女性職員が活躍する都留市役所:部分休業などの充実の育児支援と助け合える職場環境

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、山梨県東部に位置する都留市の市民を支える「都留市役所」にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。

都留市役所は、子育て世代の職員を支援する充実した制度が特徴です。小学校就学前までの部分休業制度や、子どもの看護休暇など、きめ細やかな育児支援制度を整備。さらに、制度面だけでなく「家庭のことは男女誰もが当事者になりうるので助け合おう」という職場文化が根付いており、ワークライフバランスを重視した働き方を実現しています。

また、若手職員の意見を積極的に取り入れるボトムアップの風土があり、「まなびの未来づくり事業」など、実際に職員の提案が形になった事例も。コンパクトな自治体ならではの、風通しの良さも魅力の一つです。

今回は、山梨県都留市役所の働きやすい職場環境や育児支援の取り組みなどについて、長寿介護課の山本さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
都留市役所の山本さん

山梨県都留市役所
福祉保健部 長寿介護課 包括支援担当リーダー(副主査)

山本 理恵さん

女性職員に聞く!都留市役所のワークライフバランス充実の環境

都留市役所の職場風景
▲インタビューに応じてくださった山本さん

編集部

最初に、都留市役所での女性の活躍について伺いたいと思います。山本さんのこれまでのキャリアをご紹介いただけますか?

山本さん

私は新卒で民間の証券会社に入社し、7~8年間営業の仕事をした後、平成26年に都留市役所に入庁しました。

転職を考えたきっかけは妊娠です。前職では朝早くから夜21時や22時まで仕事をしていましたが、子どもが生まれることを機にワークライフバランスを見直したいと思い、家族の勧めもあって市役所に応募しました。

入庁後は、最初に財務課を3年ほど経験しました。その後、第2子の産休・育児休業をはさみ、復職して総務課、企画課と異動したのち、現在は長寿介護課に所属し、高齢者の包括支援担当です。

高齢の方々が元気に暮らし続けられる地域づくりを目指し、総合的なサービス拠点である包括支援センター「いきいきプラザ都留」で、保健師さんや社会福祉士さんなど、専門職の方々と協力しながら業務を進めています。

山梨県都留市の包括支援センター「いきいきプラザ都留」の外観
▲山本さんが働く包括支援センター「いきいきプラザ都留」の外観

編集部

育児休業・復職の経験をお持ちとのことですが、女性のライフイベントをサポートする制度はあるのでしょうか。

山本さん

育児休業は子どもが3歳になるまで取得でき、復職後も小学校就学前までは「部分休業制度」という制度が利用できます。部分休業というのは、例えば「子どもが小学校に上がるまで、毎週〇曜日は1時間早く退勤」など、30分単位で休暇が取得できる仕組みです。

また「部分休業を申請している日だけど、今日は仕事が立て込んでいて、家の状況も許すからこのまま残りたい」という場合には、休暇を取り消して勤務として扱ってもらうことも可能なんです。こういった、過不足のない休みの取り方ができる体制には、とても助けられていますね。

また、子どもの看護休暇が年間5日間あったり、夏休みも3日間から5日間に拡充されたりと、働きやすい環境づくりへの取り組みを実感しています。

職場に広がる「助け合い」精神。ライフステージやキャリアに沿った働き方が可能

編集部

育児中の職員に対する、職場全体の雰囲気や考え方はいかがでしょうか。

山本さん

私が制度以上にありがたく感じているのが、職場の雰囲気です。育児に限らず介護などもそうですが“家庭のことは男女誰もが当事者になりうるので助け合おう”という精神が浸透していて、必要があれば遠慮せず休みを取ることができます。

一方で、私を含め育児中の職員の間では「制度や周りに甘えすぎず、職場にいる時間はしっかりと仕事をしよう」という意識を共有し、後輩職員が制度を使いにくくならないよう気を付けています。

それ以外にも例えば、上長が、課の全員が夏休みを取得できているか確認してくれるなど、全体的にワークライフバランスへの意識は高いと感じています。

編集部

女性のキャリア形成についてはいかがでしょうか。

山本さん

当市では女性管理職も増えており、令和5年度では管理職の17.2%が女性でした。キャリアアップを目指したい人も、私のように家庭を重視した働き方を選択したい人も、それぞれに自分らしい働き方を選べる職場だと感じています。

若手職員のアイデアをボトムアップで受け入れて反映する風土

山梨県都留市の包括支援センター「いきいきプラザ都留」の内観
▲包括支援センター「いきいきプラザ都留」の内観

編集部

都留市職員として、お仕事のやりがいはどのようなところに感じられますか?

