株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの個性を尊重するウェルビーイング経営とは

独自のビジネスで成長を続けると同時に、社員のワークライフバランスも重視している企業をインタビューする本企画。今回は、再生可能エネルギーに関するソリューション事業を展開している株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ(以下、アイ・グリッド)にお話を伺いました。

「明日のエネルギーを創る」会社、アイ・グリッドとは

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの事業イメージ図
▲地域の脱炭素化に結び付くような事業を展開している(公式ページより)

「R.E.A.L. New Energy グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」を事業ビジョンに掲げるアイ・グリッドは、自然を傷つけずに地域の脱炭素化を実現するべく、太陽光発電や蓄電池を活用したソリューション、エネルギーマネジメントサービスを展開しています。

その事業モデルは社外から高い評価を得ており、環境省の「第9回グッドライフアワード」環境大臣賞最優秀賞など、脱炭素関連の賞を複数受賞しています。

会社名 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ
住所 東京都千代田区麹町3-7-4 秩父屋ビル3階
事業内容 ・GXソリューション事業
・エネルギーマネジメント事業
・家庭向け電力供給事業
・法人向け電力供給事業
設立 2004年2月
公式ページ https://www.igrid.co.jp/

グリーンエネルギ―という分野で先進的なビジネスを展開するアイ・グリッドが力を入れているのは、社員のウェルビーイングです。社員の健康に加え、仕事への意欲や働き甲斐を高め、社員と組織の相互エンゲージメントを大切にすることで活力ある職場が実現するという考えのもと、さまざまな取り組みを進めています。

ウェルビーイング実現のための施策や同社のカルチャーについて、Well-being担当執行役員 兼 コーポレート・コミュニケーション室室長の大﨑亜紀さん、マーケティング部の部長である鈴木志知さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの大﨑さん

株式会社アイ・グリッド
ソリューションズ
Well-being担当執行役員
コーポレート・コミュニケーション室 室長

大﨑 亜紀さん

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの鈴木さん

株式会社アイ・グリッド
ソリューションズ
マーケティング部 部長

鈴木 志知さん

「オンサイトPPAモデル」のリーディングカンパニー

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズが手掛けているビジネスモデル「オンサイトPPAモデル」によってソーラーパネルを屋上に設置した商業施設
▲ビジョン「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」を目指し、地域に太陽光発電を広げる事業を手掛けている

編集部

初めに、アイ・グリッドさんの事業内容について伺わせてください。

鈴木さん

私たちは脱炭素の領域に関するビジネスを手掛けており、企業の脱炭素化推進のためのソリューションを提供しています。来年(取材は2023年8月)である2024年には、設立から20年を迎える企業です。

当社が掲げているミッションは「New Energy Partner 明日のエネルギーをあなたと創る」です。エネルギーに関するビジネスを展開していますが、同時に人にフォーカスし、事業活動を通じて人々の活力を作り出していくことを目指しています。

また、ビジョンとして「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」を目指しており、グリーンエネルギーを地域に広めるべくビジネスを進めています。

編集部

具体的にはどのようなソリューションを提供しているのでしょうか?

鈴木さん

主要事業としては「オンサイトPPAモデル」と呼ばれるビジネスモデルが挙げられます。これは商業施設や物流施設の屋根上に初期投資なしでソーラーパネルを設置し、発電されたグリーン電力を施設に長期契約で提供するというモデルです。屋根上に設置することで、自然を傷つけずにGX(※)を広げていくことができます。
(※)グリーントランスフォーメーションの略。化石燃料からクリーンエネルギー中心に転換するための取り組みや、変革のことを指す。

当社は、オンサイトPPAモデルにおける日本のリーディングカンパニーです。2023年7月末時点で45都府県、641施設の事業者様に導入いただいています。

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの全社会議の様子

鈴木さん

この、全国に設置した施設屋根の太陽光発電所をつなぐエネルギープラットフォーム「R.E.A.L. New Energy Platform®」を独自開発し、エネルギーのコントロール・マネジメントを行っています。

太陽光というエネルギーは天候に左右されるため、予測、分析した上でコントロールすることが必要となります。多くの発電所で使用する電力量を把握し、AI、IoTを活用して予測することで、太陽光を最大限活用する仕組みを構築しています。

これが当社オリジナルの「余剰電力循環モデル」によるエネルギー供給のサービスとなります。

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの余剰電力循環モデルのイメージ図
▲再生エネルギーを循環させるプラットフォームを提供している

編集部

アイ・グリッドさんで全国にある小規模の発電所を束ねて運営しているといえそうですね。ほかに力を入れている事業はございますでしょうか?

