ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、Nature株式会社にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。
Nature株式会社は「自然との共生をドライブする」をミッションに掲げ、再生可能エネルギー100%の未来の実現を目指しています。エネルギーマネジメントを通じたCO2排出削減に取り組む同社は、テクノロジーの力を活用してカーボンニュートラルという人類共通の課題に挑戦しています。
今回は、スタートアップの志やエンジニアが挑戦しやすい特徴的な社風について、Nature株式会社のHRの木村さん、プロダクトマネージャーの荒川さん、エンジニアの的場さんの3名にお話を伺いました。上司・部下の関係性がない組織による自律自走型の働き方や、ハードウェアとソフトウェアの両方に携われる開発環境など、同社ならではの特徴をご紹介します。
「自然との共生」を掲げるNature株式会社のミッション
▲Nature株式会社のメンバーたち
編集部
まず御社のミッションやビジョンについてお聞かせいただけますでしょうか。
木村さん
私たちは「自然との共生をドライブする」をミッションに掲げています。これには、代表の塩出の洋上生活での原体験からくる思いが込められているんです。
塩出は元々コンピューターサイエンスを学んでいて、スウェーデンの大学院に留学していました。その際、学業を3ヶ月早く修了して、父親とヨットでの生活を経験したんです。そこである特別な体験をしました。ヨットの上で、人工物が何もない環境に身を置いたときのことです。海と波と風だけの世界の中で、風を受けてヨットがスーッと進む。そのとき、今まで感じたことのないような高揚感、いわゆる「ナチュラルハイ」を体験したんです。
この体験から、人間は遺伝子レベルで自然との共生を求め、自然の中にいることに幸福を感じる生き物なんだと強く実感したそうです。これが私たちのミッションの原点となっています。
その後、塩出は大手商社でアジアのエネルギー開発に携わることになります。そこで目にしたのは、山を削り、現地の人々の生活を移転させて行う炭鉱開発でした。上空から現場を見下ろしたとき、このエネルギー開発の在り方に強い疑問を感じたそうです。これは地球環境にも、現地の人々の暮らしにも、そして温暖化の観点からも持続可能なものではない、と。
この経験から、自然との共生という理念と、地球に貢献できるエネルギー事業への思いを強くし、ハーバードビジネススクールへ留学、在学中にNatureの起業に至りました。
編集部
具体的にどのような未来を目指していらっしゃるのでしょうか。
木村さん
私たちが目指しているのは、再生可能エネルギー100%の未来です。エネルギーマネジメントを通じてCO2排出削減を実現し、人と自然が共生できる世界を作っていきたいと考えています。
世間からは「スマートリモコンの会社」と見られることもありますが、私たちの本質は違います。私たちが目指しているのは、エネルギー革命です。現在のIoT製品は、その大きなビジョンに向けた一つのプロジェクトとして位置づけています。
荒川さん
実際に私がNatureで働いてみて感じたことなのですが、Natureではお客様にスマートリモコンやエネルギー機器などの直接的な価値を提供することと、そういうミクロな一対一の価値提供が集まってマクロな視点でも大きな価値につながることが新鮮でした。シンプルに物を売るだけのビジネスモデルではなく、社会に対する良い影響を与えることができるという重層的な面が特徴だと考えています。
エンジニアとして、やりたい仕事に直ちに挑戦できる環境
▲Nature株式会社のプロダクトのイメージ図
編集部
「自然との共生をドライブする」というミッションが反映されたプロダクトに興味を惹かれるのですが、現在エンジニアとして活躍されている的場さんはどのような業務に携わっていらっしゃいますか?
的場さん
現在はバックエンドエンジニアとして働いています。私は元々組み込みエンジニア(※)として入社したのですが、ソフトウェア開発に携わりたいという思いを持っていました。
(※)家電など独立したハードウェアに組み込まれるコンピュータの設計・開発に携わるエンジニア
最初の1年は組み込みエンジニアとして開発に携わりながら、「バックエンドエンジニアをやってみたい」という希望を伝え続けました。そして1年後にチャンスをいただき、現在は3年以上バックエンドエンジニアとして働いています。
編集部
実際にNatureで働いてみて、どのような点が特徴的だと感じましたか。
的場さん
裁量の大きさに驚きました。例えば大手メーカーでの開発なら、上司への相談や各部署の承認などのプロセスが山ほどあると思うんです。でもNatureには「Liberty and responsibility」というコアバリューがあり、「やってみたいです」と言えば、すぐに「じゃあ、やってみたら?」と話が進みます。スタートアップ企業ならではのスピード感と面白みかもしれないですね。
編集部
新しい技術やスキルを習得できる環境や制度などは整っているのでしょうか?
