地方発の注目企業にインタビューを行うこの企画。今回は新潟県に本拠地を構え、地方企業のWebマーケティング等を支援する株式会社ユニークワンにお話を伺いました。
地方企業のIT化をリードする株式会社ユニークワン
株式会社ユニークワンは新潟発のIT企業。「地方発メガベンチャー」のビジョンを掲げ、企業のWeb領域の課題をトータルサポートしています。
株式会社ユニークワンでは、データやAIを活用したWebマーケティングだけでなく、SNS総フォロワー数約23万人の「ガタ子@にいがた通信」などのインフルエンサー事業も展開しています。さらに2023年には採用マーケティング領域の強化を目指し、ユニークワンから分社化した「株式会社テキザイ」を設立するなど、多角的な事業展開を進めています。
会社名 | 株式会社ユニークワン |
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住所 | 新潟県新潟市東区江南1-9-11 |
事業内容 | ・Webマーケティング事業 ・採用マーケティング事業 ・インフルエンサー事業 |
設立 | 2014年4月 |
公式ページ | https://unique1.co.jp/ |
今回はそんなユニークワンの成長の秘訣や、地方企業だからこその強み、多くの若手社員が活躍する背景などについて、代表取締役社長の立川さんにお話を聞かせていただきました。
130%成長を支える「データ・AIを活用したWebサービス」
編集部
ユニークワンさんのこれまでの成長が分かる数字があれば教えてください。
立川さん
ユニークワンの売上は前年比約130%で伸びており、近年では大体1億円ずつ上乗せしています。
編集部
2014年の創業から10年でかなりの成長を遂げていらっしゃいますが、どのような部分に御社の成長要因があると思われますか?
立川さん
まずはWebマーケティングの市場自体が伸びているというのはあります。それに加えて、新潟県という地方でWebサービスを展開していることは大きいですね。実は創業当初には新潟県やその隣県も含め、Web広告代理店が1社もなかったんです。そこを開拓していけたことが、ここまで成長してこれた要因だと思っています。
編集部
新潟という地方とWebサービスを掛け合わせたブルーオーシャン戦略だったのですね。
立川さん
その通りです。地方にもIT企業自体はあるのですが、Webコンテンツ制作を中心としたクリエイティブ系の会社が多いんですね。その中でユニークワンはデータやAIを活用し、論理的な分析に基づく費用対効果の高い広告サービスを提供しているのが差別化ポイントとなっています。
地方発×AIが実現する「低価格・高品質」サービス
編集部
ユニークワンさんでAI活用を進めているのにはどのような目的があるのでしょうか?
立川さん
AIの活用により業務効率を上げ「低価格・高品質」なサービスの提供を目指しています。例えばまもなくリリース予定のものとして、AIを取り入れた求人原稿の制作システムがあります。お客様に入力いただいたフォームから原稿をAIで自動生成し、そこに求人原稿作成のプロである当社のスタッフがインタビュー内容などから肉付けして完成させる、というフローを想定しています。このように、品質を保ちながら業務効率を向上することが可能となっています。
「低価格・高品質」のサービスを目指す上でもう1つ強みとなるのが、首都圏と比べたときの固定費の低さです。同じ品質のサービスでも、固定費が低い分低価格でお届けできるというのは地方企業ならではの大きな競合優位性ですね。東京の企業様と仕事をすることも多いのですが、やはり価格は大きく評価いただいているポイントです。
Webサービスを提供する企業によっては、同じサービスでも東京など首都圏には地方より高い価格設定をしているところもあります。つまり地方企業だと100万円相場の仕事を、東京の企業の場合は300万円で受注する、ということですね。しかしユニークワンでは相手によって価格を変動させることなく、同じ価格で提供することを信条としています。地方ならではの低コストにAI技術を掛け合わせ、さらなる低価格・高品質サービス実現をするというのがユニークワンの戦略です。
月間平均300万PV!競合を圧倒する唯一無二のインフルエンサー事業
編集部
ユニークワンさんではWebマーケティングの他に、インフルエンサー事業として全国各地でローカルメディアの運営もされていますが、そちらもかなりの影響力があるとお聞きしました。
立川さん
例えば、新潟市に特化した情報を発信しているローカルメディア「ガタ子@にいがた通信」は月間平均で300万PV、総SNSフォロワー約23万人を有しています。X(旧Twitter)だけでも8万3,000人くらいのフォロワーがおり、テレビや新聞などの従来メディアと比べても遜色のない影響力を持っています。
※フォロワー数は2024年4月時点
編集部
競合他社に比べ、ユニークワンさんの強みはどういった部分にありますか?
