働き方や行動指針、ミッションなどについて注目すべき企業をインタビューする本企画。今回は「質の高いIT教育を、すべての人に」をミッションに掲げ、「すべての人がテクノロジーを活用して未来を切り拓ける世界の実現」を目指している株式会社SAMURAIにお話を伺いました。
株式会社SAMURAIとは
▲株式会社SAMURAIのミッション(公式サイトから引用)
プログラミング学習サービス事業を展開する株式会社SAMURAIは、2015年3月の設立当初からリモートワークを積極的に導入してきた先進的な企業です。その背景には教育事業者として、どんな環境下にある人でも平等に働くことができるべき、との考え方があります。リモートワークを独自の手法でブラッシュアップしており、今では人材を有効活用するうえでの切り札にもなっています。
会社名 | 株式会社SAMURAI |
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住所 | 東京都千代田区神田練塀町300番地 住友不動産秋葉原駅前ビル5F |
事業内容 | プログラミング学習サービス、法人IT研修、IT人材紹介サービス |
設立 | 2015年3月 |
公式ページ | https://www.sejuku.net/corp/ |
働き方 | フルリモート フルフレックス |
株式会社SAMURAIのミッションは「質の高いIT教育を、すべての人に」です。これを実現するための行動指針「SAMURAIの価値観~5values」や、独自のリモートワーク制度に関する課題とその解決策、さらにはミッショングレードを採用した人事評価制度などを伺うとともに、採用時に重視しているポイントをお聞きしました。
ミッションは「質の高いIT教育を、すべての人に」
▲専属講師によるマンツーマンレッスンの「SAMURAI ENGINEER」
編集部
まずは事業内容の説明からお願いいたします。
小林さん
弊社はミッションとして「質の高いIT教育を、すべての人に」を掲げており、さまざまな形でプログラミング学習サービスを提供しています。質の高いIT教育をご提供することで、「すべての人がテクノロジーを活用して未来を切り拓ける世界の実現」を目指しています。
では「質の高いIT教育」とは何かということですが、その一つは創業事業であるプログラミングスクール「侍エンジニア(SAMURAI ENGINEER)」です。今の時代は、企業のDX化が進む中でIT人材の不足が顕著になってきています。また副業としてのITエンジニアの道も、ずいぶんと開かれつつあります。こうした環境にありますから、いろいろな方にプログラミングスキルを学んでいただき、ご自身の未来を切り拓いていただきたい。そのためのプログラミングスクールです。
また、低価格で始められるサブスク型のプログラミングスクール「侍テラコヤ(SAMURAI TERAKOYA)」を展開しています。こちらは学習のすそ野を広げて、より多くの方にIT教育を届けることを目指しています。
さらには、弊社のプログラミングスクールで学んだ方向けの「人材紹介事業」、オウンドメディア「SAMURAI ENGINEER Blog」の配信、プログラミングスクール事業で培ったノウハウを基にした「法人研修事業」などの各事業を展開しています。
編集部
単に教えるだけではなく、卒業した方の転職活動も支援しているのですね。その手厚さが御社の強みの一つなのでしょうね。
「スーパーフレックス」で自由な働き方を実現
▲2022年10月に開催した社員総会におけるオンラインの様子
編集部
御社では2015年の創業当初からリモートワークを導入されているとうかがいました。その背景をお聞かせください。
小林さん
弊社は、何かのきっかけがあってリモートワークを導入したのではなく、もともと創業時からリモートワークに取り組んできたんです。社内では「スーパーフレックス」と呼んでいますが、フルフレックス、リモートワーク、副業可を組み合わせた、時間や場所に制約されない働き方を実践しています。
私たちは過去には当たり前だった通勤における疲弊や、育児や介護などでキャリアをあきらめることなどが、非合理的だと考えています。では、これからの社会に適した働き方はどうあるべきなのか。これを本気で考えた結果、行き着いたのがスーパーフレックスでした。
編集部
その方が持っているスキルやノウハウと、その方がおかれている状況とを、共に生かす働き方ですね。
小林さん
そうです。子育てがあるから正社員にはなれないとか、夢を追いかけているからフルタイムでは働けないということをよく聞きますが、これは日本経済における損失でしかないと思うんです。
