新しい働き方を実践する企業にインタビューを行うこの企画。今回は「メンタルデータテック®(※)で全人類を笑顔にする」をパーパスに掲げ、メンタルヘルスケア事業や保育園経営を行う株式会社ラフールを取材しました。
(※)メンタルデータテック®…メンタルヘルスとテクノロジーの2語を掛け合わせた造語
株式会社ラフールとは
株式会社ラフールは、メンタルヘルスケア研修や、メンタルヘルスに関する企業と従業員の課題を可視化し、行動変容を促す「ラフールサーベイ」というサービスを提供している企業です。メンタルヘルスケア事業を通じ、企業のウェルビーイング経営を支援しています。
会社名 | 株式会社ラフール |
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住所 | 東京都中央区日本橋茅場町2-9-5 日進ビル7階 |
事業内容 | ・メンタルヘルステック事業 ・スリープテック事業 ・保育園事業 |
設立 | 2011年11月1日 |
公式ページ | https://www.lafool.co.jp/ |
株式会社ラフールでは、企業のウェルビーイング経営を支援する会社として、自社のメンバーに対しても手厚いメンタルヘルス対策や生産性を高める施策を行っているそうです。そうした福利厚生や、全国どこからでもジョイン可能な働き方、マッチする人材などについて広報PR担当の大澤さんにお話を伺いました。
創業時からの知見を集結。行動を促すメンタルヘルスケア
編集部
まずラフールさんが提供しているサービスについて教えてください。
大澤さん
弊社は「ラフールサーベイ」という一般的に言う組織サーベイの開発・運営をしております。元々弊社は創業当初からメンタルヘルス対策の研修を行っており、3,000社以上への導入実績があります。
また、ストレスチェック(※)のベンダー(販売業者)もしており、そうしたメンタルヘルスケアについての知見と、大学や精神科医、AI研究の専門家とタッグを組み、開発されたのがラフールサーベイです。
(※)ストレスチェック…従業員のストレス度合いを測る検査。法律によって50人以上の労働者がいる事業場での実施が義務付けられている
ラフールサーベイは、従業員が抱えるストレスの因子や、エンゲージメント、職場環境、組織への理解などを可視化し改善することで、ウェルビーイング経営に向け、組織と従業員に行動変容を促していくサービスです。
▲ラフールサーベイのサービス。ストレスチェックサービスを提供していた時代に培われた的確な設問で組織と個人が抱える課題とその要因を抽出する
大澤さん
ラフールサーベイによって課題を可視化することは弊社のサービスのスタートであり、そこから人事制度設計をはじめ人材育成の研修プログラムや産業医の紹介など、組織改善のコンサルティング業務まで一気貫通で行っています。
編集部
先ほど、ラフールサーベイについて「行動変容を促していくサービスである」という説明がありました。具体的にはどのように行動変容を促していくのでしょうか。
大澤さん
従業員が心身共に生産性高く仕事をするための仕組みとして、ラフールサーベイには「ラフコイン」と「感謝のキモチ」という機能があります。
ラフコインはラフールサーベイアプリに内包している機能であり、従業員が日々のコンディションの入力やサーベイを回答することでポイントを貯めることができ、貯まったポイントに応じて、コンビニなどで商品と交換ができます。こうした機能がきっかけとなり、従業員のセルフケアやメンタルヘルスへの意識が高まり、行動変容へと繋がっていきます。
感謝のキモチは日々の業務の中で従業員同士が感謝のスタンプを送り合う機能です。従業員同士の絆が強まり、組織への貢献を実感することで、エンゲージメントが高まり、心身共に生産性高く仕事を行えるようになります。
「個人が変われば組織が変わる」ラフール流ウェルビーイング経営支援
編集部
従業員の意識や行動を変えていくことが、組織としてのウェルビーイング経営に繋がるということでしょうか。
大澤さん
そうですね。「個人が変われば組織が変わる」というのが弊社の考えであり、ラフールサーベイのコンセプトでもあります。
ストレスチェックなど従来のサービスは企業が実施し、課題解決も人事などが主導し、従業員はそれに従うといった上意下達型がほとんどです。それに対し、ラフールサーベイは従業員一人一人がセルフケアへの意識を高め、行動変容を起こせる仕組みを組み込んでいます。個人のセルフマネジメントがあってこそ、組織が上手くいくと考えているからです。
将来的には様々なサービスと連携し、問題解決のためのAI解析が可能なプラットフォームを構築することで、海外の企業様からのニーズにも応えることを目指しています。サービスを世界へ広げていくことは「メンタルデータテック®で全人類を笑顔にする」という弊社のパーパスを体現することでもあります。
