従来とは異なる新しい働き方を導入する企業に取材を行う企画。今回お話を伺ったのは、法人向けの営業代行・営業支援のパイオニアとして設立20年以上の歴史を持つ「株式会社エグゼクティブ」です。
株式会社エグゼクティブとは
「商品やサービスを広めるための営業力に課題がある」そんなクライアント企業の営業活動を長年にわたりサポートしているのが株式会社エグゼクティブです。
電話によるアポイントの獲得や訪問・オンラインでの商談はもちろん、営業戦略の立案にWeb広告運用・営業ツール制作といったデジタルマーケティングまで、幅広いサービスを提供しています。
会社名 | 株式会社エグゼクティブ |
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住所 | 日本橋本社:東京都中央区日本橋堀留町1-6-5 丸彦ビル4F |
事業内容 | 営業アウトソーシング カスタマーサクセス代行 インサイドセールス導入支援 |
設立 | 2002年1月28日 |
公式ページ | https://www.executive.jp/ |
取材に対応していただいたのは、広報の鈴木さん。同社が大切にしている経営理念や独特な制度の数々を詳細にお話しいただいています。また、2020年7月に完全在宅勤務化を決断してから現在まで行ってきた様々な工夫にも注目です。
20年以上にわたりクライアント企業の営業活動をサポート
編集部
本日はよろしくお願いします。初めに、御社の事業内容について教えていただけますか。
鈴木さん
当社は、認知度が低く説明が難しい製品・サービスを扱っていたり、技術力は高いけれど営業が苦手であったりと、営業面に課題を抱える企業様のお手伝いを行っている会社です。アポイントや商談など直接的な営業の代行に加え、近年はホームページや動画制作といったデジタルマーケティングのサポートも増えています。
編集部
御社はかなり前から法人向けの営業代行を始められたパイオニアでもあるんですよね。
鈴木さん
おっしゃる通りです。当社が創業した2002年には、受託型の営業代行を行っている企業は世の中にほとんどありませんでした。
創業者の内山(代表の内山隆さん)は、その当時システム会社の営業をしていたのですが、素晴らしい技術を持っているのに営業が苦手な会社を数多く目の当たりにしたそうです。そこで、自分の得意な営業で困っている人を助けられないかと考え、株式会社エグゼクティブを創立したという経緯があります。
編集部
全く新しい事業を始められたにもかかわらず、昨年で20周年の節目を迎えられるなど着実に成長を続けているのは素晴らしいですね。
営業はモノを売る仕事ではなく、お客様の課題を解決する仕事
▲代表の内山隆さん。今も第一線で営業活動を行っている。
編集部
御社は企業理念をとても大切にしているというお話も伺っておりますが、いかがでしょうか。
鈴木さん
はい。当社には“良いモノが売れる世界に”という企業理念があります。内山が起業した時も、PRが上手な会社が売れていく世界ではなくて、本当に良いモノが必要とされて世の中に出ていく世界にしていきたいという考えから始まっていますので、社員に対しても「営業はモノを売る仕事じゃないよ。お客様の課題を解決するお仕事だよ」と常々発信しているんです。
また、入社後だけではなく入社前に行っている面談でも、当社の理念やお客様の課題を解決するという仕事内容をしっかりお伝えして、共感してくださった方がジョインしています。
編集部
なるほど。内山様の理念がしっかり浸透しているおかげで、一つひとつのクライアントにも信頼されて、長くお付き合いが続いているわけなんですね。
社員の今と未来を支える革新的な制度がズラリ
編集部
御社では、独自の社内制度を数多く用意されていると伺いましたが、いかがでしょうか。
鈴木さん
そうですね。働きやすい環境の整備やモチベーションアップのための仕組みが多いのは、エグゼクティブの特徴だと考えています。
その根底にあるのは、「働くのに時間も場所も関係なし!」という思いです。通称「NLPT宣言(※)」と呼んでいて、これに基づいて「D-LIGHT制度」「フリー正社員制度」など、さまざまな制度を設定しています。
(※)NLPT宣言:『Our company has No Limitations on the location of work Place and working Time.』を省略したもの。
これから、それぞれの制度の内容について詳しく説明させていただきます。
売上だけではなく、お客様の喜び値を評価に反映する「D-LIGHT制度」
編集部
まず、「D-LIGHT制度」というのはどのような制度なのでしょうか。
鈴木さん
D-LIGHT制度は当社独自の人事評価で、簡単に説明するとお客様の「喜び値」で給与が決定する仕組みです。どうしても営業は数字に捉われてしまいがちですが、私たちが重視する価値はそれだけではないため設けているものですね。
例えば、お客様から「エグゼクティブさんが取ってくれたアポイントでもうすぐ受注になりそうです」とか、「こんな風にヒアリングしてくれたおかげで、製品のブラッシュアップに繋がりました」などのような声を、全て数値化して給与に反映しているんです。
そういった制度も企業理念を意識する後押しとなり、みんながお客様にもっと喜んでもらおうという考えで業務に取り組めるのだと思います。
編集部
御社はお客様の課題を解決するという経営理念を何よりも大切にしていますが、営業職というと一般的には売上が自身の評価に繋がっていくので、ジレンマが生じるのではないかと思っていました。D-LIGHT制度があれば、お客様の感謝が自身の評価にも繋がっていくので、非常に良い試みだと感じました。
個人の裁量で週3勤務や時短勤務に切り替えられる「フリー正社員制度」
編集部
次に、勤務体系に関する制度をお教えいただけますか?
