株式会社GEOTRAが描く未来:位置情報ビッグデータで実現するスマートシティと働き方改革

注目のスタートアップ企業にその先進的な取り組みや働き方などについてインタビューするこの企画。今回は、「位置情報ビッグデータ活用のプロフェッショナル」として、データを活用して様々な社会課題の解決に取り組んでいる株式会社GEOTRA(ジオトラ)に、事業の理念や組織の風土などについてお話を伺いました。

株式会社GEOTRAの概要:位置情報ビッグデータ活用のプロフェッショナル集団

株式会社GEOTRAの設立経緯
▲株式会社GEOTRAは、三井物産株式会社とKDDI株式会社が共同で立ち上げたジョイントベンチャー企業。

株式会社GEOTRAは、近年のスマートシティ事業(※)への期待の高まりを背景として、2022年に三井物産株式会社とKDDI株式会社が共同で設立したジョイントベンチャー企業です。
(※)IoTやAIなどの先端技術を活用して都市インフラの最適化などを行い、人々が生活しやすい街づくりを行う事業

街づくりにおいては、「人の流れ」の把握と将来予測が不可欠です。そのため、株式会社GEOTRAでは、KDDIが個別に許諾を得たauスマートフォンユーザーの位置情報ビッグデータなどを活用して、個人の人流をデータで再現・可視化するソリューションを提供しています。これにより、まちづくりやスマートシティ開発などに関わる企業や自治体を支援しています。

株式会社GEOTRAが提供するサービスのイメージ
▲さまざまなビッグデータを活用して人の流れを可視化するソリューションを提供している

2023年8月現在、30名のメンバーが活躍する少数精鋭の組織です。親会社からの出向者に加え、業務委託契約の副業エンジニアや、学生インターンなど、20代~30代の若手メンバーが中心となって活躍しています。

会社名株式会社GEOTRA(ジオトラ)
住所東京都千代田区大手町1-2-1OtemachiOneタワー6階
事業内容位置情報データ及びその他情報を統合・可視化・分析するWebダッシュボードの販売や分析業務、データプラットフォームの構築等、位置情報データ全般を支援する事業
設立2022年4月6日
公式ページhttps://www.geotra.jp/

今回は、執行役員を務める森山さんと、プロダクト開発部の江端さんに、株式会社GEOTRAの事業の意義や先進的な開発環境、若手メンバーが切磋琢磨しながら働く組織風土などについてお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社GEOTRA 執行役員の森山拓洋さん

株式会社GEOTRA
執行役員 CTOプロダクト開発部長

森山 拓洋さん

株式会社GEOTRA プロダクト開発部の江端さん

株式会社GEOTRA
プロダクト開発部マネージャー

江端 杏奈さん

株式会社GEOTRAのミッション:人の動きを可視化し社会課題を解決

株式会社GEOTRAのミッション
▲株式会社GEOTRAは「データの力で、社会を前に進める」というミッションを掲げている(公式サイトから引用)

編集部

まずは、GEOTRAさんの事業の理念について教えてください。「データの力で、社会を前に進める」というミッションを掲げていらっしゃいますが、どのような想いが込められているのでしょうか。

森山さん

交通渋滞・防災・地域の活性化など、日本にはさまざまな社会課題がありますが、これらすべての社会課題に関係しているのが、「人の動き」であると考えています。私たちは、この「人の動き」に注目し、データを使ってデジタル空間上に再現・可視化することによって、課題解決につなげることを目指しているんです。

株式会社GEOTRAが提供する人流データのイメージ
▲位置情報ビッグデータをもとに人の動きを可視化し、さまざまな社会課題の解決に活用している

森山さん

実は「人流データ」の活用は、100年以上前から始まっています。当時は、アンケート形式で人々の位置情報を収集していました。

編集部

アンケートですか?紙で集計した記録をもとに、人の動きを把握するのはとても大変そうですね。

森山さん

そうですね。集めた情報を一つ一つ丁寧に集計して、「この辺は人が多いからこういう建物を建てよう」などと活用していたんです。

日本では、ここ10年ほどでスマートフォンが普及し、デジタルデータで情報を集められるようになりました。情報の量と質が飛躍的に向上し、データの集計も迅速化され、効率性が大幅に向上しました。

