定時退社が当たり前!?鹿児島の老舗企業「株式会社プロゴワス」のワークライフバランス

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、鹿児島に本社を構え、印刷業を基盤にしたBPOサービスを提供する株式会社プロゴワスにインタビューしました。

同社の特徴は、柔軟で創造的な業務環境を作り出していることです。働き方改革が世の中に広まる以前から取り組みを進め、印刷業では比較的珍しい完全週休2日制を導入しているほか、大半の社員が残業時間ゼロという環境を達成できています。

その他にも、子育て世代への支援制度を充実させるなどワークライフバランスの向上に取り組んでおり、令和元年に「かごしま『働き方改革』推進企業」に認定されるほか「鹿児島市健康づくりパートナー」にも登録しています。

今回は、株式会社プロゴワスの働きやすさや活躍する若手のエピソードなどについて、事業運営部の岩切さんと有馬さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
インタビューに応えてくれた株式会社プロゴワスの岩切さん

株式会社プロゴワス
事業運営部・マネージャー

岩切 大輔さん

インタビューに応えてくれた株式会社プロゴワスの有馬さん

株式会社プロゴワス 事業運営部

有馬 由貴さん

残業ゼロを実現。『働き方創造』による優れたワークライフバランス

ミーティング中の株式会社プロゴワスの社員

編集部

御社は働き方改革を早くから進めてきたとお聞きしましたが、具体的にはどのような取り組みをされてきたのでしょうか。

岩切さん

弊社は働き方改革という言葉が広まる前から、人こそ財産という理念のもと「働き方創造」として様々な改革に取り組んできました。

大企業では、就業規則や様々な規定を変更するのは簡単ではありませんが、弊社のような中小企業では、現場の状況に応じて柔軟に制度を作り変えることができます。例えば、コロナ禍やメンタル不調などの事例を踏まえて、必要に応じて社員がリモートワークで働けるような制度を整備しました。

一般的な企業では実現できていない制度も、弊社ではすでに整っています。そのためか、多くの企業が人手不足を抱えている中で、求人を出すとありがたいことに多くの方からご応募いただいているという状況です。

編集部

その中で、特に注力された制度について教えていただけますか。

岩切さん

印刷業界では比較的珍しいのですが、「完全週休2日制」を導入しました。もともと要望はあったのですが、印刷機械は土曜も動かすのが当たり前ということもあり、実際にそれを実行する人がいなかったんですね。

そこで、数字的な分析や賃金面、他社との比較を行い、「これなら生産性を下げることなく実現できる」という提案を社内プレゼンで行いました。社長もその提案を聞いて賛同してくれ、結果的に実行に移すことができました。

労働時間が短くなった分は給与を下げるのではなく、効率化で対応することにしました。単純計算で1人1日15分の時間短縮で週休2日制が実現できると考え、各自が具体的な改善目標を立てて取り組みました。全員で考えて目標を作り上げたことが成功の要因だと思います。

編集部

残業時間についてはいかがでしょうか。

岩切さん

残業は月平均3時間という数字を公開していますが、実は7〜8割の社員は残業0時間、つまり定時で帰っています。定時の5時30分には多くの社員がタイムレコーダーの前に並んで帰宅しているので、入社後に初めて見たときは驚きましたね。

有馬さん

それが可能なのは、中小企業としてはかなり積極的にシステム化を進めているからです。例えばFAXは完全電子化されていますし、kintone®を活用して自動的に担当者に振り分けられる仕組みを構築しています。このように様々なサービスを導入して効率化を図っています。

育児と仕事を両立できる休暇制度とフレキシブルな勤務制度

株式会社プロゴワスのOJTの様子

編集部

子育て世代への支援も充実していると伺いましたが、どのようなものがありますか?

有馬さん

短時間正社員制度を選択している方もいます。他にも時差出勤制度を利用したり、1時間単位で有給休暇を取得したりすることができます。

私の場合、子どもの小学校の旗持ち当番に参加すると会社に間に合わないため、前職ではそのために有休を1日丸ごと使わなければならず、もったいないと感じていました。ですが、今は時差出勤制度で30分だけ時間をずらすことで、子どもの旗持ち当番を終えてから会社に出勤することができるんです。

また、未就学児1人につき月5日、最大10日まで有休とは別に育児目的休暇を取得できます。これはもちろん、有給での休暇で、法を上回った措置となっています。

私も入社直後に家族全員がインフルエンザに罹った際、この制度を利用させていただきました。会社全体で「家族を大事にしなさい」という風潮があり、家族のためにお休みを取ることに対して理解があるため、気軽に休むことができるのが本当にありがたいです。

岩切さん

「休みやすい環境」というのは、社員が実感している大きなテーマの一つだと思います。実際、有休消化率も8割を超えており、多様な働き方を実現する上で、非常に恵まれていると感じています。

