躍進する企業の背景にある戦略や若手の活躍、インターンシップ制度について紹介するこの企画。今回は、英語を楽しく学べる英会話教室「Aitem(アイテム)」を運営する株式会社Rを取材しました。
株式会社Rのメインとなる事業は、英会話教室「Aitem」の運営です。1,000人以上の生徒が通うスクールの特徴は、スピーキングに特化した各種レッスンやディスカッション、即興型英語ディベートなどを通じ、「笑って話して英語を好きになる」ための工夫をしていることです。
英語学習を通じて生徒がコミュニケーション能力や思考力を身につけることで、様々な分野で活躍できる人材を1人でも多く増やしていくことが、同社の目指す「ミライ」なのです。
会社名 | 株式会社R |
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住所 | 東京都豊島区雑司ヶ谷3-11-2 |
事業内容 | コミュニケーション教育事業 |
設立 | 2017年5月15日 |
公式ページ | https://aitem-english.jp/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) フルフレックスタイム制度 |
2017年に設立した株式会社Rは、生徒数、売り上げ共に急成長中です。その背景には、InstagramやLINE、YouTubeのショート動画によるSNSマーケティングの成功があります。そこにはどのような戦略があり、社員の方々はどのようなマインドで仕事に向き合っているのでしょうか。
そこで今回は、代表取締役の佐藤ゆきこさんに、同社に根付くカルチャーや活躍するメンバーの特徴などについてお話を伺いました。
“否定しない”ディスカッション&自由に意見が言えるレッスンが特徴
編集部
現在、多くの英会話スクールがある中で、株式会社Rさんが運営する英会話教室「Aitem」の強みや特徴についてお聞かせください。
佐藤さん
"笑って学べる英会話Aitem"を公式SNSのアカウント名としていることからもわかるように、英語をとにかく好きになる工夫をしているのがAitemの特徴です。
以前は、商社勤務の方などがキャリアアップを目的に英語を学ぶことが多かったのですが、近年のインバウンド増加により、飲食店や観光業に携わる方々も英会話の必要性を強く感じるようになりました。
英語が得意ではない方でも、学生時代の勉強として捉えるのではなく、英語を「コミュニケーションツール」として学ぶ楽しさを伝えながらスピーキング力を伸ばすことが、Aitemの強みです。
編集部
"笑って学べる英会話"は、Aitemのレッスンではどのように実践されているのでしょうか。
佐藤さん
私たちは、"否定しない"ことを方針にレッスンを行っています。
例えば、日本では「ディスカッション」というと結論を出すことを目的としがちです。しかし、Aitemのレッスンの一環で行うディスカッションは、「そういう意見もありますね。私はこういう見方もあると思うのですが、考えを聞かせてほしい」というスタンスで、目的はあくまで対話です。
相反する意見も素直に言える雰囲気があるので、生徒の皆さまは同調圧力がない環境で自分の意見を遠慮せず発言することができます。このような雰囲気をSNSで感じていただき、入会された方も多いです。
編集部
テストで良い点を取るための勉強ではなく、レッスンやディスカッションを通じ、英語はコミュニケーションの一環であることを楽しく学べるのが、英会話スクール「Aitem」なのですね。
SNSマーケティングが牽引する株式会社Rの成長戦略:前年比170%増の背景
編集部
御社は設立から7期目を迎えるとのことですが(2023年11月現在)、成長を実感した数字やエピソードなどがあればお聞かせください。
佐藤さん
数字面からお伝えすると、現時点で前年比170%、来期は200%を見込んでいます。純増の背景には、前期に仕掛けたSNSを活用した戦略が功を奏したと分析しています。
