新しい挑戦を続け、成長を続けている企業にインタビューするこの企画。今回は、誰でも簡単にホームページを作れるCMS「ant2」をはじめとし、さまざまなサービスを世に送り出し、成長を遂げている株式会社アントアントにお話を伺いました。
株式会社アントアントは、「私たちは、『最高を創る人になる。』」をパーパスとして掲げ、自社開発のホームページ制作ツール「ant2(アントツー)」の提供や、ホームページ制作、システム開発など、システムに関するさまざまなサービスを提供している会社です。
主力である「ant2」は、パソコンに詳しくない方でも簡単にホームページが作れるということをコンセプトとしたサービスで、ユーザーファーストを追求したその使いやすさが、多くの利用者の支持を集めています。
会社名 | 株式会社アントアント |
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住所 | 京都市下京区南不動堂町3 大道第一ビル3F |
事業内容 | ・ホームページ制作事業 ・パッケージシステム開発・販売事業 ・DTP・デザイン制作事業 |
設立 | 2007年4月1日 |
公式ページ | https://ant2.co.jp/ |
今回は、成長の背景や同社で働く魅力などにスポットをあてて、代表取締役の谷脇さんにお話を聞かせていただきました。
システム開発で「最高を創る」株式会社アントアント
編集部
まず最初に、アントアントさんの設立の経緯や、主力サービスである「ant2」誕生の背景について教えていただけますか?
谷脇さん
弊社は1999年に、東京の貿易会社のIT事業部関西支社としてスタートしました。
当初はパソコン教育の事業がメインでしたが、ある企業さんから会社ホームページのリニューアルの相談をいただいたことをきっかけに、ものづくりの事業が始まったんです。
以来、Web制作やシステム開発など、さまざまなサービスを提供してきたのですが、貿易関係の会社において全く異なる業種の仕事をしていたので、技術の部分などで本社と考え方が合わない部分が生じるようになってきました。
その結果、本社とは切り離して独立しようという流れになり、私が代表となって2007年にアントアントを立ち上げることとなりました。私たちはこれを「逆アポロ計画」と呼んでいます(笑)。
“自己発信型”のものづくりを目指して誕生した主力サービス「ant2」
編集部
その後2008年に、主力サービスとなっている「ant2」をリリースされたのですよね?
谷脇さん
そうですね。独立した当時は、受託開発の仕事がほとんどでしたが、受託の仕事はどうしても納期に迫られたり、価格面での交渉が厳しかったりするお仕事が多いですよね。そこで、何か自分たちで発信できるサービスも始めたいという想いから、「ant2」をリリースしました。
「ant2」は誰でも簡単にホームページが作れるというのをコンセプトにしたホームページ制作ツールです。事業部として業務を行っていた時代から、ホームページを更新する機能の部品はありましたので、それを集約してCMSという形でサービスを開始したんです。
編集部
今ではWordPressのようなCMSが普及していますが、2008年当時は、あまり前例も多くなかったのではないでしょうか?
谷脇さん
そうですね。当時は、MovableType(※)がブログ向けのCMSとして出回り始めていた時期です。
(※)アメリカのシックス・アパート社が開発したホームページ制作のCMS。
まだCMSという言葉も浸透しておりませんでしたが、当時のお客様から「パソコンはあまり得意ではないけれど、日々自分たちで簡単にホームページの更新を行いたい!」というお声をいただいていたので、そのお声に答える形で誕生したんです。
ユーザーファーストの精神で、使いやすさを追求
▲「ant2」では、幅広い業種に対応したさまざまなデザインテンプレートを用意。初心者でも簡単にホームページが制作できる。
編集部
「ant2」には、どのような特徴があるのでしょうか?
