若手社員の挑戦と成長を後押しする企業文化を持つ企業を紹介する本企画。今回は、半導体の製造に欠かせない「感光性材料」の製造で世界トップシェアを誇る東洋合成工業株式会社にインタビューしました。感光性材料とは、光に反応して性質が変化する物質で、半導体の回路パターンを形成する際に重要な役割を果たします。
東洋合成工業:感光性材料で世界をリードする化学素材メーカー
東洋合成は、半導体やフラットパネルディスプレイの製造に不可欠な感光性材料や、食品・トイレタリー製品に使用される香料材料を製造する化学素材メーカーです。感光性材料では世界シェアナンバー1を誇ります。
東京本社をはじめ、千葉、兵庫、大阪に工場や研究所、営業所などの拠点を構え、全国各地から従業員を採用しています。
会社名 | 東洋合成工業株式会社 |
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住所 | 東京都台東区浅草橋1-22-16 ヒューリック浅草橋ビル8階 |
事業内容 |
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設立 | 1954年9月 |
公式ページ | https://www.toyogosei.co.jp/ |
2024年に創業70周年を迎える東洋合成は、ベンチャー精神を大切にしています。社員からの提案を積極的に受け入れる文化があり、若手の成長を促進する充実した教育制度も整えています。
今回は、若手社員の活躍を支える取り組みなどについて、人材総務部の桝井さんと平野さん、経営企画部の臼本さんにお話を伺いました。
東洋合成の強み:半導体製造に不可欠な感光材料で世界シェアナンバー1
編集部
まずはじめに、東洋合成さんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
臼本さん
弊社は、2024年に創業70年を迎えるグローバル化学素材メーカーです。
主力事業は半導体やフラットパネルディスプレイの製造に使われる感光性材料の開発・製造を行う感光材事業で、ほかにも電子機器の製造に使われる高純度溶剤、食品、トイレタリー製品に使われる香料材料などを供給する化成品事業、液体化学品の保管と管理を行うロジスティック事業を行っています。
編集部
主力製品の感光性材料について、詳しく教えてください。
臼本さん
感光性材料は、あらゆるデジタル製品に使用されている半導体のほか、テレビやスマートフォン、タブレットに搭載される高精細ディスプレイの製造に欠かせない材料です。
▲東洋合成が製造する感光性材料(黄色い粉体)は世界のスマートフォンの半数以上に使われている
臼本さん
感光材材料は、グローバル市場でトップクラスのマーケットシェアをもち、独自性や生産技術力、安定供給力の高い企業として、経済産業省から「2020年グローバルニッチトップ企業100選」に選出されています。
編集部
私たちの暮らしを支える様々な製品に、東洋合成工業さんの技術が使われているのですね。
臼本さん
はい。5GスマホやPC、自動運転、AIなどに使われています。情報通信技術は急速に進歩していますので、それに伴い、先端半導体向けをはじめとする感光性材料の需要も今後ますます拡大することが予想されます。
若手が活躍!20〜30代社員の成長を促進する環境
編集部
東洋合成さんでは、約1000名の従業員が働いているということですが、どのような職種があるのでしょうか?
桝井さん
感光性材料や化成品の研究開発、品質管理、製造職などがあり、主に千葉県や兵庫県にある工場や研究拠点で勤務しています。東京都の本社では、感光材・化成品・ロジスティック事業部の営業や、経営企画、経理財務、人事などのバックオフィス系の業務を担う社員が働いています。
編集部
若手の社員も活躍しているのでしょうか?
桝井さん
弊社の平均年齢は36.4歳で、どの部署でも20代後半から30代の若手層が多く活躍しています。
私は2023年4月に中途で入社し、主に中途採用を担当しています。部長や役員クラスの人たちと直接コミュニケーションをとりながら、募集要件の調整や、経営陣への新しい採用手法の提案と実行を行っています。
編集部
研究開発や製造のお仕事についてはいかがですか?
平野さん
約500名が働く千葉工場では、300名以上が製造職として装置の運転や監視、原材料の投入、運搬作業などの製造業務を行っています。
製造職は単純な作業を行うオペレーターではありません。装置の点検やメンテナンス、業務改善や効率化に向けた活動、お客様の要求に応えた高品質製品の製造のための検討も担当し、研究開発メンバーと協力して安定供給に努めています。この組織の平均年齢は31〜32歳と若く、30代の管理職もいます。
チャレンジ精神とベンチャー気質:若手の成長を支える企業文化
編集部
若手メンバーが活躍できる背景には、東洋合成さんのどのようなカルチャーが影響しているのでしょうか。
桝井さん
人事基本方針のひとつに「チャレンジ精神」を掲げています。困難を乗り越え、革新的な成果を出した社員を正当に評価し、処遇することを大切にしています。
また、「積極的な人材育成」も重視しており、キャリアを高めるために自己研鑽に励む社員を支援しようというカルチャーがあります。
編集部
若手が積極的に意見を言えるような雰囲気もあるのでしょうか?
