20代の取締役が主導!日本ハウジング株式会社の「若い視点」を取り入れた働き方改革

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、日本ハウジング株式会社にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。

大分県にある日本ハウジング株式会社は、住宅建築から地域活性化まで手がける次世代型の工務店です。「住宅を含めた暮らしから、大分県を盛り上げよう」というミッションのもと、若手社員の斬新なアイデアを活かした新規事業にも積極的に挑戦しています。

若手の活躍が目ざましく、20代の男性取締役が中心となって700もの「お客様に喜んでもらえる住宅づくり」のマニュアルを新設。デジタルを活用した働き方改革により、「少ない勤務時間で売り上げを伸ばす仕組みづくり」にも成功しています。

今回は、代表取締役社長の馬場さんと、マニュアルの作成者でもある取締役の吉田さんに取材し、若手社員の活躍や組織改革の内容に関するお話を伺いました。

本日お話を伺った方
日本ハウジング株式会社の代表取締役社長・馬場鉄心さん

馬場 鉄心さん

日本ハウジング株式会社の代表取締役社長。福岡の住宅会社で経験を積み、30代で創業者であり父親である現会長(馬場駿二さん)から引き継ぎ社長となる。

日本ハウジング株式会社の取締役・設計室長を務める吉田颯太さん

吉田 颯太さん

日本ハウジング株式会社の取締役・設計室長。2018年に入社し、現在は29歳の取締役として会社をまとめている。

「働き方改革」を実行するために20代社員を取締役に抜擢

日本ハウジング株式会社で取締役・設計室長を務める吉田颯太さんの仕事風景
▲取材にご対応いただいた吉田颯太さん

編集部

20代で若手とも言える吉田さんを取締役に抜擢された背景と、その思いについて教えてください。

馬場さん

ひと口に申し上げると、働き方改革のためです。

当時の弊社は少子化で働き手が減り、建築の着工に時間がかけられない状況でした。売り上げが伸びないと当然、社員たちの給与は下がっていきます。この悪循環を断ち切るには、「プライベートを削って働く時代」から「プライベートも尊重できる時代」へのシフトが不可欠だと考えました。

「改革」を成し遂げる3要素として、「若者・よそ者・ばか者」という言葉が挙げられますよね。この場合の「ばか者」は否定ではなく、既存の枠にとらわれないというプラスの意味を持ちます。

吉田は改革の3要素を備えている上に、既存の枠を打ち破る行動力があったんです。「若い感性を持った彼なら、会社の改革を実現できる」と思い、重要なポストを任せました。

20代社員の増加で雰囲気が変わる。若手が責任者として活躍できる環境あり

編集部

働き方改革には反発の声もあったかと思いますが、どのようにして乗り越えてきたのでしょうか?

馬場さん

やはり、新入社員が増えたのが大きかったですね。現在弊社には合計20名の社員が在籍していて、役員を除いたうちの約4割が、国立大学や大学院などを卒業して入社した20代の社員です。そのほかは30代が約2割、40代が約4割という内訳になっています。

実は、吉田が入社する前にも、組織改革にチャレンジしたんです。結局うまくいかなかったのですが、大きな要因はスタートの段階にあると感じました。自分なりのやり方が身についた状態で、マニュアルを浸透させるのは本当に難しいんです。

マニュアル前提でキャリアが始まった社員が増えるにつれて、自然と社内も改革を受け入れる雰囲気に変わりましたね。

編集部

現在、在籍している40代の社員さんには、反発されていた方々も含まれているのでしょうか?

馬場さん

強く反発していた社員は、マニュアルが導入された時点で去っていきました。現在働いているベテラン社員たちは、むしろ「自分たちができなかったことを若手がどんどん進めてくれている」と感謝していますね。

若手の発想や行動力は、私たちベテラン社員の想像を超えるものがあります。吉田が進めた改革を私にやれと言われても、到底できません(笑)。だからこそ、若手の声を積極的に取り入れていきたいと思っています。

編集部

アイデアがあっても、ベテランの先輩方がいる中で意見を出すのは少し難しいようにも感じます。若手社員さんの意見が通りやすいように、工夫していることはありますか?

吉田さん

20代の若手に、責任のあるポストを任せていますね。2021年に入社した男性社員は、25歳でマニュアルの改善案などを統括する責任者を務めているんです。

例えば40代の先輩方から意見が出た場合にも、社員全体の使いやすさを考慮して総合的に改善の必要性を判断できます。経験年数に関係なく、意欲の高い若手には責任のある立場で活躍してもらいたいですね。

DXの導入で縦割りの業務体制を解消し、売上アップを実現

日本ハウジング株式会社が手掛ける住宅の設計画像

編集部

吉田さんが中心で進めた働き方改革の内容を、詳しく教えていただけますか?

