独自の制度やカルチャーの浸透により、社員の皆さんが働きやすい環境を実現している企業にお話を伺うこの企画。今回は、テクノロジーを駆使して「誰もがメンタルの問題で悩まない世の中に」の実現を目指している株式会社ispecに、社員が生き生きと働ける環境や組織のカルチャーについてお伺いしました。
テクノロジーでメンタルヘルスの文化を創る株式会社ispec
▲株式会社ispecは、「誰もがメンタルの問題で悩まない世の中に」を目指している(公式サイトから引用)。
株式会社ispecは、「誰もがメンタルの問題で悩まない世の中に」をビジョンに掲げ、ヘルスケア・メンタルヘルスケア領域を中心とした開発支援を行っている会社です。
直近では、病院・自治体・事業会社向けのサービスが主力となっており、病院向けのクラウド型オンラインカルテや、看護師のこころをケアするチャット相談サービス、予防のための症状分析・改善提案サービスなどの共同開発・開発支援を行っています。
ヘルスケア領域に限らず、エンターテイメント事業開発、SaaSシステム開発、DX支援など幅広い開発実績を有しているのも特徴で、その知見を活かしたプロダクト開発を行っています。
会社名 | 株式会社ispec |
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住所 | 東京都品川区西五反田8-2-12 アール五反田 7A |
事業内容 | ・ヘルスケア開発事業 (ヘルスケアプロダクト開発、治療アプリ開発・医療システム開発) ・エンターテイメント開発事業 ・SaaS・DX開発事業 |
設立 | 2017年12月 |
公式ページ | https://ispec.world/ |
働き方 | フルリモート制度 |
今回は、フルリモートでの働き方や組織のカルチャーなどにスポットをあてて、HR部門の紡さんと上原さんにインタビューさせていただきました。
株式会社ispecは創業当時からフルリモートワークを採用
▲リモートで働くメンバー(写真はwantedlyより引用)
編集部
ispecさんでは創業時からテレワークを導入されているとのことですが、出社日数など、具体的にどのような運用ルールとなっているのでしょうか?
紡さん
メンバー全員、フルリモートで仕事しています。会社が指定する出社日などは、基本的にありません。
編集部
実際にメンバー同士が会ってコミュニケーションをとることはないのでしょうか?
上原さん
対面の方が効率よく進められる仕事があるときは、レンタルオフィスなどを利用してチームで集まることはあります。
また、年に数回オフラインのイベントを開催しています。こちらはコミュニケーションを円滑にするためというよりは楽しむことを目的としているので、参加したい人だけ参加するというスタンスで実施しています。
ひとり一人が仕事しやすい環境作りにこだわったバーチャルオフィス
▲他のメンバーがどこで何をしているか一目でわかるバーチャルオフィス(採用特設ページより引用)
編集部
リモート中心のお仕事だとコミュニケーション面での課題も生じやすいと思いますが、何か工夫をされていることはありますか?
上原さん
バーチャルオフィス「Gather」を活用することで、円滑なコミュニケーションが実現できています。
Gatherは、わかりやすいイメージで言うとRPGのゲームのような空間で、例えばミーティングするときは画面上でメンバーのアバターが実際に集まって会話をするんです。
紡さん
バーチャルな空間ですが、オフィス設計にはかなりこだわっています。
例えば、「通常のミーティングをするときはこのゾーン」「機密の情報を扱うミーティングはこのゾーン」「個人で集中作業を行うときはこのゾーン」など、空間を細かく区切っています。その結果、他のメンバーがどういう状況にあるかを目視できるので、コミュニケーションも取りやすいんです。
さらに、例えば個人で集中作業をするといっても、「人と一緒に作業したい」「集中して黙々とやりたい」「しゃべりたくないけど誰かと空間を共有したい」など、働きやすさは人によってさまざまですよね。そのような、個人個人の状況や特性に合った働き方が選択できるように空間を分けることで、働きやすい環境作りを実現しています。
▲キャンプ場のようなこの場所は、「おしゃべりOK」の作業スペース。日々のちょっとした相談やコミュニケーションを活性化させている。
編集部
自分の状況に合わせて環境を選択できるのはとてもいいですね。例えば誰かと一緒に作業する場合は、音声は常に繋がっているような環境なのですか?
紡さん
はい。実際にはパソコンの前に一人なんですけど、それを感じないようなざわざわ感があります。独り言を言っている人もいれば、鼻歌を歌っている方なんかもいて、本当にさまざまですよ。
編集部
フルリモートでありながら、他のメンバーの状況も分かって、コミュニケーションを取りたいときに取れる環境が実現できているというのはとても理想的ですね。
職種を越えて、やりたい仕事に挑戦しやすい環境
▲リモートワークのようす(写真は採用特設ページより引用)
編集部
男女比や平均年齢など、ispecさんのメンバー構成について教えてください。
紡さん
男女比は、女性が3分の1、男性が3分の2くらいの比率です。平均年齢は、インターン生を含めると20代半ばくらいです(2023年8月時点)。
編集部
職種でいうと、エンジニアの方が多いのでしょうか?
