リモートなど新しい働き方を取り入れ、独自制度等で働きやすい環境を実現している企業にインタビューするこの企画。今回は、早くから教育とテクノロジーを融合させたEdTech(※)に取り組み、大学受験生を中心に多くの学習者に利用されている学習管理アプリ「Studyplus」を開発・運営しているスタディプラス株式会社を取材させていただきました。
(※)EdTech(エドテック):教育とテクノロジーを組み合わせた言葉で、IT・ICTをはじめとした先端技術を活用して教育分野に革新をもたらすビジネスや企業の総称。
スタディプラス株式会社:EdTechプラットフォーム企業の概要
スタディプラス株式会社は、「学ぶ喜びをすべての人へ」というミッションを掲げるEdTechプラットフォーム企業です。代表的なプロダクトである学習管理アプリ「Studyplus」をはじめ、教育機関向けの「Studyplus for School」など、幅広い教育サービスを展開しています。
会社名 | スタディプラス株式会社 |
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住所 | 東京都千代田区神田駿河台2-5-12 NMF駿河台ビル4階 |
事業内容 | IT×教育サービスの企画、開発、運営 ・学習管理アプリ「Studyplus」 ・教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」 ・電子参考書プラットフォーム「Studyplusブック」 |
設立 | 2010年5月 |
公式ページ | https://info.studyplus.co.jp/ |
働き方 | フルリモート(リモートワークまたは出社を選択可能) フルフレックス制度あり |
今回は、エンジニアの方々に特化した情報として、スタディプラス株式会社の職場環境、企業文化、独自の制度などについて、ソフトウェア事業本部・開発部部長で、VPoE(バイス・プレジデント・オブ・エンジニアリング)を務める大石さんにお話を伺いました。
スタディプラス株式会社の主力サービス:学習管理アプリ「Studyplus」
▲スタディプラス株式会社のミッション。学生から社会人まで、学ぶ喜びを広げていくためのサービスを展開している(公式資料より引用)。
編集部
最初に、スタディプラス株式会社がどのような事業を展開されているのか、教えていただけますか。
大石さん
私たちは、「学ぶ喜びをすべての人へ」というミッションのもと、継続した学習を支援するためのプラットフォームを提供しています。
代表的なプロダクトは、社名と同じ名前を持つ個人向けの学習管理アプリ「Studyplus」です。このStudyplusは、単に勉強時間や進捗を記録するだけでなく、グラフで詳しく振り返ることができます。さらに、SNS機能を活用して同じ目標を持つユーザー同士がつながり、励まし合いながら学習を進められる仕組みになっています。
また、「Studyplusブック」というサービスも提供しており、月額980円(税込)で200冊以上の参考書を制限なく読むことができます。「Studyplusブック」には教育機関向けの機能もあり、対象となる紙の参考書を購入すると、Studyplus上で利用できる電子版を提供する「Studyplusブックコード」のサービスも展開しています。
▲学習管理アプリ「Studyplus」は勉強時間の記録だけではなく、学ぶ仲間との交流や電子教材の活用など多くの機能を持つ。
編集部
実際に、どれくらいの方に利用されているのでしょうか?
大石さん
Studyplusの受験生の年間アクティブユーザーは約30万人以上で、調査によると大学受験生のおよそ2人に1人が利用してくれています。おかげさまで、教育分野のアプリの中で最も利用されているものとして高く評価されています。
編集部
実は、社会人になってから私もStudyplusを利用させていただいたことがあります。コンピューターグラフィックスの学習を継続するために学習管理をしたくてダウンロードしたのですが、同じような方もいらっしゃるのでしょうか?
大石さん
はい、もちろんです。主なユーザーは中学生から大学生の若年層ですが、全体の約2割は社会人の方々です。仕事後や家事・育児の合間など、限られた時間で効率的な学習を習慣づけるためにご利用いただくケースも多いです。
編集部
そうなんですね。学生でも社会人でも、効率的かつモチベーション高く学び続けたいという思いは共通していると感じます。そのためのサービスを提供されているスタディプラス株式会社の事業は、社会全体の向上に貢献されているのではないでしょうか。
▲自分の勉強記録に付けられたコメントを読むと、モチベーションアップにもつながる。
教育機関向けサービス:「Studyplus for School」の特徴と機能
編集部
スタディプラスさんが手掛けている事業で、Studyplus以外のものはあるのでしょうか?
大石さん
はい。Studyplusから派生する形で、学校や塾・予備校で利用いただくBtoBのSaaSである「Studyplus for School」をリリースしています。これは、生徒の皆さんがStudyplusで記録した学習データを先生が確認し、授業に活用していただくプロダクトです。
▲「Studyplus for School」は、約1,500校以上の学校や学習塾に導入されている(2023年1月現在)。
編集部
Studyplus for Schoolの特徴的な機能を教えていただけますか?