鈴木さん
勤務体系についてはフリー正社員制度を導入しています。週3でも時短勤務でもフルタイムでも、全員が正社員として勤務するというものです。今は完全リモートワークになったこともあり、入社後にお互いが意思確認する期間を設けていますが、基本的に無期雇用で給与/賞与水準、業務内容の別はありません。
編集部
週3勤務や時短勤務というのは、自由に選択できるのですか?
鈴木さん
はい。それどころか1ヶ月単位で働き方を転換することができます。私も、半年の間に4回ほど転換をしたことがあるんです。その時は、育児に余裕がある期間は週5で働いて、子供の習い事の曜日が変わってしまう期間は時短勤務にしてもらっていました。
育児以外にも、両親を介護している方が一時的に時短勤務を選んだり、新しいスキルを身につけるために学校へ通うということで、週3勤務にしていたケースもあります。
編集部
個人の事情にあわせて、しかも短期間で自由に働き方を変更できるのは、非常に活用しやすそうですね。
代表がトレーナーとして社員の理想とする未来を実現に導く「SHIP」
▲オーストラリアでのワーケーションを実現したエグゼクティブさんの社員。
編集部
続いて伺いたいのは、社員教育についてです。ホームページを拝見すると「SHIP」というトレーニング制度がありましたが、こちらはどのような内容でしょうか?
鈴木さん
SHIPは、社員が理想的な未来を実現するためのスキルを身につけていくために、3ヶ月に1回の頻度で代表の内山によるトレーニングを受けられる制度です。これは、当社の中で役立つスキルに限らず老後の人生設計までを含みます。
例えば、将来的に独立してお花屋さんを経営したい社員に対しては、お花屋さんになるために必要なことを内山が一緒に考え、市場調査の方法や資金調達の手続きなども教えていくといった要領です。
編集部
個々の目標に合わせて内山様が柔軟にトレーニングをしてくれるのですね。
鈴木さん
はい。ある社員がSHIPの中で「オーストラリアでワーケーションをしたい」と話したのですが、1ヶ月以内にワーケーションの実施が決定し、先日実現しました。まずゴールとしてワーケーションへ行く日を設定し、そのために必要なお金やメンバーへの引継ぎ、スケジュールなどを細かく話し合ったようです。このように長期的なものから短期的なものまで様々な目標に対応してくれます。
編集部
お話を聞いていると、本当に社員一人ひとりの未来を考えていることが伝わってきます!
入社後わずか3ヶ月でリーダーを経験できる「プロジェクトリーダー制度」
編集部
次はプロジェクトリーダー制度です。ホームページには、年齢や社歴に関わらずプロジェクトリーダーに立候補できる制度だと記載されていますが、実際に利用されている方はどの程度いらっしゃるのでしょうか。
鈴木さん
プロジェクトリーダー制度については、新入社員を除いて100%の社員が利用しています。最短だと入社3ヶ月でリーダーになった人もいるなど、入社後の早い段階からリーダーやサブリーダーを経験することが可能です。
編集部
全員がリーダーを経験していることによって、何か良い影響などはありますか?