木村さん
制度としては特に設けられていませんが、技術選定における裁量権が広く、新しいものに積極的にチャレンジできる社風があります。仕組みというよりは、そういった文化が根付いているんです。
的場さん
新しい技術を採用する際も、きちんと調査して判断さえできれば、頭ごなしに否定されることはありません。そのおかげで、自主的に技術研究をする意欲も湧いてくるんです。
実際にコードレビューなどの機会でも複数のメンバーが見てくれるので、そこでアドバイスをもらえたりもしますね。エンジニアとして独学ももちろん必要ですが、こういう環境のおかげでチャレンジができていると感じています。
ハードとソフトの両方の開発に携わることができるのが大きな特徴
編集部
開発環境について、Natureならではの特徴はどのような点にありますか。
的場さん
ハードウェアとソフトウェアの両方に関わる経験ができる、「IoT企業ならでは」という環境は貴重だと感じています。その中では、アプリエンジニア、組み込みエンジニア、ハードウェアエンジニアなど、様々な専門性を持つメンバーが活発にコミュニケーションを取っています。
具体例を挙げると、製造工程でのテストシステム開発があります。製品の品質検査用のハードウェアやWindowsアプリケーションの開発など、純粋なコーディング以上の、大きな仕組みづくりに携われるのが面白いですね。
最近では、大手携帯電話キャリアとのデバイスサブスクリプション事業にも関わっています。物流データと課金システムの連携など、物理と論理の両面を考慮した仕組みづくりは難しい課題ですが、それだけに他社との差別化にもつながり、非常にやりがいを感じています。
当社の特徴的な点として、スタートアップの機動性とメーカーの堅実性が融合している点が挙げられます。ソフトウェアドリブンなスタートアップの文化と、物作りやインフラ整備の文化が独自の形で混ざり合っているんです。この文化の多様性が、私たちの強みの一つになっています。
編集部
新規プロジェクトを立ち上げた場合の仕事の進め方についても伺いたいです。
荒川さん
案件によりますが、ハードウェアを作る場合は大人数になります。例えば、最近開発したスマートリモコンの新モデル「Nature Remo Lapis」の場合は社員の半分以上が関わっていたので、15~20人で動いていました。また、開発期間としてはハードウェアが絡んでくると1年以上は掛かるイメージです。
Nature株式会社のワークスタイル:フルリモートが基本
編集部
御社の働き方について、具体的にお聞かせいただけますでしょうか?
的場さん
エンジニアやデザイナーなどのクリエイティブ職は、基本的にフルリモートワークとなっています。
その中でのコミュニケーションについては、様々なレベルで定期的なミーティングを設けています。例えば、エンジニア全体で週1回、バックエンドチームでは毎日というように、オンラインでのミーティングを基本としています。
ただし、対面でのコミュニケーションが効果的な場面もあります。そういった状況では、自主的に「出社して一気に進めよう」という流れになります。集中的な議論が必要な時は全員で出社し、方向性が定まったら再びリモートに戻るという柔軟な働き方をしています。
編集部
出社に関する会社としてのルールなどはあるのでしょうか?
木村さん
当社はホラクラシー(※)という自律自走型の組織形態を採用しており、上司・部下という関係性がありません。開発部門に関しては出社の要請は一切なく、コーポレート部門やビジネス部門では週2回程度の出社を推奨している程度です。チームの単位である「サークル」ごとに必要に応じて独自のルールを設けることはありますが、それも自主的な取り決めです。
(※)上下が決まっているピラミッド型組織に対し、役割(ロール)によって関連づけられたグループ(サークル)が能動的に活動する組織を指す
編集部
その組織での意思決定プロセスについて、お聞かせいただけますでしょうか?
木村さん
サークルでは「リード」という役割がありますが、これは狂言回しのような存在です。その人がリーダーとして決定を下すのではなく、決めるべきことや解決すべきことがあれば、それに気づいた人あるいはそれを決める必要がある人が提案し、その提案に対して疑問や懸念があれば出し合い、それらを解消しながら最終的に合意が形成される、そんな仕組みです。
360度評価と実績評価を採用、「何のため」に仕事をするかを明確にする人事制度
編集部
評価制度についてはいかがでしょうか?
木村さん
当社では360度評価と実績評価を組み合わせた制度を採用しています。評価報酬検討ロールというチームが、全社員からの意見聴取と個人の実績・振り返りをもとに、コンピテンシーのランクに基づいて評価を決定します。一般的な企業のような上司による部下の評価とは異なるアプローチを取っています。
編集部
そのような評価制度のメリットはどのようなところにありますか?
木村さん
最大のメリットは、「誰かのため」ではなく「何のため」に仕事をするかという視点が明確になることです。上司の評価を得るためではなく、自分の役割と責任を果たすことに集中できます。つまり、特定の人の顔色を伺うのではなく、成果そのものに向き合える環境が整っているということです。
Nature株式会社は「粘り強さ」「好奇心」を重視する企業文化
▲福利厚生の一つで、社員が自由に紙の書籍を購入でき、それをみんなでシェアする制度「ネイチャーライブラリ」
編集部
御社が求めるのは、どのような人材でしょうか?