これを回避できるのがスーパーフレックスなんですね。日本はこの方向に向かわないと、今後は優秀な人材を採用することも難しくなる。必ずそうなることが読めていたので、先駆者として率先して導入したんです。
もちろん先駆者として向き合わなければいけない課題もありました。それは必ず解決できると信じていましたし、実際に解決してきました。弊社は教育を提供して、その方の人生を変える、ということを事業にしています。だったらまずは自社のワークスタイルから、人生を変えやすい環境にしておくことが重要だと考えたんです。
編集部
リモートワークの導入は、自社で働くメンバーが人生を変えやすくするために、そのステージを整えたという感じでしょうか。
小林さん
そうですね。弊社のメンバーはお客様に「このような働き方にしていきましょう」と提案する側に立っています。それにも関わらず、自分たちが時代錯誤な働き方をしていては説得力がありません。まずは自分たちが、自由にキャリア形成できる環境で働くこと。その良さを知った上で初めて、お客様に働き方をご提案できるのだと思います。
リモートでもスクラム会議などの取り組みで効率的に働ける
編集部
リモートワークの導入当初は、どんな課題に直面したのですか。
小林さん
一番の課題は、フルリモートとフルフレックスを同時に導入したことです。これによりマネジメント量が大幅に増加しました。これをいかにクリアするかが大きな課題でした。
編集部
その課題をどのように解決したのですか。
小林さん
その解決のために弊社では、「スクラム」というオンラインミーティングを導入しました。これは今でも部署ごとに、毎朝開催しています。例えば前日に「やる」といっていたことに対して、実際にはどうであったのかを検証しています。いわゆる振り返りですね。
そして、プロジェクトの進捗具合やコミットが適切であるかどうか。あるいはプライベートにおける問題点などについて、その都度すり合わせを行います。これをルーティーン化したんです。
マネジメントする側のポイントとしては、部下がどういうミッションを持っており、昨日はその中のどれに着手して、その進捗はどうなのかを把握することです。これが普通にできるようになると、リモートであるかどうかはあまり関係がなくなる。むしろ最近ではリモートの方が、マネジメントの感覚が研ぎ澄まされて良いのでは、と感じることも多いぐらいです。
例えば部下がオフィスに出社していれば、それを見るだけで「働いているな」という安心感がはたらきます。ところが実際には、プロジェクトは進んでいなかったということも、よくある話です。それならばリモートによる感覚を研ぎ澄ませたマネジメントの方が、はるかに有効だと思います。
編集部
リモートの方がマネジメントの感覚が研ぎ澄まされるというのは、先駆者として試行錯誤されてきた御社ならではなのでしょう。リモートワークをそこまで突き詰められた結果のように感じます。
オンラインミーティングを毎朝開催することの意味
編集部
毎朝のミーティングは、タスク管理ツールを見ればわかるので開催しないという会社も多いと聞きます。御社があえてオンラインで毎朝開催しているのは、どんな理由からでしょうか。
小林さん
そのあたりは明確です。短時間でいいから毎日みんなで集まり、進捗を報告したり、ちょっとした雑談をする。そういう時間がとても大切だと考えているので、オンラインで顔をあわせているんです。他にも顔をあわせることで、体調のことや悩みを抱えていないかなども確認できます。
編集部
フルフレックスはどうでしょうか。コアタイムがないとチームとしての一体感が削がれてしまうような印象もあります。
小林さん
フルフレックス制度の言葉尻だけを切り取ると、みんなが好き勝手に働いているイメージですよね。でも、そんなことはないんですよ。というのは部署ごとで、例えば「10時から18時は仕事をしよう」といった、なんとなくの定時があるんです。暗黙知ですね。部署ごとに、メンバーみんなが一斉に仕事をしている時間帯があるんです。
ただし、そんなにガチガチに固められてはいないというのが、弊社のフルフレックス制度です。子どもを保育園に送るから朝の始業が遅れますとか、迎えにいくので中抜けしますというのもまったく問題ないですね。状況に応じて臨機応変に対応しています。
編集部
リモートワークやフレックスタイムでは運用ルールを明確化している企業が多いだけに、暗黙知とおっしゃる御社のスタイルには独特なものを感じますね。なかなか真似できないように思います。
全社で共有する指針「SAMURAIの価値観~5values」とは?