鈴木さん
はい。当社は複数のプロジェクトを同時進行していくので、Aのチームではプロジェクトリーダー、Bのチームではサブリーダー、Cのチームではメンバーといった割振りになることも珍しくありません。そういった時に全員がリーダーを経験していると、Aのチームで仕事をしている時はリーダー経験者の心強いフォローが受けられますし、逆にCのチームで仕事をする時にもリーダーの仕事内容や大変さを理解していますので的確にフォローすることができます。
編集部
なるほど。御社の場合、何らかの事情でリーダーが欠けた場合でも、プロジェクトが立ちいかなくなるということはなさそうですね。
退職・独立後のフォローも欠かさない「オープンワールド制度」
編集部
制度については最後となりますが、オープンワールド制度というものもあるんですね。
鈴木さん
はい。オープンワールド制度は、退職した社員のサポートをする制度です。まだ利用例はありませんが、以前に当社から独立をして同じ営業代行の会社を起業したメンバーがいたんですね。やはり起業した当初は仕事が安定しないというのは代表の内山も自身の経験からよくわかっているので、当社の仕事を請け負ってもらったということがあります。
編集部
競合他社として独立をしたのにも関わらず、フォローされるというのは御社の懐の深さを感じます。退職したからといって仲間じゃなくなるということはないのですね。
約1年かけて改善を重ね、確立したフルリモート体制
▲営業という業態ながらフルリモートに移行したエグゼクティブさん。オンラインで社内イベントも開催している。
編集部
営業代行という人と密接に関わる事業を展開していながら、2020年7月からフルリモートに移行されていると聞いて驚きました。この環境の変化によって、社内にはどのような影響がありましたか?
鈴木さん
フルリモートへの切り替えと同時に、コミュニケーションを全てオンラインに置き換えたんです。なので最初の1~2ヶ月くらいはみんなの声を聞きながら、社内施策をどんどん取り入れていきました。それから今のすごく良い形になったのは、1年くらい経ってからですね。
最初は「慣れるまで大変そう」という雰囲気はありましたが、「決まったならやるしかない」という気持ちでまとまっていましたし、みんな想像以上に適応できていました。
それに、通勤がなくなったことで、時間と気持ちの余裕が生まれたという社員も多いです。私も、以前は子供が学校を休んだ時に仕事を休まないといけなかったのが、子供も見ながら仕事をすることができます。仕事とプライベートのバランスが良くなったという声は、フルリモートになって早い段階から聞かれましたね。
編集部
初めての取り組みでも、前向きに改善を重ねていく姿勢が御社らしいですね。勤務に関するルールなどはないのでしょうか。
鈴木さん
就業時間としては基本的に9:00~18:00がベースですが、9:30や10:00に勤務を始める人や、中抜けしたりする人もいるなど、各自で柔軟に調整しています。
また、出社して働くことも自由です。プロジェクトのメンバー同士でミーティングがてら仕事しようと決めた時や、転居した直後でインターネット環境が整わない社員が出社するなど、そのあたりは柔軟に選択できるようにしています。
常に顔が見えるのに抵抗がある社員も安心の「おでこ出社」
▲顔は見えないもののそこにいることがわかる、ユニークな「おでこ出社」。
編集部
フルリモートの環境において、コミュニケーションはどのように取られているのでしょうか。
鈴木さん
当社はチャットツールのSlackを活用しているんですけども、そこに細かくたくさんのチャンネルを作っています。例えば、朝にパソコンを立ち上げたら“おはようチャンネル”に、「おはよう」と書き込みますし、中抜けする時や用事を終えて戻る時は“勤怠の報告チャンネル”で伝えるといった感じです。基本的にコミュニケーションの中心はSlackにありますね。
編集部
Slack以外のツールは活用していないのですか?
鈴木さん
いえ、ビデオ会議ツールのZoomを活用しています。マイクは基本的にオフにしていて話したい時だけ使い、映像は常に見えている状態です。ただ、いつも顔が見えていることに抵抗がある社員も多かったので、おでこだけを出す「おでこ出社」が認められています(笑)。
編集部
おでこだけでも、いるのが分かるというのが大事なんですね。
鈴木さん
そうなんです。今まではオフィスで困ったことがあっても隣のメンバーに聞けたことが、在宅勤務になったことで聞きづらくなってしまったという声があったんです。常に映像をつないでいるというのも、会社に行ったらみんなの顔が見渡せるという、従来のオフィスと同じ環境をオンライン上でも作っていこうという考えから取り入れています。
本社オフィスをカフェスタイルの「こみゅフェス」に改装
▲オフィスを改装して新たに作った交流スペース「こみゅフェス」。
編集部
もう一つ、御社のフルリモート化に伴う施策で驚いたのは、「こみゅフェス」と呼ばれるスペースの設置です。なんでも本社オフィスを改装したそうですね。
鈴木さん
そのとおりです。2020年7月からフルリモートになることが決定した時に、オフィスは「仕事をする場所」から、「コミュニケーションを取る場所」に定義を変えました。
それに伴って、一般的なオフィスだったスペースの内装や家具などを全て一新し、「こみゅフェス」としてカフェ風スタイルにフルリノベーションをしたんです。今は、社員が趣味にもミーティングにも使えるコミュニケーションの場所として存在しています。
編集部
先行きが不透明だった社会情勢の中で、非常に大胆な決断をされましたね。実際の利用状況についてはいかがですか。
鈴木さん
プロジェクトのメンバー同士で予定を合わせ、リフレッシュを兼ねて一緒に仕事をするというケースが多いです。最近は、子供も連れてチームメンバーでご飯を食べるという様子も見られるようになりました。
編集部
オンラインの仕組みの整備だけでなく、リアルに直接集まれる場所まで用意してくれているというのは素晴らしいですね。
思いやりがあり助け合う文化がエグゼクティブの強み
▲エグゼクティブさんには「EX(エグゼ)ダイヤモンド」という感謝を伝え合う仕組みがある。
編集部
鈴木さんからご覧になって、御社にはどのようなタイプの社員さんが多いと思いますか?