紡さん
職種については回答するのが難しいんですよね。例えばエンジニアにしても、エンジニアしかやっていないメンバーは実はあまりいなくて、多くの方は「エンジニアとコーポレート職」などというように、複数の役割を兼任しているんです。
編集部
皆さん、職種を越えてお仕事をされているんですね。
紡さん
そうですね。やりたい仕事を組み合わせて、働き方をデザインしやすい組織体制になっていると思います。
意思決定権が分散されたフラットな組織体制
編集部
そのほかに、組織体制に関してispecさんならではの特徴的な点はありますか?
紡さん
弊社では、まだ日本ではあまり導入事例が多くない「ホラクラシー」を活用しています。ホラクラシーとは、簡単に言うと、組織内で意思決定権を分散させるという組織運営モデルです。
ホラクラシー型の組織は、上下関係がないフラットな組織なので、通常のピラミッド型の組織のような意思決定のプロセスや命令系統が存在しません。
個人個人の稼動量や技能に合わせて、役割や意思決定権限が割り振られているんです。
編集部
いわゆる管理職のような立場の人も存在しないということですね。
紡さん
はい、そのとおりです。
部署や役職のような概念もありません。例えば一般的な会社には「人事部」のような部署があると思いますが、弊社にはないんです。「給与計算」「勤怠管理」など、発生する業務ごとにロール(役割)と呼ばれる単位が割り振られていて、そのロールごとに意思決定を行いながら自走していく業務スタイルです。
私たちも、今回は外部の方にもわかりやすいように「HR部門」の社員としてインタビューを受けていますが、実際にはそのような肩書も存在しないんですよね。HRというロールの中で仕事をしている、というイメージです。
▲発生する業務にロール(役割)が割り当てられており、ロール単位に意思決定をしながら業務を行う。
紡さん
このような制度を採用している弊社では、権限が分散されているため、それぞれの意見が反映されやすいですし、スピード感もあります。上下関係もないので、それぞれが責任を持っている役割としての目線で、異なる意見も出しやすい環境だと思います。
株式会社ispecのメンバーは「遊ぶように働く」ことを大切にする
▲「With Playful」を含め、株式会社ispecでは4つのバリューを掲げている(採用特設ページより引用)
編集部
続いて、組織のカルチャーについてお伺いしたいと思います。
ispecさんには、どのような考え方を持ってお仕事されている方が多いのでしょうか?
上原さん
メンバーがもともと持っている気質としては、「遊ぶように仕事をする」というタイプが多いですね。仕事をしていると、もちろん楽しいことばかりあるわけではありませんが、遊び心を大事に、楽しめる工夫をして働いているメンバーが多いです。
上下関係や役割の違いにも固執しないメンバーが集まってわきあいあいと働いているので、先ほどご説明したホラクラシーの制度も比較的抵抗なく導入が進んでいるのだと思います。
会社としても、遊ぶように働こうという意味の「With Playful」を行動指針として掲げているんですよ。
編集部
事前にホームページを拝見しましたが、「With Playful」も含めて、全部で4つのバリューを掲げていらっしゃるんですよね。やはり「With Playful」が最も根付いている価値観なのでしょうか?
紡さん
弊社では「With Playful」のほかに、「North Star First(目標を忘れず進もう)」「Pay it Forward(誰かのために自分から行動しよう)」「Win or Learn(成功を喜び、失敗から学ぼう)」というバリューを掲げています。
いずれのバリューも共通の価値観として根付いていますが、メンバーに聞くと、それぞれお気に入りの推しのバリューがあるようです。自分を表すような象徴的なものがそれぞれあるんですよね。
編集部
推しのバリュー、とてもいいですね。会社として掲げているバリューに社員の皆さんが共感をしているという証拠だと感じます。
健康第一。株式会社ispecはメンバーが心身健康で働ける環境を追求
編集部
そのほかに、ispecさんならではのカルチャーと言えるようなものはありますか?