また、この環境が成り立っている背景には、社員一人ひとりが無理なく働けているという点があります。忙しくなりすぎないようなバランスが取れていることで、休みやすい環境が自然に作られ、結果としてそれが良い循環に繋がっているのだと思います。

20代から30代が活躍!若手の挑戦を全社でバックアップ

株式会社プロゴワスの営業職社員のロープレ風景
▲ロープレ中の営業職の若手社員さん

編集部

社員数と年齢構成について教えていただけますか。

岩切さん

パートタイムの方、役員を含め71名が在籍しています。工場には50代60代のベテラン社員も多くいますが、営業部門や事務部門、また工場にも若い世代が入ってきています。20代はまだ少なめですが、30代前半から中盤の社員が多く、会社の中核として様々なミッションを担っています。

編集部

有馬さんは入社されて間もないとのことですが、入社のきっかけを教えていただけますか。

有馬さん

私はまだ入社1年なのですが、プロゴワスの営業職の求人に応募したのがきっかけです。面接で私の経歴や人となりを見ていただいた結果、広報が向いているのではないかとお声がけいただき、入社を決心しました。現在は管理業務と広報業務を兼務しています。

その中で感じたのは、弊社には「学びたい」「やってみたい」という意見を出しやすい雰囲気があることです。私自身、広報の経験がなかったので、社外研修への参加を希望したところ、快く送り出していただきました。手探りでの試行錯誤の中、常にサポートしていただきながら業務を進めています。

編集部

ご自分の提案から始まった例があれば教えていただけますか。

有馬さん

具体的な例として、社長と取締役のトップ対談を企画しました。私自身、経営陣お二人の考えをもっとよく知る必要があると感じましたし、それを社内外に届けたいという思いが強かったので、企画書を作成してお時間をいただきました。

インタビューの経験はそれほどなく緊張しましたが、文才のある同僚と協力して記事を作成し、社外向けPRと社内報として発信することができました。社外に向けてのPRも大切ですが、私が特に重要だと感じているのはインナーブランディングの部分です。今後はそこをもっと学んで力を入れていきたいと考えています。

編集部

他にも若手の活躍例があれば教えていただけますか。

岩切さん

印象的な例を2つご紹介できます。1つ目は、入社2年目のデザイナーの例です。地域の大きな花火大会のポスターコンペに自ら「チャレンジしたい」と手を挙げ、会社全体でサポートした結果、見事採用されました。若手社員の意欲と、それを支える会社の体制が実を結んだ事例です。

株式会社プロゴワスの若手女性営業職員が先輩職員とミーティングを行うようす
▲先輩職員とミーティングを行う若手女性営業職員

岩切さん

2つ目は、入社2年弱の女性営業職員の例です。学ぶことに対して非常に意欲的で、その姿勢と能力が認められ、若手だけで構成された新規営業強化チームのリーダーを任されています。従来のやり方とは異なる、新しいアプローチを構築するためのチームなのですが、うまく機能しており、今後の売上増加にも期待がかかっています。

営業だけに限らず、他の部門でもイベントやプロジェクトのリーダーを役職者ではなく若手層に任せ、上司がサポートする形を取ることが多いです。こうした取り組みが、若手社員にとっては活躍できる場となり、良い影響を与えていると感じています。

入社後の成長を支え、安心感を提供するサポート体制

株式会社プロゴワスの新入社員のワークショップ
▲ワークショップ中の新入社員さん

編集部

特に若手社員の方々に向けた、入社後の育成体制や成長支援について教えてください。

岩切さん

まず、若手が問題を一人で抱え込まないようにするのが大事だと思っているので、チームメンバーと定期的に話し合いの場を設け、みんなで考えながら解決策を見出すようにしています。自分自身の成長とチームワークの両立を意識して取り組んでいて、若いメンバーは皆自分ができることに積極的に取り組み、学んでどんどん成長してくれていますね。

営業部門と営業以外の部署で研修の進め方が異なりますが、全社員、入社から1ヶ月は全ての部署を回りながら各工程を見ていきます。営業が受注してから最終的に納品されるまでの全過程を理解することが重要です。自分の担当業務だけでなく、会社全体の事業内容や他の部署の仕事にも触れることができます。

そして、工程を理解することも重要ですが、それ以上に各部署のメンバーとコミュニケーションを取り、関係性を築いていくことも大切なポイントです。全部署を回ることで既存の社員たちも新しい仲間が入ってきたことを認識し、相互に声をかけ合うような関係が築かれることになります。

