中小企業のさきがけ、SDGsにつながるダイバーシティの推進
▲パラスポーツであるブラインドサッカーの日本代表スポンサーに。(写真提供=鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会)
編集部
ここまでお話を伺ってきて、従業員の人生を真面目に見据えて働きやすい制度が構築されてきた歴史がよくわかりました。先ほど多様性についてお話しされていましたが、ダイバーシティに関する具体的な取り組みについて教えていただけますか。
前原さん
トーコンでは「多様性」は企業の強さであると考えています。地域を見ても、東京本社以外にも仙台・名古屋・福岡と複数の都市をこえ、さらにはリモートワークでオフィスをこえて協業が日常的に発生しています。世代を見ても、20代から上は70代まで多様な時代の経験が仕事に活かされています。
最近では、昨年LGBTQIAの従業員のために、性別に関係なくパートナーを配偶者として認め、同様の福利厚生を提供することが決定しました。
さらにこうした姿勢を社内外に発信すべく、パラスポーツ・日本ブラインドサッカー男子日本代表男子のスポンサーに参画するなど、自社の活動・実績・体験を通じて、日本の大多数を占める中小企業における「ダイバーシティ」の広がりを推進しています。
トーコンが実践するSDGsの原点は「お客様との5つの約束」
▲トーコンさんが全社員に浸透させている「トーコンクオリティ」(公式サイトから引用)
編集部
先ほどおっしゃったダイバーシティは、SDGsの「誰一人取り残さない」世界の実現に向けて重要視されています。トーコンさんが具体的に取り組まれているSDGsの活動について教えていただけますか?
前原さん
トーコンでは、自分たちが守らなければいけない5つの項目を「トーコンクオリティ」という言葉で定めていて、その1つがコンプライアンスやCSRへの意識なんです。
コンプライアンスやCSRという概念がまだまだ大手企業主導のものだった時代に、弊社はすでに活動項目の1つとして掲げていました。企業は、社会や地域との関わりの中でその一員として存在していることを認識した上で、繋がりを大切にしていける従業員を育てていきたい。これが当時の社長(現会長の原田直史さん)の強い思いでした。
そもそも、私達のビジネスは非常に公共性の高い仕事だと捉えています。私たちが関わった求人広告の情報を見て、誰かが人生を決めるかもしれないという自覚を持つ必要がある。ミスをしないのは当然ですが、「自分たちの仕事の品質や求職者や企業との向き合い方の全てが重要である」という思いが非常に強い会社だと思います。
他にも、小さなことかもしれませんがペットボトルの廃棄時にはキャップを外し、ラベルをはがすという小さな配慮を一人一人が自主的に行っています。
編集部
仕事の意義を深く掘り下げて向き合うことが、従業員の働きやすい制度やSDGsの取り組み等に繋がっていることがよく理解できました。
求める人物像は、可能性を諦めず、ワクワク働ける人
▲代表取締役社長である堀川教行さん。
編集部
それでは、最後にトーコンさんが自社に求める人物像についても教えていただけますか。
前原さん
採用メッセージとして私たちが言い続けているのは、「可能性をあきらめない人」というキーワードです。
私たちの仕事は、例えば求人広告を作成する際に「この企業の魅力って何だろう」、人材紹介では「この人にはどんな魅力があってどんなところで活躍できるのだろう」といった探求をします。企業や個人の可能性に対して勝手なラベリングをするのではなく、あきらめないで考えるという姿勢がすごく重要だと思っています。
それは自分自身に対してもそうです。トーコンは未経験でもそこに可能性があると思って採用しています。自分の可能性を自分で狭めてしまうのはすごくもったいないと思います。
例えば、営業職を取り上げても、営業未経験で入社した方が圧倒的に多いんです。では何を見ているかというと、1つは仲間、自分自身、お客様、ステークホルダー、それぞれの可能性をあきらめずに、勇気を持ってアクションできるかどうか。そうした姿勢を大切にしています。
トーコンの経営理念でもある「仕事はワクワク楽しく」に共感して入社される方も多く、皆で励ましあい、切磋琢磨できる環境です。もちろん仕事では難しいと思うことや、苦しい時もあるかもしれませんが、自分自身が「こう在りたい」と目指す姿の実現のため、お客様のため、求職者・ユーザーのため、一つ一つの仕事をワクワクしながら乗り越えることができる社員が多く集まる会社です。
私たちの想いに共感してくださる方は、ぜひご応募ください!
編集部
60年近く積み上げてこられた「誠実さ」を大切にするトーコンクオリティが、社員はもちろん、お客様や社会をもつなげて未来に向かっていらっしゃることが良くわかりました。ありがとうございました。
■取材協力
株式会社トーコン:https://tokon.co.jp/
採用ページ:https://tokon.co.jp/recruit/