ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、熊本県宇土(うと)市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、宇土市で働く魅力をご紹介します。
宇土市役所では、毎年新規採用を行う中、若手職員が市の未来を創造する「九州のどまんなかプロジェクト」を展開。入庁10年目までの職員がチームを組んで市の活性化プランを立案し、市長への直接提案も行っています。2023年からは優れたデザインと機能性を備えた新庁舎での業務がスタートし、働く環境も大きく進化しています。
今回は、宇土市役所の職場環境や働き方、さらに若手や女性の活躍について、総務課の松川さんとまちづくり推進課の山﨑さんにお話を聞かせていただきました。
若手が活躍できる環境:20名規模の新規採用で活気ある職場に
▲23歳の若手職員として、まちづくりを進めている山﨑さん
編集部
まずは宇土市の職員の年齢構成について教えていただけますか。
松川さん
平均年齢は40歳程度で、全国の市町村と比べて少し若い傾向にあります。ここ数年、毎年20人前後の新規採用を行っているため、若手職員も多く在籍しています。
編集部
山﨑さんは、現在どのような業務を担当されていますか?
山﨑さん
現在は、まちづくり推進課で主に定住・移住促進や地域おこし協力隊の導入による地域活性化に取り組んでいます。東京での移住希望者向けイベントに参加して宇土市をPRしたり、移住者の声を聞いて今後の施策を考えたりする機会が多く、そういった業務にやりがいを感じています。
私は今23歳で、高卒で入庁して5年目になります。私は地元が上天草なのですが、高校時代に宇土で過ごした経験から、この地域への恩返しがしたいと考えて、そのまま宇土市役所に入庁しました。
宇土市の魅力を発信する仕事に携わることができ、少しでも恩返しができていると思うと嬉しいですね。
若手の挑戦:部署横断プロジェクトで市の未来を創造
編集部
若手職員が活躍できる、何か特別な枠組みはありますか。
松川さん
宇土市は地理的に九州の中心に位置することから、その特性を活かした『九州のどまんなかプロジェクト』という取り組みを行っています。このプロジェクトでは、入庁10年目までの若手職員が市の未来について積極的に提案を行います。
これは元々は地域活性化起業人制度を利用して、広告代理店の博報堂さんに入っていただき、若手職員向けの研修として始まったものです。宇土市の強みと弱みを分析した上で、各班がテーマを決めて1年かけて取り組んでいます。いまは提案をしてくれている班が4班あります。
例えば私の班では、シェアサイクルの導入など、自然が豊かな西部地区の観光地をもっと巡りやすくするような案を提案しています。各部署の係長がオブザーバーとして、予算や実務面をサポートしてくれますし、このプロジェクトを通じて、部署を超えた交流が生まれ、庁内の活性化にもつながっています。
山﨑さん
私たちのチームは、宇土高校で行なっている「ウトウトタイム」という取り組みを参考に、睡眠に特化した取り組みを提案しています。
同校では昼休み後に「ウトウトタイム」という15分間の昼寝時間が設けられています。この「ウトウト」という言葉が宇土市の名前と掛けあわされていることから着想を得て、宇土市の地方部において、自然の中でお昼寝ができるイベントを企画中です。食事と並んで健康に重要な睡眠の質を向上させる取り組みとして期待されています。
新人サポート体制:マンツーマンで1年間しっかり育成
編集部
若手職員のサポート体制はどのようになっていますか。
山﨑さん
最初の1年間は先輩につきっきりで教えてもらいながら、会計(お金の払い方)や次年度の予算化など全庁的・全体的な流れを学びます。この期間は独り立ちが難しく、1年程度かかると考えています。ただし、毎月定期的に生じる業務については、数カ月で習得できることも多いです。
松川さん
その他には、パートナー制度(メンター制度)を導入しています。新規採用職員に対して、同じ課の中から年齢の近い先輩職員をパートナーとして配置し、日常的な疑問や細かい部分を気軽に相談できる体制を整えています。この制度は入庁から1年間実施されます。
また研修制度も充実しており、4月には庁内職員による基礎研修から始まり、熊本県市町村職員共済組合による新規採用職員研修への派遣も行っています。
特徴的なのは、実践的な異業種体験です。宇土マリーナ(道の駅)での接客・販売研修や、銀河カレッジ(障害者施設)での1日体験実習など、多角的な研修を実施しています。特に接客研修では、普段の市役所業務では経験できない販売体験を通じて、市民サービスの向上にもつながる気づきを得られると好評です。
市役所では住民票や印鑑証明の発行など、市民の皆様の重要な手続きへの対応が中心ですが、民間での接客体験を通じて、より良い市民サービスのあり方を考えるきっかけとなっています。
キャリアパス:実力主義の評価制度で成長をサポート
編集部
宇土市役所の人事評価制度について教えてください。
松川さん
宇土市の人事評価制度には特徴があり、通常の昇給に加えて、成績優秀者はさらに上位の等級に昇給することができます。また、評価結果は成果に応じて勤勉手当(賞与)に直接反映されるなど、職員の人材育成及びモチベーション向上につながる仕組みを導入しています。
編集部
キャリアアップの仕組みはどのようになっていますか?