例えば、SNSの総フォロワー数が16万人以上であることを活かしたマーケティングや、YouTubeのショート動画、LINEのビジネス用ツール、Lステップ(※)によるコミュニケーション設計がここ数年で効果を発揮し始めました。
(※)Lステップ:LINE公式アカウントの機能を拡張した顧客向けのマーケティングオートメーションツール
2022年末には弊社の動画チャンネルがYahoo!ニュースで取り上げられたことも、成長を実感できる出来事でした。
編集部
SNSのフォロワー数が急増した理由をお聞かせください。
佐藤さん
弊社では「こういうコンテンツが支持されるだろう」という仮説を立て、効果的なコミュニケーション設計をすることを得意としており、これまで培ってきたSNSマーケティングへの知見を活かせたことがフォロワー数の増加につながったと考えています。
また、弊社は英会話スクールではなく、"コミュニケーション教育授業"であることをSNSで発信しています。レッスンは長時間のディスカッションとディベートで進行するため、単に「英語を教える」という姿勢では講師は務まりません。個人の意見を引き出したり、英語が得意ではない方に安心感を持ってもらったりするなど、講師のコミュニケーション力がレッスンの質を左右します。
対話を重視したサービスを提供する中で、「こういうことに面白さを感じている」「こんなことに困っている」という生徒さまの想いをスタッフが理解したうえで動画を作成・配信したことも、フォロワー数増加の要因だと考えています。
日常の“あるある”を題材にしたショート動画が大人気
▲SNS総フォロワー数16万人以上のTyler&Yuta
編集部
Rさんが運営する「Aitem」のSNSでは、どのような投稿をされているのでしょうか。
佐藤さん
大きな反響を呼び、Yahoo!ニュースでも取り上げられた投稿として、「アメリカに帰りたくなるシリーズ」というInstagramの投稿があります。アメリカ人のTylerと日本人のYutaが登場するこのチャンネルでは、日本語の難しさをユーモアを交えて語る内容になっています。
例えば、『日』という漢字の読み方が複数存在することを取り上げています。「なぜ日(ひ)が日(にち)になるの?日本語は難しい!アメリカに帰りたくなるよ!」というように、日本語特有の複雑さをネタにしながら、「こんな難しい日本語を使いこなしている日本人なら、英語も必ず習得できる」というメッセージを込めています。
最近では、日本の大学のサークル活動に関する投稿もあります。「飲み会中心のサークル活動はおかしい!私はテニスがしたいんだ!」と嘆くような内容です。これらのショートムービーでは、抑揚と起承転結をつけながら、英語を学ぶ楽しさを効果的に伝えています。
株式会社Rの企業文化:「本当のことを言うことが正義」を重視するオープンなコミュニケーション
編集部
次に、Rさんの社風について伺います。Rさんが大切にされているカルチャーや、それを浸透させるために工夫されていることがあればお聞かせください。
佐藤さん
英語を通じてのコミュニケーション教育事業を展開する弊社には、「本当のことを言うことが正義」という考えがあります。人と違う意見を言うことは決しておかしなことではなく、自分の考えや思いを論理的に言えるカルチャーが根付いています。
ただし、思ったことをなんでも口に出して良いわけではありません。言い方やタイミングなどを考えたうえでのコミュニケーションを大切にしています。行動指針の1つに「感謝」を掲げる弊社の一番の財産は、お客様に対してはもちろん、社内でも一生の財産となるコミュニケーションづくりに尽力してきたことだと感じています。
編集部
Rさんがコミュニケーションにとても力を入れている様子がお話からも伺えます。メンバーの皆さんが円滑にコミュニケーションを図っていくために、工夫されていることはありますか?
