ユーザーにも仲間にも敬意を払う。レンティオの行動指針とカルチャー

新しい働き方を取り入れている企業を紹介するこの企画。今回は、家電お試しサービス事業を通じて、新しい消費行動をつくることに挑戦されているレンティオ株式会社をご紹介します。インタビューに応じてくださったのは人事担当の黒岩将章さんです。

レンティオ株式会社とは

「レンティオ」のサービスサイト画面
▲「レンティオ」のサービスサイト

レンティオ株式会社は、カメラや家電のサブスク・レンタルサービス「Rentio(レンティオ)」を運営する企業です。「レンティオ」は高額商品でも、新しい商品でも、気になったらまずは買わずに試してみて、気に入ればそのまま購入もOK、不要になれば返却できるという仕組みを作りました。ユーザーは3泊4日からの短期間、月額プランの2種類のプランでレンタルできます。

材料を入れてスイッチを押すだけの調理家電や、自動で床掃除をしてくれるロボット掃除機などの人気時短家電をはじめ、商品ラインナップは約3,200種類以上。スピーディーな顧客対応、返却の手間を省く工夫などにより、ユーザー満足度は「★4.8(※)」を得ています。
(※)全サービスレビューの平均値、2023年2月時点

ユーザーとメーカーの双方にメリットがある「レンティオ」

「レンティオ」で借りられるカメラや家電類
▲「レンティオ」では約3,200種類の家電がレンタルできる

「レンティオ」でのお試し体験を通じて商品を購入する人も増えるため、「レンティオ」はユーザーとメーカーの双方にメリットがあります。そこでレンティオでは多くの家電メーカーとパートナーシップを締結するなど、連携を強化しています。

「レンティオ」を介した流通額は前年比約200%ペース(※)と早いスピードで成長しています。国内の家電販売の市場規模は年間9兆円あり、レンティオでは現在は0.1%(※)に満たないシェアを拡大させるべく、サービスをブラッシュアップしています。(※)同社採用情報より

同社ではレンタルサイト「レンティオ」の他に、カメラ・家電の比較解説サイト「Rentio PRESS(レンティオプレス)」も運営しています。家電の実機レビュー記事や初心者でもわかりやすい製品の使い方や選び方を、専門ライターが紹介するサイトです。毎月数百万のPVがあり、レンティオを集客面から支えています。

レンティオプレス:https://www.rentio.jp/matome/

会社名 レンティオ株式会社
住所 東京都品川区東品川3-31-8 東品川ビルディング4F
事業内容 買わずに試せる家電のサブスク・レンタルサービス「レンティオ」の運営、その他メディアサイトの運営など
設立 2015年4月6日
公式ページ https://www.rentio.co.jp/

今回はこの「レンティオ」に関わるメンバーが大切にしていること、働きやすさを支える福利厚生制度、採用で重視することなどについて伺いました。

本日お話を伺った方
レンティオ株式会社の黒岩将章さん

レンティオ株式会社
人事担当

黒岩将章さん

「買う」「買わない」に次ぐ第三の選択肢をつくる

レンティオのミッション
▲レンティオさんのミッション(同社採用情報ページより)

編集部

「レンティオ」のサービスサイトを拝見すると色々な家電レンタル品が並んでいますが、レンティオさんの事業ミッションを教えていただけますか?

黒岩さん

レンティオは「新しい消費行動をつくる」というミッションを掲げています。具体的にどういうことかというと、例えばある人が「新製品の加湿器が気になるな」と考えたとき、その加湿器を「買う」か「買わない」かという二択が、いまの世の中の一般的な選択肢だと思うんですね。

でも、いざ買ってみたけれど、実は想像より全然使わなかったり、家のサイズにちょっと合わなかったりして、「損しちゃったな」「失敗しちゃったな」という経験は、皆さん、大なり小なりあると思います。

そこで、我々は買う前に一度、本当に必要かどうか試せる仕組みを作りました。本当に自分に必要だと感じれば、うちで借りていただいたものをそのまま購入することもできますし、量販店やネットショッピングで買うこともできます。「買う」「買わない」以外の第3の選択肢を用意して、新しい消費行動をつくる。それがレンティオのミッションです。

ユーザーファーストを象徴する2つのエピソード

レンティオ商品の梱包イメージ

編集部

他社と比べての「レンティオ」の強みはどこにあるのでしょうか?