鈴木さん

2023年2月からPPAアライアンス事業というビジネスに力を入れています。これは銀行や地方自治体などの企業や団体と連携し、今まで培ってきた当社の事業ノウハウを提供することで地域での脱炭素化を具体的に進めていこうとする事業です。

例えば、福岡県北九州市には公共施設に再生エネルギーを導入いただいていたり、栃木銀行とは再生エネルギー事業会社を共同設立しています。

太陽光による再生可能エネルギーを推進するための仕組みやサービスを広めるべく、スピード感とチームワークをもって日々チャレンジしています。

社員の社会的な充足感を目指す「ウェルビーイング経営」

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズのオフィス風景

編集部

社員の働き方という観点でアイ・グリッドさんが大切にしていることは何でしょうか?

大﨑さん

当社では、ウェルビーイング経営を取り入れ、社員の心身の健康を維持することに加え、仕事への意欲や働き甲斐を高められる環境作りも大切にしています。

「ウェルビーイング」とは、心身ともに健康で、かつ社会的にも満たされた状態を指す言葉です。個人の活動に対する満足感を表す「キャリアウェルビーイング」、対人関係の満足感を表す「ソーシャルウェルビーイング」、経済的な観点における満足感を表す「フィナンシャルウェルビーイング」、心身の健康に関する満足感を表す「フィジカルウェルビーイング」、自信が属するコミュニティーに関する満足感を表す「コミュニティーウェルビーイング」の5つの要素で構成されています。

編集部

社員の健康状態に対して経営という観点でアプローチしていく健康経営に近い考え方ですね。

大﨑さん

健康経営はウェルビーイング経営のベースになっているものです。しかし、ウェルビーイング経営では社員の心身の健康を管理していくという観点に加え、組織の環境を整えて「仕事への意欲や働きがい、社員と組織の相互エンゲージメントを高めていく」という考え方も重視します。

ウェルビーイング経営を推進していくことで、活力がめぐる組織になり、企業価値の向上につながっていきます。

「学び」「多様性」を重視した独自の経営方針「ibeing」

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの経営方針「ibeing」のロゴと説明
▲ウェルビーイング経営をもとにした独自の経営方針「ibeing」を掲げている(公式ページより)

編集部

アイ・グリッドさんがウェルビーイング経営を推進している背景は何でしょうか?

大﨑さん

当社はエネルギーシステム全体のサスティナビリティを目指している企業です。エネルギーの持続可能性を追求している以上、企業活動や社員の働き方も持続可能なことが理想だと思っています。

また、これまでも「学び」「多様性」というものを企業文化として根付かせ大切にしてきました。その大切にしてきたものを軸に置き、「ibeing(アイビーイング)」という独自の経営方針に落とし込んでいます。

編集部

ibeingでは具体的にどのような方針を掲げているのでしょうか?

大﨑さん

ibeingの軸となっているのは「キャリアサスティナビリティ」「ソーシャルサスティナビリティ」です。それぞれ「どんな環境を社員に提供するのか」について会社としての考えを示しています。

キャリアサスティナビリティでは「多様性に富んだワークライフバランスを尊重し、キャリア形成を行える環境の提供」を目指しています。社員のワークライフバランスを尊重し、継続してキャリア形成ができるような環境を提供していきたいとしています。

一方、ソーシャルサスティナビリティでは、「長期に働ける多様化された働く環境の提供」を打ち出しています。同僚だけでなく、それぞれの家族や身近な人との信頼関係を築きながら、柔軟な働き方を選択できる、つまり多様性を認め合えるような環境を整えていくことを目指しています。

編集部

社員が心身ともに健康に働けるよう、社員個人だけでなく周囲にいる人々との関係性についても重視しているのですね。

ibeingの考えが反映された「アイ・グリッド・アワード」「ベビトレ制度」

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの社内表彰会「アイ・グリッド・アワード」の様子
▲年に一度開催されている「アイ・グリッド・アワード」

編集部

ibeingをもとにして作られた制度はございますでしょうか?