松川さん
基本的に昇級試験はありませんが、これまでの実績(人事評価)や経験などを考慮し昇進を行っています。
評価の基準は、対象期間における業績が自身の役職より一つ上の役職のレベルまで達しているかです。例えば、主事級の職員がプロジェクトを主導し、周囲との調整を行いながら成功を収めた場合、プラスの評価として捉えます。
大卒でストレートに入庁した場合、18~20年程度で係長になることが多いですが、以前より職務経験者採用が増えたため、10年以内に係長になる人も増えてきています。キャリアパスとしては、主事から参事、そして主幹もしくは係長という流れになります。人事評価は直属の課長が行い、部長が最終評価を行います。
編集部
市役所なので異動もあると思いますが、異動を通じてどのようなキャリアを積むことができますか?
松川さん
従来の公務員は幅広い業務をこなすジェネラリストの育成が主流でしたが、近年は専門性を持った人材の育成も検討されています。ただし、特定の部署での長期配属には様々な課題もあり、バランスを取りながら検討を進めています。
編集部
異動した場合、どのように業務に慣れていくのでしょうか?
松川さん
異動の場合は基本的な業務の下地があります。1年目と違って文書作成方法や決裁の取り方、文書の保管方法といった基本的なことは既に身についているので、前任者の書類を参考にしながら業務を進めることができます。
また、正式な引き継ぎ書に加えて、日々の業務の中で次年度を見据えた注意点を共有データに残していくことも多いです。この細やかな引き継ぎの積み重ねにより、円滑な業務の移管が実現しています。
山﨑さん
私は学校教育課からまちづくり推進課へ、これまで一度だけ異動を経験しました。通常は既存の職員から引き継ぎを受けるのですが、私が異動した時は部署全体が総入れ替えのような状況で、最初は戸惑いました。しかし、前任者が作成した引き継ぎ書があり、また同じ庁舎内に前任者もいるため、分からないことは気軽に質問できる環境が整っています。
働き方改革:時差出勤制度とテレワークで柔軟な働き方を実現
▲総務課人事係の主事として、より働きやすい環境づくりを進める松川さん
編集部
働き方改革が進む中、宇土市役所ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。
松川さん
今年の夏から「時差出勤制度」を導入しており、通常の始業時間である8時半に加えて、7時半、9時半、10時半始業を選択できるようになりました。毎月1~2名程度が利用している状況です。また、時間単位での休暇取得も可能で、子どもの学校行事や急な用事にも対応できます。
さらに現在はテレワークの導入を進めようと、試行期間中として、どのような業務がテレワークに適しているか検証を行っているところです。育児や介護との両立など、多様なライフスタイルに対応できる職場環境の整備に力を入れています。
また、職員の服装についても、変化がありました。これまで、夏の期間中のみクールビズとしてノーネクタイ・ノージャケットを推進していましたが、今年度は試験的に通年軽装を実施しています。令和7年度から本格導入すべく、調整を行っていきます。
編集部
令和5年春から使用を開始された、新庁舎の使い心地はいかがでしょうか。
松川さん
休憩室が整備され、ゆっくり休憩できる環境が整いました。特に接客の多い1階フロアの職員にとって、ゆっくりと昼食を取れるバックヤードの休憩室は重宝しています。
また、シャワールーム完備の宿直室も新設され、災害時の対応もしやすくなりました。特に梅雨時期や台風時は宿直対応が必要になることが多いため、非常に助かっています。
職場の雰囲気:メリハリと交流を大切にする環境
▲恒例の「うと地蔵まつり」に参加する宇土市役所の職員たち
編集部
職場の雰囲気について教えていただけますか?