佐藤さん
社外の方によく言われるのは、「当事者意識がとてもある」ということです。弊社のメンバーは会社や事業のことを自分ごととして考え、自分の言葉で話しています。
Aitemのレッスンでは、"自分のことを自分の言葉で話せるようになる"ことをゴールに掲げています。それは社内でも当たり前に全員ができなければいけません。そのため、質問をする際は「どうすればいいですか」ではなく「自分はこう思っているけれど、どう思いますか?」と、まず自分の意見を述べることが、カルチャーとして定着しています。
遠慮せずに意見を言えるよう、普段のコミュニケーションではマネジメント側からメンバーに歩み寄っています。また、相手が社内のメンバーでも、生徒の皆さまでも、外国籍の講師でも変わりなく、誰と話すときも常に同じ自分でいることを常日頃から全員が意識しています。
編集部
お互いをリスペクトしつつ、立場や年齢に関係なく、活発なコミュニケーションが図られているのですね。
成果に応じた歩合制「成果報酬制度」の導入
編集部
Rさんで働かれている皆様の普段の業務内容について教えていただけますか?
佐藤さん
業務の範囲は幅広く、講師や営業担当のほか、動画を含むSNSの企画・制作、フォロワー様からのお問い合わせ対応を含むコミュニケーション設計などが挙げられます。ライティング部署では、SEO対策を踏まえたブログ記事や採用サイト掲載記事の作成のために、生徒の皆さまやインターン生へのインタビューも実施しています。
また、創業時から途上国支援をしている関係で、フィリピンのセブにあるNPO法人への海外研修やインターンシッププログラムの企画立案および営業、案内を一貫して行っている部署もあります。ベンチャー企業の特性上、社員はさまざまな業務を多岐にわたって兼務しています。
編集部
そのような業務を担うなか、Rさんでは評価制度に「成果報酬制度」を導入されていると伺っております。制度の内容や導入に至った背景などをお聞かせください。
佐藤さん
「成果報酬制度」は、いわゆる歩合給がメインとなった制度です。私が会社員として働いていた時に、仕事を一生懸命頑張って成果を上げる人とそうでない人が同じ給料であること、また年功序列に疑問を感じたことが「成果報酬制度」を導入した理由です。
私は仕事が好きですが、会社員時代は"成果を上げても待遇は変わらない"という想いを抱いてしまうこともありました。そのため、起業した際は頑張った人がきちんと評価され、その対価として給与が支給される仕組みを作ろうと決めました。その結果、弊社の歩合給は高めの設定になっています。
編集部
成果報酬の評価の指標についても教えていただけますか?
佐藤さん
成約金額のパーセンテージというシンプルな指標のほか、ライティングの部署では、上司の添削がなくても公開できるほどに記事の完成度が上がれば、1文字単位で報酬が増えます。また、動画制作の企画が通ったら1本あたり報酬がプラスされるなど、基準は明確に定められています。
ただし、会社の成長段階に応じて新しい業務が増えていきます。その場合は、都度合意形成を取りながら成果報酬の金額を設定していきます。
フレキシブルな勤務体制:海外・地方在住者も参加可能なハイブリッド勤務
▲リモートと出社を組み合わせたハイブリッド勤務を選択するメンバーも多い
編集部
続いて、Rさんのワークライフバランスについてお聞きします。社員の方々はどのような働き方をされているのでしょうか。
佐藤さん
出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッド勤務を採用しています。通勤が無理なく可能な距離に住む社員には、週に数回の出社を推奨しています。
ニュージーランドやカナダなどの海外在住者、また東京都以外の地方在住の社員は基本的にフルリモートで働いています。東京在住でも、旅行先で仕事をするワーケーションを定期的に実践しているメンバーもいます。
勤務時間は完全フレックス制で、週に20時間以上の勤務がミニマムの条件です。ただし、部署によってはコアタイムを設定している場合もあります。
当社は成果主義を重視しているため、極端な例ですが、週5時間の勤務でも成果を出せれば問題ありません。
編集部
働く場所や時間の自由度が高いようですが、雇用形態はどのようになっているのでしょうか。また、メンバーの人数についてもお聞かせください。
佐藤さん
