新しい働き方をテーマに、魅力ある企業のさまざまな取り組みを紹介しているこの企画。今回は、ビジネス動画制作事業を中心に、ルームウェアのアパレル事業も手掛けている「株式会社Wanget(ウォンゲット)」を取材しました。海外在住のクリエイターも多く活躍している成長中の企業です。
株式会社Wangetとは
株式会社Wangetは「クリエイティブコンテンツのインフラストラクチャを創り企業のコンテンツ戦略と顧客体験をアップグレードする」というミッションを掲げ、企業向けのビジネス動画制作サービス「video plant」「video plant FAST」を提供しています。
フィリピンのクリエイターを活用することで、安定的に「低価格・ハイクオリティ・スピード納品」を実現し、大企業のみならず地方自治体や教育機関などからの依頼が増加している、急成長中のスタートアップ企業です。
ビジネス動画制作サービスの運営のほか、ルームウェアD2Cブランド「Arce(アルセ)」の展開や、AI技術を活用した動画制作のDX化など常に新たな事業へ挑戦しています。
会社名 | 株式会社Wanget |
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住所 | 東京都渋谷区渋谷1-3-18 ビラ・モデルナC501/502 |
事業内容 | ・ビジネス動画制作サービス「video plant」「video plant FAST」の提供 ・ルームウェアD2Cブランド「Arce」の運営 |
設立 | 2018年3月 |
公式ページ | https://www.wanget.jp/ |
働き方 | ・テレワークとのハイブリッド勤務体制 ・フルフレックス制 |
今回は取締役COO・松本裕司さんに、企業成長につながっている社内カルチャーや働き方、採用についてお話を聞かせていただきました。
顧客体験価値の創造を基軸に2つの事業を展開
編集部
はじめに、Wangetさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
松本さん
Wangetは、ビジネス動画制作の事業を中心に、D2Cのファッションブランド事業も展開している企業です。企業名である「Wanget(=wantをgetするという造語)」のように、デジタルへシフトする中で「必要」となるデジタルコンテンツを、制作・流通できるインフラの提供を目指しています。
2018年3月に渋谷にオフィスを構え、当初はインスタグラムやTwitterのアカウント運用代行などのSNSのマーケティング事業からスタートしました。インフルエンサーマーケティングなどSNSを中心とした集客が注目されるタイミングだったので、当時は「SNSを通してカスタマーエクスペリエンスを最大化すること」をビジョンに掲げていましたね。
2020年以降は社会情勢の影響で事業を見直していき、ルームウェアブランド「Arce」を立ち上げたほか、海外クリエイターと連携した上で動画制作サービス「video plant」「video plant FAST」をリリースしました。
それぞれの事業の詳細については、また後ほどお話しできればと思います。
編集部
事業をする中で大事にしていることや、Wangetさんならではの特徴などありますか?
松本さん
弊社代表の吉澤は不動産業の営業出身で、不動産業の営業マン時代に成績を上げて最年少で課長まで昇格した経歴があります。営業をする上で顧客体験価値に重きを置いていたという経験から、Wangetでも顧客体験を基軸に事業展開をしていますね。
弊社では、IPOを目標に成長することを前提とした事業計画を描いています。そのため、ビジネスモデルやプロジェクトなどの変化が激しい環境下であることもWangetの特徴です。
編集部
製品・サービスを通して誰でもいろんな経験ができる時代だからこそ、独自の顧客体験価値を創出することに重点を置いているのですね。
動画制作における課題を解決する「video plant」
▲Wangetさんが提供するビジネス動画制作サービス「video plant」
編集部
Wangetさんが提供している「video plant」とは、どのようなサービスなのか教えていただけますでしょうか。
松本さん
「video plant」は2022年にリリースした企業向けの動画制作サービスです。動画制作をクリエイターへ依頼できるサービスで、動画制作における制作費用や作業コストの増大、人材リソースの不足、クオリティへの担保などのわずらわしい課題を解決できます。
「低価格・ハイクオリティ・スピード納品」にこだわり、コンテンツの規模や予算・要望に応じたオリジナル性の高い動画を提供しています。最短納品期間が3営業日程度というスピード感もWangetならではの強みだと自負しています。