大石さん
主な特徴として、学習記録のビジュアル化表示、学習計画や面談記録、教室入室履歴などの各種データのデジタル化と集約機能があります。また、生徒とのコミュニケーションツールとしてメッセージやリアクション機能も備えています。
2023年4月に大幅なリニューアルを行い、教室管理システムやAIを活用したドリルが利用できる教材配信システムを無料でお使いいただけるようになりました。これにより、今後さらに多くの教育関係者にご利用いただけると考えています。
スタディプラス株式会社の働き方:フルリモートとフルフレックス制度
▲スタディプラスさんは、フルリモート・フルフレックスで働く環境を整備している(公式資料より引用)。
編集部
続いて、スタディプラスさんの働く環境についてお話しいただければと思います。特にエンジニアの皆さんは、どのように働かれているのでしょうか?
大石さん
弊社のエンジニアのメンバーは、ほぼ100%フルリモートで働いています。社員全体で見ても、出社しているのは全体の10%未満です。私は開発部では一番オフィスに出ているほうですが、それでも月1〜2回程度です。
勤務時間についてはフルフレックス制を採用しており、業務スケジュールや個人の都合に合わせて自由度の高い働き方ができます。例えば、朝型の人は7時に勤務開始して17時に退勤したり、子育て中の社員は送り迎えのため午前・午後の各1時間を離席したりといった具合です。
コアタイムも設定していないので、午前中に用事がある日は午後から働くなど、各メンバーが柔軟に調整しています。現在の平均残業時間は10時間未満で、全く残業しないメンバーもいるため、比較的余裕のある働き方が実現できています。
編集部
フルリモートということであれば、必ずしもオフィスがある東京都心に近いところに住まなくてもよいということでしょうか。
大石さん
はい、その通りです。現在は静岡県や福岡県から勤務しているメンバーがいますし、都心にいたメンバーが郊外に移住するケースもあります。住む場所の選択肢が広がっているのが特徴です。
リモートワーク下のコミュニケーション戦略:音声ミーティングと雑談の重要性
編集部
基本的にフルリモートで働かれているスタディプラスさんでは、日常のコミュニケーションなどで意識されていることはありますか?
大石さん
会社共通のルールというよりは、チームごとに異なる取り組みをしています。
例えば、毎日夕会を実施しているチームでは、その中で業務以外の話をするように心がけています。また、「水曜日の14時から16時までの2時間」というように時間を決めて、音声をつなぎながら雑談を交えて作業しているチームもあります。
編集部
リモートだからこそ、気軽に話せる場面を意図的に作っているんですね。雑談では、どのような話をされるのでしょうか。
大石さん
本当に一般的な、何ということはないテーマです。「どこどこのお店のラーメンが美味しい」「先週こんな映画を見てきた」といった感じです。
メンバーはみんな和気あいあいとした雰囲気で、親しい距離感で働いています。土日も一緒に遊ぶというほどではありませんが(笑)、お互いに気軽に声を掛け合って仕事を進めていける雰囲気です。
編集部
気軽に雑談ができる職場ということで、スタディプラスさんではかなり心理的安全性が確保されていると感じました。リモートワークでも効果的なコミュニケーションを実現されているのですね。
スタディプラス株式会社の開発手法:スクラム開発の実践
▲スクラム開発のスプリントレビュー(振り返りミーティング)の画面。雑談や感謝のやり取りも含まれる。
編集部
次に、スタディプラスさんでは実際にエンジニアの方々がどのような流れでプロダクトを開発されているのか、詳細を伺えますでしょうか。
大石さん
一例として、現在社内全体の3分の2が採用している、スクラム開発(※)をベースにしているチームをご紹介します。
(※)アジャイル開発のひとつで、少人数のチームに分かれて「スプリント」と呼ばれる一定の短期間ごとに機能単位で開発をおこなう手法。
このチームでは、開発を進める際にまず「この機能は誰が担当する」と決め、1週間または2週間ごとに「この期間でこんな成果がありました」とみんなで振り返ります。短いスパンで進捗を報告して管理できるので効率的ですし、他の人の作業範囲もすぐに把握できます。
この方針はスクラム開発を採用していないチームでも同様で、毎週の定例会議で話し合ったり、必要に応じてSlackのハドルミーティング(※)ですぐに相談できるので、コミュニケーションを欠かさずに仕事に取り組んでいます。
(※)ハドルミーティング:Slackの機能のひとつ。ワンクリックでチャンネルのメンバーと会話できる。
編集部
振り返りなどに、どれくらいの時間を割いているのでしょうか。
大石さん
チームによって異なりますが、例えば「1スプリント=2週間」で設定しているチームでは、毎日17時からデイリースクラムという夕会のようなミーティングを30分行っています。また、各スプリントを振り返るスプリントレビューを2週間に4時間程度開催しています。
さらに、プロダクトの改善例について話し合う改善プランニングというイベントも実施しています。
エンジニアのキャリア支援:柔軟なキャリアラダーと評価制度
▲評価制度では、四半期ごとに目標を設定。将来のキャリアも自由度高く選択できる(公式資料より引用)。
編集部
スタディプラスさんのエンジニアの皆さんはどのようにキャリアを選択されるのか、そのあたりの仕組みについてお教えいただけますか?
