SDGsへの取り組みや若手活躍の観点から企業の魅力を探るこの企画。今回は太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオガス発電などの再生可能エネルギーを開発・運営するGPSSホールディングス株式会社を取材しました。
再生可能エネルギー事業を展開するGPSSホールディングス株式会社
GPSSホールディングス株式会社は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオガスなど、グリーンエネルギーを用いたエネルギー供給事業で、サステナブルな社会の実現を目指す企業です。
水や風、熱などの自然の恵みを「コモンズ(※)」と捉え、“まず地域から”を合言葉に地権者や自治体、地域コミュニティとパートナーシップを結び、共にエネルギー供給事業を行うことで持続可能な社会の仕組みづくりに貢献しています。
(※)コモンズ:社会全体にとって共通の財産となる資源、共同で保守・管理すべき資源
会社名 | GPSSホールディングス株式会社 |
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住所 | 東京都港区芝2-5-10 芝公園NDビル 6F |
事業内容 | ・再生可能エネルギー供給事業への投資 ・再生可能エネルギー給事業の組成 ・再生可能エネルギーに関連するフィージビリティ・スタディー(地熱、バイオガス等) ・再生可能エネルギー発電事業に関連する資産および投資管理 ・再生可能エネルギー供給事業に関連するエンジニアリング ・再生可能エネルギーと関連した農地運営 ・森林の適切な管理・運用(炭素価値の活用) ・再生可能エネルギーに由来するエネルギー取引 |
設立 | 2012年10月 |
公式ページ | https://gpssgroup.jp/ |
2012年の創業以来、多様な文化や考え方を持つ人を積極的に採用してきたGPSSホールディングス株式会社では、さまざまなバックグラウンドを持つ社員がジョインし、地球環境課題に取り組んでいます。その背景にはどのようなカルチャーが根付いているのでしょう。
そこで今回は、同社の事業の特徴や風土、社風などについて、企画管理本部の寺谷亮治さんと、企画管理本部人事総務グループ採用育成チームの本間玲子さんにお話を伺いました。
グリーンエネルギーでサステナブルな社会の実現を目指す
編集部
再生可能資源を用いたエネルギー供給事業で、サステナブルな社会の実現を目指しているGPSSホールディングスさんですが、はじめに、どのような思いや理念から事業に取り組まれているのかをお聞かせいただけますでしょうか。
本間さん
少子高齢化が加速するわが国において、特に過疎地域では、地域住民の生活基盤の維持や災害対策などが社会問題となっており、それを解決する自治体の財政状況も潤沢とは言えないのが実情です。
当社は特に、エネルギー問題、食糧問題などの課題に対し、地域にある未使用の水、風、熱などのエネルギー源を活用し、地域コミュニティと共同事業を行っています。持続可能な社会を実現することが当社の使命であり、掲げている理念です。
水素メタネーション技術を持つ独CYTOKと独占的パートナーシップ契約
編集部
GPSSホールディングスさんは環境先進国であるドイツの企業と独占的パートナーシップ契約をされたと伺っております。これにより、今後どのような事業展開が期待されるのでしょうか。
寺谷さん
「CYTOK GmbH(以下、CYTOK)」社は、再生可能な資源からグリーンな電気、暖房、冷房を供給するPower-to-Gasエネルギーシステムの数少ないサプライヤーです。当社は、同社と合弁会社を設立することに合意し、新会社の設立に向けて準備を進めています。
編集部
水素メタネーション技術を活用することで、どのようなメリットが得られるのでしょう。わかりやすく教えていただけると幸いです。
寺谷さん
噛み砕いてご説明すると、CYTOKの技術は、発電したグリーン電力を敷地内で100%分散して使用するため、非常に高い利用率を実現しています。これを可能にしたのが、大容量のエネルギーを蓄えることができる「Power-to-Gas」コンポーネントです。
