MODE, Inc.のCEO/Co-founderの上田学さん

日米に拠点を持つ「MODE, Inc.」。グローバルかつ現場重視の働き方とは

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、MODE, Inc.にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。

MODE, Inc.は、2014年創設のアメリカ・サンフランシスコと東京にオフィスを構えるIoTスタートアップ。Google、Twitter、Yahoo!などで開発を経験したエンジニアが立ち上げた企業で、日米の拠点で約50名の社員が「本社」の概念にとらわれないフラットな組織でグローバルに活躍しています。

同社が目指すのは、人間と生成AIの協働による新しい働き方。センサーやカメラから集めた情報とAI技術を駆使して企業の現場オペレーションを強化する「BizStack(ビズスタック)」をはじめとした先進的な技術で、世界を舞台に多くの業界を支えています。

今回は、CEO/Co-founderの上田さんに、同社の事業の魅力や求める人材像についてお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
MODE, Inc.のCEO/Co-founder上田学さん

MODE, Inc.
CEO/Co-founder

上田 学さん

「生成AI×現場DX」で世界にアプローチするMODE, Inc.の理念

MODE, Inc.が展示会に出展した際の様子
▲MODE, Inc.が展示会に出展した際の様子

編集部

まずは御社がどのような企業か、業務内容や目指す姿をお聞かせいただけますか。

上田さん

MODEを立ち上げたのは、「IoT技術に生成AIをかけ合わせることであらゆる作業現場での働き方に革新を起こしたい」という想いがあるからです。「地球上の挑戦に生成AIで応える」を合言葉に、企業活動のさまざまな現場においてデータを最大限に活用し、より理性的に判断できるよう支援することが使命です。

編集部

上田さんはアメリカのGoogleおよびTwitter社でのエンジニア経験があるそうですが、なぜ現在の事業を立ち上げようと思われたのでしょうか。

上田さん

私がCTO/Co-FounderのEthan Kanとともに会社を立ち上げたのは2014年になります。それまではGoogleに8年、Twitterに2年在籍し、長らくインターネットのサービス開発に携わってきました。

インターネットは素晴らしい技術ですが、サイバー空間上の活動であり、いつしか現実世界とは別世界のような印象を抱くようになったんです。そこで、「次になにかに取り組むなら、地球上での生活に実際に関わりたい」と考え、この会社を設立しました。

編集部

今後のビジョンについてもぜひお聞かせください。

上田さん

私たちが目指しているのは、人間とAIがチームで業務を進める新しい働き方の実現です。

日本では人口減少に伴い、働き手も不足しています。例えば、従来10人で行っていた仕事を8人でこなさなければならない状況下となっていますが、我々は残りの2人分を単純に残業や過重労働で補うのではなく、AIとIoTで補完することを考えています。

また、現在の生成AIはチャットでテキストを打ち込む形式ですが、音声での対話や画像認識を活用したマルチモーダルなコミュニケーションを可能にしたいと考えています。目指すのは、AIと人間が、実際の職場の同僚のように会話し視覚や聴覚をベースに一緒に仕事ができる未来です。

海外に目を向けると、アメリカでは人口減少の懸念は少ないものの、物価や人件費の高騰が課題となっており、コスト削減の観点から同様のニーズがあります。将来的には国を問わずGDP(国内総生産)の一部を人間ではなくAIが占めるような時代が来ると予想していますので、そこに向けてグローバルに展開していく予定です。

「BizStack」「BizStack Assistant」で現場の業務効率化に貢献

編集部

御社のサービスおよびプロダクトについて、もう少しご紹介ください。

上田さん

2014年の起業から8年ほどかけて、私たちは現実世界を理解するためさまざまなセンサーやカメラによる情報を集約し、使いやすく表現することに取り組んできました。しかし、実際にクライアントに目を向けると、デジタルの世界だけで完結せず、現場で人が動く場面が多くあります。