編集部
次に企業カルチャーについてうかがいます。御社が重視している「SAMURAIの価値観~5values」とは、どういったものなのでしょうか。
小林さん
5valuesとは「User First」「One Team」「Be Professional」「Impact Driven」、そして「Go Beyond」の五つのことです。どれも「質の高いIT教育を、すべての人に」というミッションを実現するためには、欠かすことができない行動指針だと考えています。
まずUser Firstはお客様の成功を第一に考えること。そしてOne Teamは一人の成果ではなく、チームとして最大の成果を目指すことです。
三つ目のBe Professionalはすべてのステークホルダーに誠実に向き合うことであり、四つ目のImpact Drivenは最速で最大の成果を出すための選択をするということです。そして最後のGo Beyondは、どんな困難も乗り越えて飛躍し続けるということです。
編集部
御社の公式ページを拝見して、女性メンバーの方が語っていたOne Teamのことが印象に残りました。メンバーが一つのチームとして一体化できることが、御社の強みなのでしょうね。
小林さん
おっしゃる通りです。弊社のOne Teamが成立している要因は、その前提として情報をオープンにしていることがあげられます。超機密情報や人事情報以外であれば、メンバーは基本的に社内情報にアクセスできます。これがOne Teamを推進するうえで、とても重要なファクターだと考えています。
メンバーの意識を一つにまとめる月に一度の「全社定例会」
編集部
メンバーの一体感を強め、One Teamにつながる取り組みは他にもありますか。
小林さん
月に1回開催している「全社定例会」が、One Teamを形成するうえで非常に有効だと思います。単に進捗や業績を共有するだけではなく、グループワークを行ったり、ZOOMを使ったアイスブレイクの時間などを設けています。普段は話すことの少ない人とのコミュニケーションの機会を、意識的に作っているんです。ですからリモートではあるものの、One Teamを体現しやすい環境になっているのだと思います。
編集部
全社定例会のグループワークでは、どんなテーマが取り上げられるのですか。
小林さん
最初は雑談レベルですよ。最近あったいいことや、悪いことなどを話していますね。そして場が温まってから、本題に入る感じです。全体定例会は毎回テーマが決まっており、先月は「社員総会」についてでした。
実は2022年から全社員がリアルで集まる社員総会をスタートしたんです。これを年に1回の定期開催にしようということで、今年はどういった内容にするかについて話し合いました。去年の反省点やその改善点などですね。グループにわかれて話し合い、ドキュメントとしてアウトプットしました。
このドキュメントは経営陣にも届いており、改善につながることが多いんです。自分たちの話し合ったことがダイレクトに経営陣に届くので、メンバーはグループワークに参加したことを実感できます。そういった活動を通じてOne Teamを体現しているのだと思います。
編集部
ダイレクトに経営陣に届くというのは、とても大事なことですね。それだけで参加するメンバーの意気込みも違ってくると思います。
すでに6割が採用されている社員総会の改善提案
編集部
去年の社員総会はいつ、どこで行われたのですか。
小林さん
10月に東京で開催しました。地方在住のメンバーには交通費等を負担しますので、よほどの事情がない限りほとんどの社員が参加しました。全社員が一堂に会するイベントは初めて、というメンバーも多かったので、社員同士の関係をさらに強固なものにすることも重要視しました。
編集部
ワークショップ的なものもありましたか。
小林さん
実施しました。一つは自己開示をするようなワークショップで、もう一つは会社への改善提案を主としたものでした。改善提案については、すでにその6割程度が採用されており、プロジェクトとして走り始めたものもけっこうあります。
編集部
どんな改善提案が採用されたのですか。
