ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、名古屋国際中学校・高等学校にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同校で働く魅力をご紹介します。
名古屋国際中学校・高等学校は、国際バカロレア(IB)認定校として先進的なグローバル教育を推進する学校です。教職員の約2割が外国籍のインストラクターで構成され、生徒も帰国子女や外国籍の生徒が全体の約20%を占める多様性のある学校環境が特徴。グローバルな視野を持つ生徒の育成に力を入れながら、教職員の働きやすい環境づくりにも積極的に取り組んでいます。
今回は、名古屋国際中学校・高等学校の教育環境や働き方について、英語科教諭の渡邊先生とマクレラン先生にお話を聞かせていただきました。
外国籍教師が約2割在籍。「多様性が当たり前」の職場環境
▲インタビューにご対応いただいた渡邊先生
編集部
最初にグローバルのテーマについて伺います。御校は多様なバックグラウンドを持つ教職員や生徒が多いとのことですが、具体的に外国籍の方や帰国生はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
渡邊先生
中高全体の教職員数約100名のうち、外国籍の教師が常勤講師として12名、非常勤講師として7名と2割近く在籍しています。また中高の全校生徒約730名のうち、帰国子女や外国籍の生徒も全体の約2割を占めています。
編集部
多様性のある学校環境だからこその特徴、魅力的な点を教えてください。
渡邊先生
普段からさまざまな文化、価値観に触れられるのが名古屋国際の面白さであり、魅力であると考えます。外国籍の先生方が自国の料理を持ち寄ってきてくれたり、帰国生や外国籍の生徒の経験を共有する機会があったりと、多様な価値観や文化が日常的に交わる環境で過ごせることはとても刺激的で楽しいです。生徒たちにとっても自分とは異なるバックグラウンドのクラスメイトと触れ合う中で、興味関心や視野を広げるきっかけになっています。
そのような環境の中で、「一人ひとり違うのが当たり前」「いろいろな価値観があって良い」という多様性を自然に受け入れる文化が築かれているのが本校の大きな特徴です。生徒も教員も、違いに着目するのではなく、共通点を見つけて共有できる喜びを大切にしています。この柔軟な価値観は、さまざまな人と協働しながら生きる上でとても大切な要素だといえるでしょう。
多様性を活かした働きやすい組織づくり
▲職員室はフリーアドレスデスクを採用している
編集部
多様性のある環境が、職場としてのカルチャーに影響を与えている部分はありますか?
渡邊先生
外国籍の先生方の影響もあり、職場全体にフラットな人間関係が構築されています。役職や立場に関係なく誰もが意見を言いやすい雰囲気があり、以前の職場では言いづらかったような意見でも、校長先生や教頭先生に「私の立場ではこう思います」と率直に伝えられます。
たとえ意見が合わなくても、まずは「あなたの立場からの意見は理解しました」と受け止めてもらえるのは、柔軟に受け入れ合う風土がある名古屋国際ならではの特徴です。
国際バカロレアに携わり、新たな教育アプローチに挑戦できる
▲インタビューにご対応いただいたマクレラン先生
編集部
御校の教員が携わるグローバル教育の特徴についてもご紹介いただけますか?
渡邊先生
本校では国際バカロレア(IB)認定校として、中学校から世界水準の教育プログラムを推進しています。実は私が本校に着任したのも、IBプログラムに魅力を感じていたことが最大の理由でした。着任当初はIBではなく普通の英語科教員として働いていたのですが、中学校のミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)の立ち上げに伴って声をかけていただき、今では高校のディプロマ・プログラム(DP)に携わっています。
IBを履修するクラスでは英語以外の教科も英語で授業を行い、外国籍インストラクターが主担任を持って英語でホームルームを運営するというイマージョン教育を推進しています。MYP、DP双方に関わる中で、従来の「日本語で英語を教える」という方法とは大きく違う、「英語で教える」アプローチに教員としての楽しさを感じています。
編集部
マクレラン先生のお立場から見て、御校のグローバル教育をどのように感じていますか?
マクレラン先生
私自身、この学校のグローバル教育、イマージョン教育に魅力を感じ、学校の教育方針と自分の目指す方向性が合致していると感じたためにインストラクターとして応募した経緯があります。DPは海外大学の入学資格と日本の普通科の高校卒業資格をダブルで取得するプログラムのため、英語だけでなく日本語教育も大切にし、バイリンガルを育成していける点もとても魅力的だと思いますね。
教員の働き方改革|申告制にすることで時間外労働を大幅削減
編集部
続いてワークライフバランスのテーマについて伺います。教職員の働きやすさについて、具体的な取り組みや制度をお聞かせください。
渡邊先生
教員の長時間労働が社会問題となっている中、本校では時間外労働の管理を徹底しています。業務の見える化を徹底して必要性や優先度を精査しており、さらに定時後の勤務を申請制とすることで時間外労働を削減する仕組みを取り入れています。
この取り組みは3年目になりますが、教員の間にもすっかり定着し、時間外労働の削減を実現できています。今では夜9時や10時まで職員室に明かりが付いているような状況は基本的にありません。終業時刻が17時10分のため、定時に帰れる日が増えることで、子育てをしながら働いている教職員も両立しやすくなっています。
また名古屋国際ではIBや文部科学省のWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業など、校内だけで完結せず外部と連携しながら進める教育プログラムを数多く実施しています。そういった重要な国際教育プロジェクトに関わる教職員を「プロジェクト型教育職員」として指定し、通常業務の時間外手当に加えて固定時間外手当を支給する仕組みを取り入れています。
それに加えて、年間の勤務時間を柔軟に調整できる1年単位の変形労働時間制を取り入れているのも特徴です。授業がある期間、夏休み、入試運営など、業務量に波がある学校現場の特性に合わせて変形労働時間制度を導入し、年度初めに1年間の勤務スケジュールを「学事暦」として提示しています。プライベートのスケジュールが組みやすくなる点で、働きやすさに寄与する仕組みとなっています。
教員の裁量と挑戦|オリジナリティある授業実践の機会
編集部
グローバル教育に限らず、御校の教育活動全般における教員の働きがい、魅力を教えてください。
渡邊先生
本校では教員が裁量大きく教育活動を行えるのが特徴です。もちろんシラバスで定められた学習内容はありますが、授業の進め方は各教員に委ねられています。英語科でもICT機器を積極的に活用する先生、アクティビティを多く取り入れる先生など、それぞれの教員が得意分野を活かした授業を展開しており、新しい取り組みに制限がかかることはほとんどありません。
マクレラン先生
さまざまなプロジェクト型の学びに取り組めるのもポイントですね。生徒に魅力的な学びを提供するために、教員が創意工夫しながらプログラムを考えていける余地があることも、仕事の面白さ、やりがいにつながっています。
編集部
渡邊先生、マクレラン先生が授業に取り入れている創意工夫の例をご紹介いただけますか?
