若手社員が活躍する環境や、魅力的な事業を展開する企業をインタビューする本企画。
今回はアーティストの楽曲配信をサポートするディストリビューションサービスで、邦楽デジタル音楽流通量の圧倒的シェアを誇るTuneCore Japanにお話を伺いました。
誰もが世界に自分の音楽を届けられる「TuneCore Japan」を運営
TuneCore Japanが運営するのはアーティスト向けの音楽流通サービスです。
このディストリビューションサービスを利用すると、アーティストは手間をかけることなく最短2日で、自身の音楽をApple MusicやSpotifyなど、世界中で使用されている音楽ストリーミングサービスへ配信できます。
また「TuneCore Japan」ではアーティストの活動サポートも行っており、世の中にまだあまり知られていない、インディペンデントアーティストの露出を後押しするオーディションの開催や、音楽ストリーミングサービス上で新譜がピックアップされる仕組みづくりなど、様々なチャンスの場面を創出しています。
会社名 | TuneCore Japan |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿南1-24-2 EBISU FORT 1F |
事業内容 | ・ディストリビューション ・アーティスト活動サポート |
設立 | 2012年2月29日 |
公式ページ | https://www.tunecore.co.jp |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
今回は、TuneCore JapanのDevチーム エンジニアリングマネージャーでありフロントエンド責任者も務める吉田翔吾郎さんに、若手エンジニアの活躍や音楽好きなメンバーが集まる会社のカルチャーについてお話をお聞きしました。
アーティストから圧倒的な支持を得るTuneCore Japan
▲天井が高く開放的なTuneCore Japanのオフィス。リモートワークとのハイブリッド勤務のため、メンバーは決まった曜日に出社している。
編集部
まずはじめに、TuneCore Japanさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
吉田さん
弊社は、音楽のディストリビューションサービス「TuneCore Japan」を運営しています。Apple MusicやSpotify、YouTube Musicなどの音楽ストリーミングサービスで曲を配信するために必要な手続きを、アーティストに代わって行うサービスです。
アーティストが音楽ファイルとジャケット写真などの必要なデータをアップロードすれば、あとは「TuneCore Japan」で配信の手続き、収益の分配、著作権の管理、収益化のサポートなどを行います。アーティストは自身の創作活動に専念できます。
特に日本では、利用している音楽アーティスト数及び配信楽曲数(=流通量)で多くのシェアを持ち、利用者のストリーミング再生回数の国内シェアでは初めて3位(※)にもなって、「TuneCore Japan」は国内のディストリビューションサービスとしてスタンダードになっています。
(※)2022年の国内ストリーミングサービスの再生&収益シェア(出典:Oricon Research Inc.)
編集部
アーティストの皆様にとっては、とてもありがたいサービスなのですね。
吉田さん
アーティストに限らず「TuneCore Japan」を使えば、誰でも自分の曲を世界中へ配信できます。ディストリビューションサービスを使用しなければ、個人が簡単に音楽ストリーミングサービスへ曲を登録することはできないんですよ。
編集部
そうなのですね。誰もが世界中に自分の曲を発信できて、収益化まで狙えるなんてすごいですね。
サービス開始から10年。アーティストへの累計還元額は393億円
編集部
TuneCore Japanさんのサービスはどのようにして生まれたのでしょうか。
吉田さん
元々、アメリカを中心に音楽ディストリビューションサービスを提供し、世界的な地位を確立していたTuneCore,inc.と、日本で新たにディストリビューションサービスを始めようとしていたWano株式会社のジョイントベンチャーという形で、2012年に「TuneCore Japan」のサービスがスタートしました。
Wano株式会社は、IT技術を駆使してエンタメ界に新しいプロダクトを創造する会社です。私たちエンジニアはWano株式会社に所属していて、Wanoが企画・開発する「TuneCore Japan」をはじめとする事業のエンジニアリングを手掛けています。
