いま注目されている企業の取り組みや働き方をお伝えしていくこの企画。今回は、未経験者を積極的に採用し、充実したサポート体制で即戦力に育てる強みを持つ広告代理店、株式会社グラッドキューブを取材しました。同社は、優秀なクリエイターと自社開発の独自ツールを活用し、効果的なマーケティングを展開しています。
株式会社グラッドキューブの事業概要
株式会社グラッドキューブの事業は、SaaS事業、マーケティングソリューション事業、SPAIA事業の3つです。「データ×AIの力で世界中のプラットフォームとなる」というビジョンを掲げ、AIを活用したデジタルマーケティングによる解析と開発の強みを活かして、さまざまな企業の課題解決をサポートしています。
会社名 | 株式会社グラッドキューブ |
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住所 | 大阪府大阪市中央区瓦町2-4-7 新瓦町ビル 8F |
事業内容 | ・SaaS事業 ・マーケティングソリューション事業 ・SPAIA事業 |
設立 | 2007年1月 |
公式ページ | https://www.glad-cube.com/ |
働き方 | 時短勤務やリモート勤務、時差出勤など |
グラッドキューブの強み:データ解析と開発力を活かした事業展開
編集部
まず、グラッドキューブさんの事業内容を簡単にご説明いただけますか?
冨髙さん
私たちは3つの主要事業を展開しています。インターネット広告代理店事業(マーケティングソリューション事業)、SaaS事業、そしてスポーツデータ解析メディア「SPAIA」事業です。
マーケティングソリューション事業では、全国に7,000社以上ある競合の中で、独自のツールやプロダクトを開発し、他事業とのシナジー効果を発揮していることが強みです。
例えば、お客様のウェブサイトの問題点を解析・改善するために開発した「SiTest(サイテスト)」があります。これにより、「ランディングページを改善して売上を上げたい」というお客様のニーズに応えることができます。
▲「SiTest」を活用したウェブサイト解析のイメージ(公式サイトより引用)
冨髙さん
また、ランディングページの表示速度を高速化させる「FasTest(ファーステスト)」も独自開発しました。URLを入力してアップロードするだけで簡単にランディングページを高速化できる、ノーコードのツールです。
これらのSaaS事業のプロダクトは、広告代理業を通じて発見した顧客課題を解決するために開発しました。2つの事業のシナジー効果により、顧客のデジタルマーケティング領域を総合的に支援しています。
▲「FasTest」を活用したLP高速化の流れ(公式サイトより引用)
冨髙さん
さらに、データ解析の技術を応用したのが「SPAIA(スパイア)」です。SPAIAはWeb版とアプリ版があり、野球、サッカー、バスケットボール、競馬などの競技で、AIとデータ解析を用いて新しい観戦方法を提供しています。
例えば野球では、AIを活用したリアルタイムの打球予想や投球予測を行っています。また、競馬やtotoの予想にもこの技術を活用しています。
▲「SPAIA」の画面イメージ。野球や競馬など多くのスポーツをデータでわかりやすく解説している
冨髙さん
私たちはこれら3つの事業を強みとしながら、特定のサービスに依存しないコングロマリット経営を重視しています。また、これらのシステム開発や運営を行う優秀なチームを社内に持っていることも、グラッドキューブの特徴です。
編集部
インターネット広告事業で高い価値を生み出すために、独自のツールを開発されているのは素晴らしいですね。また、BtoBだけでなくBtoCのスポーツメディアも運営されているのは、多くのユーザーにとって興味深い点だと思います。
若手社員7割の環境を支える充実のサポート体制
編集部
グラッドキューブさんでは若手が活躍しているとお聞きしていますが、社員全体に対する割合はどれくらいになるのでしょうか?
冨髙さん
30代前半くらいまでのメンバーが、全体のおおよそ7割を占めています。若手は毎年平均10人前後入社しており、その内訳は新卒が3割、中途が7割という割合です。
メンバーの経歴はさまざまですが、マーケティング業界では経験者の獲得が難しいため、中途で入社される方もほとんどが未経験者です。
編集部
なるほど。未経験からマーケターという専門的な業務を担当するためには、さまざまな学習が必要になると思います。新卒の方も含めて、どのような研修やサポートを行っているのでしょうか?