立川さん
1つはメディアの収益化ができている点です。インフルエンサー事業は収益化が難しいという課題がつきものですが、ユニークワンの場合はWebマーケティング事業のノウハウを活かして収益化に成功しており、これが他にはない強みとなっています。
もう1つは、“メディアとインフルエンサーの中間”という独自性のある立ち位置です。個人で自由な発信をするインフルエンサーの「共感性」と、定期更新されるメディアの「信頼性」の両方を兼ね備えた唯一無二の存在となっているのではないでしょうか。
Webマーケティングの強みを活かし、採用マーケティングも強化
▲JR新潟駅のすぐ近くにある新潟駅前オフィス
編集部
ユニークワンさんでは2023年に採用領域に特化したWebマーケティング会社「株式会社テキザイ」を立ち上げられたとのことですが、どういった背景があって分社化されたのでしょうか。
立川さん
Webマーケティング支援を行う中で、素晴らしい事業を展開している地方企業でも深刻な人手不足を抱えている現状を目の当たりにしてきました。良い事業と良い組織は両輪であり、会社を発展させていく上でどちらも欠かせません。地方企業の採用課題を解決することがその企業の発展の一助となり、ひいては弊社のWebマーケティング事業にも好影響を及ぼすだろうという思いで、採用マーケティング領域に特化した「株式会社テキザイ」を立ち上げました。
編集部
実際にユニークワンさんの採用マーケティングで効果的な採用につながった事例があれば教えてください。
立川さん
弊社で制作したある病院の動画広告がきっかけとなり、医師・薬剤師の採用が決まったことがあります。医師・薬剤師は看護師よりも不足している現状があるため、その採用につながったことはお客様からもとても喜んでいただけました。
編集部
すごいですね。その動画広告のどのような点が奏功されたのでしょうか。
立川さん
病院の雰囲気や大切にしている価値観、新人が頑張っている様子など、感情に訴えかけるような採用動画としたことが良かったのではないかと思います。加えて「地域に貢献する」というメッセージも入れたことで、より訴求力を高めることができました。
また視聴維持率や離脱ポイントを分析し、それをクリエイティブに反映したこともポイントです。ユニークワンのデータ分析のノウハウは、採用マーケティングにおいても活きていますね。
今後目指すのは「地方のエンターテインメントの主役」
編集部
これまでのお話から、ユニークワンさんが新潟県で唯一無二のポジションを築きながら成長されてきたことが伝わりました。今後はどのような展開を予定されていますか?
立川さん
「ローカルコミュニティを活性化する」というところにもっとコミットしていきたいと思っています。私は今後、AI活用によって人々にもっと余暇時間が生まれるのではないかと考えています。人々が余暇時間を過ごす地域という場をもっと楽しいものにしていくために、その地域のエンターテインメントを充実させるコンテンツづくりをユニークワンで実施していきたいです。
その一環として行ったのが、ローカルブロガーのガタ子さんを冠にした「ガタ子フェス」というイベントです。2日間に渡るこのフェスは、有料イベントであるにもかかわらず3,000人にご来場いただき、大盛況で終えることができました。
ガタ子さんはその他にもFM新潟に出演したり、新潟市初の公式ニュースサイトのオフィシャルアンバサダーに就任したりと、新潟県のエンターテインメントにおける活躍の幅を広げています。ユニークワンではそういった取り組みを拡大しながら、新潟のエンターテインメントの主役のような存在になっていけたらという将来像を描いています。
優秀な人材が優秀な人材を呼ぶ、ユニークワンの採用方針
編集部
若手活躍のトピックについても伺います。現在ユニークワンさんにはどれくらいの年齢層の社員の方が多いのでしょうか。
立川さん
20代から30代の社員が半数以上を占める、比較的若い年齢構成になっています。また地方企業ではありますが、半数以上がUIターン者です。
編集部
地元以外からもさまざまなところからジョインされているんですね。ユニークワンさんは採用においてどのようなことを重要視されているのでしょうか。
立川さん
ユニークワンの採用コンセプトは「地方のニューエリートを採用する」ということです。私自身新潟出身で、大学から東京に出たのですが、周りは地方出身の人でもほとんど東京で就職していました。地元に戻りたいけれど魅力的な会社がない、ということが起こっているんです。そういう地方出身のエリート層に居場所をつくっていきたい、というのがユニークワンの採用の狙いです。
編集部
そういった優秀な層にユニークワンさんが「魅力的な会社」として選ばれているのにはどのような理由があると思われますか?