仙台で保育園を経営。保育士の労働環境を改善し、子どもの人格形成をケア
▲働く保育士と通う子ども、どちらの幸せも考えられたラフールさんの保育園(「ラフールキッズほいくえん」公式サイトより)
編集部
ラフールさんは、メンタルヘルスケア事業の他に、仙台で保育園を経営しているようですね。どういった経緯から仙台で保育園を経営することになったのでしょうか。
大澤さん
おっしゃる通り、弊社は仙台で保育園を2園経営しており、そこで働く保育士も弊社の社員です。なぜ保育園を経営しているかについてですが、端的に言うと、人格形成が決まる時期の子どもに少しでも良い影響を与えたいと思ったからです。
性格などのメンタル面を含め、人の人格形成は2歳から3歳くらいで固まるという学術論文があります。メンタルヘルスケアの支援をしていく中で、そうした論文の存在を知り、人格形成が固まる時期の子どもが接する「人」の重要性に気づいたんです。
編集部
その時期に周囲の大人が良い影響を与えることが、子どもの人格形成にもプラスに働く、ということでしょうか。
大澤さん
はい。その時期の周囲の人がどの程度子どもの人格形成に影響を及ぼすのか、はっきりとはわかりませんが、良い影響を与えられるなら、それに越したことはないと思います。そして、その時期の子どもが一番長く接するのは、親を除けば保育士だと思うんです。
一方で、過労のストレスから子どもへの虐待のニュースが流れるなど、保育士の労働環境は必ずしも良いところばかりではありません。
そうした状況を踏まえ、子どもと長く接する保育士に良い環境で働いてもらい、子どもにも良い影響を与えて欲しいという思いから、弊社は保育園を経営し、そこで働く保育士も弊社で雇用しています。
場所が仙台である理由は、代表の結木(代表取締役社長の結木 啓太さん)が仙台の出身で、少しでも仙台を盛り上げ、役に立ちたいと思ったためです。
編集部
お話を伺って、大人を対象としたメンタルヘルスケア事業と、保育園経営が1本の線で繋がりました。大人になってからのメンタルヘルスケアだけでなく、子ども時代の人格形成のケアまで考えた保育園経営ということなのですね。
全国からジョイン可能。自由度の高いフルリモート
編集部
ラフールさんのメンバーの働き方について教えてください。
大澤さん
弊社のメンバーはだいたい80名くらいですが、ほとんどのメンバーがフルリモートで仕事をしています。ですから、関東近郊だけではなく、大阪や兵庫、福岡に住んでいるメンバーもいます。また、元々都内に住んでいて、フルリモートになってから千葉や神奈川、埼玉などへ移住したメンバーもいます。
編集部
フルリモートだからこそ、全国どこに住んでいても、ジョイン可能なわけですね。
大澤さん
そうですね。とはいえ、絶対にフルリモートでなくてはいけないというわけではありません。出社した方が仕事がはかどるというメンバーもいるので、リモートにするか、出社するかは各自の判断に任せています。
私自身もずっと家で仕事をしていると集中できなくなることがあるので、たまに運動がてら会社まで朝日を浴びながら出社することがあります。
また、会社としては特に出社日などは決めていませんが、部署によっては実際に顔を合わせて打ち合わせをする必要があったりするので、出社日を決めていることもあります。そうした部署に所属しているメンバーは、会社の近くに住んでいたりします。
編集部
基本的にはフルリモートで仕事ができて、状況に応じて出社も選べるというのは、とても自由度が高く効率的な働き方ですね。しかし自由度が高いからこそ、メンバーそれぞれに自立心が求められると思います。フルリモートにしてから生産性が落ちたりといったネガティブなことはなかったのでしょうか。
大澤さん
弊社は社会情勢の変化に伴い、本格的にフルリモートにシフトしたのですが、自立して働いているメンバーが多いので、生産性が落ちるといったことは起きていません。現在、他社様などでは出社回帰の動きもあるようですが、弊社は引き続きフルリモートを続けるつもりです。
自社で証明。ストレス対策にも効くラフールサーベイ
編集部
フルリモートにシフトする前は皆さん出社されていたのでしょうか。
大澤さん
フルリモートになる前はほとんどのメンバーが出社していました。メンバーにもラフールサーベイを使ってもらっているのですが、フルリモートにして1年ほど経ったころ、高ストレス者が増えているという結果が出たんです。
ラフールサーベイの結果から原因を探ったところ、オンラインでのコミュニケーションなど、フルリモートにシフトしたことからくるストレスが原因だとわかったんです。そこでメンバーのストレスを緩和するために、皆が意識すべき心得を作りました。