大﨑さん

アイ・グリッドでは年に一度「アイ・グリッド・アワード」という社内表彰会を開催しています。利益に貢献したという観点だけでなく、当社のバリューを体現した社員を表彰する制度です。狙いとしては、社内文化の醸成、浸透などが挙げられます。

ほかに、育児に関する独自の制度「ベビトレ制度」もありますね。

編集部

ベビトレ制度について詳しく伺わせてください。

大﨑さん

ベビトレ制度は、育児期間を「社員自らを育てる機会(育自)」と捉えた制度です。

お子さんの出生後8週間以内の産休、育休を対象とし、研修として認定された期間において学びレポートを提出してもらい、研修手当を支給しています。国からの育児休業給付金とは別に、企業から手当が支給される当社独自の制度です。

ベビトレ制度には、普段の仕事では得られない学びを育児という経験から学び取ってほしいという思いが込められています。また、育休を取得しやすい企業文化の醸成や社員のエンゲージメント強化という狙いもあります。

編集部

会社として子育てを応援する姿勢が伺えますね。子育て支援に関する制度はほかにございますでしょうか?

鈴木さん

当社では子ども家庭庁が取り扱っている「ベビーシッター券」を導入しています。これはこども家庭庁が認定したベビーシッター会社の利用について補助が受けられるという制度です。

編集部

子育て中の社員からするとありがたい制度ですね。

ベビトレ制度で実感した育児の大変さと経験することの重要性

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの鈴木さん
▲ベビトレ制度利用者第一号となった鈴木さん

編集部

ベビトレ制度について実際に利用した方のお話を伺わせてください。

大﨑さん

今回同席している鈴木は、初めてベビトレ制度を利用した社員です。8週間の育休取得後には「育児を通して相手の状況を想像しながらコミュニケーションを取る難しさや大切さを学んだ」ということを言っていましたね。

鈴木さん

ベビトレ制度を通してコミュニケーションの大切さについて学んだことはもちろん、子育ての大変さというのを痛感しましたね。生まれてすぐの赤ちゃんの子育てに携わるというのは、人生の中でも多くない機会ですので、良い期間を過ごせたと思います。

編集部

子育ての大変さについてお話がありましたが、実際に体験されてどのように感じられましたか?

鈴木さん

例えるなら「24時間稼働のアルバイトを週7日間やらなければならない」といったイメージです。もちろん24時間常に忙しいというわけではないのですが、「2時間ごとにお客さんが来るから、アラートが鳴ったらとりあえず行く」というのを続けている感じでした。

そうした大変さを実感できたのが自分として一番大きな経験だったと思います。

編集部

今後ベビトレ制度を利用する社員にはどんなメッセージを送りたいでしょうか?

鈴木さん

もし機会があるなら一度は経験するのをおすすめします。育休を取得することで家族との関係性が深まったり、子どもが育っていく過程を見れるのが嬉しかったりするので、ぜひ取得してほしいなと思います。

まだ男性が育休を取得するのは一般的とは言えないと思いますが、その結果、男性の間で子育ては大変なものだという意識が広がっていないような気もしています。

子育ての大変さを実感しないと、女性をサポートしていく社会の実現は難しいかもしれません。そういった観点でも、男性も子育てにどんどん積極的に参加してほしいですね。

ベビトレ制度は取得者だけでなく組織の成長も促す

編集部

アイ・グリッドのベビトレ制度の運用において、障壁となったことはあるでしょうか?

鈴木さん

特徴的な制度があっても実際に利用するのは難しいというケースもあると思うのですが、当社は多様性を認め合いながら、それぞれがサポートし合う環境にあります。

また、「自立して物事を考えよう」というカルチャーが各メンバーへ根付いていたため、指示を待っていて何も物事が進まないという状況ではありませんでした。チームとして判断して、自分たちで進められるものはどんどん進めてくれたので、非常にありがたかったですね。チームメンバーに恵まれたと感じています。

編集部

ベビトレ制度は組織運営においても好影響を与えていると伺えます。

鈴木さん

実際に、私がベビトレ制度を利用することでチームワークが高まったと感じますね。

私は部長ですので、普段は主にマネジメント業務を担っています。制度利用中は若手の伸び盛りのメンバーにマネジメント業務を任せることになりました。

私がいないことで大変なこともあったと思いますが、そのメンバーにとっては新しい挑戦の機会になったのではないでしょうか。長い目で見ると、私がベビトレ制度を利用したことは会社にとっても良かったと感じています。

編集部

もともとは育休取得者の成長を促すために導入されたベビトレ制度ですが、さまざまな社員の成長を促すきっかけとして機能しているのですね。

「『自立して物事を考えよう』というカルチャーがある」とおっしゃられていましたが、アイ・グリッドさんの企業文化の源流は何でしょうか?