小林さん
例えばプログラミングの新しいコースについてですね。あとは従業員満足度、ES(Employee Satisfaction)についてです。「ES委員会を作りましょう」という提案があり、こちらはすでに活動を始めています。
「ミッショングレード」を採用した人事評価制度
編集部
キャリアアップに関しては、どのような制度を採用しているのでしょうか。
小林さん
人事評価制度としては、2022年7月から「ミッショングレード制度」(※)を採用しています。グレードは13段階にわかれており、そのグレードに応じたミッションや目標が設定されています。評価や報酬については、ミッションの大きさやその達成度合い、そして会社が重視しているバリューをどこまで体現できたのかなどによって決まります。
(※)年齢などに関係なく、そのメンバーに与えるミッション(役割)に応じて、グレード(等級)を決定する人事制度のこと。
編集部
実績とプロセスの評価割合は、グレードによって違うのでしょうか。それとも統一されているのでしょうか。
小林さん
基本的には実績を優先しています。営業でしたら予算1億円に対して実績が8000万円であれば、達成率は80%です。ただし、それだけでは評価が画一化するので、そこに至ったプロセスを加味しています。例えば会社として重視しているバリューをどれだけ体現できたか、などですね。
メンバーの成長を支援する社内制度
編集部
メンバーのキャリア形成をサポートするためには、どんな取り組みがあるのですか。
小林さん
それについては「自己実現型組織運営」があります。メンバーは目標を半期ごとに管理していますが、これは単に目標数字を管理するだけではありません。メンバー自身が自己実現するために、テクノロジーを活用して未来を切り拓くそのサポートを全力で行っています。その一環として例えば、無料で受講できるプログラミング学習支援制度を福利厚生として採用しています。
編集部
単なる数値管理ではなく、将来的な自己実現を視野に入れたサポートですね。お客様の未来を切り拓く支援をするためには、まずメンバー自らが自己実現に取り組む。これはとても御社らしい取り組みだと思います。他にも、成長を支援する制度はありますか。
小林さん
例えば「SAMURAI休暇」ですね。これは自分の人生や時間を自分でデザインし直すために付与する特別休暇で、基本的には年間15日になっています。また自己成長などを目的としているのであれば「副業可」としていることも、弊社ならではといえるでしょう。どちらも福利厚生の一環です。弊社の場合、メンバーの成長や進化などを支援する制度の多さが特徴だと思います。
採用における最重要ポイントは「ミッションに共感できること」
▲採用の重点ポイントは「ミッションへの共感」と語るコーポレート部長の小林さん
編集部
では最後に、御社が求めている人材像についてお聞かせください。
小林さん
そうですね、やはり一番は「ミッションに共感していただける方」ですね。お客様の人生を変えるとか、お客様の人生を切り拓くということを事業にしている会社なので、その部分に面白さややりがいを感じていただきたいですね。ミッションや事業そのものに興味を持っていただける方にぜひ応募していただきたいです。
そして採用のポイントとしては、素直さやコミュニケーション能力、行動力やグリット(やりぬく力)ですね。こういった非認知能力の高い方が、弊社では活躍するケースが多いので、そこはやはり重視しています。
弊社はお客様の人生設計を大きく左右する事業を展開していることもあって、多くのメンバーが、自分の人生やキャリアに真摯に向き合っています。この部分に共感いただける方であれば、弊社はとても刺激的で面白い環境の会社だと思います。
編集部
自らの成長や自己実現に本気で取り組みたい方には、とても魅力的だと思います。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社SAMURAI https://www.sejuku.net/corp/
採用ページ https://www.sejuku.net/corp/recruit