桝井さん
はい、あります。当社は大手企業に比べると経営層との距離が近く、経営に関わる大きな仕事を間近で見て学べます。若手でも積極的に自身の意見や考えを提案する機会が多くあります。
各工場でも、役職者が一人ひとりとのコミュニケーションを大切にしており、社員からの改善提案を積極的に取り入れ、実行に向けたサポート体制が整っています。
臼本さん
当社の社長である木村は47歳で、執行役員にも40代の者が複数います。比較的若い経営陣が多いのも特徴です。
また、創業70年を迎える会社ですが、「ベンチャー気質」を今でも大事にしており、社員からの提案を上司や役員が喜んで聞くという光景をよく見かけます。
編集部
東洋合成さんで若手社員が活躍できる背景には、チャレンジを歓迎する人事方針や、70年間にわたって受け継がれてきたベンチャー気質があるのですね。
キャリア育成支援:充実した研修プログラムと長期メンター制度
編集部
制度面でも、若手の成長を後押しするような取り組みはありますか?
桝井さん
弊社は社員研修に力を入れています。日常業務でのOJTに加えて、新入社員研修、配属後のフォローアップ研修、自己学習をサポートするEラーニングプログラムを提供しています。さらに、ロジカルシンキングやコミュニケーション・プレゼンテーションなどのビジネススキル向上研修も実施しています。昇格時には階層別研修があり、それぞれの立場に応じた最適な研修プログラムを用意しています。
各工場では化学の履修経験や業務経験がない方を対象とした「基礎化学教育」も実施しています。未経験の方でも基本的な化学の知識を身につけ、スムーズに業務に取り組めるようにサポートしています。
編集部
新しく入ったメンバーの不安を解消するような制度もありますか?
桝井さん
新卒入社、中途入社に関わらずメンター制度があるので、業務のことはもちろん、キャリアや人間関係など、幅広い相談ができます。メンターと一緒に不安を解消し、スムーズに職場に馴染めるようサポートしています。
キャリア開発支援:社内公募制度と自主的な学びの場の提供
編集部
社員のキャリア開発を支援する取り組みについて教えてください。
桝井さん
全社研修プログラムとして、新入社員研修から年代別のキャリア開発研修を実施しています。社内のキャリアコンサルタントが研修プログラムの開発とキャリアカウンセリングのサポートを担当しています。
また、若手社員の有志が自身のキャリアなどをテーマに語り合う「TGC cafe」という取り組みを2020年に始めました。数か月に1度の頻度で開催しており、自分のスキルの棚卸や、将来の目標設定、部門を越えた交流を通じて、キャリアを考える機会となっています。
管理職向けには「マネジメントcafe」を企画し、管理職同士で悩みや知見を共有したり、チームづくりの専門家を招いた勉強会を実施しています。
編集部
キャリアを考える中で、別の職種や部署を経験したいと思った場合、その希望は叶えられるのでしょうか?
桝井さん
はい、当社には社内公募制度があります。目指すキャリアを実現するうえで挑戦したい部署があれば、誰でも応募することができます。
例えば、製造職から事務部門への異動や、研究職からIT部門への転換など、この制度を活用して新たなキャリアに挑戦した社員が多数います。
編集部
自分に適したキャリアへ柔軟に転換できることは、社員のモチベーションや業績向上にもつながりそうですね。
ダイバーシティ推進と働きやすさを追求
編集部
働きやすさへの取り組みについても、お聞かせいただけますか?
桝井さん
弊社は、誰もが働きやすい環境づくりや、働きがいを感じられるような環境づくりに積極的に取り組んでいます。
その一環として、ダイバーシティの推進を行っています。主力事業の感光材事業部では女性取締役の平澤聡美さんが事業部長を務めており、「理系の新しい模範」として日経WOMANの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022」に選ばれました。平澤さんは、弊社のダイバーシティ推進担当役員も務めています。
編集部
性別に関係なく活躍できる環境を整えているのですね。ワークライフバランスへの取り組みについてはいかがですか?