たとえば「夜遅くに仕事の連絡はせず、翌朝に届くように予約投稿をしよう」といった感じです。弊社はフレックス制を導入しており、一日の勤務時間がメンバーによって異なります。朝早くから働いて、夜は早めに仕事を終えるメンバーもいるので、こうした心得を作りました。他にも「オンラインで意見がまとまらない時は電話で話すようにしよう」といったことを明文化しました。
こうしたことをルールにしてしまうとそれがまたストレスになってしまうので、心得くらいの温度感で皆に意識してもらうようにしたところ、高ストレス者の割合が半減しました。
編集部
なるほど。自社サービスで問題を把握し、対策によってメンバーの意識や行動を変えたところ、実際に状況が好転したわけですね。
大澤さん
そうですね。ラフールサーベイによって原因も明確になっていたので、スムーズに対策を打つことができました。もし原因を探るためのデータもなく、当てずっぽうに対策をしていたら、もっとメンバーにストレスをかけていたと思います。
雑談やマインドフルネスも。メンバー間の多様な交流
編集部
ラフールさんは、今後もフルリモートを続けるということですが、フルリモート下でのメンバー間のコミュニケーションについて、工夫されていることはありますか。
大澤さん
フルリモートだからこそ、定期的に顔を合わせる機会を設けています。例えば、毎週月曜日の午前中に「ラフ健」という健康講座や情報共有を兼ねたメンバー間の交流の場を設けています。ヘルスケアに関する知識が豊富なメンバーが中心となって、ちょっとした勉強会のようなことを行ったり、集中力を高めてから仕事を始められるように、10分ぐらいみんなでマインドフルネスをすることも。
「全てのステークホルダーを笑顔にする」といったバリューなどの浸透についても年に2回ほどオフラインでメンバーが集まる機会を作り、そこでしっかり共有するようにしています。
また、弊社は勉強会や打ち合わせといった仕事に関する集まりだけでなく、メンバー間の雑談も大切にしています。定期的に夜にいろいろな部署のメンバーが集まって、1つのテーマについて話す雑談会のようなことも行っています。雑談から社内改善のためのアイデアが出てくることもありますよ。
編集部
オンラインでも顔を合わせる機会を多く設けているラフールさんなら、フルリモートであっても孤独感などを感じずに仕事ができそうですね。
朝型勤務もOK。ライフスタイルに寄り添うフレックス制
編集部
先ほどフレックス制を導入しているというお話がありましたが、勤務時間などについて、詳しく教えてください。
大澤さん
弊社のフレックス制は、11時から16時がコアタイムです。ただ、子どもがいるメンバーも多いので、送り迎えが必要な時などは、コアタイムであっても柔軟に勤務時間の調整ができるようにしています。
弊社は労働時間を1日単位ではなく、1ヶ月単位で定めているため、1日の労働時間の融通が利き、育児と仕事の両立がしやすくなっています。また、先ほどもお伝えしましたが、朝型のメンバーは6時頃から働き出して、16時くらいで上がるなど、ライフスタイルに合わせて働く時間帯を調整することもできます。
編集部
中抜けができるだけでなく、ライフスタイルに合わせて勤務時間帯を変えられるというのは、働きやすそうです。こうした細やかな仕組みがメンバーの生産性を高め、組織の雰囲気を良くしていくのでしょうね。自分の時間もしっかり確保できそうなので、ワークライフバランスを重視したい方にとっても魅力的な職場だと思います。
副業も認め、メンバーの自主性を後押しする福利厚生
編集部
福利厚生についても教えてください。
大澤さん
スキルアップのための制度として「ラフール大学」という制度があります。これは職種に関連した書籍の購入代や、セミナー受講費や資格取得のための費用を会社が負担するというものです。
また、働き方に関する制度として、社内のポジションなどを変えられる「ジョブチェン」という制度があります。加えて、弊社では副業も認めています。他の業務を経験したり、他の企業様で働くことで視野が広がりますし、そこで得た知見を本来の業務に活かし、業務効率化や業績アップに繋げて欲しいという意図があります。
編集部
副業に関して、実際にどういった仕事をしているメンバーがいるのでしょうか。
大澤さん
例えば弊社と同じようなBtoB(※)系のサービスを展開している企業で、開発やマーケティング支援をしているメンバーがいます。そうしたメンバーから他社様の取り組みを聞き、それをヒントに弊社なりの施策を練ることもあります。ゼロからではなく、ヒントがある状態から施策を練られる分、時間短縮にもなります。
(※)BtoB…Business to Businessの略。企業間で行われる取引
編集部
