グローバルな事業を行う注目企業を紹介する本企画。この記事では、ワイズアンドパートナーズ・ジャパン株式会社にお話を伺いました。
同社は「日本のブランドを世界で有名にする」をミッションに2002年にアメリカで創業。日米に拠点を持つエージェンシーとして、ブランド戦略を核とした統合型デジタルマーケティングで日本企業のアメリカ進出を支援しています。
今回は、CMO兼ブランドストラテジストの結城さん、アカウントマネジメントを担当する松澤さんと宮崎さんにお話を聞かせていただきました。
日本ブランドのアメリカ進出を支援するワイズアンドパートナーズ・ジャパン
▲結城さんは、過去にユニリーバの「LUX」など有名ブランドの日本市場での成功に貢献。渡米後、2002年に結城喜宣さんと米国法人「Ys and Partners, Inc.」を創業した。
編集部
まず、ワイズアンドパートナーズ・ジャパンさんの設立の経緯からご紹介いただけますか?
結城さん
弊社は2002年に私と社長の結城喜宣がカリフォルニア州で立ち上げた会社です。私たちはそれぞれ前職でアカウントマネジメントとクリエイティブディレクターとして活動しており、ハーゲンダッツアイスクリームやユニリーバの商品など、欧米のグローバルブランドの日本進出を支援してきました。
2人で独立してからは、「日本のブランドを世界で有名にする」というミッションのもと、マーケティングコミュニケーションの領域で日本企業のアメリカ進出を支援しています。
編集部
多くの企業がグローバル化を目指すなか、ワイズアンドパートナーズ・ジャパンのような存在はますます重要になっているのではないでしょうか。
結城さん
そうですね。たくさんの日本ブランドが米国市場に進出していますが、大きく成功した事例はそこまで多くはありません。日本では有名な大企業であっても、アメリカではゼロからのスタートになるからです。
創業者2人のキャリアと、多様なスキルを持つプロフェッショナルが集まる弊社だからこそ、ゼロを1にするお手伝いができると考えています。
日本企業に伴走し、世界進出をサポート
編集部
代表的なプロジェクトもご紹介いただけますか?
結城さん
BtoCのブランドですと、ヤクルトやハイチュウ、カルビーなど、日本で高い知名度のあるブランドの米国展開を支援してきました。リサーチや戦略の構築など、アメリカでのブランド立ち上げにゼロから携わり、クリエイティブワークやメディアバイイング、販路開拓まで一気通貫で伴走しています。
具体的な事例として、キノコを製造する長野県のホクト株式会社さんをご紹介します。同社はカリフォルニア州サンディエゴに米国本社を置いてアメリカでも事業を行っており、弊社は日本のきのこが現地で全く知られていない10年以上前から支援させていただいています。
健康志向の高い人にターゲットを絞ることで販路を開拓したほか、価格戦略として「スペシャリティマッシュルーム」というポジションを確立させた結果、日本だと200円前後のマイタケやシメジが、アメリカのメインマーケットでは8ドル以上、日本円で1000円以上で販売されるようになりました。
このように、統合的なマーケティング支援によってアメリカ進出を成功に導いています。
編集部
大企業のブランドだけでなく、ホクトさんのような地方発の企業の世界進出もサポートしているのですね。
結城さん
日本企業の多くがアメリカでは中小企業です。ホクトさんのような食品企業がミシュランシェフをうならせるような質の高いプロダクトを生み出しています。
日本の食品の価値はまだまだ世界に知られていないので、近年はその価値を世界に伝えることに力を入れています。地方の生産者が商社などを介さずにアメリカに直接商品を届けるスキームも考えています。
日本企業をサステナブルにするためにも、アメリカでゼロから市場開拓をして有名ブランドへと成長させるお手伝いをしていきたいですね。
日米に拠点を置くワイズアンドパートナーズ・ジャパンのワークスタイル
編集部
日米に拠点を置くワイズアンドパートナーズ・ジャパンさんですが、社員の皆さんはどのような働き方をしているのでしょうか?
