ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、山梨県の笛吹(ふえふき)市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。
笛吹市役所は、民間企業での職務経験を100%給与に反映する制度を新たに導入し、転職者の経験やスキルを適正に評価しています。組織面に目を向けると職員の約4割を女性が占め、充実した育児支援制度と柔軟な働き方で、キャリアと家庭の両立を実現しているのも特徴です。
また、変化に乏しいという公務員のイメージとは異なり、生成AIの活用やキャッシュレス決済の導入など、行政サービスの向上に向けて市役所として新しい取り組みにも積極的にチャレンジしています。
今回は、笛吹市役所の働き方や職場環境について、総務課人事給与担当の金子さん、管財課の里吉さん、そしてまちづくり整備課の望月さんにお話を聞かせていただきました。
民間での経歴を100%で算定して給与に反映する人事制度とは
▲今回取材に応じてくださった金子さん(左)、望月さん(中央)、里吉さん(右)
編集部
総務課で人事を担当されている金子さんからは、民間からの採用に関して伝えたい制度や取り組みなどはあるでしょうか。
金子さん
大きな特徴は、民間での職務経歴を100%で換算して給与に反映する制度(※)を導入していることです。多くの自治体では過去の経歴を7〜9割に換算して初任給の算定をするのですが、笛吹市の場合はそのままの年数で給与に反映します。経験が適切に評価されることで、モチベーション維持にもつながっています。
(※)専門職は募集により扱いが異なるほか、人事評価等の影響で、必ずしも同じ経験年数の職員と同水準の給与となるわけではない
里吉さん
実際に私も民間企業での職務経験が10年以上だったことと、子どもがいるからこそ収入面を保ちたいところだったので、この制度があって非常に助かりました。
編集部
民間企業に勤めていると試験の受験も調整が必要になると思いますが、配慮などはあるのでしょうか。
金子さん
はい。これまで年1回だった採用試験を令和5年度から年3回に増やし、大卒向けの試験を春の5月に設定するなど、民間企業志望の方も受験しやすい環境を整えています。
また、SPI(Synthetic Personality Inventory:総合適性検査)に近いSCOA(スコア)制度を導入しているので、全国各地のテストセンター会場で1次試験を受験することができます。2次試験は市役所に来ていただいて受験・面接をする形になりますが、最初のハードルは下がっていると思いますね。
民間企業から転職した職員が語る経歴と働きがい
編集部
里吉さん、望月さんともに民間企業からの転職とうかがいました。どのような経緯で市役所を志望されたのか、それぞれの経験についてお聞かせください。
里吉さん
以前は金融機関で働いており、第二子の妊娠を機に働き方を見直す中で、市役所での手続きの際に受けた丁寧な対応に感銘を受けました。行政の立場から人の役に立てる仕事に魅力を感じ、転職を決意しました。
管財課で務める現在は前職と異なる形での目標達成がありますが、管理業務が多いため、期限内に目標や進捗を組み立てて完遂することにやりがいを感じています。
編集部
望月さんが市役所を志望した理由を教えていただけますか?
望月さん
地元の山梨で地域貢献できる仕事がしたいという思いがありました。前職では大企業向けの調査業務を担当していましたが、第三者的な立場で報告書を提出して終わりという仕事に物足りなさを感じていました。もっと当事者として主体的に関われる仕事、自分の仕事の成果が直接見える仕事がしたいと考えました。
現在は空き家対策業務を担当しています。例えば、放置されて崩れそうな建物や、夏場に草が生い茂って近隣に影響が出ているケースなど、様々な相談があります。そういった案件について、他部署とも相談しながら解決策を探っていく仕事です。
入庁前に想像していたとおり、市民の方からの相談に対して関係部署と連携しながら課題解決に取り組み、地域の生活環境改善に直接貢献できることが大きなやりがいです。
編集部
民間企業での経験は、今の市役所の仕事に活かせていますか?
望月さん
市役所にはさまざまな業務があるので、どんな経歴の方でも培ったスキルを生かせる場があると思います。例えば私の場合は、前職でパワーポイントやエクセルを使う機会が多かったので、それらのスキルを活かして効率的な業務遂行や分かりやすい資料作成ができていると考えています。
里吉さん
お客様との電話対応や窓口対応の経験は、とても役立っています。前職は銀行で数字を扱う仕事をしていましたが、今の部署でも数字に携わる管理業務を担当していて、その経験が活きていますね。
「公務員は堅い」という印象が一変。柔軟さとチャレンジする風土あり
▲新しい取り組みに積極的な笛吹市役所での仕事はとてもやりがいがある、と語る望月さん
編集部
民間から転職されてある程度経ったかと思いますが、どのような感想を持ちましたか。
里吉さん
市役所は、職員同士で話しやすく温かい風土があることが印象的です。入庁1年目の私でも、業務改善の提案や分からないことの相談がしやすい環境なので、民間からの転職でも不安を感じることがありませんでした。公務員は「きっちり」というイメージでしたが、実際はもっと柔らかい雰囲気です。
望月さん
窓口業務では、高齢の方への丁寧な説明が求められる場面が多くあります。先輩方の対応を見ていると、相手の立場に立って分かりやすく説明する姿勢が印象的でした。このような市民目線での対応は、市役所ならではの特徴だと感じています。
また、市役所のサービスにおいて従来の現金払いだけでなくキャッシュレス決済を導入したり、最近では生成AIの活用も試験的に始めているなど、様々な新しい取り組みに積極的にチャレンジしている印象があります。
入庁する前は公務員ということで堅い雰囲気でトップダウンの組織を想像していたのですが、実際に入ってみると想像していたよりも柔軟で、新しいことにも積極的にチャレンジする姿勢があると感じました。
育児支援制度が充実|女性職員も長く働ける職場環境
▲笛吹市役所で子育てと仕事を両立しながら働く里吉さん
編集部
女性職員が長く働き続けられる制度や取り組みについて教えていただけますか?