同時に、「プライバシーをどう守るか」という課題が、このビッグデータを扱う上での重要な問題として浮上しました。私たちは、プライバシーの保護を徹底しながら、データの活用を推進しています。

このような取り組みを通じて、社会問題の改善に取り組む事業者や自治体が活用しやすい形でデータを提供し、社会問題の解決を支援したいと考えています。

編集部

なるほど。まさに「街を変える」とも言える、社会貢献性の高い事業だということがわかりました。

最先端の開発環境:高度なデータ分析を実現するモダンな技術基盤

株式会社GEOTRAの社員がデータ分析を行っている様子

編集部

GEOTRAさんには、最先端の「モダン」な開発環境があるとお伺いしておりますが、具体的にどのような優位性があるのでしょうか?

森山さん

弊社には2種類の開発環境があります。

1種類目は、人流データを作成するデータサイエンスの環境です。「GEOTRA Activity Data」というサービスで提供しているCSVデータを作成する仕組みがあり、集計されたデータから非集計データを作成する合成データ生成モデルという技術を採用しています。この技術により、高粒度な人流データを作成しています。

編集部

高粒度とは、具体的にどのようなことなのでしょうか?

森山さん

通常、人流データは「東京駅から新宿駅まで、100人の人が移動しました」というように、まとまったデータを作成するのが一般的です。しかし、弊社では「東京駅から新宿駅に1人移動しました」「同じ時間帯にもう1人移動しました」というように、一人ひとりのデータを細かく分解して作成しています。

まとまったデータでは、単純な数字上の計算しかできませんが、我々は一人ひとりに個性のようなものを持たせているので、「この人は20代女性なので、新大久保の方に行きやすい」というような傾向を分析することができるんです。

株式会社GEOTRAが提供する高粒度の人流データのイメージ
▲最先端の技術を活用して、一人ひとりの動きを可視化できる高粒度の人流データを提供している。

森山さん

一人ひとりに個性を持たせるには膨大な計算量が必要になりますが、弊社の環境では、比較的現実的な計算時間で行うことができています。

編集部

最先端の環境によって、お客様にとってより有用な人流データの作成が実現できているということですね。

ウェブブラウザベースの開発:地図アプリ経験不要の即戦力化を実現

株式会社GEOTRAのメンバーが仕事をしている様子

編集部

開発環境は2種類あるとのことですが、もう1種類の環境はどのような環境ですか?

森山さん

もう1種類は、Webアプリケーションを開発する環境です。

作成された人流データはギガバイト単位のCSVファイルになっているので、一般的な表計算ソフトでは扱えません。なるべく多くのお客様に人流データを活用いただきたいので、お客様自身が分析を行えるようなWebアプリケーションの開発も行っているんです。

例えば「〇〇に到着した人」「〇〇に勤務しながら〇〇に居住地を持っている人」などというように、お客様自身がフィルターをかけて分析できるような機能や、地図上に点を打ったりヒートマップを出したりといった可視化ができる機能などを開発・提供しています。

株式会社GEOTRAが提供する分析ダッシュボードのイメージ
▲お客様自身が人の流れの分析を行えるようなアプリケーションの提供も行っている。

編集部

このWebアプリケーション開発の環境については、どのような点が「モダン」なのでしょうか?

森山さん

地図表示ができるアプリケーションは世にたくさん存在するのですが、デスクトップアプリケーションといって、パソコンの中にインストールして、そのデスクトップ上のアプリで表示して動かすのが一般的です。

この地図アプリを、ウェブブラウザ上でアクセスして分析できるようなフレームワークがここ数年で新たに登場しており、弊社はそれを採用しています。

そうすると、ウェブサービスの開発経験があるメンバーでも、すぐに機能開発を始められます。

編集部

従来型のデスクトップアプリ開発の経験がなくても即戦力になれるというのは、人材の活用という観点でもとても大きなメリットになりそうですね。

多様な働き方の実現:業務委託エンジニアとインターン生の活躍

株式会社GEOTRAのメンバーが打ち合わせをしている様子

編集部

続いて、GEOTRAさんのメンバー構成を教えてください。エンジニアの方が多いのでしょうか?