有馬さん

私も入社後に一通り全ての部署を回らせていただきました。営業にも同行し、工場やデザイン室も見学しましたし、会社の主力のひとつであるデータプリントのシステムにも触れることができました。お客様からの依頼がどのように形となり、お客様の元に届くのか、その流れをしっかりと学ぶことができました。

また、何よりも「人を知ること」ができたので、その点も含めて、非常に貴重な時間だったと今でも思っています。

創業100年を超えて進化する企業文化:印刷業からの変革

株式会社プロゴワスのキックオフの風景
▲キックオフの様子

編集部

御社は創業100年以上の歴史を持つ企業ですが、事業の変革を進めているのですよね。

岩切さん

そうです。前社名が「和田印刷」だったことからもわかるように、プロゴワスは長らく印刷を主事業としていましたが、代表は11年前に「うちは印刷業ではない」と宣言したんです。もちろん現在も印刷事業が主力であることは変わりませんが、業界全体でDX化やペーパーレス化が進む中、単なる印刷だけでなく付加価値をつけたサービスを提供しています。

紙への印刷という狭い範囲ではなく、お客様の課題解決や業務効率化を実現するBPOサービスという広い視点で、事業の変革を進めています。BPOサービスは、印刷業務に関連して、紙文書の電子化やデータプリント発送代行など業務効率化を進める一環として展開しています。

編集部

新しいチャレンジという意味では、先ほど「新しい営業アプローチに取り組んでいる」ということをおっしゃっていましたが、こちらも具体的に教えていただけますか。

岩切さん

既存の社員が持つそれぞれの業界での経験やノウハウを集約し、それを基に新たな市場にアプローチするという形です。

我々は老舗企業ということもあり、これまでは信頼と実績で長年取引のあるお客様との関係を大切にする、どちらかというと守りの営業スタイルが中心でした。しかし、変革していく時代に沿ってお客様の業務改善をサポートしていくためには、新しい営業手法も必要になってきています。

弊社は、医療業界の営業経験者、不動産業界の経験者、小売業界の経験者など、様々な業界からの中途入社者が多いことが強みです。業界ごとの知識や重要なポイントをチームとして共有し、どこにアプローチすべきかをしっかり把握しながら新規開拓を進めています。

単なる飛び込み営業ではなく、各業界の特性を理解した上でアプローチする、チームとしての新しい営業スタイルを確立しつつあります。

編集部

歴史ある企業ながら、変化を恐れない社風なんですね。

有馬さん

はい。社長の言葉のひとつに「変わらないために変わり続ける」というものがあるのですが、大切なものを守るために変化を恐れない企業文化が末端まで浸透しています。

社員同士でお互いに配慮する風土が醸成されていますが、何かを改善しようとしたり、行動を起こそうとする際には、遠慮なく率直に建設的な意見交換ができる雰囲気があります。「配慮はするけど遠慮はしない」という表現を私がした際、役員の方々にも共感していただけたほど、会社全体に根付いている文化です。

健康促進とチームビルディング:社内外イベントでつながりを強化

株式会社プロゴワスのゴミ拾いウォーキングイベントの様子
▲実際に行われたゴミ拾いウォーキングイベントの様子

編集部

御社には多彩なバックグラウンドを持つ方々が在籍されているとのことですが、どのような方々が活躍されていますか。

有馬さん

入社後に1ヶ月かけて全部署を回った際に感じたのは、本当の意味でのプロフェッショナルの集まりだということです。印刷、営業、サポート、それぞれの分野のプロフェッショナルが揃っています。中途採用が多いため、多彩なキャリアや個性を持つ人材が集まっているのも特徴です。

編集部

健康経営にも力を入れているそうですね。

有馬さん

社長自身が健康づくりに非常に高い意識を持っており、社員にも自分や家族の健康を大切にしてほしいという思いから、さまざまな健康促進の制度が導入されています。その一環として、毎朝のラジオ体操をはじめ、インフルエンザ予防接種の社内実施、健康診断オプションへの補助など、制度や取り組みが充実しています。これらの取り組みは地元テレビ局でも取り上げられました。

岩切さん

外部向けのイベントにも積極的に参加しています。例えば、大手企業と協賛したウォーキング&清掃活動や、企業対抗ウォーキングラリーイベントなどを実施しています。

さらに、スポンサーを務めるプロバスケットボールチームの試合観戦など、イベントを通じて、社員同士の交流を深めたり、外部とのつながりを強化したりしています。

株式会社プロゴワスから転職希望者へのメッセージ

編集部

採用について伺います。入社後の勤務地や勤務体系について教えていただけますか。

岩切さん

現在、鹿児島本社と福岡オフィスがあり、鹿児島本社に通勤可能な方を募集しています。福岡オフィスは随時募集ではありませんが、今後の営業展開の拡大や欠員補充の際には採用の可能性があります。また、リモートワークはメインではないため、基本的には通常の出社を前提としています。