編集部
TuneCore Japanさんのサービスが2012年から始まったということは、すでに10年の節目を迎えられたということですね。
吉田さん
そうです、サービスの始まりから10年で、累計393億円をアーティストに還元してきました。
編集部
還元とは、どのような仕組みなのでしょうか。
吉田さん
アーティストが、楽曲を配信するとその再生数に応じた収益を得られるという仕組みです。
ディストリビューションサービスでは、配信で得られる収益の20%は手数料で、残りの80%を還元するような場合が多いのですが、「TuneCore Japan」では100%をアーティストに還元しています。
私たちの事業は、配信による収益には手を付けず、アーティストから支払われるシステム利用料で成り立っています。サブスクの様なシステムで、シングル1曲を配信する場合は年間1,500円、2曲以上のアルバムでは5,000円程度というものです。
編集部
なるほど。配信の収益が大きなアーティストの方だと、どれだけ収益が増えてもシステム利用料が変わらないので、「TuneCore Japan」のサービスはとても価値がありますね。TuneCore Japanさんが、アーティストの皆様の収益を受け取る権利について、大切に考えていらっしゃることがよく分かりました。
「TuneCore Japan」は新しいフェーズへ。業界のゲームチェンジャーとなる
編集部
「TuneCore Japan」には、音楽配信代行のほかにもサービスがあるのでしょうか。
吉田さん
アーティストの活動をオールインワンでバックアップする「アーティスト活動サポート」のサービスがあります。サービスの内容を拡充し進化している最中です。
例えば、著作権管理団体「JASRAC」への申請を「TuneCore Japan」を利用して一気通貫でできる仕組みを2022年にローンチしました。このようなサービスは、ディストリビューション業界ではとても画期的で、ほかにはありません。業界では、私たちがゲームチェンジャーだと噂にもなっているんですよ。
このほかYouTubeと連携して、アーティストが自分の知らないところで楽曲を使われている場合にも、自身が受け取るべき収益を得られる仕組みを提供しています。「TuneCore Japan」は、アーティストをオールインワンで支援できるプロダクトとして認知されることを目指しています。
様々なアーティストへの支援を展開。フジロックではオーディションを開催している
▲TuneCore Japanは配信代行だけでなくイベント開催などでもインディペンデントに活躍するアーティストをサポートしている
編集部
「TuneCore Japan」のアーティストへのサポートは、ほかにもあるのでしょうか。
吉田さん
Web上のサービスばかりでなく、オフラインでもアーティストを支援するサービスを行っています。2022年、2023年にはフジロックと提携し、ステージへの出演を賭けたオーディションを開催しました。
フジロックのほかにも、様々な音楽イベントへ出演するための枠を用意し、オーディションを行っています。これまでも力を入れてきたサービスですが、今後はさらに注力していきたいと考えています。
編集部
これから世に出ていくアーティストたちのために、活躍の場を創出されているのですね。
吉田さん
そうですね。これまでアーティストは、レコード会社やレーベルに所属している場合が一般的だったのですが、今はどこにも所属せず自由なスタンスで独立して、継続的に音楽活動を続けていける時代です。
「TuneCore Japan」はそのように活動する個人のアーティスト「independent artist」への支援に力を入れています。会社として「All for Independence」を掲げていて、これは私たちのミッションでもあるんですよ。
団体や事務所に所属しなくても、個人の活動としていい音楽を作ってる方はたくさんいらっしゃいます。弊社はそういった「independent artist」 への支援について、かなり特化したサービスや考え方を持っている会社です。
編集部
TuneCore Japanさんは、これまでは難しかった個人でのアーティスト活動に寄与していこうとしていらっしゃるのですね。そこに強い思いがあるのだと感じました。
メンバーの8割が20代・30代。若いうちからマネジメントに携わる
▲30歳でエンジニアリングマネージャーを務める吉田翔吾郎さん
編集部
