若手エンジニアの成長を促し、成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は、仙台を拠点にSES(システムエンジニアリングサービス)事業を展開しているSES株式会社にお話を伺いました。
仙台を拠点にSES事業を展開するSES株式会社
「地域密着」を掲げ仙台に拠点を置くSES株式会社が手掛けているのは、クライアントのもとにエンジニアが訪問・常駐しサービスを提供するSES事業です。2017年の立ち上げ以来、毎年平均で150%の成長を続けています。
会社名 | SES株式会社 |
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住所 | 宮城県仙台市若林区新寺2-1-6 THE ISビル3階 |
事業内容 | システムエンジニアリングサービス、システムコンサルティングサービス、システム開発サービス |
設立 | 2017年8月8日 |
公式ページ | https://www.se-sendai.co.jp/ |
SES株式会社が掲げているビジョンは、「自立し創造力をもったIT人材を育て楽しくプライドを持って働ける環境を作る」です。エンジニア未経験の人材を受け入れ、独自の教育カリキュラムで若手エンジニアの成長を促しています。
同社の働く環境や若手が成長する理由について、代表取締役社長の柿沼清孝さんにお話を伺いました。
地域ごとのマーケットに根差したビジネスを展開
▲地域のマーケットに根差したビジネスを展開するという思いを持っている(公式ページより)
編集部
初めに、SESさんの事業内容について伺わせてください。
柿沼さん
SESは社名からもおわかりの通り、お客様のもとに常駐してエンジニアリングを提供するSES事業を展開しています。主に仙台をメインに営業活動しており、管理部門なども合わせて社員は40名ほどです。
また、2022年に東京都と岩手県盛岡市に拠点を設けまして、他地域への展開というのも視野に入れています。いつかは47都道府県に拠点を作り、ゆくゆくはアジアにも進出できればよいなと考えています。
編集部
なぜ仙台を拠点にSES事業を展開されていらっしゃるのでしょうか?
柿沼さん
私は2010年に、SESの親会社であるコミィ株式会社を仙台で立ち上げました。コミィは自社サービス開発事業から始まり、後に請負開発を手掛けるようになりました。私がもともと東京で働いていたということもあり、請負開発の全クライアントは東京の企業でした。
では仙台でも事業の基盤を広げていこう、と考えたときに、仙台ではSESのマーケットが非常に大きいということがわかったのです。そんな背景もあり、仙台でSES事業を展開することとなりました。
このように地方でビジネスを展開していると、地方創生という言葉がよく使われると思うのですが、弊社では「地域創生」という言葉を使っています。ですので、場所や事業形態にこだわることなく、今後もそれぞれの地域のマーケットに根差したビジネスを展開していく方針です。
編集部
あくまで地域が求めているサービスを提供するという思いを持っていらっしゃるということですね。
強みは「教育力」、エンジニア未経験人材を一人前に育てる
▲エンジニア未経験の人材を一人前のエンジニアに育てるほど教育に力を入れている(公式ページより)
編集部
SESさんは立ち上げ以来、どれぐらいのペースで成長されているのでしょうか?
柿沼さん
SESは立ち上げから6年が経ちますが、平均して毎年150%ほどの成長を実現しています。
編集部
毎年安定して成長できる要因となっているSESさんの強みとは何でしょうか?
柿沼さん
SESの強みは、エンジニアの教育に力を入れている点です。エンジニア志望の未経験者を採用し、弊社独自のカリキュラムで一人前のエンジニアに育てて案件に携わってもらっています。
編集部
エンジニアの教育プログラムを仙台で展開されているということに意味があると感じましたが、やはり都心と比べると地方はエンジニアの技術を身に付ける環境がないと感じられますでしょうか?