黒岩さん

カスタマー目線でいえば、様々なものを扱っていることだと思います。

「レンティオ」が新しい商品を仕入れるときには、いくつか理由があります。例えば、お取引している家電メーカーさんから、この商品を扱ってもらえませんか?というご要望がひとつ。他に「レンティオ」らしい理由でいうと、お客様からのリクエストの声があります。

具体的な事例では、軟骨伝導イヤホンのケースがありました。これはマラソンをする人が運動しながら耳につけたりするものなんですが、健康志向の高まりを受けて人気になった商品です。

当時「レンティオ」ではその商品を扱っていませんでしたが、あるお客様からカスタマーサポートに「この商品を試したいです」とリクエストが入ったことを受けて、「だったら1個でもいいから、うちで取り扱ってみよう」と判断しました。そして、30分後にはお客様の希望の商品を仕入れて、商品ページを作りレンタルを始めたんです。

普通はビジネス的に儲かるのかどうかという議論があってから、意思決定されるものだと思いますが、すぐに対応するというのは、まさにレンティオらしさが表れています。仕入れもカスタマー目線で始まっていくというのは、弊社の強みかなと思います。

編集部

レンティオさんの行動指針として「カスタマーファースト」を挙げていらっしゃいますが、まさにその好事例だと思いました。お客様の満足度を第一に考えられているんですね。

黒岩さん

はい。レンティオでは2020年11月に、レンタル料金の総額が商品金額を超えているお客様にはその商品を譲渡するという決定をしました。簡単に言うと、商品ごとに定められた一定の期間を超えると、もうそれ以上のお金はいただかず、商品をお客様に譲ってしまうということです。これも、同じカスタマーファーストの考えからです。

ビジネス的にはそのまま借りていてくれた方が自動的に毎月収益が上がります。しかし、本当にそれがお客様にとって良いことなのか、また長い目で見たとき自分たちにとっても良いのかを考えると、やっぱりそうではありません。カスタマーファーストで意思決定をする方が「レンティオ」らしいし、結果それが将来的な成長につながると考えています。

レンティオの行動指針
▲レンティオでは「カスタマーファースト」「本質的価値の追求」「仲間への敬意」を行動指針に掲げている

編集部

2つのエピソードから、レンティオさんの行動指針「カスタマーファースト」が実際の意思決定に反映されていることを実感できました。

平均年齢32歳の「おっとりした」ベンチャー

レンティオメンバーの職種割合や平均年齢、男女比、正社員比率のデータ
▲平均年齢32歳だが、社内は落ち着いた雰囲気だという(資料は同社採用資料より)

編集部

レンティオさんの社内の雰囲気について教えていただけますか?

黒岩さん

我々は社外からはEC系やIT系のベンチャーと見られることが多いですが、一般的な「キラキラしているベンチャー」という感じではまったくなく、どちらかというと「キラキラしていないベンチャー」かもしれません。自分たちでは、「ベンチャーというよりは、中小企業みたいな感じ」とよく言っています。

平均年齢は32歳で、比率では20代~40代が中心です。メンバーは地に足がついた人たちが多い印象で、タイプではほんわか、おっとりとした性格の人たちが多いと思います。そのため、普段は穏やかな空気感の中で、粛々と効率的に仕事をしているという感じです。

社内のコミュニケーションではSlack(ビジネスチャット)を全員で使っていますが、Slackで代表の三輪(代表取締役社長の三輪謙二朗さん)がボケたりすると、若手社員がツッコミを入れるような雰囲気もあります。

編集部

おっとりした方が多いとお聞きして社内の落ち着いた雰囲気を想像しましたが、若手社員が社長様と気軽にやり取りできるようなカジュアルな部分もあるのですね。

副業や男性育休など、多様な働き方の事例が自然に生まれている

レンティオ社内の製品棚
▲カスタマーサポートと物流センターは東京・品川シーサイドにある

編集部

皆さんの働き方や勤務時間については、どのようなルールになっていますか?