桝井さん
弊社の所定労働時間は1日7時間15分で、時間外労働時間は全社平均で月に20時間程度です。有給休暇の取得率は70%を上回っています。
子どもが最大2歳になるまで育児休業を取得でき、さらに子どもが小学校3年生になるまで取得できる育児時間制度があります。育休後の職場復帰率は100%です。
男性の育児休業も推進しており、2023年10月末時点で男性社員の育休取得率は80%に達しています。また、介護が必要な家族がいる社員のための介護休業制度も整備しています。
編集部
育児や介護の制度が充実しているので、ライフステージが変わっても安心して働き続けることができそうですね。
千葉工場の魅力:全国から集まる人材と自然豊かな職場環境
編集部
東洋合成さんは、東京本社のほかに千葉や大阪、兵庫に拠点をお持ちですが、それぞれの拠点ごとに採用を行っているのでしょうか?
平野さん
中途採用の場合は、各拠点ごとに募集しています。千葉工場は採用人数が多いこともあり、北海道から沖縄まで、全国からメンバーが集まっています。
編集部
千葉工場があるのはどのような場所なのでしょうか?
平野さん
千葉工場は千葉県香取郡東庄町にあります。いちごや豚肉などが有名な街です。千葉は東京に隣接していますが、弊社の千葉工場は銚子漁港や茨城との県境に近く、車がないと生活が難しいエリアにあります。
一見不便に感じるかもしれませんが、田舎ならではの良さもあります。周辺は自然が豊かで、山、川、海、湖があり、アウトドアや釣り、サーフィンが趣味の人には魅力的な環境です。実際に、千葉工場で働き始めてから車を購入し、キャンプを始めた社員もいます。
また、隣町には当社が応援している鹿島アントラーズのホームグラウンドがあり、仕事後や休日に観戦する社員が増えています。
平野さん
都心へのアクセスも比較的良好です。工場の近くの茨城県神栖市から東京駅行きの高速バスが頻繁に運行されており、所要時間は約1時間半です。休日に気軽に東京へ行くこともできます。さらに、成田空港も近いため、旅行の際も便利です。
編集部
全国から人が集まることで、どのようなメリットがあると感じますか?
平野さん
異なる出身地のメンバーが集まることで、「自分のスタンダードが、世間のスタンダードとは限らない」ということに気づき、視野を広げることができると思います。また、仲良くなった同僚の地元を訪れる楽しみも生まれます。
東洋合成が求める人材像:ベンチャー精神を持ち新しいことに挑戦したい方
編集部
最後に、記事を読んで東洋合成さんのお仕事に興味を持った方へ、メッセージをお願いします。
桝井さん
弊社の製品は一般消費者向けではないため、知名度は高くありませんが、創業以来70年磨き続けてきた高度な技術で感光性材料ナンバー1メーカーとして世界の半導体産業を支えています。
若いうちから責任ある仕事を任せてもらえ、自身の提案が会社を動かすこともあります。そんなチャレンジングな環境で新しいことに挑戦したい方々に、ぜひ弊社へお越しいただきたいと思っています。
平野さん
私からは、千葉工場に勤務する立場として、製造職についてお伝えします。
製造職は中途入社の場合でも未経験からスタートできます。フォローアップ体制も整っているので、これまで製造業に携わった経験がなかったり、化学に関する知識がなかったりしても、学ぶ意欲さえあれば、きっとご活躍いただけると思います。
また、チームで動く仕事がメインになるので、コミュニケーションを取ることが好きな方も歓迎しています。
臼本さん
デジタル社会を支えるために、半導体の重要性は増し続けています。経済安全保障の観点でも半導体は欠かせない存在で、日本政府も重点的な支援を加速させています。
弊社は、その半導体を作るための材料メーカーとして「世界ナンバー1」という自負を持ち、2024年春には感光材開発分析棟が完成するなど、工場メンバーや研究開発メンバーが未来志向で創造性を発揮できる職場環境づくりにも力を入れています。ぜひ高い志で一緒にチャレンジいただける方に来ていただきたいと思っています。
また、弊社は千葉に複数の工場を持っていることから、地域貢献として千葉ロッテマリーンズのオフィシャルスポンサーを務めています。隣の茨城では、鹿島アントラーズのビジネスクラブにも協賛しています。野球好き、サッカー好きの方にも注目していただけると嬉しいです。
▲東洋合成は、千葉ロッテマリーンズのオフィシャルスポンサーとして、冠試合の「東洋合成スペシャルデイ」を開催している。
編集部
半導体を作るうえで欠かせない感光材で、世界トップのシェアを誇る東洋合成さん。ハイテク社会を支える重要な仕事に関われることは、大きなやりがいにつながりそうだと感じました。
本日は、ありがとうございました。
■取材協力
東洋合成工業株式会社:https://www.toyogosei.co.jp/
採用ページ:https://www.toyogosei.co.jp/recruit/