TuneCore Japanさんのメンバー構成について教えてください。
吉田さん
TuneCore Japanには40名ほどのメンバーがいて、全体の8割が20代、30代で構成されています。新しく入社するメンバーは、ほとんどが20代です。役員も40代中盤までの若い組織です。
役員以外のマネージャークラスも若く、エンジニアリングマネージャーの私が30歳、ジェネラルマネージャーが31歳です。一般的には若いといわれる年齢でも重要な業務を任せてもらい、自身でもやりがいを感じています。
編集部
若手の方がとても多くいらっしゃるのですが、そのような若手・新人のメンバーへのフォローなどはございますか。
吉田さん
エンジニアに特化した話ではありますが、新しいメンバーへのかしこまった座学やレクチャーなどは基本的にありません。私、もしくはチームのリーダーレベルのメンバーがメンターとしてついて、最初の1~2ヶ月は密にコミュニケーションを取りながら業務を教えていきます。
3~4人の小規模なチームの中で仕事に取り組む様子を見て、場合によってはメンバーを交代するなどの綿密な作戦を実践しながら、確実な成長をサポートしています。
編集部
入社直後から業務に慣れるまで、精神的にも技術的にもしっかりと先輩たちが対応してくださるんですね。若手・新人の方は安心できますね。
プロダクトにこだわった開発ができるTuneCore Japanのエンジニア
編集部
TuneCore Japanさんでは、エンジニアの皆様はどのような働き方をされているのでしょうか。
吉田さん
エンジニアは基本的にWano株式会社に所属しています。Wanoの中にはアーティスト向けの「TuneCore Japan」以外にも、動画クリエイター向けのサービスやモデル向けのサービスがあり、エンジニアは希望するプロダクトを専門に開発を進めています。希望がない限りほかのプロダクトへの異動はありません。
編集部
なぜそのような働き方にされているのですか。
吉田さん
担当するプロダクトにずっと愛着を持ってほしいと思っているからです。エンジニアを採用するときは「このプロダクトに貢献してくれるメンバー」として人材を選んでいます。
編集部
なるほど。音楽が好きな方は、ずっと音楽に関わる仕事を継続できるということですね。興味のある分野のお仕事であれば、スキルアップも進みそうですね。
ところで、同じWanoグループの中で、違うプロダクトに携わるエンジニアの皆様同士の交流はあるのでしょうか。
吉田さん
実は近々、Wanoに所属するエンジニアの技術支援の取り組みとして、開発合宿みたいなものを計画しているんですよ。普段は業務に追われてできない、新しい技術を試せるような場をつくりたいと思っています。週末に、みんなで泊まりに出かけて「好きな技術を触ってみよう」というような催しをします。新しい発見があるといいですね。
このように、携わるプロダクトの違いに関係なく、技術の共有も兼ねたイベントができるのは、エンジニア全員がWano所属であることの大きなメリットの一つだと思います。
スピーディーなローンチを可能にする1週間サイクルの開発
編集部
TuneCore Japanさんでの開発の進め方についてもお聞かせいただけますか。
吉田さん
弊社のエンジニアは、基本的にはアジャイル開発やスクラム開発の、少しカスタマイズ版のようなことをしております。
3~4人のチームごとに1週間単位で業務をスケジューリングし、1週間ずつ振り返り、次のスケジュールのプランニングなどを行っています。
小さなサイクルの進捗を細かく確認しながら、課題があればチーム内で協力して解決を目指したり、次のスケジュールに影響が出そうなときは、ほかのチームにも共有したりして、スケジュール通りに開発を進められるよう軌道修正していきます。
編集部
小さなサイクルを回しながら開発を進めていく方法にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
吉田さん
弊社の開発部門には、レビューとテストの両方に問題なければ、いつでもローンチしていいという仕組みがありますので、小さなサイクルで開発を進めていると、できたものを一刻も早くローンチし、ユーザーであるアーティストに使っていただけます。
「本当はコードレベルで修正した方がコードとしては綺麗なのだけど、一度この状態でローンチして、その後にリファクタしよう」など、まずはアーティストに価値を届けることを大事にしています。細部の修正は後で可能なので「早くローンチする」という点にフォーカスしています。
編集部