技術を必要としているのは建設業や鉄道・高速道路などのインフラ維持管理、ビルや学校などのメンテナンス業、製造業など、いつもコンピューター画面の前に座っているわけにはいかない業種のため、それは当然ですよね。そのため、働き方に合わせてサービスをどこでも使えるようにしたいと考えました。

そこで開発したのが、まず「BizStack(ビズスタック)」です。これは現場の多くのデータを収集し、それらのデータを一元化してわかりやすく見える化することで、課題を明確にして業務改善に繋げることができるプラットフォームとなります。

そして、生成AI技術を活用して、いつも使っているチャットアプリから、話し言葉で問い合わせることで必要な情報をグラフや文章で取得できる「BizStack Assistant(ビズスタックアシスタント)」もリリースしました。おかげさまで、多くのお客様から現場作業員もIoTを使いこなして業務効率が向上したとの声をいただいており、同様のプロダクトがまだ少ないこともあり大変好評を得ております。

MODE, Inc.の組織:日米を拠点に多国籍のスタッフが協力し合う

MODE, Inc.の社員によるミーティング風景
▲MODE, Inc.は社員たちがフラットな環境で意見を発言しやすい雰囲気。アメリカと日本を行き来するCEO上田さんも積極的にコミュニケーションに加わる。

編集部

御社はアメリカと日本に拠点があるそうですが、本社はどちらにあるのでしょうか?

上田さん

アメリカのサンフランシスコと東京に拠点がありますが、実は本社という概念がないんです。世界中の社員がそれぞれの場所で能力を存分に発揮できるよう、どちらかの拠点が偉いといった差を作らず、フラットな環境で全員が協力しながらグローバルチームとして活動する、そんな会社を目指しています。

編集部

それぞれの規模やメンバーの国籍についてお教えください。

上田さん

弊社には約50人の社員がいて、アメリカにおよそ15人、残り約35人が日本で勤務しています。この取材をお受けしているタイミングでは日本に戻っているのですが、私も普段はアメリカで働いています。

弊社は、社員の約4割が外国籍です。アメリカの拠点も、日本の拠点も、それぞれ10名ほど日本国籍以外の社員が在籍しています。

国籍関係なくできる仕事ですし、スタートアップならではのスピード感ある採用・転職できる方を採用していったところ自然とさまざまな国籍の社員が増えていきました。ちなみに、エンジニアチームは特に国際色が豊かですよ。

アメリカのメンバーも含め、みんな「MODEはワンチームなんだ」という意識を持ってもらうようにしています。「アメリカ側が中心となって意思決定をする」というような組織にはしたくないと考えています。

ミーティングや業務連絡、エンジニア間のコミュニケーションは英語が基本

MODE, Inc.の談話中の社員

編集部

御社では共通言語が英語だそうですね。社内のコミュニケーションすべてがそうなのでしょうか。

上田さん

会社全体でのコミュニケーションやミーティング、チャットツールでの連絡などは、基本的に英語です。例えば日本人同士で日本のクライアントの話をする際は日本語ですが、決定事項を全社に共有するときは必ず英語で発信します。

エンジニアチームはアメリカと日本のメンバーが混在しているため、関連文書や週次ミーティングも含めてすべてのコミュニケーションが英語です。

編集部

どのくらいの英語力が求められるかを気にされている方もいらっしゃると思います。必要なレベルは決まっていますか?

上田さん

入社時点では、特段高いレベルの英語力は求めていません。ですが、1つだけ入社される方へ事前にお伝えしていることがあります。それは、「英語で仕事をするのが嫌、できれば英語の使用を避けたい」といった方はやめておいた方がいいということです。

英語が堪能でなくても、「上手くなりたい」という向上心があればそれをサポートしていますし、下手だから話を聞かなかったり小馬鹿にするような社員はいません。向上心がある方は、英語未経験でも歓迎します。しかし、英語に苦手意識がある方には向かない職場かなと思います。

アメリカのメンバーにも、たどたどしい英語でも辛抱強く聞くよう話しています。「助け合う」文化を作り上げたいと思っています。

時差を逆手に日米それぞれで生産性の高い業務スケジュールを考案

編集部

日本とアメリカに拠点があると、仕事を進めるうえで難しさを感じることはありますか?