馬場さん

軸になったのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)(※)を取り入れた業務のプログラム化です。縦割りを廃止し、全社員が営業から設計、現場監督、アフターメンテナンスまでの業務をこなせるようにしました。
※デジタル技術を活用し、ビジネスなどの仕組みを変える取り組み

それまでは営業担当・設計担当・現場担当と、分担して仕事をしていたんですね。ただ、お客様が増えるほど業務の忙しさがひとつのポジションに集中し、「設計担当が夜遅くまで働いている一方で、営業担当は仕事がほとんどない」という状況が多々ありました。

吉田がプログラム化してくれたおかげで全社員がひとつの業務に取り組めるようになり、仕事のスピードも上がりました。当然ながら受注数も増え、業績も伸びたんです。

編集部

社員さんたちにとっては業務範囲が広がったともいえますが、どのような工夫をされたのでしょうか?

馬場さん

700のポイントをマニュアルにまとめ、経験・スキルに関係なく「お客様に喜んでもらえる家づくり」ができるようにしました。さらに、「この業務なら、これぐらいで完結させられる」という業務時間の目安も設定したんです。

残業時間のデータを確認できるのはもちろん、「この人は今の業務状況だと、何カ月後には規定の残業時間を超えてしまう」といった予測も可能になりました。

日本ハウジング株式会社の社員さんの仕事風景

編集部

改革の立役者である吉田さんご本人にも、ぜひお話を伺いたいです。当時のご自身を振り返って、どのような考え方が改革の実現につながったと思われますか?

吉田さん

社長が話していたように、怖いもの知らずの「ばか者」だからできた面が大きいと思います(笑)。加えて、私自身が学生時代に設計事務所で働いていて、ある程度の現場を知っていたことも関係しています。

職人さんが担っていた現場監督の仕事にも興味があり、設計以外の家づくりの業務を全部やってみたかったんですね。入社後、社長に思いをぶつけると、「満足がいくようにやってみたらいい」と言ってもらえました。

編集部

実際に、全ての業務を体験されたのでしょうか?

吉田さん

はい。4カ月ぐらいかけて、お客様と初めて顔を合わせるところからメンテナンスまで携わりました。早い段階で業務の全体像を把握したおかげで、「このときまでにお客様と相談しておくこと」「仕上げておくべき業務」などをリスト化できたのだと思います。

入社3年目を迎えるころに、社長と「マニュアルがあると良いね」という話になり、1年ほどかけて土台を完成させました。マニュアルが完成した2021年ごろは少なからず反発の声もありましたが、2022年ごろから新入社員が増え始めたんですね。

社長の力強いバックアップもあり、現在は「700のマニュアルを全員が使い、更新していくのが当たり前」という意識が根付いています。

日本ハウジングの働き方:改革で生まれた時間で新事業を考案

日本ハウジング株式会社の社員さんたちのミーティング風景

編集部

働き方改革を達成した日本ハウジングでは、従来の業務を8割の時間で終わらせられるようになったそうですね。空いた2割の時間は、どのように活用しているのでしょうか?

馬場さん

着々と新事業を考案しています。企業が生き残っていくためには、「時間内で新たな価値を生み出すこと」が重要なんですね。

現在、筑波大学の先生方と協力して、シロアリの検査用の機械を開発中です。シロアリは住宅の天敵といえる存在なので、アフターメンテナンスでシロアリの有無を調べられる仕組みを作ろうと考えています。

これまでは私の企画・立案で、完全無添加の「湯布珪藻土(ゆふけいそうど)(※)」の開発や家具屋、造園業といった事業を開拓してきましたが、今後は少しずつ社員に委ねていきたいと思っています。
※大分県で採れた珪藻土(珪藻の遺体が積み重なってできた土)が主成分。住宅の塗装に使われていて、湿度をコントロールできる

勤務時間内での通学・研修受講も可能

日本ハウジング株式会社の社員さんの仕事風景

編集部

新事業の開拓以外だと、どのように時間を使っている社員さんが多いですか?

吉田さん

キャリアアップに向け、自己研鑽に取り組む社員が多いです。私の場合は設計室長を任せてもらっているので、設計力を高める勉強をしています。

過去には1年間、有名な建築家が主催するデザイン設計の学校に通いました。オンラインの講習・試験を活用したことで、勤務時間の範囲内でやり遂げることができました。15年ほどの歴史を持つ学校だったのですが、受講歴が5年以下の参加者(20名)の中から「最年少敢闘賞」を受賞しました。

当然「日本ハウジング」の社員として通わせてもらっていたので、設計の分野で会社の価値を高められた点もうれしかったですね。

編集部

ほかの社員さんの取り組みについても、教えていただけますか?