立川さん
ユニークワンでは「地頭の良さ」にポイントを置いて採用をしており、学歴だけでない頭の良い魅力的な人物が多数集まっています。そういう人が社内にいることを社員インタビューなどを通じて積極的に発信しており、その発信を見た若い方が魅力を感じて応募してくれているのだと思います。
編集部
なるほど。優秀な方が優秀な方を呼ぶ好サイクルが生まれているんですね。
20代多数活躍!新卒1年目もサブリーダーに抜擢
編集部
ユニークワンさんの若手社員の方の具体的な活躍エピソードがあれば教えてください!
立川さん
3つあります。1つ目は、新卒1年目でAIプロジェクトのサブリーダーを任された社員の事例です。元々AIに興味のあった社員ということもあり、その興味を活かしつつ、組織のリーダーシップも学んでもらえたらと思い抜擢しました。低価格・高品質という会社の戦略を牽引していく重要なAIプロジェクトを、リーダーの指示を受けながら積極的に取りまとめてくれています。
2つ目は、20代で採用マーケティングのグループリーダーに就任した事例です。この社員はとても頭が良いのですが、一方で行動もできるタイプなんですね。考えながら自分でも動く良いパフォーマンスが評価され、20代の若さでグループリーダーという、いわゆる課長クラスの役職に任命されました。
3つ目は、エンジニア未経験からエンジニアになった20代社員の事例です。その社員はもともと広告運用のメンバーだったのですが、エンジニアへの転向を希望し、0からプログラミングを学んでエンジニアになりました。未経験でも積極的にチャレンジしたことで、若手のうちからの活躍につながっています。
一人ひとりの成長に寄り添ったコミュニケーションが若手活躍を後押し
編集部
入社後に若手社員の方の活躍を支えるような取り組みはありますか?
立川さん
ユニークワンでは社内コミュニケーションを非常に重要視しており、それが若手社員のいきいきとした活躍につながっていると感じます。入社後のウェルカムランチや懇親会など、チャット文化を基本としつつ定期的に対面でのコミュニケーション機会があるのも、社員の心理的安全性を高めながら好パフォーマンスを引き出しているポイントです。
さらに1on1ミーティングを必ず実施しているのですが、その内容も工夫しています。まず1on1の名称を「○○タイム」というようにメンバーの名前にしているんですよ。それは「あなたの成長のための時間だよ」ということを表現しているんですね。1on1は目標達成に向けて組織にどう貢献するのか、そのためにどう成長していけるのかを考える時間だということをしっかりと定義づけて実施しており、それが社員の成長を大きく後押ししていると思います。
板垣さん(同席)
上司とのミーティングというと身構えてしまう部分があるのですが、自分の名前を使って「○○タイム」と表現してくれることで「自分のために上司が一緒に考えてくれる時間なんだ」と話やすくなりました。自分のタイムのときには業務でわからないことを聞けるように事前にリストアップし、さらなるブラッシュアップのためのアドバイスが受けられており、とても成長につながっていることを実感しています。
編集部
1on1以外にも社員の声や思いを知る取り組みはありますか?
立川さん
年に1度の従業員サーベイと、2週間に1度のエンゲージメントサーベイを実施しています。本当にいろいろな声を拾う良い機会になっていますね。「冬場は水しか出ないのが辛い」といった思いがけない方向からの意見が出ることもあり、環境面の改善にもつながっています。
編集部
日頃からのコミュニケーションはもちろん、1on1やサーベイの実施で改めて声を拾い上げることが組織のコミュニケーションを円滑にし、パフォーマンスの向上につながっているんですね。
IT企業に興味がある方こそ、地方発のユニークワンに!
▲自然を感じられる、本社から徒歩30秒の公園
編集部
最後に、ユニークワンさんに興味を持った読者の方に向けてメッセージをお願いします。
立川さん
「地方は良いぞ!」とお伝えしたいです(笑)。特に新潟県には海も山もあり自然のコンテンツが豊富なので、子育て世代にもおすすめしたいですね。
IT企業だからこそ、地方で働く上での良さがあると思っています。仕事でテクノロジーに向き合って、休日は自然の中で休む。それは人間としてとても良い生活だと思います。
今はオンライン上のコミュニケーションも進化し、働く場所を選ばない時代になりました。IT企業を志すのであれば、ぜひユニークワンに来て欲しいと思います。
編集部
地域に貢献しながら、地方発のベンチャー企業でさまざまなことに挑戦したいという方にはとても良い環境があると思います。
本日は大変貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
■取材協力
株式会社ユニークワン:https://unique1.co.jp/
採用ページ:https://recruit.unique1.co.jp/