黒岩さん

勤務体系は大きく2つに分かれています。事業部と言われる現場職の場合は、基本は出社です。就業時間は10時~19時です。コーポレート職と呼んでいる、マーケティングや広報、経理、人事などの職種に関しては、リモートワークもOKとしています。就業時間は10時~16時をコアタイムとする、フレックスタイム制を導入しています。副業も可能です。

編集部

副業をする社員の方もいらっしゃるのですか?

黒岩さん

まだまだ4〜5名ぐらいですが、副業をしている社員はいます。副業は政府の流れもそうですが、推進していく方針です。

また、世間では男性の育休をどうするかが話題ですが、レンティオではわざわざ話題に上がるほどでもなく、ごく普通に「どうぞ」という感じで送り出しています。実は私、このインタビューを受ける前にもちょうど、育休取得社員の手続きをしていたところなんですよ。

編集部

自然な形で多様な働き方の事例が広がっているのですね。

レンティオさんのWantedlyページでは、男性社員として、また管理職として、育児休暇を取得した社員のストーリーが公開されています。育児だけではなく、介護や持病など様々なライフスタイルを持つ方にとって働きやすい環境を目指したいと書かれているのが、印象的でした。

■男性社員として管理職としても初めての育児休暇を取得した社員のストーリー
【リモートワーク×育休】育児と両立できる働き方を続けて良かった点、大変だった点

フリードリンク&スナックも。働きやすさを支える福利厚生制度

レンティオ社内のフリードリンク&フリースナックコーナーを紹介する黒岩さん
▲社員に好評のフリードリンク&フリースナック制度

編集部

他に、働きやすさを支える福利厚生制度にはどのようなものがありますか?

黒岩さん

オフィスに、フリードリンク・フリースナックのスペースがあります。また、「レンティオ」の商品を無料で試せる制度もあり、多くの社員が使ってくれています。

編集部

社内の飲み物やお菓子が無料というのは、嬉しい制度ですね!「レンティオ」商品のお試し制度を使えば、お客様に貸し出す商品の使い勝手を実感できたり、気づいた点を社内に共有できたりしますね。

「仲間との経費」制度で社員同士の交流を後押し

インタビューに答えるレンティオの黒岩さん

編集部

リモートワークの方も出社の方もいるということですが、メンバー同士のコミュニケーションを促す工夫はありますか?

黒岩さん

「仲間との経費」という制度があります。これは、我々の行動指針にある「仲間への敬意」をちょっと言いかえたネーミングです。メンバー同士で食事に行くとき、例えば飲み会であれば1人3,000円というように、会社が補助を出す制度です。

この制度は多くの社員が使ってくれていて、人数でいうと月に50~70名ぐらいに上っています。実際に社員からは「この制度、めっちゃいいです」という声が聞かれていますし、非常に好評です。

この制度を導入した目的は、社員同士の交流を深めてもらうことです。というのも、ここ数年、一緒に働く仲間と飲む機会がとても減ってしまいましたよね。対面でもマスクをしての交流であったため、濃いコミュニケーションをとる機会は本当にゼロに近い状態になってしまいました。しかし、社会的にも対面交流の緩和の流れが進んできたこともあって、最近は制度を活用する機会も増えています。

編集部

社員さんが心理的に安全に働くためにも、相互理解や交流を深めてもらうことを促し、費用面でそれをサポートしていらっしゃるのですね。

黒岩さん

この制度によって、今、具体的に目に見えるような成果があるかというと、まだそこまでではありません。しかし、一緒に働く仲間が悩みや楽しいことを共有する時間になったり、お互いを知る機会になっていると思います。私自身、仕事をする上で相互理解はすごく重要だと考えていますので、それを促進するきっかけにはなっていると思います。

社員に共通するのは「すぐ動く」「柔軟に変えられる」「力を抜ける」こと

レンティオのサービスイメージ写真

編集部

ここからは採用についてお聞きしたいと思いますが、まず、現在レンティオで活躍しているメンバーに共通する資質があれば教えてください。

黒岩さん

共通点は3つあると思っています。

1つめは「すぐ動く」ということ。日々業務をする中で、誰かがやらないといけない課題や問題が出てきますが、それに対して「私がやります!」と声を挙げてくれる人が多いです。すると、周りの人も「だったら私も手伝います」という感じで、フォローに入ってくれます。

