環境への配慮など、SDGsに対する先進的な取り組みを行い、また社員のワークライフバランスを大切にしている企業にインタビューする本企画。今回は、フランスベッド株式会社にお話を伺いました。
フランスベッド株式会社の歴史:1949年からの日本人の睡眠サポート
スプリングマットレスやベッドなど寝具のメーカーとして広く知られるフランスベッド株式会社は、1940年代から、日本の風土気候や時代のニーズに合った寝具づくりを続けている老舗企業です。
自社工場では、最新の設備と熟練技術者の手作業により、耐久性・通気性に優れた独自開発の「高密度連続スプリング®マットレス」を製造しています。
高品質で長年多くのユーザーに支持されているフランスベッド株式会社の製品は、福祉用具として全国でレンタルもされています。その始まりは、介護保険制度が開始される40年以上前にさかのぼります。療養ベッドを購入したお客様が、わずか3ヶ月で不要になったことをきっかけに、それまでになかった介護ベッドのレンタル事業を開始し、多くのユーザーから好評を得ました。
SDGsが注目される以前から始まっていた、福祉用具を「必要な期間だけレンタルする」循環型の事業は、現在全国に拡大しています。フランスベッド株式会社は、131ヶ所の営業拠点のうち、96ヶ所が福祉用具のレンタル事業を行う営業所です。さらに、サービスセンター21ヶ所とサービスデポ15ヶ所で、レンタルを希望するユーザーへきめ細かいサポートを提供しています(2024年3月現在)。
会社名 | フランスベッド株式会社 |
---|---|
住所 | 東京都新宿区西新宿6丁目22-1 新宿スクエアタワー5階 |
事業内容 | ベッド、家具類、寝装品、健康機器、療養ベッド・福祉用具・リネン等の製造・仕入、レンタル・小売及び卸売 |
設立 | 昭和21年6月5日(1946年6月5日) |
公式ページ | https://www.francebed.co.jp/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) ※部署による フレックスタイム制度(コアタイム11:00-15:00) |
今回は、事業の特徴や職場の風土、環境などについて、生産開発本部 商品開発部 機能商品開発課で課長を務める伊橋孝明さん、生産開発本部 商品開発部 電気ソリューション課で開発を担当する山崎寛太郎さん、人事部 人材開発室 人材開発課でキャリア採用を担当する松尾英弥さんにお話を伺いました。
フランスベッド株式会社の先進的取り組み:40年以上続く循環型ビジネス
編集部
フランスベッドさんの事業について、特徴的なところをお教えください。
伊橋さん
私たちのレンタル事業は「物を捨てない」循環型で、40年以上前にスタートしました。製品をお届けし、使用後に引き上げ、次にレンタルする方が安心して使えるよう、徹底的な殺菌・消毒、メンテナンスを行うシステムを構築しています。
2022年には、廃棄が難しいとされていたスプリングマットレスを、ご家庭で簡単に分別・解体できるマットレス解体システム「モアリー®」を開発しました。「モアリー®」は2021年度グッドデザイン賞を受賞し、さらに当社は環境配慮型のサービスや商品開発に取り組む企業姿勢が評価され、エコマークアワード2022も受賞しています。
リサイクル材料を使用した商品も開発しており、それらの商品はお客様にご使用いただいた後、将来的には適切に分別されることで再生され、私たちが再度リサイクル材料として使用します。このように、様々な商材全てが循環できるシステムを構築しています。
■環境配慮型解体システム「モアリー®」
https://interior.francebed.co.jp/brand_site/moreliy/?_gl=1*9zdwy2*_ga*MTA1MzExOTgyMi4xNzE0Mjk3ODUy*_ga_HZYCR2H4X2*MTcxNDY3ODgyMy4zLjEuMTcxNDY4MDg0OC43LjAuMA..
編集部
SDGsの取り組みにつながるようなものは、ほかにもございますか。
伊橋さん
高齢化社会の中で健康に寄与する取り組みとして、様々な健康増進プロジェクトを行っています。
その一例として、マッサージ機のレンタルがあります。運動して筋力を鍛えることが難しい高齢者の方向けに、筋力の衰えを防ぐマッサージ機の開発などを行っています。
編集部
ベッド以外にも、様々な製品を開発されているのですね。早くから環境に配慮した事業を展開されていて驚きました。
ユーザーフィードバックを活用した商品開発プロセス
▲開発に注力している介護ベッド「マルチポジションベッド」
編集部
フランスベッドさんでは、どのように商品開発が行われているのでしょうか。
山崎さん
私たちの開発現場は創造的です。開発担当者は、色々な意見を取り入れながら仕事を進めています。自分のアイデアが詰まった試作品を、ユーザーさんにモニターしてもらい、フィードバッグをいただきます。
編集部
これまでに、ユーザーさんにモニターをお願いした事例を、教えていただけますか。
山崎さん
座り姿勢を見守るセンサーのモニターを、複数の介護施設様にお願いしたことがあります。使う方や製品に対するニーズなど、施設によって様々な意見が得られるので、実際につくった製品を使用するユーザーの方の声を、直接聞く環境があります。自分のアイデアに対して、多くの高評価を得れば、商品化も実現します。
商品化の後も、ユーザーの方からご意見をいただいて、アフターフォローを続けています。
編集部
実際に、ユーザーさんから届く声には、どのようなものがございますか。
山崎さん
私たちが想定していなかった使い方を、ユーザーの方から教えていただくこともあります。
もともと、若い方向けに開発した、スマートフォンと連携して作動するベッドがあるのですが、介護用にも使用したいという事例がありました。