柿沼さん
仙台というよりも全国的な課題だと思うのですが、エンジニアになりたいと思う人は多くいても、実際にエンジニアになれている方は少ないと感じています。
例えば、中学生や高校生のなりたい職業ランキングでは、エンジニアは上位に入っています。しかし、業界のイメージが悪く見られがちということもあると思うのですが、実際にエンジニアになる方は多くありません。
やはり「エンジニアは過酷な職業」「ある程度年齢がいくと使い捨てにされてしまう」というイメージがあるのだと思います。
ですので、SESはエンジニアになりたいと考えている人の思いを実現できるような会社にしたいと考えています。実際に未経験からエンジニアになった社員は全体の3分の2ほどですが、それでも会社は回っています。
いずれは拠点を増やしていき、全国各地の人材を現地で採用して、その地域の企業様の縁の下の力持ちのような会社になっていきたいですね。
編集部
SESさんの地域密着の姿勢が表れているビジョンだと感じました。
介護職からエンジニアへ、入社3年で管理職を務めるほど成長
編集部
SESさんのエンジニアの平均年齢について教えてください。
柿沼さん
SESのエンジニアの平均年齢は28歳ぐらいです。役員や管理部門などを入れても31歳ぐらいですので、とても若い組織だといえると思います。
編集部
さきほどエンジニアの教育に力を入れているとお話しされていましたが、実際に未経験で入社されてご活躍なさっている社員さんの事例を伺えますでしょうか?
柿沼さん
26歳でSESに入社した女性エンジニアがいるのですが、彼女の入社前の仕事は介護職でした。彼女はとてもまじめで、研修期間中もとても勉強をがんばっていました。
また、前職の影響もあってかとてもコミュニケーション能力が高く、プロジェクトのリスクヘッジという面でも高いスキルを持っています。
彼女は入社して3年ほどになりますが、エンジニアのスキルはもちろん持っていながら、現在は管理職としてマネジメント業務も務めています。
編集部
全くの別業界から入社された方が3年で管理職になれるほど成長されているとは驚きです。
入社後3カ月は徹底してプログラムを書く、その後は成長度に合わせてコース設定
編集部
SESさんの独自の教育プログラムについて詳しく伺わせてください。
柿沼さん
エンジニア未経験でSESに入社された方については、最初の3カ月間は弊社オリジナルのカリキュラムでプログラミングを勉強してもらっています。その3カ月間はOJTではなく、座学でどんどんプログラムを書いてもらう期間です。
4カ月目以降は成長度合いによって案件に参画してもらうこともありますが、そうでない場合はOJTという形で社内の持ち帰り案件や請負案件に少しずつ参加してもらいます。
4か月目以降も、自発的に勉強してもらえるような仕組みを設けております。例えとして挙げられるのが、業務や資格取得のために必要な本を全額会社が出す書籍購入制度や、資格取得をした際は祝い金を支給する資格手当などです。
編集部
学べる環境がかなり充実していると感じました。成長のためにはフォロー体制も重要だと思いますが、その点についてはいかがでしょうか?
柿沼さん
SESは非管理職の社員について、マネージャー全員でフォローするという体制を取っています。
システムエンジニアリングサービスという事業の特質上、特定のメンターが部下の教育を担うという形は難しいです。よくあるケースが、別プロジェクトに参画しているメンターが別プロジェクトに参画している部下の教育を担当するというものでしょう。
弊社でもマネージャーの中から数人をピックアップして特定の社員のメンターに付いてもらうということはしていますが、あくまで若手社員の教育は全マネージャーが担うというスタイルを大切にしています。
編集部
エンジニアの事情を考慮した制度や環境が作られていると感じますが、柿沼さんのご経歴も影響しているのでしょうか?
柿沼さん
SESの取締役は私も含め3名全員がプログラマー経験を持っています。ですので、エンジニアの事情については目が利くといえるでしょう。
ソースを見ればどれぐらいの成長度なのかわかるので、それぞれのレベルに合わせて案件を任せられます。また、それぞれのスキルから今必要な勉強や研修というのもわかるという点は、SESの特色として挙げられるのではないでしょうか。
第一優先はエンジニアがパフォーマンスを発揮できること
編集部
エンジニアの採用についてこだわっていることはございますでしょうか?