業務の効率化はもちろん、文字や静止画では伝わりにくいイメージを動画にすることでお客様へ直接的に訴求できるため、マーケティングやオンボーディングなどビジネスの様々な場面で役立ちます。
▲動画制作サービス「video plant」のサービス概要
編集部
主にどのような企業様が「video plant」を利用されているのでしょうか。
松本さん
サービス紹介の他、企業説明・採用情報・オフィスツアーなど多様に対応できるので、大手の不動産会社や食品メーカーをはじめ、地方自治体や教育機関など幅広く採用いただいています。2022年の「video plant」リリースから1年で、動画制作の累計実績は1万本を突破しました。(2023年1月時点)
低コスパを実現した動画サービス「video plant fast」
▲2023年1月にリリースした動画制作サービス「video plant fast」のメリット・強み
編集部
さらに2023年1月には「video plant」とは特徴の異なる、新しい動画制作サービスをリリースされたそうですね。
松本さん
はい。リーズナブルな価格を実現した動画制作プラットフォーム「video plant fast」をリリースしました。
「video plant fast」の特徴は、動画コンテンツながら1本5,000円から依頼できるというリーズナブルな価格設定です。動画デザインの統一化により、クオリティはそのままに、より安い価格で提供できるようにしました。
カスタマイズ性は「video plant」より低いものの、デザインのフォーマットをバリエーション豊富に用意しているので、商品紹介や宿泊施設の部屋紹介など、主要コンテンツを大量に作りたい場合におすすめです。
編集部
Wangetさんが提供している動画制作サービスは、どちらも「低コスト・ハイクオリティ・スピード納品」を実現しているんですね。課題や要望に応じて選択できるので企業にとっては嬉しいと思います。
不動産×アパレルのノウハウを生かしたルームウェアブランド「Arce」
▲不動産×アパレルのルームウェアD2Cブランド「Arce」(引用元:Arce公式サイト)
編集部
Wangetさんが手がけるもう一つの事業として、アパレルを選んだきっかけは何かあったのでしょうか。
松本さん
2020年の社会情勢の変化を機に、事業の見直しをしたのがきっかけです。
私がアパレル業界でマーチャンダイザーの経験があるので、吉澤の不動産のノウハウと掛け合わせて、家で快適に過ごせるルームウェアブランド「Arce」を立ち上げたという流れです。
編集部
なるほど。社会情勢に加え、お二人の経験を生かしてルームウェアに特化したのですね。いったいどのようなルームウェアなのでしょうか。
松本さん
Arceは、「インドアライフを特別なひとときへとデザインする」をコンセプトに開発したジェンダーフリーのルームウェアD2Cブランド(※)です。100%メイドインジャパンにこだわり、すべてのプロダクトに日本製の生地を採用しています。
(※)D2C:「Direct to Consumer」の略で、企画・製造・販売を一貫して自社で行うビジネスモデルを表す。店舗を構えずECやSNSなどを介してダイレクトに生活者に商品販売・情報配信を行う。
2020年11月に開始したクラウドファンディングでは目標額の300%を突破し、同年12月にはブランド初となる展示会を実施しました。ECサイトリリース後の2022年には、渋谷パルコでポップアップストアを開催するなどの実績もあります。
新たなステップはAI技術を活用したDX化
編集部
現在手掛ける事業のほか、動画プロセスで一番時間のかかる絵コンテをAI技術でDX化する新規事業もお考えのようですね。
松本さん
はい。新たなステップとして目指しているのが、AIによる自然言語処理技術を活用した自社プロダクトの開発・提供です。構成や絵コンテといった動画制作の基盤となる部分をDX化したいと考えています。
一度に大量の動画を制作するには、人材リソースをさらに改善する余地があるかなと思っています。そこで、生成系AIを動画制作でも導入できれば、今まで1日10本の動画制作が限度のところを50本・100本に量産できる可能性があると思います。
ただ、AIはあくまでアシスタント役という位置づけであり、業務を一任するわけではありません。AIを扱うことで、制作本数を最大化させるようなコンセプトでプロダクトの開発を行っています。
編集部
AIは動画制作の効率化を図るための補佐的なプロダクトというわけですね。
松本さん
そうです。システム上でデザインを選んだり案件の管理を行ったりできるプロダクト開発に臨んでいます。それを実現するには、クリエイティブとAIの2つがキーワードかなと思っていますね。