この技術は、第1ステップで発生したグリーン水素を、グリーンメタンに変換します。これにより、水素用に高価な改造をすることなく、既存の天然ガス向けの安価な機材を使用することができます。つまり、既存のインフラに対してすぐに導入できることが最大のメリットです。
水素メタネーションでアジアのメガマーケットへの参入を目指す
編集部
CO2排出量をゼロにする燃料と考えられている水素メタネーションは画期的な技術とされていますが、現状、課題として挙げられることがあればお聞かせいただけますでしょうか。
寺谷さん
おっしゃる通り、水素やメタネーションはガスのカーボンニュートラル化を実現する技術です。しかし、実現には高額な費用がかかるため、水素ステーションなどの実用化や普及には至っていないのが実情です。
再生可能エネルギー発電事業を展開する当社においてもコスト面は大きな課題でしたが、サステナブルな社会の実現に向けて地産地消を求める自治体・企業にとってメリットのある高いエネルギー効率を実現するCYTOKと技術、理念などが合致、パートナーシップを組むことで、水素メタネーションの技術を日本、台湾、そしてアジア諸国に広めていこうと、動き出しています。
編集部
CYTOKのノウハウと経験を共有することで、GPSSホールディングスさんの新たなマーケットへの市場参入が期待できますね。
26か国・地域の国籍を持つメンバーが活躍するグローバルな環境
編集部
続いて、GPSSホールディングスさんの働く環境について伺います。まずは社員の平均年齢、男女比についてお聞かせください。
寺谷さん
グループ全体の社員数は295名、男女比でいうと7対3、平均年齢は41歳となっています。
編集部
さまざまなバックグラウンドを持つプロフェッショナルたちが集うGPSSホールディングスさんには26か国・地域の国籍を持つ方がジョインされていると伺っております。普段の業務はどの言語で行われているのでしょう。
寺谷さん
ビジネスでは基本、日本語と英語です。プライベートな会話では、その他の言語が飛び交うこともよくあります。
本間さん
例を挙げますと、ある女性リーダーのチームでは、部下が年上の男性2名と、モンゴル人、ブラジル人の2名の若い女性がいるのですが、ブラジル人の社員はアルゼンチン出身の社員と仲が良く、プライベートではポルトガル語でいつもやり取りをしているそうです。
環境問題に興味関心を持つ、ベクトルが同じ社員が活躍
▲GPSSホールディングス株式会社では全社員が集合し、会社の未来について語る「GPSSミライ会議」を開催している
編集部
SDGsや社会課題解決に関連した事業に取り組んでいるGPSSホールディングスさんですが、社員のみなさんはどのようなマインドでお仕事をされているのでしょうか。
本間さん
採用と育成を担当する私が感じるのは、サステナブルな社会を目指す当社の理念に共感し、日々の業務に向き合っている社員が多いことです。特に若い世代は気候変動など環境問題について学んだり、ニュースやネットで情報収集するなど、問題意識が高い傾向があります。
そこから、自分にも何かできるのではという意識をもち、まずはやってみよう、というマインドを持っている社員が多いように感じます。
寺谷さん
ベテランのエンジニアの声を代弁すると、社会のためになること、価値のあることを自分たちの手で切り拓いていきたいという思いがあります。
大手電機メーカーや電力会社が膨大なエネルギーを生み出す一方で、本当にそれは社会的意義のあることなのかという疑問を抱いた時、個人の幸せを尊重しながらサステナブルな社会の実現に向けて活動する当社が魅力的に感じたそうです。
例えば、前職が大手電力関連企業だったエンジニアは、大きなプラントに携わっていたけれど、エンドユーザーの顔が見えず、自らの仕事がどのように役立っているかを実感できなかったそうです。当社は良くも悪くも幅広く関わっていかなければならない規模の会社なので、エンジニアの立場でもプロジェクト全体に関わることにやりがいを感じている社員が多く、皆、これまで培った技術やスキルを惜しみなく注いでくれています。
編集部