山本さん

都留市は人口約3万人と、規模の小さい自治体です。それだけに、業務が自分の生活と直結している実感がありますし、新しいアイデアや提案を実現するまでのプロセスがスムーズで、自分の思いを形にしやすい職場だと感じています。

編集部

お仕事においてアイデアが反映された、具体的な事例があれば紹介していただけますか?

山本さん

私が企画課に所属していた頃に立ち上げに関わった事例として「まなびの未来づくり事業」があります。“子どもたちが、自ら学び考える力を養う場”を作りたいという思いがあり提案したところ、さまざまな人の協力を受け、実現することができました。

現在は、一般社団法人に委託をして、主に小学生を対象とした探究型学習塾「探究まなび場 つるラボ」として運営しています。都留市には都留文科大学があり、教育課程を学ぶ学生や情報系の先生がいらっしゃるなど教育系の資源が豊富なので、プログラミング講座や各種イベントも頻繁に行っています。

編集部

この事業の立ち上げはどのように進められたのですか?

山本さん

企画課、生涯学習課、学校教育課が連携し、さらに市外の大手商社の社員の方々がプロボノ(※)として参加してくださって、子どもたちのために何ができるか、何度も検討会を重ねました。
(※)職業上の専門性を生かし、ボランティアで地域地方公共団体に貢献すること

企画課が担当したのは、外部との連携窓口・調整役です。「企業版ふるさと納税(人材派遣型)」の制度も活用し、この取り組みは後に、企業版ふるさと納税の優良事例として大臣表彰も受けました。自治体と企業との関わり方、人材の活用の仕方が、今後の参考になると評価されたようです。

課を横断したワーキンググループ等があるので意見が出しやすい

ワーキンググループで会議をする、都留市役所職員の方々
▲ワーキンググループは、若手中心の10~15名ほどで構成。テーマに沿って活発な意見交換が行われる

編集部

職員の皆さんのアイデアを活かした別の事例はありますか?

山本さん

また別の例として、つる湧水のほとり整備プロジェクトがあります。これは都留市が掲げる「生涯活躍のまち」に関連して、市の所有する土地にシェアオフィスや子育て支援センター、大学関連施設などさまざまな施設がそろう“ごちゃまぜのコミュニティ”を作ろうという動きです。

この中の子育て支援センターの設計にあたり、私たち“親目線”での提案を多く行い、採用してもらいました。例えば、子どもに目が届きやすいようオムツ替えスペースの位置を見直したり、公園には子どもたちが好む水遊び場を設置したりなどです。市の規模がコンパクトで、風通しの良い風土があるからこそできたことだと思っています。

編集部

施設作りにあたっては、さまざまな課の意見の兼ね合いもあったのではと思うのですが、どのように調整をされたのでしょうか。

山本さん

庁内には元々、課を横断したワーキンググループやプロジェクトチームがあり、ボトムアップで意見を上げやすい体制が整っています。まず若手中心のワーキンググループで意見を集約し、それをプロジェクトチームに提出し、最後に推進班へと段階を経て提案していきます。

ワーキンググループから推進班まで、提案の流れが明確に確立されているので「誰に相談したらいいか分からない」「何から手をつけていいか分からない」ということがなく、若手の職員にとっても、とてもやりやすいですね。

職員同士の距離感が近く、アットホームな雰囲気

編集部

職場の雰囲気について、特徴的な点を教えていただけますか?

山本さん

コンパクトな規模なので、職員同士が物理的に会いやすい距離感があります。異動でさまざまな部署を経験するため、お互いのことをよく理解しているアットホームな雰囲気です。

編集部

異動や民間企業からの転職の際、サポート体制についてはいかがですか?

山本さん

私自身、民間から転職して、公務員の仕事について右も左も分からない状態でしたが、周囲の職員が丁寧にサポートしてくれたり、知らないことをさりげなく教えてくれたりと、とても助けられました。日ごろから、困っている人がいれば「どうしたの?」と気軽に声をかけ合っています。また、市民のために何かしたいという思いを持った人が多い職場で、都留市役所の職員はみんな、本当に優しいと感じています。

研修制度も充実しています。入庁時には、公務員の基礎から学ぶ山梨県の研修に参加しますし、その後も、各部署の事業説明会や、最近ではDXに関する研修など、さまざまな学びの機会があります。また現場でのOJT(実務研修)を通じて、実践的なスキルを身につけることもできます。

都留市の魅力:新しい人や文化を歓迎する市民性

都留市内の景色
▲都留市内の風景。「富士山展望台」などの絶景スポットも多い

編集部

雰囲気という点にも関連しますが、都留市の市民性や環境についての魅力も教えていただけますか?