今は基幹となるクリエイティブ事業の裾野を広げつつ、ソリューション事業も突き詰めて展開していくことを目指している状況です。
編集部
なるほど。今後の事業展開は推薦・リコメンドするためのAIっていう使い方と、生成系AIを使って絵コンテなどのプロセスを簡略化するようなAIの2つの軸で考えていらっしゃるんですね。
海外クリエイターと連携したスキームを確立
▲フィリピンのクリエイターと分業して人材リソースを確保
編集部
フィリピンのクリエイターも積極的に活用していると伺いましたが、どのような経緯で海外リソースを活用する体制ができたのでしょうか。
松本さん
以前からクリエイティブを制作するリソースがフィリピンにいて、そこで動画制作をする体制を取っていたんです。
偶然にも元グラフィックデザイナーの吉澤の友人がフィリピンに10年間住んでいたので、動画制作を依頼したところクオリティの高い動画を納品いただけました。そこで、フィリピンのリソースを活用すれば安く早く大量に動画を作れると実感しましたね。
投資家の方々にもその動画を見てもらったところ、「制作体制に独自性があっていいのでは?」という意見を多くいただいたので、フィリピンのクリエイターの活用に至っています。
▲フィリピンのメンバー。海外で現地法人を設立し、現地のクリエイターに発注している
編集部
ハイクオリティな動画をリーズナブルかつ大量に提供できる理由は、フィリピンのリソースと提携できるからなんですね。
松本さん
おっしゃる通りです。フィリピンは日本と比較すると物価が低いので安く提供できます。また、人口構成が20代・30代中心で若いクリエイターのリソースが確保しやすく、制作量と価格を固定しやすい点も魅力ですね。
海外支社を通して、現地のクリエイターに発注できるスキームを有しています。
スピーディーなトライアル&エラーが成長のカギ
▲常に大胆なチャレンジをスピーディーに繰り返し、価値を創出し続ける
編集部
スタートアップなので新しい挑戦ができる環境だと思いますが、Wangetさんならではの風土や社内の雰囲気をお伺いできますでしょうか。
松本さん
社内の雰囲気で言うと、「Giver・Borderless・Grand」の3つをバリューとして掲げていますね。及第点的な目標設定だけでなく、大胆なチャレンジをスピーディーに繰り返すことが弊社のバリューであり、新しいことを生み出して利益につなげる風土づくりのグラウンドになっていると思います。
例えば事業計画策定の際に及第点的な目標だけではなく、「1,000件の制作を達成する」というような一見すると無理があるように思える高い目標を掲げて、達成までのプロセスを考えるという感じです。期待値を超えるような価値を創出し続けるには、その都度ディスカッションが重要かなと考えています。
あと、同じ失敗を繰り返さないための挑戦の数は資産と考えているので、メンバー全員が失敗を恐れずに大胆に挑戦してトライアル・アンド・エラーをスピーディに繰り返していますね。
編集部
印象的なトライアル・アンド・エラーがあれば伺ってもよろしいでしょうか。
松本さん
過去の出来事というより、今まさにトライしている最中だと思います。弊社は、2022年9月に組織拡大を目指す中で資金調達を行っており、2023年2月に一億円追加で資金調達を実施しました。2023年度は「2022年の17倍成長」を目標に掲げているのですが、この”17倍成長”が社内のキーワードになっていて、達成するための施策や成長を積み上げていく方法を日々ディスカッションしています。
及第点だけを目指していたら新しいアイデアが生まれないので、常に新たな施策を試作・改善して、模索していますね。今期は数字に直結するアイデアが生まれるディスカッションが日々行われているなと感じます。
編集部
たしかに、新たな挑戦を恐れていたら何も生まれないですよね。スピーディにトライアル&エラーを繰り返すには、主体性と失敗を恐れないメンタルの強さが必要だとも感じます。
マイクロマネジメントはやらず主体性を尊重
▲カジュアルな雰囲気の中で会話を楽しむメンバーたち
編集部
Wangetさんのメンバーのバックグラウンドや、社内の雰囲気を教えてください。
松本さん
広告代理店・不動産・アパレル・ITなどさまざまな経歴を持つメンバーが活躍していて、カジュアルかつフランクな雰囲気でみんな楽しく働いていますね。
また、各人の主体性を重んじるカルチャーなので、トップダウンで何かを全体に指示してやらせることはなく、メンバー全員で議論をしながら方針を決めて動いています。
編集部
メンバーが楽しく働きモチベーションを維持するための、特別な取り組みをしているのでしょうか?