紡さん
「誰もがメンタルの問題で悩まない世の中に」というビジョンを掲げていることもあり、他のメンバーの個人的な体調の波などに理解がある方が多いです。
例えば自分が不調に陥ったとき、それを他のメンバーに伝えるのは結構勇気のいることだと思うんですけれど、弊社ではそれを伝えたら受け入れてもらえるようなカルチャーが根付いています。
事業を通してメンタルケアの浸透に貢献することはもちろんですが、まずはそれをけん引していく私たち自身が心身健康であることが大事だと考えているんです。
上原さん
カルチャーがあるだけでなく、実際にメンバーが自分の心身の状況に合わせて自由度高く働ける職場づくりにもこだわっています。
先ほどお話ししたように、日常的に利用しているバーチャルオフィスでは、他のメンバーとのコミュニケーションの濃淡も自分でコントロールして働くことができます。「今日は顔出ししたくないからカメラオフで」など、皆さん、自分の気持ちや体調に応じて柔軟に働いていますよ。
編集部
提供するサービスだけでなく、メンバーが働く環境にも、メンタルヘルスを重視する価値観が反映されているということですね。社員の皆さんが生き生きと楽しく働ける組織風土がよくわかりました。
インターン生も、他のメンバーと同じように役割を持つ
編集部
ispecさんではインターン生も活躍されているようですが、受け入れを始めた経緯について教えてください。
上原さん
「インターン採用を導入しよう!」と始めたというよりは、もともと雇用形態を問わず広く募集を行っています。「こういう技能を持っていて、こういう役割を担える人を採用したい」という要件を固めて、該当する方であれば学生か社会人かなどの属性は問わず採用を進めてきました。技能と役割をベースとして、仕事内容や稼働量を相談するイメージですね。
編集部
インターン生にも、他のメンバーと同等に役割が与えられているということでしょうか?
上原さん
そうですね。コミット量や稼働時間は異なれど、正社員同様の役割を担っているのが弊社のインターンの特徴だと言えると思います。
数週間~1ヶ月程度のオンボーディング期間を経て実務に入っていただくのですが、業務開始後まもなく、未経験の技術を使用して開発をしたり、お客様向けのプロトタイプを制作・提示していたりなど、コアメンバーのひとりとして役割を果たしていただいています。
中には、プロジェクトの開発実務をリードしていく立場を担っている方や、組織運営に積極的に関わっていただいている方もいますね。
編集部
インターン生は、卒業後は社員として採用することもあるのでしょうか?
上原さん
そうですね。毎年、数名の正社員転換の実績がありますし、業務委託という形で副業で参加してくれているメンバーもいます。プライベートで顔を合わせる方もいますよ。
プロジェクトをリードできるコアメンバーを募集
▲オンラインミーティングをおこなうispecのメンバー(画像にぼかしを入れています)
編集部
最後に、具体的な採用計画について教えていただけますでしょうか?
上原さん
契約形態は基本的には問いませんが、ある程度時間を割いて、コアメンバーとして稼働することができる方を特に求めています。具体的には、大体80時間から160時間くらい働ける方をイメージしています。
ありがたいことにプロジェクトが増えてきていますので、開発面でリードできる方を募集しているんです。
編集部
どのようなことに感心がある方やキャリアビジョンがある方がispecさんにフィットすると思いますか?
紡さん
弊社はまだまだ制度が整っていない部分も多いベンチャー企業ですし、事業も拡大中の段階なので、お任せしたいお仕事はたくさんあります。会社からキャリアを提案されたい方よりも、いろいろあるお仕事の中からご自身がやってみたいことを見つけてチャレンジしたい、というお気持ちの方に合っていると思います。
先ほどもお話したように、エンジニアでありながらコーポレート部門の仕事をするなどの働き方も可能です。「明確に育てたいスキルがある」「複数の分野で活躍したい」という方には魅力的な環境なのではないかと思います。
ispecで働くことに興味を持たれた方へ
編集部
最後に、ispecさんに興味を持たれた方に向けてメッセージをお願いします。
紡さん
弊社は、「誰もがメンタルの問題で悩まない世の中に」を目指して事業を展開していますが、そのために欠かせないのが、メンバーの心身の健康です。
そのため弊社では、メンバーの幸せを第一優先に置き、関わる企業様やユーザーへ幸せの範囲を拡大するという考え方を大切にし、メンバーが働きやすい環境作りに努めています。こうしたメンバーの幸せを重視することが、結果的に関わる企業様やエンドユーザー様への提供価値を向上することに繋がると考えています。
今後も、「人見知りしやすい人」「相談することが苦手な人」など、性格の違いも受け入れ、メンバー全員が心身ともに健康で楽しく働ける環境を維持していきますので、興味を持たれた方は是非応募してみてください。
ご一緒に働けることを心待ちにしています。
編集部
ありがとうございます。インタビューを通して、ispecさんに根付いたメンタルヘルスケアの文化を感じることができました。
本日はたくさんのお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社ispec:https://ispec.world/
採用ページ:https://ispec.notion.site/3bb5e3d2ce6f40ebb60b7cb49a2f821e