荒川さん
代表の塩出もいろんな場で話しているのですが、「好奇心」と「粘り強さ」を持つ人を歓迎していますね。
Natureのビジネスモデルは、日本ではほとんど前例のないものです。そのため、海外の事例を積極的に研究したり、さまざまな企業のアプローチを参考にしたりする必要があります。代表が最近ヨーロッパに視察に行ったように、常に新しい情報やパートナーを探し続けています。
正解のモデルが身近にない分、様々な角度からトライアンドエラーを重ねる必要があります。そういった環境で活躍するには、旺盛な好奇心が不可欠だと考えています。
また、特にエネルギーマネジメント事業では、電力会社や大手メーカーなど、非常に長期的な時間軸で事業を展開するパートナー企業との協業が中心となります。例えば電力需要を調整するプロジェクトだと、季節ごとに電力需要が大きく変動するため、最低でも1年単位での実証が必要です。
典型的なスタートアップのように、週単位でのPDCAを回すような事業展開は難しく、長期的な視野での取り組みが求められます。その中ではパートナー企業と信頼関係を構築していく必要があるので、「粘り強さ」が特に重要になってきます。仮に電力需要の調整が上手くいかなかった場合でも、丁寧な説明と改善を重ねることで信頼関係を築いていく。そういった地道な取り組みが必要不可欠なんです。
編集部
多様なバックグラウンドを持つ方々が在籍されているようですが、特に活躍しやすい出身業界などはありますか?
木村さん
確かに、電力、製造、エンターテインメント、スタートアップなど、様々な業界出身者が在籍しています。もちろんエネルギー業界の知識やメーカーでのものづくり経験は活かせる場面も多いですが、特定の業界出身だから必ず活躍できるというわけではありません。
むしろ重要なのは、その人の姿勢やマインドセット、そして仕事への向き合い方です。指示待ちではなく自ら動き出す姿勢があるなど、当社の組織文化などとの相性を重視しています。
編集部
多様なバックグラウンドを歓迎し、個人の姿勢や価値観を重視する企業文化なんですね。
進化する組織で、CO2排出削減に主体的に挑む人材を求む
▲活発に意見を交わすNature株式会社のメンバーたち
編集部
最後に、この記事を読んでNatureに興味を持った転職希望者の方々へメッセージをお願いできますか。
木村さん
私たちNatureは、テクノロジーの力を活用して、カーボンニュートラルという人類共通の大きな課題に挑戦しています。まずは、このミッションに共感し、私たちと一緒にこの課題解決に取り組みたいと思っていただける方をお待ちしています。
当社は、従来型の企業とは一線を画す、まさに生き物のような組織だと自負しています。組織構造はもちろん、事業への対応や変化への適応力など、まるで生物の細胞が自己修復するように、日々進化し続けています。
会社のミッションと自身の目標を重ね合わせられる方のほか、プロフェッショナルとして主体的に力を発揮したい方、自律的に行動できる方を求めています。「助け合い」の精神を大切にしながら、共にミッションの実現を目指せる仲間との出会いを楽しみにしています。
編集部
お互いの自律性を大事にしながら、カーボンニュートラルという未来へ挑戦できる、まさにサステナブルな生き方ができる会社だと感じました。本日は、どうもありがとうございました。
この記事のまとめ
Nature株式会社のミッションと事業の特徴 | ・ミッション:「自然との共生をドライブする」 ・再生可能エネルギー100%の未来実現を目指す ・CO2排出削減を通じたカーボンニュートラルへの貢献 ・IoT製品はより大きなエネルギー革命への一歩としての位置づけ |
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組織文化 | ・ホラクラシーによる自律自走型組織 ・活発なコミュニケーション ・チャレンジを推奨する風土 ・「助け合い」の精神を重視 |
働き方・評価制度 | ・フルリモートワークが基本(特にクリエイティブ職) ・360度評価と実績評価を組み合わせた評価制度 |
採用方針 | ・「好奇心」と「粘り強さ」を重視 ・自律的に行動できる人材 ・特定の業界経験よりも、姿勢やマインドセットを重視 ・カーボンニュートラルという課題に共感できる人材 |
Nature株式会社の基本情報
住所 | 神奈川県横浜市神奈川区栄町1-1 |
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事業内容 | ・IoT機器の開発・製造・販売 ・エネルギーマネジメント事業 |
設立 | 2014年12月10日 |
働き方 | フルリモート |
公式ページ | https://nature.global |
採用ページ | https://nature.global/careers/ |
募集職種 | ・エンジニア(メカ・エレキ・ファーム・バックエンド) ・グロース担当 ・総務労務、事務アシスタント、社長秘書 等 |