森山さん

2023年8月現在、30名のメンバーがおり、そのうち17名がエンジニアです。

弊社のメンバーは、大きく3つのカテゴリーに分かれています。「親会社からの出向者を含む社員」「アルバイト契約を結んでいるインターン生」「業務委託契約を結んで副業で参加しているメンバー」です。エンジニアには社員と業務委託の方がいます。

編集部

エンジニアの皆さんはリモートでお仕事することもあるのでしょうか?

森山さん

社員は主に出社して働いていますが、業務委託の皆さんはフルリモートで働いています。業務委託契約の性質上、働く場所と時間に制限はありません。

編集部

フルリモートで働く方も多い中で、メンバー間の情報共有やスキルアップの機会はどのように設けられているのでしょうか?

森山さん


対面で会う機会が限られていても、週に1回、エンジニア全員が集まるオンラインミーティングを設けており、その中で情報交換会も実施しています。これにより、コミュニケーションは円滑に取れており、情報共有をしながら互いにスキルアップを図っています。

未来を担う人材育成:データサイエンスと街づくりに興味ある学生インターン募集

株式会社GEOTRAのメンバーがオフィスで働く様子

編集部

GEOTRAさんでは学生インターン生も活躍されているとのことですが、どのような経緯で受け入れを始めたのでしょうか?

森山さん

社長の知り合いの方の紹介で、学生を受け入れたのがきっかけです。

編集部

インターン生には、どのような仕事をお任せしているのでしょうか。

森山さん

現在インターン生にお願いしている事例では、人流データの活用方法を広く発信する仕事を担当してもらっています。「人流データって何に使えるの?」というお客様の疑問を解決できるような、ニュース記事形式のコンテンツを作成していただいています。

編集部

事前に拝見しましたが、インターン生が作成されていたんですね。とても有益な記事だと感じました。インターン生は、どのようなスキルや思考を持った方が多いのでしょうか?

江端さん

情報系の学生さんで、データ分析のスキルがある方、いわゆるジュニアデータサイエンティストと呼ばれるような方が多いですね。最近では、都市計画や建築などの分野に興味がある学生さんも採用させていただいています。

学習意欲が高い方ばかりで、業務や技術に関して積極的に話し合いを行うなど、お互いのスキルを高め合っているという印象が強いです。インターン生には出社してもらい、対面でのコミュニケーションも含めて、活発に意見交換しながら業務を行っています。

株式会社GEOTRAが求める人材像:データテクノロジーで社会貢献に挑戦したい方

株式会社GEOTRAの社内で打ち合わせを行う様子

編集部

最後に、GEOTRAさんに興味を持った方へメッセージをお願いいたします。

森山さん

弊社には、大企業のジョイントベンチャーならではの魅力があると思っています。KDDIや三井物産といった大企業と連携して大きな仕事ができる一方で、スタートアップならではのスピード感もあります。

副業で参加しているエンジニアの方や、学生インターンの方が提案したアイデアを新しい商材に組み込むこともできる柔軟な組織です。

江端さん

社長や取締役との距離も近いので、意見が反映されやすいですね。

また、大企業のジョイントベンチャーという観点では、豊富なビッグデータを保有するKDDIとの連携が密にとれる点も、魅力の1つだと思います。

森山さん

そうですね。加えて、お客様に近いというところも、弊社で働く魅力だと思います。

私たちは単なる機能的な要望に応えるのではなく、お客様が実現したいことそのものに対して、時間をかけて解決策を提供しています。例えば、「外国の方にこの街を訪問してもらうための方法を考えたいから、人の流れが知りたい」というような要望に応えています。

自分たちの業務が、実際に街や社会が変わっていくことに繋がっていると感じられる点は、働くうえで大きなやりがいになると感じています。

こうした環境下で働いてみたいと感じていただけた方は、ぜひ一度、お問い合わせいただければ幸いです。

編集部

ただデータを提供するというのではなく、実際に街を変えたい、社会を良くしたいというGEOTRAさんの理念が大変よく理解できましたし、とても魅力のある事業だと感じました。

本日はたくさんのお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

■取材協力
株式会社GEOTRA:https://www.geotra.jp/
採用ページ:https://www.wantedly.com/companies/company_5113234