お二方のお話を伺い、サステナブル社会の実現という大きな目標に向かい、社員一丸となって取り組んでいることがよくわかりました。
女性活躍推進と外国籍の雇用推進に注力するD&I委員会
編集部
GPSSホールディングスさんは2020年にダイバーシティ&インクルージョン委員会(以下D&I委員会)を設置したと伺っております。委員会ではどのような取り組みをされているのでしょうか。
本間さん
D&I委員会設立以前からD&I推進のためのチームアップを行っていた当社ですが、組織が大きくなったこともあり、取締役会での決議を経て正式にD&I委員会が設立されました。
現在、最も注力しているのが女性活躍推進と優秀な外国籍の方の雇用推進です。3ヶ月に1度の正式なミーティング以外にも分科会ごとの目標に対し、小規模なミーティングを行っています。現場の若い社員も忌憚なく意見が発言できる場となっており、外部の方を招いたワークショップやレクチャーなども行われます。
部署外のメンバーがメンターになり、若手社員をサポート
▲フリーアドレス制を導入しているGPSSホールディングス株式会社の東京オフィス
編集部
女性活躍推進についてもう少し掘り下げて伺いたいのですが、実現に向けたプロジェクトなどがあればお聞かせください。
本間さん
直近では「メンタープログラム」をD&I委員会の活動として始めました。もともとは女性活躍推進の一環としてスタートしたのですが、女性社員が少ないため、男性の上司に相談をしても噛み合わないことがあるという現場の意見を反映したプログラムでした。
それが「D&Iなのだから女性に限定しなくてもよいのではないか、若いメンバーが道に迷った時、直属の上司以外からのインプットがあってもよいのではないか」という目﨑のコメントを受けて、女性社員だけでなく、対象を広げて企画を進めています。現在はパイロットプロジェクトとしてD&I委員会に関わるメンバーでメンタープログラムを実施中です。
編集部
メンターになるための条件などはあるのでしょうか。
本間さん
まず、メンターが在籍する部署がメンティーと異なることが条件です。部署が近いとどうしても上司と部下の関係になり、お説教のようになってしまうことがその理由です。また、今後は外部の方からの協力も仰ぎたいと考えております。例えば、理系出身の女性社員が少ないことは当社だけではなく、多くの企業が抱える課題の1つです。
D&I委員会の中心メンバーが外部の方に相談したところ、小学生を対象に理系の面白さをレクチャーする活動をされている理系出身女性の起業家を紹介いただきました。既存の固定概念を覆すような活動をしている方からインスピレーションを受け、理系出身の女性社員だけではなく、全ての若手メンバーの意欲向上につながっていくことを目指しています。
編集部
それぞれの個性や強みを活かし、働きやすい環境をつくるため、D&I委員会ではさまざまな取り組みをされているのですね。
興味関心のあることにフレキシブルに挑戦することができる
▲年間MVP賞は社員投票で選ばれた社員が受賞。互いを認め合う文化が根付いている
編集部
次に、GPSSホールディングスさんで活躍する社員について伺います。御社は新卒採用は行っていないとのことですが、中途採用で入社された若手社員の活躍について、具体的なエピソードを交えてお聞かせいただけますでしょうか。
本間さん
例えば、入社時は目﨑秘書室の配属でしたが、現在は大規模太陽光発電のプロジェクトマネジメントを任されている若手社員がいます。
また、未経験で入社し、2年目を迎える太陽光発電の開発メンバーは、根気強く業務に向き合った結果、初めて自分が手がけた太陽光発電所が昨年、九州で運用を開始しました。
立ち上げから2年にわたって育ててきたプロジェクトが日の目を見たときは感慨深く、本当に嬉しかったと話していました。このように、未経験かつ若手にも裁量を与える度量があることも当社の特徴です。
20代で課長職に。多様性と調和を重視したカルチャー
▲東京オフィスにはパワーナップ用のハンモックエリアがあり、社員は自由に使うことができる
編集部
GPSSホールディングスさんでは若手活躍をどのようなかたちで推奨されていると思われますか?