山﨑さん
メリハリのある職場です。仕事に集中するときは集中し、休憩時間はしっかり取るという切り替えができています。
また、毎週水曜日はノー残業デーで、全職員が定時で帰るような取り組みを行っています。仕事の調整に苦労することもありますが、水曜日は絶対に定時で帰るという習慣ができ、プライベートも充実しました。
松川さん
フランクな雰囲気で、気軽に雑談のできる職場だと感じています。もちろん仕事はきちんとしていますが、分からないことや悩みなども気軽に共有できる環境です。特に近年は若手職員が増えており、若手同士で悩みを共有できるのも嬉しいです。
また、入庁歴の浅い職員と雑談をする中で、「係長・先輩が優しくて仕事がしやすい」とう声をよく聞きます。九州どまんなかプロジェクトに代表されるように、若手職員の意見を聞き入れ、頭ごなしにダメと否定するのではなく、課題の提示や経験を基にしたアドバイスをもらえる環境が整っています。互いを尊重したコミュニケーションをとる土壌ができていると思います。
編集部
仕事以外で職員同士の交流はありますか?
松川さん
仕事以外での交流機会は多いですね。部活動、同期会、同級生会、オフサイトミーティングなど、部署を超えて職員同士かかわりを作れる場面は多く、職員同士でプライベートに遊びに行くことも珍しいことではありません。
業務において他部署と調整が必要な場面も多いのですが、このようなつながりを築いておくことで、頼れる仲間が増えて仕事は格段にしやすくなりました。
宇土市役所から転職希望者へのメッセージ
編集部
この記事を読んで、宇土市役所で働くことに興味を持った方へメッセージをお願いします。
松川さん
市の職員の本質的な仕事は、単にタスクをこなすことではなく、市の未来を想像し、創造していくことだと考えています。外部講師の方からそのような話を聞いた時に非常に感銘を受けました。
市民サービスの基盤となる定型業務も大切にしながら、より良い市の未来を創造していく――それが市職員の仕事です。宇土市では「九州のどまんなかプロジェクト」をはじめ、職員一人ひとりのアイデアや創造性を活かせる機会が多くあります。
何かを変えたい、良くしたいという思いを持った方にとって、その想いを実現できる環境が整っています。ぜひ宇土市を改革する意欲を持って応募していただきたいと思います。
山﨑さん
福利厚生が充実していることは、公務員の大きな魅力の一つです。私自身、高校時代にお世話になった宇土市に恩返しがしたいと思って入庁しましたが、実際に働いてみると、自分の想いを形にできる場所だと実感しています。また、宇土市役所は非常に穏やかな雰囲気で、自分のペースで仕事ができる環境が整っています。
プライベートとの両立も図りやすく、長く働ける職場ですよ。
編集部
本日は検討段階のリモートワークも含めた新しい働き方、若手が積極的に活躍できるプロジェクトなど、ホットなお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
編集後記
この記事のまとめ
職場環境の特徴 |
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柔軟な働き方 |
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若手育成制度 |
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キャリア形成 |
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福利厚生 |
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熊本県宇土市の基本情報
住所 | 熊本県宇土市浦田町51 |
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働き方 | シフト勤務制度あり ※テレワークの導入も検討中 |
公式ページ | https://www.city.uto.lg.jp/ |
募集職種 | 資格免許職:建築士 など |