正社員、業務委託、アルバイト、インターン生など、働き方に応じて複数の雇用形態があります。外国人講師やインターン生の入れ替わりにより人数は変動しますが、平均して25名のメンバーが在籍しています。副業として当社の事業に携わっているメンバーもいます。
編集部
働く場所、時間、雇用形態など、成果を出せれば個人の選択を尊重し、多様な価値観を受け入れていらっしゃるのですね。
株式会社Rのインターンシップ:「仕事の楽しさ」を体感できる成功体験プログラム
編集部
Rさんではインターン生を積極的に受け入れているとのことですが、御社のインターンシップに参加する方法や、経験できる業務についてお聞かせください。
佐藤さん
現在は約10名のインターン生が半年以上の長期インターンシップに参加しています。弊社では学生からの自主的な申し込みを受け付けており、スカウト機能は使用していません。
業務内容は多岐にわたります。例えば、学生の英語学習相談に乗るヒアリング業務、コンサルティング業務、さらに海外や英語学習についてSNSで情報発信するマーケティング業務などに携わっていただいています。
編集部
Rさんのインターンシップに参加した学生の声などがあれば、ぜひお聞きしたいです。
佐藤さん
若い世代の多くは仕事に対してネガティブなイメージを持っているように感じます。しかし、弊社にジョインしたインターン生の多くは、社員の働き方を見て「仕事ってこんなに楽しそうにやるものなのか」と驚き、イメージを大きく変えています。
私は常々、「仕事は自己実現であり、他の誰かや何かへの愛情表現だよ」と伝えています。インターン生がこの考えを言葉だけでなく、実体験として感じてくれていることをとても嬉しく思います。もちろん大変なこともありますが、それも含めて楽しんでほしいと考えています。
編集部
インターン生が楽しみながら仕事に携わることで、将来、社会に出た時も成功体験として前向きに仕事に向き合うことができそうですね。
インターンから新卒幹部へ、若手抜擢の実例
編集部
インターン生からRさんに入社し、新卒ながら幹部となって活躍されている方がいると伺っております。どのような仕事が評価されて抜擢されたのでしょうか。
佐藤さん
このメンバーは、もともとAitemの生徒として海外インターンシップに参加する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で中止となり、途方に暮れていました。そのタイミングで、本人の希望もあり、弊社でインターン生として採用しました。
卒業後に正社員として加わってからは、自身が参加できなかった海外プログラムを、より満足度の高いものに改善し、お客様にご提案、販売しました。その実績が評価され、幹部として大いに活躍しています。
編集部
非常に珍しい採用ルートだと感じました。これまでRさんでは、どのような採用活動を行っていたのでしょうか。
佐藤さん
生徒さまが本人の希望でスタッフになったケースや、リファラル採用(※)による採用が多く、設立以来、採用コストをかけずに人員を確保してきました。最近では新型コロナウイルスの影響もあり、採用サービスWantedlyを通じてインターン生や業務委託の募集を行っています。
(※)リファラル採用:企業が従業員の知人や友人、以前の同僚などのネットワークを活用して新たな人材を採用する方法
株式会社Rが求める人材像:英語学習経験を活かし、主体的に働ける方
編集部
事業においても、企業カルチャーとしても、コミュニケーションを大切にするRさんの思いに共感し、多岐に渡る業務に興味を持った読者は多いと思われます。最後に、御社にフィットする人物像、求めるスキルなど、転職を検討する読者に向け、メッセージをお願いします。
佐藤さん
スキルとしては、英語学習の経験者で、英語を学んでいくことの大変さも面白さもわかっている方にジョインしていただきたいと思っています。また、決められたタスクをこなすだけでなく、自ら積極的に仕事を見つけていける方を歓迎します。
弊社のような、これからさらに規模を拡大していく企業で働く醍醐味は、自分が働く存在意義を感じられることだと思います。自分にしかできないことを実務として体験できるので、興味がある方はぜひ気軽にお問い合わせください。
編集部
本日はありがとうございました!
■取材協力
株式会社R:https://aitem-english.jp/
採用ページ:https://www.wantedly.com/companies/company_4391985/projects