寺谷さん
自分がやりたいことに手を挙げた者には応援をし、後押しする会社だと感じます。キャリア採用に特化していることからもそれは顕著であり、リスクを負ってでもチャレンジしたいという者には裁量を与え、20代で課長職にあたるポジションに就いている者もいます。違う言い方をすると、口だけの批評家ではなく、自ら動く実行者が評価される組織です。
本間さん
年上の者や上司に意見を言いにくいといった雰囲気もなく、若手の意見にしっかり耳を傾けることで、多様性と調和が取れているのだと感じます。社内では目﨑以下お互いにニックネームで呼び合っており、とてもオープンな環境ですよ。
年齢、性別を限定せず、平等にチャンスを与えるフォロー体制
編集部
若手が裁量を持ってさまざまなことに挑戦できる風土が根付くGPSSホールディングスさんですが、若手社員をフォローする制度などはありますか?
寺谷さん
年齢や性別、国籍というようなセグメントで捉えない当社は、若手に限らず、誰にでも平等にチャレンジを推奨するカルチャーが根付いており、大事にし続けています。
研修や育成においても、入社時のオリエンテーションや部署によってはカリキュラムを組んで座学を行う場合もありますが、基本的には先輩社員に習う、OJTの流れとなっています。
編集部
誰もが平等にチャンスを得られることこそが、GPSSホールディングスさんのフォロー体制であり、育成であることがわかりました。
インターンシップは修士博士課程の外国籍留学生を積極的に採用
編集部
GPSSホールディングスさんではインターンシップ制度を導入されているとのことですが、インターン生はどのような業務を体験できるのでしょうか。
本間さん
新卒採用を行っていない当社は、日本人学生のインターンシップのケースとしてはそれほど多くありませんが、D&Iの目標である外国籍の方の雇用推進の一環として、外国籍の留学生で修士博士課程のインターン生の受入実績があります。
また、採用に至った過去の実績では、最初に人事部の業務を体験した後、開発のミドルマネジメントを体験していただきました。当社のインターン生は、そのまま雇用に直接はつながらないのですが、その方はフィット感があったため、採用に至りました。
編集部
GPSSホールディングスさんがインターンシップ制度を導入する目的について、お聞かせいただけますでしょうか。
寺谷さん
3つの目的があります。1つは採用です。基本的には新卒採用を行ってはいませんが、フィットする良い人材であれば、インターン生から採用につながることもあります。2つ目は組織の活性化を狙いとし、考えが異なる方々を受け入れることで組織や社員に刺激を与えることです。3つ目は労働力。急成長中の会社のため、仕事量も急速に増えており、新しい人材が常に必要で、通年採用を実施しています。
サステナブルな社会の実現に共感し、挑戦したい方を歓迎
編集部
GPSSホールディングスさんが手掛けるサステナブルな資源を用いたエネルギー供給事業やD&Iへの取り組みに感銘を受けた読者は多いと思われます。最後に、転職を検討している読者に向け、採用におけるメッセージをお願いします。
本間さん
自身の人生を考えた時、これから何十年という時間をどんな仕事に費やすかといった、「何のために働くのか」ということを考えていただきたいと思います。もしそれが、サステナビリティに関わること、社会貢献に関わりたいなどであれば、ぜひ、当社をご検討いただければ幸いです。同じ思いの仲間が待っています。
寺谷さん
仕事に対するベクトルがはっきりしているに越したことはありませんが、やりたいことがわからないという方もいらっしゃると思われます。そのような場合でも、状況を変えたい、チャレンジをしたい方にとって、未経験からの活躍者の実績が多く、多様な考え方を受け入れる土壌や風土が根付く当社はうってつけの環境だと思います。
自身の思いと当社の事業、理念に重なる部分が少しでもあるのであれば、気づきを提供できると思っているので、ぜひ、お気軽に問い合わせください。
編集部
今回の取材を通し、GPSSホールディングスさんでは社員1人ひとりが自分の意見を持ち、お互いを受け入れ合っていることがわかりました。そのようなマインドが、サステナブルな社会づくりにつながっていくのだと思います。
本日はありがとうございました。
■取材協力
GPSSホールディングス株式会社:https://gpssgroup.jp/
採用ページ:https://gpssgroup.jp/recruit/work/