冨髙さん
「教育チーム」があり、基本的なことを学ぶ体制があります。そのほかは主にOJT(On-the-Job Training)になります。未経験者をチームにアサインしてから、半年ぐらいかけて一人前に成長していくという流れです。多くの場合、3〜4人のチームで1人を教育していく形をとっています。
具体的には、1ヶ月目は基本的なPCスキルを徹底的に学んでもらうところからスタートします。入稿作業を手伝いながら、タイピングやスプレッドシートの操作などのスキル向上を目指します。2ヶ月目から半年くらいまでは、先輩の案件に同席しながら、徐々に業務を引き継いでいくという形です。
編集部
基礎からしっかりと学べて、それをすぐに現場で実践していけるというのはモチベーションにも繋がりますし、多くの方が戦力として育つ秘訣になっているということですね。
公平なキャリアアップ:公募制度の導入
編集部
若手の方がグラッドキューブさんに入社されてから実際に現場で活躍されるようになるまで半年ほどということですが、その後のキャリアについてはいかがでしょうか?
冨髙さん
グラッドキューブは、キャリアステップの一環として基本的にみんな同じ「メンバー」という立場からスタートしていく形です。次のステップとして、他社様でいえば主任や係長に該当する「リーダー」になるのですが、これに関しては公募制度をとっています。
編集部
公募制度というのは、「リーダーになりたいです!」というように自己申告をされるのでしょうか?
冨髙さん
はい。新卒であろうと中途であろうと、入社1年目から手を挙げて上長からの推薦状をもらえれば「リーダー候補」としてステージに立てます。立候補したら、ディスカッションやプレゼンテーションを通して「リーダー」が決まるという仕組みです。
実際、新卒1年目から立候補して2年目からリーダーになったり、2年目にリーダー公募を経て3年目にはマネージャー、5年目にはシニアマネージャーに昇格するメンバーがいます。新卒だけでなく、中途入社でも同様の流れでキャリアアップするケースがあります。
編集部
公平な立場からスタートして、自ら手を上げてステップアップしていけるということですね。このシステムにより、社員の方々の「上を目指そう」という意欲が自然と高まり、会社全体として高いモチベーションを維持できる理由がよくわかりました。
チャレンジ重視の社風:失敗を恐れない文化
編集部
若手の方々が活躍できる背景には、グラッドキューブさんの企業文化があるのではないかと思いました。その点はいかがでしょうか。
冨髙さん
そうですね。弊社は「とりあえずやってみよう」という精神が強いと思います。「やらない、行動を起こさない」ことより、行動して、起きてしまった失敗は次に活かそうと考えるメンバーばかりです。失敗よりも、チャレンジに対しての評価に重きを置いています。
編集部
なるほど。坪根さんは、そのあたりについてはどのように感じていますか?
坪根さん
私も同感です。事業部によって多少の違いはありますが、同じ失敗を繰り返さないようにPDCAサイクルを回している印象です。その中で蓄積したノウハウを基にして、誰かの失敗を他の人が繰り返さないような仕組みになっているので、若手も成長しやすい環境だと思っています。
また、週1回や月1回といった頻度で定期的に上長との1対1の面談を実施しているので、そういった場でも意見や考えを取り入れてもらいやすいです。さらに、チームとしてのサポートが手厚いのも大きな特徴だと思います。
部署を超えた全社的サポート体制
編集部
差し支えなければで結構ですが、グラッドキューブさんに入社されてからの失敗談があればお伺いしてもよろしいでしょうか。
坪根さん
はい。広報としてプレスリリースを出していると、いくらチェックやフォロー体制を整備していても、どうしても誤字脱字が発生してしまうことがありました。そこで今は、間違えやすいところに対してチェックリストを作ったり、必要な部分は先に事業部に確認を取ったりと、フローを改善しています。
こうした内容をスプレッドシートにまとめることで、誰が作業を担当しても同じミスが出ないようにしています。その結果、細かいミスは大幅に削減されました。
坪根さん
また、別のメンバーの事例では、基礎研修を終えた入社2ヶ月目から企業様へのフロント業務を任された社員がいました。しかし入社間もないこともあり、試行錯誤が多く発生し、お客様への目標数値に対して結果が出なかったことがありました。
その際、普段関わりの少ない人や他部署の人たちが多く助けに入ってくれたおかげで、翌月には目標を達成する結果が見えてきました。これは当該の社員にとても印象深く残り、周囲のサポートの強さを実感したそうです。
編集部
他部署の方からもサポートがあったとのことですが、グラッドキューブさんは基本的に部署間でも密に連携を取っておられるのでしょうか?