結城さん
弊社はメンバーの働き方もグローバルです。私はアメリカのカリフォルニア州アーバイン市からインタビューに参加しており、宮崎は出張先のアメリカ・ケンタッキー州から、松澤は東京本社に所属していますが、長野県在住です。
ほかにもニューヨークやシカゴ、カナダ、スペイン、デンマーク、タイ、日本だと大阪や広島などにもメンバーがいます。
編集部
長野にお住まいの松澤さんは、リモートでお仕事しているのでしょうか?
松澤さん
はい。私は営業やアカウントマネージメントを担当しており、リモートを基本として月に1、2回東京のオフィスに出社しています。
ラスベガスで行われる展示会にお客様のブランドを出展するために2週間ほどアメリカに行くなど、海外出張することもあります。
▲長野在住の松澤さんは、牧場でのお仕事や宿泊施設の支配人などを経てワイズアンドパートナーズ・ジャパンに入社。日本のブランドを世界で有名にするというミッションに共感したと話す。
編集部
リモートで日米のメンバーとやり取りすることに難しさはありませんか?
松澤さん
新型コロナが流行してからリモート勤務を導入する企業が増えましたが、弊社は創業時からずっと国内外に拠点を置いて事業をしてきました。そのため、リモートでつながる文化が浸透していると感じます。
また、私たちが今力を入れているのは、地方の農家さんや食に携わるメーカーさんをアメリカに紹介することです。ローカルにいながら世界に繋がろうとする方々を支援するうえで、私自身がそれを体現するような働き方をしていることは意味があると思っています。
離れていてもコミュニケーションはバッチリ。一軒家を借りて合宿も実施
▲高級食品見本市「Winter Fancy Food Show 2025」への出展のためラスベガスへ。
編集部
社員の皆さんは、普段どのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか?
結城さん
オンライン会議をする時は日本時間の午前8時、アメリカ西海岸の午後4時に設定するなどして、日米のメンバーが常にコラボしながら仕事しています。チャットでの会話も活発なので、離れた場所にいることを忘れてしまうくらいです。
私や弊社の代表は常に日本とアメリカを行き来しており、出張も多いので、社員は私がどこから会議に参加しているのか分かっていないこともありますね。
編集部
日本とアメリカのメンバーが実際に顔を合わせる機会もあるのでしょうか?
結城さん
はい。東京のオフィスに海外のメンバーが来ることもありますし、日本の社員が展示会のためにラスベガスに出張した際は、シカゴやニューヨークにいる社員もラスベガスに集合し、Airbnbで一軒家を借りてみんなで1週間ほど合宿しながら仕事をしました。
意見を言うことを良しとするアメリカ的な文化がある
編集部
グローバルな環境で働くことは、企業カルチャーにどのような影響を与えているとお感じですか?
結城さん
会議などで発言や質問をしないで座っているだけの人は、アメリカでは「価値がない人」と言われてしまいます。
そのような文化に触れながら働いているので、弊社のメンバーはみんなしっかりと自分の意見を言うことができます。
松澤さん
私も、社内には「意見を言い合うことが正しい」というアメリカ的な文化があると感じますね。
上司や部下という関係性ではなく、フラットな組織であることも、意見を言いやすい雰囲気につながっています。お互いのことをリスペクトしながら意見を言い合う環境があるからこそ、良いものを生み出せるのだと思います。
ワイズアンドパートナーズ・ジャパンでは子育て社員も多数活躍
▲女性社員が約8割のワイズアンドパートナーズ・ジャパン。宮崎さんは2人の子どもを育てながら同社で活躍している。
編集部
女性社員のご活躍についてもお伺いします。宮崎さんは子育てをしながらお仕事をしているそうですね。
宮崎さん
はい。私がこの会社に出会ったのはひとり目の子どもがまだ0歳の時でした。女性社員の割合が高く、子育てしながら活躍している人も多いことを知り、時短勤務であっても責任ある仕事を任せてもらえると感じて入社を決めました。
編集部
実際に働いてみて、いかがですか?