柿沼さん
SESは、入社において学歴不問にしています。高卒で入社する社員もいれば、2年ほど別の企業で働いて転職してくる社員もいるなど、さまざまなバックグラウンドを持った方が入社してきます。
また、SESは新卒、既卒を含め通年で採用しています。ですので、同期なんだけど年齢は違っていたり、年下の先輩がいたりといったことは当たり前のようにある光景です。ですので、年功序列であったり、社歴が長ければえらいであったりといった雰囲気はありません。
私を含め、上の立場にある者もその点は意識しています。ですので、社員に対して敬語で話しますし、「くん」「さん」などを付けてお名前を呼ぶようにしていますね。
編集部
非常にフラットな環境にあるということですね。そのほか、エンジニアの働きやすい環境を作るために実践されていることはございますでしょうか?
柿沼さん
SESを立ち上げる上では、エンジニアとしてパフォーマンスを発揮するうえで阻害要因になるものは全てなくそうと考えていました。ですので、さきほどの年功序列をなくすというのもその一つです。
そのほか、社員の服装については基本的に自由にしています。プログラミングするのにスーツは必要ないですし、楽な格好の方がパフォーマンスを発揮できるでしょう。
ただし、エンジニアとしてお客様のもとに常駐することになりますので、訪問先の雰囲気に合わせてもちろん服装は変えてもらいながら自由にしてもらっています。
編集部
何よりもエンジニアのパフォーマンスを重視されているということですね。
会社や派遣先など場所を問わずリラックスして働いてもらうため社内交流を重視
編集部
SESさんの社員さんはお客様のもとに常駐するというのが基本的な勤務スタイルとなっているのでしょうか?
柿沼さん
お客様の元に常駐しているSESの社員は、全体の3分の1ほどだと思います。残りの3分の2の社員については、お客様の許可をいただいた上でリモートワークを実施しています。
リモートワークをしている社員の半分ほどが、「自宅では集中できない」ということで出社しているという状況です。
編集部
最近ではリモートワークの普及が進んでいますが、リモートワークだと仕事がしにくいという方もいらっしゃるのですね。
柿沼さん
SESでもリモートワークをしている社員はいますが、逆にリモートワークで働きづらいという社員もいます。ですので、場所を選ばずリラックスしながら働ける環境を作りたいと考えていますね。
例えば、派遣先で何かトラブルが起きていないか管理部門がしっかり目を光らせておく必要があるでしょう。また、社員の意見をしっかり聞くことも大切です。そういった考えから、弊社では私と全社員で年に2回1on1を実施しています。
編集部
社員さんに対するフォロー体制が充実されていると感じました。
柿沼さん
社員のフォローについては、特に若手のエンジニアであれば営業部隊がしっかりフォローするようにしています。エンジニアと営業の横のつながりを強化するために、双方が参加するランチミーティングを月に1度開催していますね。
また、こちらも月に1度ですが、帰社日というのも設けています。帰社日では全社員が会社に戻ってきて、報告会と各々が飲食したいものを持ち込んだうえでの交流会を実施しています。
ボードゲームなどのイベントをイベントチームの社員が企画して、会社で経費を出したうえでお酒やおつまみを出していますね。
編集部
普段はエンジニアがそれぞれの現場に散らばって仕事をしていますが、対面で交流できる機会も作られているということですね。
残業削減のためクライアントにエンジニアの勤務ペースの調整を依頼
編集部
柿沼さんも先ほどお話しされていた通り、エンジニアというと一般的に激務で残業が多いイメージがあります。その点、SESさんはいかがでしょうか?
柿沼さん
私としては無駄な残業をなるべくなくしたいという考えを持っています。
お客様のプロジェクトの都合で残業が発生することはありますが、そうなった場合には営業担当の方からお客様に「この案件が終わった来月はなるべく残業をさせないでほしい」というお願いをして調整してもらうようにしています。
私自身、東京で働いているときは残業や徹夜が当たり前でした。一方で、仙台で会社を立ち上げるとなったときに、「自分の生まれ育った仙台で働きたい」と考えている社員に寄り添っていくためにはどうすれば良いのかを考え、プライベートも充実させてほしいと思ったのです。
プライベートが充実すれば、その分仕事でもパフォーマンスを発揮できると考えています。
編集部
やはりここでもエンジニアファーストの姿勢が伺えますね。有休についてはどのように取得を推進されているのでしょうか?