坪根さん
そうですね。不明な点を質問しに行くとみんな親切に教えてくれます。未経験から始めることも多い会社なので、そういった新人のつまずきや不安な部分を理解していて、みんながサポートしてくれているんだと感じています。
編集部
新人の気持ちがわかるからこそ、寄り添ってサポートしてくれるというのは、とてもありがたい環境ですね。サポートを受けたメンバーの方は後輩にも優しく教えることでしょうし、それによってまた社員が成長していくという好循環が生まれているのですね。
女性が長く活躍できる環境:100%の育休復帰率
編集部
続いて、女性が活躍されている企業というテーマでお話を伺います。出産などさまざまなライフステージを迎える方がいらっしゃるかと思うのですが、グラッドキューブさんではどのような状況でしょうか。
坪根さん
おっしゃるとおり産休・育休に入る女性社員は多くいますが、いまのところ育休からの復帰率は100%です。他社様と比較してどうかはわからないのですが、子育てと仕事を両立している女性メンバーは体感的には多いですね。
育休を取った全員が復帰してくれているのは、時短勤務やリモート勤務、場合によっては時差出勤も導入して、本人のライフスタイルに合った勤務形態で働けていることも理由として挙げられると思います。
また、会社としてメンバーに寄り添うという姿勢が浸透しているということも大きいですね。やはり長く継続して働いてもらいたいですから、面談などで本人の意向を聞いて尊重しながら、状況によっては育休前とのポジションから変更することも含めて柔軟に対応しています。
編集部
出産・育児を経て職場に復帰するのは、どうしても不安があるかと思います。その中で、女性が働きやすい環境になるよう制度面も整えて、できる限りサポートされているんですね。
根底にあるフラットな文化:性別による区別なし
編集部
働かれている中で、女性目線から「こういうところがグラッドキューブの魅力だ」といったエピソードがあれば、ぜひお伺いできればと思います。
坪根さん
キャリアに関していうと、様々なロールモデルが既に存在しているので、女性でも責任あるポジションを目指しやすい環境だと思います。「目標に向けてどのようなステップを踏んでいけばいいのか」ということも相談しやすい雰囲気があります。
また、先ほど説明したリーダー公募制度に関しても、性別に関係なく誰でも立候補できるので「女性だから、男性だから」という区別がまったくありません。このような点も、女性が活躍しやすい理由の一つだと感じています。
坪根さん
さらに、「来客対応の際にお茶を出すのは女性の仕事」というような暗黙のルールがある会社もありますが、グラッドキューブでは一切そういった固定観念はありません。気づいた人や、その時対応できる人が性別に関係なく率先して行動しています。
冨髙さん
具体的な数字で見ても、2022年末時点では常勤取締役の女性比率が50%、リーダー以上の女性管理職比率が21%です。これは少し古いデータで現在はさらに上昇していると思われ、女性の活躍が数字にも表れていると言えます。
快適なオフィス空間:ワークアウトとリラックスの両立
編集部
グラッドキューブさんの福利厚生として、ワークアウトスペースがあるとお聞きしました。
坪根さん
はい。福利厚生という言葉が適切かどうかわかりませんが、バイクを置ける「バイクワークアウトスペース」や、「人をダメにするクッション」を配置した昼寝や読書ができるスペース、女性専用の休憩室も設置しています。
さらに、テラス席や勉強スペース、打ち合わせスペースもあり、ミーティングやランチで活用する社員が多いです。
編集部
素晴らしいですね。最近ご覧になった中では、どのような使い方をされていましたか?