まだ副業を禁じる企業も多い中、副業を認め、そこでメンバーが得た知見を活用し、成長スピードを上げているラフールさんは、企業として合理的でしなやかだなと感じました。メンバーを自社に縛りつけないことが、メンバーの会社への貢献意欲を高めている気がします。メンバーと会社の間に信頼関係があるからこそ「副業」と「知見の還元」という循環がうまく回っているのでしょうね。
「花粉症手当」に「睡眠手当」。メンバー想いのヘルスケア制度
▲「花粉症手当」で支給されるマスクなど。ラフールさんには、メンバーが生産性高く働くための様々な福利厚生がある
編集部
ラフールさんでは健康に関する福利厚生も充実しているとお伺いしました。具体的にどのような制度があるのでしょうか。
大澤さん
今の時期は「花粉症手当」が非常に需要があります。これは花粉症のメンバーに対し、診察料や薬代を補助したり、目薬やマスク、高級ティッシュを支給する制度で、メディアにも取り上げていただきました。
元々弊社は経営陣が重度の花粉症で、目の痒さや鼻のムズムズなどで集中力が落ち、結果的に生産性も落ちてしまうという問題を抱えていました。メンバーと雑談する中で、メンバーも花粉症でのパフォーマンス低下を気にしていることがわかったため、会社として対策を取ることにしたんです。
編集部
メンバー間のコミュニケーションのお話で、雑談も大切にしているとおっしゃられていましたが、まさに雑談の中で花粉症という課題が共有され、対策を取られたということですね。
大澤さん
はい。他にも健康に関する福利厚生として、睡眠管理機能が充実しているFitbitのデバイスを社員割引で購入できる「睡眠手当」があります。睡眠は健康の基本ですから、メンバーには良質な睡眠をしっかり取って、モチベーション高く仕事をしてもらいたいと思っています。また、婦人科検診や、各種ワクチン接種の費用も会社で負担しています。
弊社は日頃、企業様のメンタルヘルスケアを通じて、生産性を高める支援をしています。ですから、他の企業様の手本となれるよう、会社としてメンバーの健康維持に投資し、制度も整えています。弊社のメンバーが花粉症で辛そうにしていたり、睡眠不足で眠そうにしていては、説得力がないからです。
編集部
制度を活かすためには、健康に対するメンバーの意識を高める必要もあると思うのですが、そういった面のフォローもされているのでしょうか。
大澤さん
確かに制度だけ整えてもメンバー自身が健康に無頓着であったり、知識が乏しければ意味がありません。そこで弊社では、先ほどお伝えしたラフ健のような勉強会を通じ、メンバーの健康への意識を高め、知識の共有を行なっています。
求めるのはグリーン型組織で躍動できるベンチャー精神の持ち主
編集部
採用に関してもお聞かせください。どのような人がラフールさんにマッチするのでしょうか。
大澤さん
「メンタルデータテック®で全人類を笑顔にする」という弊社のパーパスなどに共感していただける方、というのは前提としてあります。その上で、弊社はまだ設立してから10年ほどの企業なので、ベンチャー精神を持って自ら積極的に動ける方がマッチすると思います。
編集部
指示待ちでははく、自主的に動くことができる方ということですね。
大澤さん
はい。弊社ではそうしたメンバーの自主性を引き出すために、メンバーそれぞれの意見や価値観を尊重するグリーン型(多元型)組織を目指しています。意思決定においても、ボトムアップで、各自が会社について自分事として捉え、発言できる組織にしていくつもりです。ですから、自分の考えや意見をしっかり発信し、行動できる方に来てもらいたいです。
求職者の方へのメッセージ
編集部
最後にラフールさんに興味を持たれた方へメッセージをお願いします。
大澤さん
これまでお話してきたことと重複するかもしれませんが、弊社はメンタルヘルスケアを通じて企業様の生産性やウェルビーイング経営実現の支援をしております。その手本となるべく、自社でも健康に関する取り組みに投資し、メンバーの働きやすさを追求しています。ぜひ実際に働いて、そのことを実感してもらいたいです。
また、弊社が携わるメンタルヘルス市場、ウェルビーイング市場は今後ますます成長することが予想されます。社会情勢の変化に伴い、ストレスからうつ病になるなど、メンタルヘルスに問題を抱える人も増えてきているからです。社会に必要とされ、将来性のある業界で、安心してキャリアを重ねていけることも弊社の魅力の1つです。
一方で弊社はまだベンチャーですので、手を挙げればいろいろなことに挑戦できます。将来性のある業界というワクワク感と、ベンチャーならではのチャレンジングな環境、そのどちらも揃っているのが弊社です。志と行動力がある方からの応募をお待ちしております。
編集部
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社ラフール:https://www.lafool.co.jp/
採用ページ:https://www.lafool.co.jp/careers/