ユーザーの方は、家で一人で寝ているおじいさんを、留守番用のカメラで見守っていたそうです。離れた場所にいるユーザーの方は、そのおじいさんの寝姿勢を変えてあげたかったそうで「スマホを使って遠隔でベッドの背上げはできますか?」という質問をいただきました。
「なるほど!」という思いでした。「一人暮らしの高齢者を見守る方に、喜ばれる機能だったのか」と大変参考になりました。
編集部
開発部門に、ユーザーさんの声が届きやすい環境なのですね。市場や使用現場でのニーズも、リアルタイムでキャッチされているのですね。
フランスベッド株式会社の働き方改革:フレックスタイム制と時間単位有給休暇
編集部
フランスベッドさんでの働き方について、お聞かせください。
松尾さん
部署によりますがフレックス制度で勤務している部門もあります。開発部門は基本的に全員がフレックス制度を利用しています。出勤時間は個人によって異なり、8時から仕事を始める人もいれば、9時から始める人もいます。
コアタイムは11時から15時で、フレキシブルタイムは8時~20時です。従業員は1日及び1ヶ月の実働時間を自己管理し、ワークライフバランスを考えながら計画的に仕事をしています。
編集部
フレックス制度を導入する上で、工夫されていることはございますか。
伊橋さん
朝は自由な時間に出勤したい人が多いので、以前の朝礼ではなく昼礼を行っています。これにより、従業員が自由な時間に出退勤できる環境を整えています。
編集部
開発部門の山崎さんは、どのようにフレックス制度を利用していらっしゃいますか。
山崎さん
私は打ち合わせなどの予定に合わせて、朝8時から9時30分の間に出勤しています。電車が空いている時間帯を選んで通勤することが多いです。
有給休暇制度も、時間単位で取得できるので活用しています。この制度は、通院している人や子どもの送迎がある人にとって便利です。例えば、体調不良の子どもを早めに保育園へ迎えに行き、そのまま帰宅することも可能です。
編集部
働き方や制度について、ほかにも特徴はあるでしょうか。
松尾さん
男性社員の育児休暇の取得率が上がってきています。取得しやすい雰囲気が浸透してきており、私の同期は1年間の育児休暇を取得しました。
また、部署によってはリモートワークが可能です。例えば人事部では、繁忙期以外は自宅勤務も可能です。一方、開発部門は設備や材料が必要なため、基本的にリモートワークは行っていません。
フランスベッド株式会社の企業文化:自由でオープンなコミュニケーション
▲「フランスベッドは社員の人柄がいい」と口をそろえて教えてくれた皆さん
編集部
フランスベッドさんの会社の雰囲気をお教えください。
松尾さん
「人と人とのつながり、あたたかみ」を大切にしている社風です。最近、ダイバーシティに対する取り組みの一環として、管理職候補の女性社員との面談を実施しました。担当の課長は、リモートではなく対面でしっかり話をするため、飛行機や新幹線を乗り継ぎ、全国に足を運んで面談を行いました。
山崎さん
フランスベッドで働く仲間は、いい人が多いです。責任の押し付け合いや、誰かを蹴落とすような雰囲気は全くありません。みんな協力的で、良い人柄だと感じています。
伊橋さん
オフィスはフラットな雰囲気で、仕切りも少ないんです。「みんなでワイワイ」という雰囲気が漂っています。自由に周囲とコミュニケーションをとり、わからないことは直接教えてもらったり、雑談の中から問題解決のヒントを得たりしています。
伊橋さん
個人の裁量も大きくて、自由に何でもできるような会社です。上司からの指示だけでなく、自分で考え、提案して実践することができます。これまで取り組んでいなかった新しい業務に挑戦する社員もいます。型にはまった仕事の進め方はしていません。
先ほど山崎が説明した開発の方法も、社員一人ひとりが自由な発想でものづくりができる環境がフランスベッドの社風を表していると思います。
フレックス制度は、もともと自由だった私たちの働き方を制度化したものです。2023年12月からは制服の着用も任意になり、会社はさらに自由な雰囲気になってきています。
編集部
人と接してコミュニケーションをとることや、楽しい雰囲気が好きな方には、ピッタリの環境ですね。
求める人材像:ネームバリューを活かした挑戦的な開発に意欲的な方
▲これから採用したい人材のイメージ像を語ってくれた松尾英弥さん、伊橋孝明さん、山崎寛太郎さん
編集部
フランスベッドさんが、採用のときに重視しているポイントがございましたらお教えください。
山崎さん
「自分のアイデアを仕事に活かしたい」という方にご応募いただきたいです。
介護業界でのニーズが今後拡大していく中で、他社と協業する際に、私たちのネームバリューが大きな強みとなっています。自分の企画案を聞いてもらえたり、アドバイスをいただけたりするので、スムーズに話が進められます。これは"フランスベッド"ならではの利点だと実感しています。
自分が想像していた以上のことができている実感があるので、「自分でやりたい」という思いがある方には、ワクワクする職場だと言えるでしょう。
伊橋さん
現在、介護・病院ベッドの開発で成長を続けているフランスベッドは、常にチャレンジし続けている会社です。過去には、キャンピングカーや簡易テントなども開発していました。
チャレンジし続ける姿勢がなければ、成長もありません。そのため、「楽しくチャレンジしたい」という方と一緒に働きたいと考えています。
松尾さん
当社に興味を持ってくださったうえで長く勤めたい方に、ご応募いただきたいです。
私自身は入社4年目ですが「この先もこの会社で頑張りたい」という思いを抱いています。長期的に腰を据えて働きたい方には、すごくお勧めの会社です。
編集部
皆様のお話をお聞きして、フランスベッドさんのあたたかい社風や、チャレンジを応援してくれる会社の雰囲気がよく伝わってきました。本日はありがとうございました。
■取材協力
フランスベッド株式会社:https://www.francebed.co.jp/
採用ページ:https://www.francebed.co.jp/company/recruit.html