谷脇さん
「ant2」のコンセプトは、「キーボードとマウスさえ使えれば、誰でも簡単にホームページを作成できる」というものなので、いかに画面を簡単にして直感的に使えるかという点にとてもこだわって作りました。
パソコンに詳しくない方は、私たちが思っている以上に本当にパソコンが使えません。パソコンに詳しい人間が「多分これくらいだったらわかるだろう」ということも、わからないんですよね。
弊社はもともとパソコン教育のサービスも提供しており、私を含めて、お客様にパソコンの操作を教える仕事をしているインストラクターもおりましたので、そのような実態をよく理解していました。「ant2」のインターフェースやメニュー構成、操作性などは、インストラクターのメンバーがかなり意見を出して作り上げました。
編集部
パソコンを得意としないユーザーのことを理解しているというのがアントアントさんの強みであり、その強みを生かしてサービスを作り上げたというわけですね。
谷脇さん
はい。エンジニアの皆さんはとてもスキルが高い分、そのスキルを全面に出したいとヘビーな機能をつけたがる傾向にありました。ですが私たちは、あくまでも使いやすさにこだわり、時には開発チームと戦いながら提案を取り入れてもらいました。それがお客様に非常に刺さったのだと思っています。
以来、弊社は「ユーザーファースト」の精神をとても大切にしています。お客様の声はエンジニアを含めて全員が見ることができる環境になっていますし、全員がユーザーファースト精神を持って、同じ方向を向いてものづくりができるようになってきたと感じています。
「スピード感」と「柔軟性」がアントアントの成長の鍵
編集部
直近の情報を拝見したところ、「ant2」のユーザーは2万7,000件以上にも及ぶということで、長い歴史を持ちながら、現在も評価され続けているということがわかります。また、「ant2」以外にもアントアントさんはさまざまなサービスを世に送り出し、発展を遂げられていらっしゃいますが、成長が続けられている理由はどのようなところにあると考えていますか?
谷脇さん
スピード感を大事にして世の中にどんどんリリースしていくというのが弊社の信念であり、強みだと思っています。
起業した当初、Google JAPANの元会長の村上様とお話できる機会があったのですが、IT業界で生き残っていくために必要なことはスピードだとおっしゃっていたのをよく覚えています。Googleでは、70%の完成度で世の中にサービスを送り出すのだそうです。
弊社も、サービス提供を始めて以来、「いかに早く提供できるか」という点をとても大事にしています。長い時間をかければ良いものを作れる会社はどこにでもありますからね。
編集部
変化が激しい業界の中においては、良いものを作るだけでなく、世に送り出すスピード感がとても大事だということですね。
谷脇さん
そうですね。そのうえで、フレキシブルに改版していくということもとても重要だと思っています。
通常、会社は3か年計画、5か年計画のような形で事業計画を立てますよね。実は、弊社にはそのようなものが一切ありません。「ユーザーに最適なサービスを作る」という根幹の部分はぶれることはありませんが、そのときに必要なものを臨機応変に柔軟に取り入れるというスタンスでやっています。
ChatGPTなどもそうですが、IT業界では想定していたもの以上のものが突然出てきたりしますよね。こうした変化に合わせて、日々チューニングしていこうという考え方なのです。
「ant2」も日々進化中!契約数は前年対比120%の伸び率を維持
編集部
「ant2」についても、リリース後、日々改良を行ってこられたのでしょうか?
谷脇さん
はい。時代とともに形も変化しています。
2008年に最初にリリースしたのはインストールタイプの売り切りモデルで、すべてカスタマイズをしてご提供するというものでしたが、その翌年には、クラウドサービスとして、サーバー・ドメイン・メール環境も含めて月額でご提供するというサービスに形を変えました。
実際には従来と同じようにカスタマイズできるのですが、時代やニーズに合わせて売り方を変えたのです。
その後次第に、取引先のWeb制作会社さんたちから、「アントアントさんのサービスを販売したい」という声をいただくようになり、2010年には、「ant2」を自由に販売できる、OEMサービス(※)を開始しました。
(※)「Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)」の略称。メーカーが、他社ブランドの製品を製造すること。
編集部
代理店さんを通じて販売するというモデルに転換されたわけですね。
谷脇さん
そうですね。その結果、私達は「メーカー」という立ち位置に変わり、サービスのバージョンアップやバックヤードの販売支援、メンテナンス、セキュリティ対応などの業務を中心に行うようになりました。
編集部
現在、契約代理店数はどのくらいなのでしょうか?
谷脇さん
2023年11月現在、250を超える代理店さんにご契約いただいています。
OEMサービスにシフトしてからの4年間は、まだまだ契約数が少なく非常に苦しい状況でしたが、本当にたくさんの方のご協力をいただきながらここまできました。現在も毎月2~3社ぐらいのペースで代理店さんは増え続けています。
代理店さんの規模もさまざまなので、販売いただく件数も代理店さんによって全然違いますが、最近は大手の全国に支店を持つような代理店さんも増えてきました。この10年間ぐらいは、契約数はおおよそ毎年120%ぐらいの伸び率となっており、順調に売上も伸びていますね。
編集部
代理店さんからはどのような点を評価されていると感じていますか?