渡邊先生
MYPの英語を教えていたときは、わからない単語や表現が出てきたときに、意味を調べさせるのではなく生徒たち自身で答えにたどり着けるようにする授業方法を意識していました。答えだけを教えて簡単に終わらせるのではなく、できるだけ知っている別の言葉で表しながら意味を想像させるんです。考える過程を通じて学びの本質的な楽しさを感じとってもらえたらというのが狙いです。
また英語の授業の中で理科的な実験を行ったこともあります。例えば死海の話題が出た際、死海の塩分濃度を再現して物の浮き沈みを観察し、予想から結果までを英語で発表させました。生徒の記憶に強く残り、期末試験でも実験内容を英語で的確に説明できていました。教科書だけの学習より効果的だったと感じています。
マクレラン先生
普段の授業では、教科書とカリキュラムをベースとしつつ、単に知識を教えるだけでなく生徒自身が楽しみながら主体的に考え、発展的な学びにつなげていくことを意識しています。そのために取り入れているのが、渡邊先生が言ったのと同じ、机上の勉強だけでない体験を重視した実践的な学びです。
例えば道徳の授業では、英語の絵本をテーマにグループディスカッションを行いました。ワークショップ形式でさまざまな意見を出すことで、より実践的な学びになったと思います。文学の授業を行う際も楽しさを意識した実戦的な学びを重要視しており、生徒からも好評です。
▲ワークショップ形式で自分の意見を出す生徒たちの様子
編集部
先生方がゼロから教育プログラムの内容を考えることもあるのでしょうか。
マクレラン先生
はい。その一例が、週2回の総合の時間に私が担当している「ハングリーモンキープロジェクト」という読書プログラムです。読書の楽しみを知ってもらうだけでなく、本を読むという行為自体が楽しさにつながるよう、クエスト的な仕掛けを考えました。具体的には生徒が読書を進めるごとにマルコポーロのシルクロードの旅が進んでいくような仕掛けをつくっています。25冊読むとある都市が開放され、40冊読むと次の地域が開放されるといった具合です。
また中学校のIBのMYPのカリキュラムに「コミュニティプロジェクト」という地域と連携する学習があるのですが、こちらの内容も私がゼロから立ち上げました。私ともう1人の教員、そしてスーパーバイザーの日本人・外国籍の方がサポートしつつ、生徒主体でアイディア出しから完成まで進めていける内容となっています。こうした柔軟で創造的な取り組みができる環境が素晴らしい特徴だと思います。
教員募集要件|チャレンジ精神を重視する採用方針
編集部
最後に、教員として御校でのキャリアを検討する読者に向けてメッセージをお願いします。
渡邊先生
教員というのは、未来を担う子どもたちの成長に関わる重要な仕事です。名古屋国際には、テストの点数だけでなく将来につながる学びを提供できる環境があります。
そして本校は生徒だけでなく教員も新しいことに挑戦し、型にとらわれず自分のやりたいことを実現できるチャンスが多くあります。単に教えるだけでなく、教えながら自身も学び続けたいという意欲のある方であれば、きっと充実した教員生活を送れると思います。
マクレラン先生
名古屋国際中学校・高等学校はユネスコやSDGsなど多様な領域でプロジェクト型の教育活動を展開しています。フットワークが軽く、プロジェクト型の活動に積極的に取り組める教員との相性が特に良いと思います。
本校には職員室や管理職、学校の上層部に至るまでフレンドリーな雰囲気があり、親切なサポート体制があるのが特徴的です。このような環境に魅力を感じる方は、ぜひ本校でのキャリアを検討していただけると嬉しいです。
編集部
渡邊先生、マクレラン先生、本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!
この記事のまとめ
職場環境の特徴 |
|
---|---|
働き方の特徴 |
|
組織文化 |
|
教育環境の特徴 |
|
求める人物像 |
|
名古屋国際中学校・高等学校の基本情報
住所 | 愛知県名古屋市昭和区広路本町1-16 |
---|---|
公式ページ | https://www.nihs.ed.jp/ |
採用ページ | https://www.nihs.ed.jp/ recruit.html |
募集職種 | 採用ぺージ参照 |