大石さん
弊社では、エンジニア向けのキャリアラダー(※)を設定しています。「こういうことができたらこの等級になる」というのが明確なので、今の自分に求められているものがわかります。
(※)キャリアラダー:キャリアとハシゴ(ラダー)を掛け合わせた言葉。ハシゴを1段ずつ登るようにキャリアアップするためのプランや育成方法。
また、四半期に1回評価面談があり、その場でリーダーと「将来の目標のために、こういう分野にもチャレンジしてみてはどうか」などと相談できます。キャリアラダーと現在の評価を紐付けることで、モチベーション高く成長していけるようになっています。
編集部
エンジニアの方から「ベテランになるとマネジメントの方向に進むことを求められるが、まだまだ現場にいたい」という声を聞くこともあります。将来的なポジションについて個人の意見は反映されるのでしょうか?
大石さん
もちろんです。たとえば「フロントエンドをやっているけどサーバーサイドの経験を積みたい」というような要望があれば、本人と話して適性も確かめた上で、それに沿ったポジションに異動するということをやりやすい組織だと思います。
スタディプラスでは、経験年数に関わらず比較的自由にキャリアの方向性を選ぶことができます。エンジニアには、マネジメントや経営の方面に進みたい人もいれば、「自分はテックリード(※)として現場で開発していたい」という人もいます。個人の希望を叶えた上で働いてもらうことが一番だと考え、そのような制度を整えています。
(※)テックリード:プロジェクトにおける技術面でのリーダーで、チームを牽引する役割。
編集部
エンジニアが将来的なプランを持って仕事に取り組めるよう、柔軟性の高い制度設定にされているんですね。魅力的に感じる方はすごく多いと思います!
エンジニア文化の醸成:LT大会、テックブログ、Podcastの活用
▲エンジニアの皆さんはさまざまな取り組みをおこなっている(公式資料より引用)。
編集部
スタディプラスさんでは、スキルアップや社内カルチャーの醸成のために、エンジニアの皆さんがおこなっている取り組みなどはあるのでしょうか。
大石さん
勉強会やモブプロ・ペアプロ(※)などさまざまな取り組みをおこなっていますが、特徴的なものを2つ紹介させていただきます。
(※)モブプロ・ペアプロ:モブプロは3人以上で、ペアプロは2人で一緒に開発すること。ドライバー役とナビゲーター役に分かれて実施する。
まずは「振り返りLT大会」です。LTはライトニングトークのことで、短い時間で自由なテーマについてプレゼンテーションを行います。LT大会は四半期ごとに実施していて、この期間に各チームが取り組んだ内容や、新しく学んだ技術について発表し合っています。
LTに限らず、情報共有はスタディプラスでは日常的に行われており、そこから新しい取り組みが生まれることもあります。例えば、最近話題のAI関連では、雑談から始まったGitHub Copilot(※)の話題をきっかけに、開発部で検証を行い、現在は全エンジニアに導入しています。
(※)GitHub Copilot:GitHubが提供する、AIによるコーディング支援機能。
編集部
お互いの状況や知識を共有する場を設けているんですね。2つ目の特徴的な取り組みはなんでしょうか。
大石さん
2つ目は、採用広報の一環にもなっている「テックブログ・Podcastの配信」です。テックブログを開設しているIT企業は多いですが、弊社では2018年から継続して年間30記事以上を更新しています。
また、月1回程度のペースで配信している「Studyplus Engineering Podcast」では、社内のエンジニアをゲストに迎え、最近の出来事や注目の技術について気軽に話し合っています。過去の回では私もホストを務めていますので、ぜひお聴きいただければと思います。
■スタディプラスさんの「スタディプラス開発者ブログ」はこちら!
https://tech.studyplus.co.jp/
■スタディプラスの「Studyplus Engineering Podcast」はこちら!
https://podcasters.spotify.com/pod/show/studyplus-engineers
スタディプラス株式会社が求める人材:EdTechを通じて世界を変える情熱
編集部
最後に、採用に関するお話を伺えればと思います。スタディプラスさんにフィットするのはどのような方だと考えていらっしゃいますか?
大石さん
弊社のミッションやプロダクトの方向性に共感していただくことは、まず前提としてあります。Studyplusというサービスは教育の分野を通して世界を変えていけると考えているので、ユーザーの気持ちになって開発し、随時改善していけるという人が望ましいですね。
社内のエンジニアにアンケートを取ったところ、「エンジニアの意見が尊重される」「勤務体系を含めて柔軟に働ける」「挑戦したい技術などにフットワーク軽く取り組める」という意見が多く寄せられました。これらの要素に魅力を感じていただける方であれば、ぜひカジュアル面談でお話しさせていただければと思います。
編集部
受験生を中心に圧倒的な人気を誇るスタディプラスさんのプロダクトと、それを支えるエンジニアの皆さんの働き方、またさまざまな取り組みについて伺えました。スタディプラスさんの想いに共感される方は、ぜひ連絡されてはいかがでしょうか。本日はありがとうございました!
■取材協力
スタディプラス株式会社:https://info.studyplus.co.jp/
採用ページ:https://info.studyplus.co.jp/recruit