編集部

最後に、プロゴワスでの新しいキャリアに興味を持たれた方へメッセージをいただけますでしょうか。

有馬さん

仕事もプライベートも両方頑張りたい方に向いている職場だと思います。 弊社は福利厚生や制度が充実していることに加えて、自己成長への意欲がある方であれば、会社全体でその成長を応援してくれる風土があります。

先ほどご紹介した若手デザイナーのポスター採用の例のように、積極的にチャレンジして成長したい方には、非常に魅力的な環境だと確信しています。生活も大事にしながら、仕事にも集中できる環境が整っているので、両立を目指す方にぜひおすすめです。

岩切さん

私からは、やりがいを重視する方に最適な環境だということを強調したいと思います。弊社の特徴は、自分で考えて発信し、実際に会社を変えていける機会があることです。

大企業では難しい「自分の力で会社を変えていける」という醍醐味が弊社にはあります。自分たちの会社を自分たちで作っていくことに対して、やりがいや面白みを感じる方には最適な場所だと自負していますし、そういった方をお待ちしております。

編集部

お二方のお話から、福利厚生の充実だけでなく、社員の成長とチャレンジを大切にする企業文化が伝わってきました。本日はありがとうございました。

編集後記

創業100年を超える鹿児島県の印刷会社(近年はBPOなど新しい分野で成長)ということで、どちらかというと伝統を重んじるような体質の企業を想像していました。ただ、お二人のお話を聞くと、「人を大事にする」という理念を貫きながらも軽やかなフットワークで業務の方針や福利厚生などを改革されていて、非常に感銘を受けました。

この記事のまとめ

ワークライフバランス
  • 残業は7〜8割の社員が0時間、月平均3時間と少なめ
  • 時差出勤制度あり、有給休暇は1時間単位で取得可能
  • 未就学児1人につき月5日の育児目的休暇制度、短時間正社員制度あり
  • FAXの完全電子化やkintone®活用など、システム化による業務効率化を推進
若手の活躍
  • 従業員数71名(パート含む)、30代前半〜中盤が中核
  • 新しいアイデアや挑戦を積極的にサポート
  • 入社2年弱の営業職が新規営業強化プロジェクトのリーダーに抜擢
  • イベントやプロジェクトのリーダーを積極的に若手層に任せる文化
社風・カルチャー
  • 「配慮はするけど遠慮はしない」率直に意見を言い合える文化
  • 様々な業界からの中途入社者が多く、多彩なキャリアや個性を持つ人材が在籍
  • 「変わらないために変わり続ける」をモットーに、伝統と革新のバランスを重視
福利厚生
  • インフルエンザ予防接種の社内実施、健康診断オプションへの補助など
  • 大手企業と協賛したウォーキング&清掃活動や、企業対抗ウォーキングラリーイベントなど、交流機会が豊富
  • 社員とその家族の健康を重視した健康経営を実践
キャリア開発
  • 「学びたい」「やってみたい」という意見を出しやすく、社外研修も積極的に支援
  • 外部研修や他部署との交流を通じて、スキルアップを促進
  • 業務の属人化を防ぐため、得意分野を活かしつつ複数の業務を担当

株式会社プロゴワスの基本情報

住所 鹿児島市南栄三丁目1番4号
事業内容 ・プリント関連事業
・文書電子化事業
・業務プロセス改善事業
創業 1918年12月
働き方 ・原則出社勤務
・短時間正社員制度あり
・時差出勤制度あり(コアタイム9:30~16:30)
・有給休暇取得率80%以上
公式ページ https://progowas.jp/
採用ページ https://saiyo-connect.jp/progowas
公式SNS ・Instagram:https://www.instagram.com/
progowas_kouhou/

・Facebook:https://www.facebook.com/progowas/
募集職種  ・営業

会社・事業の特徴

1918年に「和田印刷」として創業し、鹿児島にて印刷業を展開。2013年に社名を「プロゴワス」に変更してからは、事業改革を進め、BPOサービスに本格的に乗り出しました。

スキャニングサービスやデジタル商材を活用した企業の業務効率化やコスト削減の支援にも注力しており、プライバシーマーク®を取得している環境で個人情報などの情報処理、印刷物への情報印字や発送代行といった一連作業の受託業務が強みです。

取材・編集
大滝雄介のプロフィール写真

ミライのお仕事
編集部

大滝 雄介

企業の採用や働き方に関する取材を担当し、これまでに三井物産株式会社やヤマハ発動機株式会社、サイボウズ株式会社など、約650件の取材実績あり。編集歴は15年にわたり、出版社勤務時代には官公庁や健康保険組合の機関誌・パンフレットなどを企画段階から多数制作。