鈴木さん

会長の本多(聰介さん)は創業当時から、社員一人ひとりが経営者視点で自ら学び、自ら物事を起こしていくような自立したプロフェショナル集団を作りたいという考えを持っていました。ですので、「新しいことを学んで、どんどん失敗しなさい」という企業文化です。

チャレンジすると、失敗もあります。しかし、当社は失敗をネガティブには捉えません。失敗しないと成功は生まれないという考え方であるためです。

編集部

思い切りチャレンジできる環境にあるからこそ、一人ひとりが自立して行動できるのですね。

新しいメンバー受け入れのためトレーニング制度を構築中

「なんでも相談室」で話し合う株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの社員たち

編集部

メンバー同士が協力し合うカルチャーが定着しているアイ・グリッドさんですが、何人ぐらいのメンバーでチームが構成されているのでしょうか?

鈴木さん

ほとんどのチームは7~8人ほどで形成されています。新しいメンバーが入ってきたら、オンボーディング研修を実施しています。

当社に入社する社員は8割ぐらいが中途での採用なのですが、エネルギー業界からの転職は少なく、さまざまな業界からジョインしてきます。業界に関する知識がゼロの状態で入社してくるので、新入社員のトレーニング制度を現在進めているところです。

編集部

具体的にどのような制度になっていくのでしょうか?

大﨑さん

トレーニング制度についてはまだ発展途上の状態にありますが、営業やマーケティング担当などの社外向けの仕事を担当する方とバックオフィスなどの社内向けの仕事を担当する方で、差が出ないような研修プログラムを構築しています。

今期は多くの新しい仲間を迎える予定です。さまざまなバックグラウンドを持つ方々に、1日でも早く私たちの業界やサービスを知っていただき、会社のビジネスマインドを理解していただけるようなプログラムを構築していきたいと考えています。

編集部

メンバーの絆が深いアイ・グリッドさんならではの姿勢だと感じました。

一人ひとりの個性が輝く「虹」のような会社

編集部

さまざまな業界から人材が集まるアイ・グリッド・ソリューションズさんですが、それぞれどのような志望動機で入社されるのでしょうか?

鈴木さん

入社する社員の志望動機はそれぞれですが、当社の事業やミッションに共感していることが一つの共通点として挙げられます。

新しい価値観や新たなグリーン電力の仕組みを世の中に広げていこうという考え方に共感いただく方が入社されます。

編集部

事業やミッションへの共感というのは、採用において重要なポイントとなるのですね。最後に、アイ・グリッドさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。

鈴木さん

エネルギーというと堅いイメージを持たれる方も多いと思います。しかし、私たちアイ・グリッド・ソリューションズは新しいチャレンジを推進している会社です。

「サスティナブルな社会を実現したい」という思いをビジネスで実現できるというのはなかなかない機会だと思うので、グリーンエネルギーの分野でチャレンジしたいという方はぜひ入社いただきたいと思います。

大﨑さん

当社のHPに載せている「虹」にも表しておりますが、社員それぞれの色が重なり合って会社が成り立っていると考え、一人ひとりの個性を尊重しています。グリーンエネルギーがめぐる社会を実現するために、同じ船に乗った仲間を大切にしながら一緒に進んでいきたいです。

編集部

さまざまな色を持った社員が活躍するからこそ、グリーンエネルギーの業界をリードする存在になっているのだと感じました。本日はありがとうございました。

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの大﨑さん
▲「アイ・グリッド・ソリューションズは一人ひとりの個性を大切にする会社」と語る大﨑さん

■取材協力
株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ:https://www.igrid.co.jp/
採用ページ:https://www.igrid.co.jp/recruit/