鈴木さん
先ほどお客様に喜んでもらうことを考えて仕事をしているとお話しましたが、一緒に働く仲間に対しても「こうしたら喜んでもらえるだろうな」と考えて行動できるような思いやりのある社員が多いと感じます。社員の集まる機会があると、毎回「本当にみんないい人だよね」って言い合うくらいなんですよ。
編集部
日々のお仕事でお客様の気持ちを考えていることが、仲間に対しての行動にも反映されているのかもしれませんね。他にも、御社ならではの特徴はありますでしょうか。
鈴木さん
特に意識して採用しているわけではないのですが、当社は社員の9割が女性で子育て世代が多いです。私自身も育児をしながら働いているのですが、小さい子供が熱を出した時などに助けてもらえますし、逆に誰かが困っている時には私が助けるねと声をかけ合っています。助け合いの文化が醸成されているので、安心して働くことができますね。
編集部
困った時に進んで助け合える文化があるというのは非常に心強いですね。ちなみに、会社としては社員同士のコミュニケーションをサポートするような取り組みはされているのでしょうか。
鈴木さん
ありがとうを伝え合う取り組みとして、「EX(エグゼ)ダイヤモンド」という制度があります。例えば、「エレベーターに乗る時に、ボタンを押して待っててくれてありがとう」というような、普段わざわざ言わない本当に些細な感謝を、記名・匿名問わずシステム上で伝えることが可能です。
クリスマスに社員へプレゼントを配る「ウッチーサンタ」
▲内山代表は、クリスマスにはサンタの衣装でプレゼントを配ってくれるお茶目な面も。
編集部
これまでのお話を伺って、本当に温かい雰囲気の会社だと想像できます。ちなみに、代表の内山様はどのようなお人柄なのでしょうか?
鈴木さん
とても遊び心がある人だと思います。例えば、当社では毎年クリスマスに代表が“ウッチーサンタ”に扮して社員へプレゼントを配るんです。
編集部
写真を拝見しましたが、プレゼントを配るだけでなくて格好までこだわっているのですね。
鈴木さん
今は社員がフルリモートなので、社内スペースの「こみゅフェス」にサンタの格好で来て、それを社員がZoomで見ています(笑)。他にも、みんなで目標を達成しようという時にお肉などのプチご褒美を用意してくれることもありますし、社員のモチベーションを上げるために色々な企画を考えてくれるのでありがたいです。
広報の鈴木さんから求職者へのメッセージ
編集部
それでは最後になりますが、この記事を読んでエグゼクティブ様で働いてみたいと感じた方へメッセージをお願いします。
鈴木さん
当社の選考は面接ではなくて面談の形式で行っています。それは、会社が応募者様を見極めるのではなくて、応募者様と当社との相性を確認するという点に重点を置いているからです。面談を通じて「良いモノが売れる世界にしたい」という当社の理念に共感し、自分が理想とする未来の実現に向けて一生懸命に頑張れる方に来ていただきたいと思っています。
ちなみに今活躍している社員の経歴は、美容・アパレル・美術館関係・映像制作・人材系・自動車保険会社など幅広いです。自分の課題を自分で発見し、解決に向かって行動できる方なら、未経験からのスタートでも活躍できると思います。
そして最後にもう1点、自分で働き方を選択できるのも当社の魅力です。例えば、ある社員からは「以前は家族が病気になったら働けなくなるかもしれないなど将来的な不安があったが、エグゼクティブに入社してからはそういった状況に直面しても問題なく働いていけるだろうと考えられるようになった」という声をもらいました。
このように、どういう働き方が自分にとってベストかを軸に考えていけるので、長く働ける会社を探している方にもオススメです。
編集部
本日は興味深い話をたくさん聞かせていただき、ありがとうございました!
■取材協力
株式会社エグゼクティブ:https://www.executive.jp
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