2つめは「柔軟に変えられる」こと。レンティオではここ数年、社内制度や仕組みを整えているところですが、大企業に比べると「型」は決まっていないことが多いです。事業においても私たちは正解がないことをやっているので、「左に行くと言ったけど、やっぱり右に行く」というような方向転換に柔軟に対応できる人というのは、活躍する人に共通する資質だと思います。

3つめは「力を抜ける」ことです。これはサボるとかではなく、根を詰めて考えたり、アウトプットに集中することが終わったら、ちょっとお茶やお菓子タイムをとるというように、適度に力を抜くことです。ビジネスも人生も短距離走ではありませんので、適度に水分補給や休憩が必要です。それができる人というのは、結果的に良いバランスで動けているなと感じます。

編集部

適切な休憩が取れる人ということですね。活躍するレンティオ社員さんは、先ほどお伺いした社内のフリードリンクやフリースナック制度なども使って、上手に「力を抜いて」いらっしゃるのだろうと思いました。

様々なバックグラウンドのメンバーが「ミッション」に共感して入社

「レンティオ」のサービスサイト画面
▲もともと「レンティオ」のサービスのファンだったという社員も多い

編集部

活躍する社員に共通する資質について教えていただきましたが、皆さんのバックグラウンドは様々でいらっしゃるのでしょうか。

黒岩さん

本当に様々です。うちはほぼ中途採用ですが、広告代理店、雑貨専門店、家電量販店出身の人、ベンチャー業界にいた人、フリーランスでカメラマンをやっていた人、仮想通貨をやっていた人など、色んな人がいます。私自身も以前は居酒屋の店長をやってました。

編集部

皆さんの入社動機やきっかけはどのようなものが多いのでしょうか?

黒岩さん

これも本当に人それぞれだと思いますが、ミッションに共感したという人、サービスが好きという人が多いです。元々レンティオのユーザーで、ファンでいてくれた人もいます。また、知り合い経由で入社している社員もとても多いです。

採用では人となりとカルチャーフィットを重視する

レンティオ株式会社の黒岩将章さん

編集部

自分自身が「レンティオ」サービスのファンだったり、知り合いの紹介で入社される方も多いということですが、採用で重視されるポイントはありますか?

黒岩さん

まず、カルチャーフィットをとても大切にしています。どんなに能力が高くても、カルチャーに合わない方は採用しないと決めています。また、他人に対する態度などに表れる、人となりも重視しています。

編集部

行動指針にある「カスタマーファースト」や「仲間への敬意」ができるかというところですね。

黒岩さん

そうですね。そこが合わないと、結果的に仕事の成果も上がらず、本人もすぐ辞めてしまうという事態が起こると思います。だから、カルチャーフィットや人となりを重視して採用した結果、レンティオは離職率がとても低いです。

もちろん、時には辞める人もいますが、前向きな退職の仕方が多いです。例えば、レンティオで数年働いて専門的なスキルが身に付いたので、今後はフリーランスとしてキャリアを考えたいというような人です。

編集部

そうであれば、快く送り出せるわけですね。

黒岩さん

そうですね。実はちょうど昨日、社内メンバーで屋形船に乗っていたんですが、そこには先月末で辞めた社員も来ていて、すごく満足した様子で楽しんでいましたよ。

編集部

そのお話を伺うだけで、レンティオさんの企業カルチャーが伝わってきますね。黒岩さん、本日はありがとうございました!

レンティオさんは、カスタマーサポート、物流企画、バイヤーなどの事業部から、エンジニアやプロダクトマネージャー、ウェブデザイナー、経理、法務まで、幅広く人材を募集しています。レンティオの事業ミッションやカルチャーに興味を持った方は、ぜひ採用ページをのぞいてみてください。

■取材協力
レンティオ株式会社:https://www.rentio.co.jp/
採用ページ:https://recruit.rentio.co.jp/
レンティオサービスサイト:https://www.rentio.jp/