松本さん
正直、施策ベースでは特に何もやっていなくて、フランクな雰囲気が自然と社内カルチャーになっている感じですね。よくメンバーから「心理的安全性が高い組織だよね」という声を聞きます。業務委託も含めて今まで100人近く関わってきていますけど、ほぼ全員に言われました。
心理的安全性が高いと言われる理由は、干渉や深いマイクロマネジメントをしないので自立性が促されるからだと思いますね。
マネジメント方針としても、「できていないことが失敗」ではなく「失敗から何を学んだか」という点を一番重視しています。失敗という事象に対して何かを問うことはない文化だからこそ、良い意味でプレッシャーを感じずに動けるので、良いアイディアの創出やモチベーションの維持がしやすいのだと思います。
▲代表取締役CEOの吉澤壮弥さん。適度な距離感でメンバーたちの悩みや課題解決に寄り添う
編集部
マイクロマネジメントをしないということですが、具体的にどのように裁量を与えるのでしょうか。
松本さん
「四半期ごとのミッション・個人ミッション・プロジェクトに紐づいたミッション」の3つに応じて、裁量を与えるイメージですね。
四半期ごとのミッション設定は個人でしていますが、部署に紐づかないプロジェクトベースのタスクフォース的なミッションも例外にあったりするので、基本的にはこの3つを裁量を決めるベースとしています。
個人ミッションは営業職であれば売上目標、営業以外だとどのくらい自分発信のプロジェクトを立ち上げたかという部分ですね。例えば「DXで効率化を進めるプロジェクト」を立ち上げるようなミッションを、個人ごとに設定しています。
編集部
そうなんですね。マイクロマネジメントしない方針からメンバーを信頼している姿勢を感じられましたし、円滑なコミュニケーションにもつながっているのだと思います。
リモートワークの交流の場「賞賛チャンネル」を設置
▲週1出勤のテレワークを採用。働き方は個人の裁量に委ねている
編集部
Wangetさんでは週1出社でテレワークを採用しているようですが、勤務時間帯は決まっているのでしょうか。
松本さん
今後就業規則を定めるかもしれませんが、現状の基本は10:00~19:00です。ルールはあるものの個人の裁量に委ねていますね。
なので、夕方に予定がある場合は朝早くから稼働して退勤時間を早めたり、夜稼働した分遅く出勤できたりと臨機応変な調整が可能です。
編集部
テレワークの場合はチャットなどでコミュニケーションをとると思うのですが、工夫されていることはありますか?社内イベントなどもされているのでしょうか。
松本さん
テレワークの連絡などはSlackで行っていますね。コミュニケーションの1つとして、社内のSlackチャンネルで賞賛し合うチャンネルを用意しています。
例えば「〇〇さんが急な案件にスピーディーに対応してくれた」「営業部の〇〇さんが売上目標を達成した」などというように、メンバーの良い点や成果を上げた報告などをslack上で共有して賞賛する文化を作っていますね。
テレワークでは誰が何をしているのか把握しづらいため、賞賛チャンネルの存在は進捗状況や他のメンバーの情報の見える化にも役立っていますよ。
その他のコミュニケーションとしては、半期に1回の事業戦略説明会の後に食事やお酒を用意して立食形式の納会を開催しています。リモートで対面の頻度が減ったため、幹事が中心となりこのような交流を深める機会を設けていますね。
編集部
リモートワークのコミュニケーションにおいて、ただ状況を共有するだけでなくメンバーを賞賛することで社内全体の士気が高まりますね。また、情報の見える化で業務効率も上がりそうです。
変化が激しい環境で、会社と一緒に成長できる人を歓迎
▲変化が激しい環境の中、自身と企業の成長のために高め合うWangetのメンバー
編集部
最後に採用候補者に向けて「こういう人に来てほしい」という考えをお伺いできればと思います。
松本さん
Wangetはスタートアップ企業として成長を目指してるので、変化が激しい環境を提供できると思っています。”変化が激しい環境”をどのように捉えるかは個人によるところですが、変化があるということは、それだけ個人の成長機会があると思っていますし、いろんな経験ができると考えています。
一方で、変化に伴って課題が発生するため乗り越える努力が必要となりますが、乗り越えた先に個人と会社が成長できることにフォーカスして一緒に働ければいいなと思っております。
編集部
今回Wangetさんにお話を伺い、企業が急成長する理由は海外からもリソースを確保することで安定的にハイクオリティな動画を提供できるからだとわかりました。また、失敗を成功の糧にするトライアル&エラーにより、スピード感を持ちながら着実に次のステップを踏むことができるのだと感じます。
本日は、お忙しい中お時間をいただきありがとうございました。
■取材協力
株式会社Wanget:https://www.wanget.jp/
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