公式サイトの採用ページにも掲載されていましたが、TuneCore Japanさんが「アーティストに寄り添う、アーティスト第一主義」を徹底されているのがよく分かりました。
TuneCore Japanのエンジニアは「やってみたい」を叶えながらスキルアップ
編集部
TuneCore Japanさんの開発環境について教えてください。
吉田さん
フロントエンドではReactやNext.jsを、バックエンドではGo言語を採用するなどスタンダードな技術を使っています。ただ現状では、立ち上げ当初から使っていた古い言語や技術も多く残っていたりします。メンバーも年代などによって、それぞれに使いやすい言語が違っています。
編集部
エンジニアの皆様それぞれに得意分野などがあるのですね。では、どのようにスキルアップされるのでしょうか。
吉田さん
エンジニアに、今後自身の技術をどのように伸ばしていきたいのかを、個別にヒアリングしています。そして、業務を通してスキルアップができるように、それにマッチするプロジェクトをアサインするようにしています。
例えば、フロントエンドのメンバーが「バックエンドのコードが書いていきたい」と希望すれば、そのメンバーにはフロントとバックの垣根がない作業をアサインしたり、バックエンドのメンバーが「フルスタックになりたい」というのであれば、Go言語だけじゃなくてReactも一緒にトライしてもらったりしています。
このような、領域を広げたい希望がある場合は、最初に多少キャッチアップコストがかかったとしても、こちらでアサインを調整してフルスタックを目指してもらっています。
編集部
エンジニアの皆様の希望に沿ったスキルアップが可能なのですね。
吉田さん
希望すれば領域を広げるだけでなく、技術を深めていくこともできます。また、新しいプロダクトをつくりたいというような強い意志がある方にも、希望に合ったプロジェクトをアサインできるように努めています。
編集部
新しいプロダクトの立ち上げに携われる可能性もあるのですね。意欲のある方が、存分に挑戦して成長できる開発環境だと感じました。
ジャンルは色々。お互いの「好き」を認め合う音楽好きが集まる職場
編集部
TuneCore Japanさんの職場の雰囲気を教えていただけますか。
吉田さん
メンバー全員、音楽が好きです。オフィスでは常に何か音楽が流れていて「これは聴いたことがないジャンルだけど、なんだか気になるな」ということはしょっちゅうです。
編集部
メンバーの皆様同士で、音楽を通じたコミュニケーションを図られることもあるのでしょうか。
吉田さん
そのようなことはたくさんあります。以前は忘年会の席でセッションバンドを組んで演奏することもありました。今でも音楽の趣味が似ている者同士で、休日にライブに行くなどしていますよ。
オーディションで提携しているフジロックには、全体の半数くらいが参加しました。会社が連れてってくれるんですよ。
編集部
それはすごいですね。メンバーと一緒に参加できると楽しそうです。TuneCore Japanさんで勤務していると、様々なジャンルの音楽に詳しくなれるでしょうね。
採用で譲れないポイントは、音楽が好きであること
編集部
TuneCore Japanさんが、採用の際に重視していらっしゃるのは、どのようなことでしょうか。
吉田さん
会社として、音楽というカルチャーマッチの部分はかなり重要だと考えています。エンジニアの募集要項の中で「求める人物像」の1番最初に「音楽が好きな方」と記載しているくらいです。
弊社には本当に音楽好きが多く集まっています。音楽活動をしているメンバーもいれば、聴くのが好きという方もいます。Jロックや洋楽、アニソンなどジャンルは関係なく、音楽が好きという共通点のある方と一緒に仕事がしたいですね。
編集部
好きなことを仕事にできるというのは、とてもいいですね。
吉田さん
採用の場面で「音楽が好きだという自分の趣味と、エンジニアのスキルを一緒にしてプロダクトづくりができるとは思ってもいなかった」と言われることがよくあります。
「音楽が好き」だけど「音楽と仕事は関係ない」と思っているエンジニアの方が、実はたくさんいらっしゃるような気がします。そのような方は、TuneCore Japanに完全にマッチするはずです。ぜひご応募いただければと思っています。
編集部
お話をお伺いしながら、音楽が好きな人にとっては、刺激的で楽しくて、たまらない職場だろうなと感じました。本日はありがとうございました!
■取材協力
TuneCore Japan:https://www.tunecore.co.jp/
採用ページ:https://www.tunecore.co.jp/jobs