谷脇さん
「ant2」は、今でも毎月バージョンアップを行い、お客様や代理店さんからいただくご要望にも随時対応しています。使いやすさの向上はもちろん、代理店さんがお客様とコミュニケーションを取るための材料も豊富です。
また、難しい質問への対応などを含め、ややこしいサポートはすべて弊社がバックヤードで対応しますので、代理店さんにとってメリットの多いサービスだと考えています。
編集部
日々より良いものを創るために柔軟に対応する姿勢が、代理店さんにも評価されているのですね。
仕事や仲間に愛情を持つのがアントアントのカルチャー
▲代表取締役の谷脇さんの誕生日には、誕生日会も開催。メンバー間の仲が良いのもアントアントの魅力の一つ。
編集部
アントアントさんの組織の雰囲気について、代表の谷脇さんから見てどのように感じていますか。
谷脇さん
メンバー間の仲がとても良く、非常に和気あいあいとした雰囲気で仕事をしています。
私自身、社員は家族よりも長い時間を共有する仲間ですし、会社はただ仕事をする場所だけではなくて、生き方を学ぶ場所だと思っているので、コミュニケーションはとても大事にしています。ものづくりをしている自分たちが感動を感じれば、お客様にも感動を与えられるんじゃないかとも考えています。
それを社員の皆も受け継いでくれていると感じますね。ご飯会や飲み会などを開催すると、参加率がほぼ100%なんですよ。
今は遠方でお仕事している方もいるのですが、毎月1回は京都に集まってチームで仕事をする日を作って交流を深めるようにしています。
生産性重視で、毎月の残業時間は最大でも10時間
編集部
ワークライフバランスなど、働きやすさという観点についてはどのように感じていらっしゃいますか?
谷脇さん
生産性をとても大事にしています。猛烈に仕事をしていた受託開発時代を経て、「自分たちの働くスタイルは自分たちで創っていきたい」という強い思いがあるんです。
現在、「アンダー10hours」という目標を掲げて、残業時間を10時間以下にするためのさまざまな取り組みを行っており、実際に1か月の残業時間は長くても10時間を実現できています。
編集部
アントアントさんの社員数は20名ほどだとお伺いしていますが、「ant2」だけでも多くの代理店さん、ユーザーさんがいる中で、残業時間10時間を実現するのはとても難しいことのようにも感じます。
谷脇さん
社員20名に加えて、業務提携している開発部隊や個人のデザイナーさんなどにもご協力いただいていますが、それでも、代理店さんなどから「よくこのサービスをその人数で提供してるね」と驚かれることが多いですね。
ですが、「ant2」に関しては、OEMサービスにシフトした際に、「MULTI管理ツール」という販売代理店さん向けのツールを開発し、CMSの中に組み込むメニューの設定やオリジナルテンプレートの取り込みなど、さまざまな設定を自分で簡単に行えるようにしているんです。
その結果、販売に関する管理はほとんど代理店さんで完結していただけているんです。私達が日々動かないといけないことはほぼなくて、代理店さんが実施いただいているのを見守っているというイメージですね。
編集部
代理店さんがご自身で対応できる環境を整えてきたことで、アントアントさんが対応しなければならないことは最小化されているということですね。
管理ツールを自ら開発し、リモート環境でも高い生産性を維持
編集部
生産性を上げるための取り組みについて、他にも具体的な取り組み事例があれば教えてください。
谷脇さん
リモート管理ツールを自分たちで開発し、活用しています。
弊社は新型コロナウィルスの流行をきっかけに突然リモートワークを導入することとなったのですが、最初の2か月ぐらいは本当にバタバタで、メンバーがしっかりと仕事ができているのかとても不安でした。
「それならば自分たちで作ればいい」ということで、メンバーの仕事が見える化できるツールを作って導入したんです。
編集部
働き方の変化にもすばやく対応されているという点にも、アントアントさんの柔軟性を感じます。具体的にどのようなツールなのでしょうか?