上田さん

サンフランシスコと東京では約8時間の時差がありますが、特段スケジューリングが難しいと感じることはありませんね。アメリカチームと日本チームの勤務時間には1日4時間程度の重なる時間帯があり、そこで密なコミュニケーションを取るようにしています。

アメリカチームは勤務時間を少し後ろにずらし、日本チームは早い人は朝8時、通常は朝9時から昼頃までをアメリカとのコミュニケーションタイムとし、それ以外は各自が集中して作業を行います。アメリカチームは朝に集中作業、午後に日本とのコミュニケーションという流れです。

このサイクルに慣れてしまえば、むしろ時差がない組織よりも効率的に業務を進められます。

グローバル企業に挑戦してみたい、という方もいきなり全世界に支社があるような超グローバル企業では苦労する場面が多いかと思います。その点、弊社は日本の緻密さと、アメリカのオープンでスピーディーな側面が共存しており、絶妙な働きやすさだと思います。

リモートワークでも偶発的なコミュニケーションを重視

編集部

御社は完全リモートワークだそうですが、実際に出社する機会もあるのでしょうか。

上田さん

完全リモートワークではなくリモートファーストですが、月に1回程度は何か用事があって出社するメンバーが多いと思います。北海道在住のメンバーもおり、そういった際は東京まで来てもらっています。旅費は会社が負担しますので、日本国内であればどこに住んでいても問題ありません。

編集部

オンラインのコミュニケーションではどのような点を工夫していますか?

上田さん

リモートの環境下でいかにコミュニケーションを取るかは重要な課題です。今後、フルリモートの働き方は廃れていくと予想されますが、それでも人材活用を考えたときにリモートという選択肢は外せません。弊社ではリモートファーストを文化として残そうとしています。

しかし、やはり仕事は人と人が密にコミュニケーションを取り、仲良くなった方が進めやすいです。そのため、リモートであっても一昔前の「たばこ部屋」のような、カジュアルな会話の場を作るよう意識しています。

定石が無いからいい!挑戦を楽しむのがMODE, Inc.の社風

MODE, Inc.のミーティング中の女性社員
▲ミーティング中の女性社員。活発に意見を交換している。

編集部

御社の企業文化について、特徴的な点を教えていただけますか。

上田さん

最も特徴的なのは、「答えのない問題にチャレンジしている」という点です。IoTやAI分野はまだ定石が確立されておらず、常に模索しながら進んでいます。「やるべきことが明確で、それを実行すれば成果が出る」という分野ではありません。

そのため、弊社には不確実性を楽しめる人、チャレンジ精神のある社員が集まっています。また、楽観的な人が多いのも特筆すべき点ですね。「うまくいかない理由を探すよりも、失敗してから考えよう」という前向きな姿勢を持つメンバーが揃っています。

メンバーには、とにかくいろいろなことにチャレンジして欲しいと思っています。「承認を取ってからやる」ではなく、「やってから報告する」という文化を大切にしています。新しいことにチャレンジする際、トップから駄目とは言わないようにしています。

大切にしているのは「現場に足を運ぶこと」

編集部

仕事の進め方において、「MODEらしい」と感じている点はありますか?