冨髙さん
日当たりの良い場所なので、昼寝をしている人をよく見かけます。
坪根さん
暖かくなってきたので、テラス席で1対1の面談やミーティングをしたり、チームでランチを楽しんだりする姿をよく目にします。当社のテラスは開放的なので、TikTokの撮影場所としても人気です。社員はメリハリをつけて働いています。
▲休憩スペースの「人をダメにするクッション」でくつろぐ人も多い。
坪根さん
また、グラッドキューブ独特の文化として、全社員がスリッパで勤務しています。リラックスして働いてほしいという思いから始まったこの習慣は、ユニークな文化だと思います。慣れるまでは少し違和感がありましたが、今では自然な感覚です。
福利厚生面では、エンジニアが多いため1人2台のモニターを支給しています。作業環境の面でも、社員に配慮した会社だと感じています。
編集部
そうした投資は、社員のモチベーション向上につながり、結果として会社全体の業績アップにも寄与すると理解されているからこそですね。グラッドキューブさんの働きやすい環境づくりへの思いが表れていると感じました。
リラックス環境:ジャズBGMのある作業空間
編集部
グラッドキューブさんでの業務中の環境についてお聞きしたいのですが、働かれているときの社内の雰囲気はどのような感じなのでしょうか?
冨髙さん
オフィス内ではBGMが流れていますが、全体的には静かな雰囲気です。エンジニアは集中して作業を行い、マーケターはデータ分析に没頭しているので、騒がしい職場ではありません。
編集部
BGMが流れていると、静かな中にも落ち着いた雰囲気が感じられそうですね。どのような種類の音楽が流れているのでしょうか?
冨髙さん
現在はジャズやカフェミュージックが中心です。以前は、もう少し活気のあるBGMを流していた時期もありました。
坪根さん
そうですね。過去には「本当にこんな曲を会社で流してもいいのかな?」と思うほど、エネルギッシュな音楽もありました(笑)。
編集部
エネルギッシュな曲からジャズやカフェミュージックに変更されたのは、リラックスしながら作業できる環境を重視されているからでしょうか。
坪根さん
はい、その通りです。集中して業務に取り組むためにも、まずはリラックスして働ける環境を作りたいという思いから、このような取り組みをしています。
多様性重視の採用方針:未経験者の成長機会
編集部
最後に、グラッドキューブさんに興味を持った読者の方に向けて、メッセージをいただければと思います。
冨髙さん
グラッドキューブの採用方針として、年齢・性別・出身大学・国籍などは関係なく、多様性を重視しています。現在は外国籍のメンバーとして、スウェーデン、インドネシア、韓国の方が従業員として働いており、近々ネパールの方も入社予定です。多様性があることで柔軟な発想が生まれますし、なにより一緒に働いていて楽しい環境です。
これからも、様々なバックグラウンドを持つ方々が集まってくださることを期待しています。「自分に自信がない」「自分には向いていないのではないか」などと考えずに、ぜひ積極的にご応募ください。
一般的に、マーケティング企業は未経験の方にとっては参入が難しい業界だと思われがちです。しかしグラッドキューブは未経験者を積極的に受け入れて、「どこに出しても恥ずかしくない」レベルの市場価値が高いマーケターに育ててきた実績があります。
この点においては自信があり、成長のプロセスは確かにハードで忙しいかもしれませんが、覚悟を持って「成長したい」と思ってくださる方であれば、積極的に受け入れていきたいと考えています。
編集部
マーケターというと、未経験の人は「大学で統計学を学んでいないと採用されない」という印象があるのですが、グラッドキューブさんでは意欲を持つ人であれば積極的に育てておられるんですね。この業界を目指す方にとってすごく魅力的だと思います。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社グラッドキューブ:https://www.glad-cube.com/
採用ページ:https://corp.glad-cube.com/recruit/