谷脇さん
仕事中、2分に1回カメラが自動的に写真を撮るというツールで、各スタッフのPC画上で他のメンバーの様子が確認できるようになっているんです。
監視することが目的ではなく、「今、上司がデスクで仕事しているから質問できそうだ」「ミーティングしているから終わったら聞いてみよう」などというように、スムーズにコミュニケーションを取るために役立っています。
また、毎日の終業時に、その日に行った業務とかかった時間を登録してもらっているのですが、それをデータベース化することで、「今月はミーティングに何時間使った」「この仕事に何時間費やした」といった形で生産性を評価できるようにしています。
編集部
遠方で仕事をされている方も含めて、メンバーの働き方をしっかりと把握し、評価できる体制が構築されているということですね。
谷脇さん
そうですね。実はこのサービス、「ChatdeRemote(チャットでリモート)」という名称で社外にもリリースしていて、導入いただいている企業さんも増えてきています。チャットワーク上で動くシステムで、チャット機能にオンしてお使いいただけるんです。
充実のフォロー体制で、未経験の若手メンバーも急成長
編集部
アントアントさんでは、若手のメンバーも多く活躍されているとお伺いしていますが、若手の方の採用状況や成長のエピソードなどがあれば教えてください。
谷脇さん
昨年、2022年に入社いただいた3名の方は全員が20代の方ですね。
実は、ほとんどの方が全く実務経験がない状態で入ってこられたんです。例えば20代半ばの男性は、サーバーなどのインフラ環境の仕事をしたいということで、独学で資格を取ったというレベルでしたし、他の方も同等の経験値でした。
最初は本当に心配もしていましたが、入社して10か月くらい経ったころには、実践的にスキルを発揮できるレベルになりました。今では立派な戦力としてご活躍いただいています。
編集部
実務経験がない状態からも、成長できる環境があるということですね。
谷脇さん
そうですね。チームのリーダーを筆頭にして、全員で見守って、何かあったらフォローするという体制を作り、育ててきました。育成を人任せにせず、コミュニケーションを取りながらチームを越えて関与できるというのも、弊社の魅力かなと思っています。
採用強化中!ものづくりを通して感動を届けたい方を歓迎
編集部
最後に、採用についてお伺いしたいと思います。アントアントさんでは現在採用に力を入れていると伺っていますが、採用活動の状況についてお聞かせいただけますか?
谷脇さん
優秀な人材を確保するため、昨年(2022年)から、白潟総合研究所というコンサルティング会社様のWantedly運用代行のサービスを利用した採用活動を開始しました。それまではIndeedやハローワークなどの採用サイトを使っていたのですが、小さな会社だとやはりあまり多くの応募をいただけないんですよね。
Wantedlyで募集を開始してからは、白潟総合研究所さんのご尽力もあって、多くの方に応募記事を見ていただけるようになり、1年半ほどで約1,500名の方から面談希望をいただきました。毎日大体10名以上の面談希望者がいらっしゃるので、私は毎朝、全員チェックして気になった方がいれば面談して、採用につなげています。
編集部
毎日10名の応募者はすごいですね。アントアントさんに応募される方は、どのようなところに魅力を感じていらっしゃる方が多いのでしょうか?
谷脇さん
やはり、自社プロダクトに魅力を感じて応募くださる方は多いです。
例えば受託開発をされている方だと、依頼されたタスクを納期までに完了させるのが仕事なので、「作業的な仕事にあまり楽しさを感じられない」「提供したサービスがどのように役に立っているのか実感できない」と感じる方もいらっしゃるようです。
弊社の仕事はまさに、お客様の声を聞きながら、何を優先して、いつまでに、どうやって形にしていくかということを日々考え、自分たちで決めて、創り上げていくという仕事です。そういった自己発信型の仕事に魅力を感じてくださる方は多いようですね。
編集部
自分たちでゼロから作り上げたものが実際に役立っているというのを実感できると、大きなやりがいにつながりそうですね。
最後に、アントアントさんに興味を持たれた方にメッセージをいただけますか?
谷脇さん
弊社は、「最高を創る人になる。」ということをパーパスとして掲げ、良いものを創って世に送り出すための挑戦を続けています。メンバーが同じ方向を向いていないと良いものは創れませんので、この理念に共感し、メンバーとコミュニケーションを取りながら、自らのスキルを高めていける方と一緒に働きたいと思っています。
興味を持っていただけた方は、ぜひご応募いただけると嬉しいです。
編集部
ありがとうございます。インタビューを通じて、アントアントさんの「最高のものを創りたい」という想いが根付いた、組織のカルチャーがよく伝わってきました。興味を持たれた方は、採用サイトWantedlyもぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。
本日はたくさんの貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社アントアント:https://ant2.co.jp/
採用ページ:https://www.wantedly.com/companies/company_7080246