宮崎さん
「子どもがいるから任せられない」ということは全くなく、ひとりのプロとしてチャレンジできる会社だと感じます。
また、リモートで働く文化が確立されているので、自分のタイミングに合わせて柔軟に調整をしながら働けますし、お互いがカバーし合い、支え合いながら働ける雰囲気なので、子どもが体調を崩して仕事を抜けたりお休みを取る時も「お互い様」という感覚で受け入れてもらえます。
結城さん
弊社の面接にお越しいただく方のなかには、時短勤務によって簡単な事務作業しかさせてもらえなくなり、もっと活躍できる場所を探していると話す方も多くいます。
弊社は大企業ではないので、そもそも「簡単な仕事だけ担当する人」というボジションはありません。時短であってもプロの仕事をしてもらうのが基本ですので、そのような環境を求めている方を歓迎しています。
編集部
出産を経て職場に復帰する人の割合も高いのでしょうか?
結城さん
現在のところ、職場復帰率は100%です。宮崎も弊社に入社後に2人目を出産し、復帰しました。
編集部
産休や育休によってキャリアが中断することを心配する人もいますが、宮崎さんはいかがでしたか?
宮崎さん
2人目を出産して職場に戻った時、今まで積み重ねてきたことが失われることなく、スムーズにキャリアを再開することができました。
また、育休明けすぐにフルタイムで復帰するのではなく、会社と相談しながら少しずつ勤務時間を増やしていけたことはありがたかったですね。
能力やスキルで貢献したいと考える人をインターンとして採用
編集部
インターンの受け入れは行っていますか?
結城さん
日米どちらのオフィスでも受け入れた実績がありますが、弊社に来てくれるインターンは、日本のように就職活動の一環と捉えている人は少なく、大学の授業の一環としてインターンに参加してくれる学生さんが多いです。
私たちも採用目的でのインターンは行っていませんし、就活目的の方はお断りしています。就職活動の際に履歴書に経歴を書くためではなく、自分の能力やスキルで貢献したいとお考えの方にインターンとして参加していただきたいと考えています。
編集部
インターンであっても、自分の強みを実社会で活かしたいという意思を持つ人を重視しているのですね。
結城さん
その通りです。人格も重視しているので、考えや人柄をしっかりと理解させていただくために、面接は最低3回行っています。食事をしながらじっくりとお話しさせていただくこともあります。
編集部
インターンでは、どのようなお仕事を経験できますか?
結城さん
エージェンシーやマーケティング会社にはマニュアルが存在しないので、OJTが基本です。
けれども、毎日つきっきりでお仕事を教えるような環境ではないので、社員と同じようにスピード感ある事業環境に身を置いて、マルチタスクを経験してもらいます。
ワイズアンドパートナーズ・ジャパンは「オープンな心」を持つ人を歓迎!
編集部
ワイズアンドパートナーズ・ジャパンさんにマッチするのはどのような方でしょうか?
松澤さん
オープンマインドで意見を言い合うことを大切にできる方だと思います。議論を大事にしながら良いものを一緒に作り上げることができる人に仲間になっていただきたいと考えています。
宮崎さん
日米の橋渡し役として活動するために必要なのは、英語力や専門技術以上に、異なる価値観や文化を理解した上でブランドメッセージを戦略的に届けることです。
日本の良いものを世界の人たちに届け、日々新たな発見をしたり刺激を受けながらチャレンジしたいと考えている方には、ワイズアンドパートナーズが合っていると思います。
編集部
最後に、結城さんから読者の方へメッセージをお願いします。
結城さん
私たちはスキルは後からついてくると考え、人間性を重視した採用を行っています。特に、自分をオープンにできること、そして他者に対してオープンであることが、グローバル人材として最も重要な要素のひとつだと考えています。
オープンで素直な心を持った方なら学び取るスピードも早く、必ず成長していただけると思います。
編集部
世界基準の価値観とプロ意識を持つメンバーが集まるワイズアンドパートナーズ・ジャパン。グローバルな舞台で大きな挑戦をしたいと考える人にぴったりの場所だと感じました。
本日はありがとうございました!
ワイズアンドパートナーズ・ジャパン株式会社の基本情報
住所 | 東京オフィス:東京都港区赤坂 5-2-33 IsaI AkasakA 610号室 米国オフィス:5151 California Ave. Suite 100, Irvine, CA |
---|---|
事業内容 | ・海外マーケティング ・越境ECマーケティング ・訪日観光マーケティング ・日本国内マーケティング |
設立 | 2005年 |
公式ページ | https://ysandpartners.com/jp/ |
採用ページ | https://ysandpartners.com/jp/jobs/ |