金子さん
まず女性の育休取得率は100%で、みなさん平均1年程度の産休・育休を取得して職場復帰されています。お子さんがいる職員も多く、時短勤務制度を活用している方が多いですね。人事部門が事前に希望を確認し、働き方について柔軟に対応しています。また、職員全体の約4割が女性で、女性の意見が反映されやすい環境です。
編集部
実際の勤務時間や育児との両立について、里吉さんのタイムスケジュールを教えていただけますか?
里吉さん
入職1年目から時短勤務を利用できるため、現在は8時30分から16時15分まで勤務しています。保育園の送迎時間に合わせて、朝は通常より遅く、帰りは1時間早く退庁できる制度を活用しています。育児と仕事の両立において、この時短勤務制度は本当に助かっています。
1時間早く帰れることで子供のお迎えが早くでき、その後の家事も前倒しでできるんです。1時間の違いは本当に大きいです。
編集部
ほかにも、具体的な制度面での特徴はありますか?
里吉さん
通常は入職後半年以上経過しないと取得できないなどの条件がある有給休暇が、4月の入職直後から使えます。子育て中の職員にとって、とても心強い制度だと思います。
また、制度だけでなく、子育てについて気負いしないような配慮も素敵だと思っています。周囲の理解もあり、子どもが急に体調を崩した際も、急な休暇取得にも対応できる環境です。家族を大切にする雰囲気が職場全体に浸透している点がいいですね。
例えば勤務時間の相談についても、配属が決まる前から人事担当より「お子さんの預け先は決まりましたか?」と声を掛けていただいて、その流れで勤務時間の相談ができました。こちらから言う前に、人事側から子どものことを気に掛けていただいたのはすごく驚きましたし、心強かったです。
このように、制度が形だけでなく、実際の現場でも『制度があるから使って当然』という理解があり、気兼ねなく活用できる環境が整っています。子どもの具合が悪くて急に休暇が必要になった時も、周囲が「心配しなくていいよ」と温かく送り出してくれます。
編集部
育児と両立しながらのキャリア形成についてお聞かせください。
里吉さん
お子さんを育てながら管理職として活躍されている方もおり、明確なキャリアパスが示されています。育児と両立しながらのキャリアアップが実現できる環境が整っているため、私自身も具体的な目標を持って業務に取り組んでいます。
お子さんがいる転職検討者も安心!子育て環境が充実した自治体
▲市内にある八代ふるさと公園の大型遊具
編集部
特に育児中で転職を考えている人は、周辺環境についても気になると思います。皆さんはどのように感じていますか?
金子さん
我が家には3歳の子どもがいるのですが、住環境としての子育て環境はとても充実していますね。「山梨県森林公園 金川の森」や「八代ふるさと公園」など、景色の良い広々とした公園が整備されています。
また、子育て支援センターも1つの地域(芦川)を除けば、旧町村単位に1か所以上合計7つあり、他の市と比べても充実しているという評価をよく聞きます。
編集部
私も何度か笛吹市に伺っていて、石和温泉をはじめとする温泉や、特産である数々の果物など、住む場所としての魅力もたくさんあると感じました。
里吉さん
おっしゃるとおり、フルーツの産地ならではという出来事もありますね。桃やぶどうの収穫時期には、自然とおすそ分けをいただいたりするんです。
金子さん
私も最近職場でシャインマスカットをいただきました。柿を作っている先輩からの差し入れや、地域の方からのおすそ分けなど、美味しいフルーツを味わう機会には恵まれていますよ。
笛吹市役所からのメッセージ|まちに貢献したい人を歓迎
▲笛吹市内の石和温泉駅
編集部
最後に、この記事を読んで笛吹市役所での仕事に興味を持った方に対して、採用に関するメッセージをお願いします。
里吉さん
笛吹市役所では私と同様に子育てをしながら働いている女性職員の方がたくさんいます。子育てと仕事を両立している方、これから両立していきたいという方は、一つの選択肢として検討していただければなと思います。
望月さん
市役所にはさまざまな部署があり、多種多様な仕事を経験できます。周りの方の温かいサポートもあり、どのような前職の方でもこれまでの経験を活かせる環境だと思いますので、笛吹市に貢献していきたいという思いがある方はぜひ仲間に加わってもらえると嬉しいです。
このまちをより良くしていきたいと思う方にとっては、働きがいのある仕事ができるはずだと感じています。
編集部
本日はありがとうございました!
編集後記
この記事のまとめ
待遇・制度面の特徴 |
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職場環境・社風 |
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キャリア形成 |
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働き方改革・DX |
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生活環境 |
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笛吹市役所の基本情報
住所 | 山梨県笛吹市石和町市部777 |
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公式ページ | https://www.city.fuefuki.yamanashi.jp |
採用ページ | https://public-connect.jp/employer/5000 |
募集職種 |
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