山本さん

私はもともと、大学4年間を都留市で過ごし、また前職でも営業で山梨県内全域を回っていたので都留市にはなじみがありました。その中で、気さくに話しかけてくださったり、野菜のおすそ分けをくださったりする、地域の方々の温かい人柄を強く感じてきましたし、子育ての環境としても理想的だと感じていました。

都留市は、大学のあるまちとして毎年3,000人ほどの学生を受け入れていることもあり、新しい人や文化を歓迎する土地柄です。企画課で移住者への対応を担当していた経験からも、市民の方々の受け入れ体制がとても整っていると感じます。

また、移住者の方々からは「都留市は自然に囲まれていて、都会と比べてゆとりのある暮らしができる点が魅力的」というお声をよく頂きます。都留市での暮らしには、お金では買えない価値があるかもしれませんね。

都留市観光協会のマスコットキャラクター「つるビー」
▲都留市観光協会のマスコットキャラクター「つるビー」

都留市役所では“地域全体の利益”に向かって働く人材を歓迎

都留市役所職員の山本さん

編集部

都留市役所で働くことに興味を持たれた方に向け、メッセージをお願いできますか?

山本さん

市役所の仕事で大きな魅力と感じるのは、営利目的ではなく、地域全体の利益を考えながら仕事ができる点です。

新しく来る人を歓迎する温かい雰囲気の中、やりたいことや適性に応じて自分らしい働き方を見つけられる職場ですので、興味を持たれた方はぜひ応募して頂ければと思います。

編集部

育児支援などワークライフバランスを大切にする文化や、職員の方々の温かい人柄、若手職員のアイデアが取り入れられる環境など、都留市役所の働きやすさがよく分かりました。

本日はありがとうございました。

編集後記

ワーキンググループをはじめ、若手職員の意見をボトムアップで取り入れる仕組みが整備され、かつ実際にアイデアが実現しているお話が印象的でした。子育て支援センターのトイレ配置などの提案が施設づくりに反映されている事例含め、現場の声を大切にする組織の姿勢が伝わってきました。

この記事のまとめ

働き方の特徴
  • 小学校就学までの部分休業制度があり、30分単位での休暇取得が可能
  • 子どもの看護休暇が年間5日間、夏休みも5日間の取得が可能
  • 育児休業は子どもが3歳になるまで取得可能
社風・職場環境
  • 職員同士の距離が近く、部署を超えた協力体制がある
  • 育児中の職員が早退しやすい雰囲気がある
  • 市民のために働きたいという意識を持った人が多い
キャリア形成
  • 女性管理職が多く、キャリアアップを目指しやすい環境
  • 様々な部署を経験でき、幅広いスキルを習得可能
  • 県の研修やDX研修など、充実した研修制度がある
若手の活躍
  • 若手中心のワーキンググループ(10-15人規模)で意見を集約
  • ボトムアップで提案を実現できる仕組みが確立
  • 「まなびの未来づくり事業」など、若手発案の事業が実現
地域特性
  • 新しい人や文化を温かく受け入れる土地柄
  • コンパクトな市の規模を活かした柔軟な働き方が可能
  • 自然に囲まれたゆとりある暮らしができる環境
求める人物像
  • 市民のために働きたい意欲のある人
  • 地域全体の利益を考えながら仕事を進められる人
  • 新しいことにチャレンジする意欲とコミュニケーション力がある人

都留市役所の基本情報

自治体名 都留市役所
住所 山梨県都留市上谷1-1-1
働き方 未就学の子どもを育てる職員が利用できる「部分休業制度」のほか、「育児短時間勤務制度」あり
公式ページ https://www.city.tsuru.yamanashi.jp/index.html
採用ページ https://www.city.tsuru.yamanashi.jp/shimin/shisei/boshu/index.html
募集職種 行政職(一般・社会人)・建築・土木・社会福祉士・保健師・消防士など
※募集職種は採用年度により異なります。
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。