上田さん

一般的に、IT関係のスタートアップだと都心でのミーティングはあっても出張が多いイメージはあまりないかと思います。ただ、弊社では北海道から九州まで全国を出張するメンバーが多いですね。我々はソフトウェアだけでなくセンサーやデータを測るハードウェアもセットで扱うため、これらを担当するデリバリーチームは特に忙しく飛び回っています。

また、エンジニアもなるべく実際に現場へ行くよう伝えています。夜間の工事現場や冷凍倉庫に行かせていただいたり、ダムやトンネル、離島の発電所に足を運んだりと、行き先はさまざまです。やはり現地に行く場合と行かない場合とでは、理解度や仕事の進捗に大きな差があり、お客様から学ばせていただいています。

お客様のリアルな作業現場と私達のソフトウェアのテクノロジーが繋がっていると実感できることで、とてもやりがいを覚えているのが特徴ですね。

MODE, Inc.の採用メッセージ:「学び続ける姿勢」を持った人を歓迎

MODE, Inc.のミーティング風景
▲ミーティング中の笑顔の社員たち。右がCEO上田さん。

編集部

MODE, Inc.にフィットするのは、どのような人でしょうか。

上田さん

採用においては、「常に学び続ける姿勢がある人を採用しよう」という指針があります。ツールのひとつとしての英語習得も含めて、新しい知識・スキルを習得して成長していける方を求めています。

なお、弊社には多様なバックグラウンドの方が集まっていますが、ベースとしてソフトウェア、テクノロジー関連の知識や技術を持っている方がほとんどです。これらがあってこそ活躍できると思います。現場に足繫く通うなかで、建設や物流、交通インフラやメンテナンス業界の内情を学び、解決策を模索しながら業務を進めています。

編集部

最後に、この記事をご覧の転職活動中の方に向けて、メッセージをお願いできますか。

上田さん

おかげさまで多くの引き合いをいただいており業務拡大中のため、全般的に人材を募集している状況です。これまでお話しした通り、私たちは「答えのない仕事」に取り組んでいます。そのため、「これをどうやったらいいですか」「次は何をすればいいですか」といった指示を待つのではなく、自ら道を切り開いていける方を求めています。

チャレンジ精神があり、自分の力を存分に発揮したいと考えている方には、思い切り活躍できる最適な環境を提供できると思います。全職種で募集を行っていますので、エンジニアやセールスなどの職種にご興味をお持ちの方はぜひご応募ください。

編集部

御社の現場とテクノロジーを共存させたいという想いや、新たな分野へチャレンジする前向きな姿勢が大変強く伝わりました。本日はありがとうございました。

この記事のまとめ

MODE, Inc.の事業 ・Google、Twitter出身のエンジニアが創業
・約50名の社員(米15名、日35名)で、社員の約4割が外国籍
・「BizStack」シリーズが主力製品。センサーと生成AI技術で企業の現場オペレーションを効率化
組織と働き方 ・日米の拠点がフラットに協働する「本社なし」の組織体制
・基本的に全社コミュニケーションは英語(高い英語力は不要だが、学ぶ意欲が重要)
・リモートファースト
・時差を活かした効率的な業務スケジュール(日米で4時間の重なる時間帯を活用)
特徴的なカルチャー ・現場重視(全国各地の現場に足を運ぶ文化)
・「やってから報告する」という挑戦を推奨する文化
・「答えのない問題」に取り組むことを重視
求める人材像 ・学び続ける姿勢がある人
・不確実性を楽しめる、チャレンジ精神のある人
・自ら道を切り開ける主体性のある人
・ソフトウェア・テクノロジー関連の基礎知識を持つ人

MODE, Inc.の基本情報

住所 ・サンフランシスコオフィス
1840 Gateway Dr. Suite 250 San Mateo CA 94404 USA
・東京オフィス
東京都千代田区岩本町1-3-9 KANDA HIKOBAE 2F
事業内容 センサープラットフォーム及び関連ソフトウェアサービスの提供
設立 2014年7月
働き方 リモートファースト
公式ページ https://www.tinkermode.jp/
採用ページ https://www.tinkermode.jp/careers
募集職種 ・Business Development Manager(事業開発マネージャー)
・Business Planning Manager(事業企画マネージャー)
・Senior Account Sales Manager
・Solutions Architect
・Solutions Engineer
・Senior Software Engineer