柿沼さん
SESでは、入社6ヶ月経過時とその直後の8月1日にまとめて有休が付与されます。有休消化についてはかなり気を使っており、有休を取得していない社員には管理部門からアラートを出していますね。
有休をなかなか取得しないのは若手の男性社員に多いのですが、「この日までに有休を取得してください」という注意を促しています。
残業や有休など勤務環境を整えるよう努めていることが功を奏しているのか、SESの離職率は低いです。
今後目指していくのは健全なぶつかり合いができる組織
編集部
ここまでお話を伺って組織としての風通しの良さを感じますが、いかがでしょうか?
柿沼さん
風通しの良さというのは、かなり配慮している部分にはなります。最近は社員数も増えてきましたので、経営陣と社員の距離を広げないためにも、経営陣の方から積極的にコミュニケーションを取っていくようにしていますね。
編集部
SESさんに入社する方はどのような方が多いのでしょうか?
柿沼さん
SESの業務はクライアントワークになります。お客様についてしっかりとヒアリングして、業務内容をもとにしっかり仕事を進めていきます。ですので、確かなコミュニケーション能力を持っている方が多いと思いますね。
相手の意図をくんで、それをしっかり落とし込めるような人材ばかりです。
編集部
コミュニケーション能力に長けた方が多いからこそ、多様なバックグラウンドを持った方たちが和気あいあいと働けているのですね。
柿沼さん
SESはぶつかりあいが少ない会社だといえるでしょう。会社の仕組みづくりがうまくいっている証でもありますが、しっかり話してぶつかりながら何かを作っていくということも時には必要だと思います。
今後は、そういった健全なぶつかり合いができるような環境も作っていきたいですね。
編集部
ぶつかることでよりエンジニアとして成長できることもあるのかもしれませんね。
拡大期の今、求めるのはリーダーシップを発揮する即戦力人材
▲「リーダーシップを発揮して、一緒に会社を大きくしてくれるような方を歓迎したい」と話す柿沼さん
編集部
先ほど将来の組織像について少しお話がありましたが、今後はどのような組織を目指していきたいでしょうか?
柿沼さん
SESはお客様の縁の下の力持ちのような存在でありたいと考えています。そんな理想を達成するためエンジニアの教育に力を入れてきましたが、今後は他社では成し遂げられないパフォーマンスを実現するために、より高いスキルを持ったエンジニア集団になっていきたいと考えています。
具体的にどんなエンジニアになってほしいかというと、言われたことをただやるだけではなく、お客様に提案して納得させて、予算についても言及できるようなコンサルティング力を持ってほしいですね。
編集部
採用したい人材像にも、今仰った要素が加わってきますか?
柿沼さん
SESはここ2年半で一気に拡大してきました。7割ほど社員数が増えましたが、その大半がエンジニア未経験者でした。一方で、今はある程度組織化されてきましたので、今後は社員をまとめられるようなリーダーシップを持った人材が必要になってきます。
もちろん、未経験で入社してきた方についても将来リーダーシップを発揮してもらうことを期待して育てていますが、リーダーの立場を経験してきた即戦力人材も今後は積極的に採用していきたいと考えています。
編集部
最後に、SESさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
柿沼さん
SESは、今後成長が見込まれる企業を認定する「仙台未来創造企業」に選ばれています。今後は上場を目指して、システムエンジニアリングサービス事業プラスアルファの業態で拡大を目指していく方針です。
弊社の拡大期においてリーダーシップを発揮して、一緒に会社を大きくしてくれるような方の入社を歓迎します。
編集部
拡大期を迎えられているということで、SESさんにジョインすれば、今後より大きなプロジェクトに関わっていけそうな環境だと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
SES株式会社:https://www.se-sendai.co.jp/
採用ページ:https://www.se-sendai.co.jp/recruit/