吉田さん

これから中核を担っていく30代前半の女性社員は、他社の研修に参加してマニュアルの精度を高めています。品質の高いマニュアルを作っている会社の研修に参加し、自社のマニュアル改善に活かしているそうです。

弊社は工務店としては珍しく、女性社員がたくさん在籍しています。彼女は次世代のリーダーとして、女性ならではの組織のまとめ方を勉強しているようです。会社からの許可は必要ですが、キャリアの方向性がぶれていなければ基本的に好きな内容を学べます。

社内カフェでリモートワーク可能!働きやすい環境が充実

日本ハウジング株式会社の社員さんたちのミーティング風景

編集部

御社では、リモートワークを選択することもできるのでしょうか。

吉田さん

社長・副社長以外は原則として出社となりますが、業務内容によっては自宅やカフェでのリモートワークも可能です。弊社は完全なペーパーレスで、社員1人につき1台のパソコンを所持しています。

時間がかかる業務に取り組む場合は、弊社の2階に併設されたブックカフェにパソコンを持ってこもるケースもありますよ。ブックカフェは建築関係の書籍もそろっているので、勉強スペースとしても使えますね。

社員は1日に2杯まで無料でドリンクを味わえるので、打ち合わせなどでも利用しています。大分県産の素材を使ったジュースや自家焙煎のコーヒーなど、本格的なドリンクを楽しめますよ。

馬場さん

ブックカフェはもともとお客様のクラブハウスだったのですが、一般にも公開されています。かつてのお客様が土日に会社の前を通ったときに、「コーヒーでも飲んでいこうか」と思ってもらえるように設置したんです。お客様は無料でドリンクを飲めることもあり、「今月だけで4回来たよ」と話してくれる方もいます。

社内風土:地方創生の想いを持った県外出身者が自主的に動く

日本ハウジング株式会社のオフィス風景

編集部

若手社員の皆さんは、御社のどのような点に惹かれて入社するのでしょうか?

馬場さん

「大分県を盛り上げたい」との思いに共感し、入社するケースが多いですね。弊社の大きな特徴は、林業が盛んな大分県の地域性を活かした地方創生に本気で取り組んでいることです。

驚くことに、ほとんどの若手社員が熊本県・宮崎県をはじめとする大分県以外の出身なんです。大分県外からも、地方創生への思いを持った社員が集まってくれています。

吉田さん

私も兵庫県の出身で、弊社の取り組みに惹かれた1人です。兵庫県内の大学に通っていたので、正直なところ大分県はゆかりのない地域でした。

そんな私が興味を持ったのは、「ひとつの県における暮らしや環境、経済的な循環について真剣に考えている」弊社の姿勢です。私自身ずっと、「本気で地域の活性化に取り組む企業がひとつでもあれば、世の中に良い意味でインパクトを与えられるのではないか」と思っていたので入社を希望しました。

私より後に入社した5名のうち4名は大分県外の出身で、「自分の仕事が世の中にどのような影響を与えていくか」に価値を置いているようです。誰かに言われたからではなく、常に「自分が何をしたいか」「キャリアを積む上でどのような経験が必要か」を考え、それぞれの立場で活躍してくれていますね。

「お客様のために」という共通意識を持ち、チームとして議論する雰囲気

編集部

社内の雰囲気についても教えていただけますか?

馬場さん

社員同士の仲が良く、「お客様を喜ばせるために」との共通目的で意見が活発に交わされます。弊社は土地探しから家づくり、庭の設計、アフターメンテナンスまでを全て手がけます。

「この人は営業担当」といった枠組みはなく、社員でチームを組んで家づくりを担うんですね。志が同じでないと成り立たない仕事なので、改善案も積極的に提案されます。目的を持って互いに高め合っていきたい方には、居心地の良い職場環境だと思います。

吉田さん

机の配置は、ベテラン社員の間に新人社員が入るような席順にしています。悩みがあったときに「この場合、どうすれば良いでしょうか?」と話しやすいんです。全員が同じ業務に取り組んでいるので、「この案はどう思う?」と、世代を超えて会話が盛り上がっています。

住宅建築の職人を募集。大分県を盛り上げたい人を歓迎!

日本ハウジング株式会社の代表取締役社長・馬場鉄心さん
▲取材にご対応いただいた代表取締役社長の馬場鉄心さん

編集部

どのような方を、日本ハウジングの社員として迎えたいですか?

馬場さん

現在、募集しているのは社内の職人として活躍していただける方です。一般的な工務店は、外部の親方が築いた建物をコーディネートして販売します。

一方、弊社は木材の伐採から、お客様への営業、設計、現場管理、アフターフォローまでを一貫して担います。これまでは外部の親方さんにお願いしていた住宅建築を、自社で担えるようにするのが目標です。

編集部

最後に、転職を検討中の方々に向けたメッセージをお願いします。

馬場さん

若手の社員にはいつも、「ご飯や寝るのを忘れて夢中になるぐらいの好き・得意を大切にしてほしい」と伝えています。「大して好きではないけれど、世の中的にはこれが儲かるだろう」という姿勢だと、働く楽しさは味わえないと思うんです。

企業の存在価値は「人の役に立つこと」にあります。その会社が掲げるビジョンと自分の好き・得意なことがつながっている環境で働くことが、仕事のやりがいにも通じます。好きなことと仕事がマッチしている方ほど、成長も速いんですね。

弊社は「大分県を盛り上げる」という地方創生に重点を置いた工務店です。空いた時間で将来に向けた勉強や、新たな事業の提案にも挑戦できます。地方創生への思いがある方は、ぜひ応募してください。

編集部

本日は、会社選びに役立つお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

この記事のまとめ

組織体制
  • 20名規模の会社で、20代が4割、30代が2割、40代が4割
  • 29歳での取締役就任など、年齢に関係なく実力主義
  • 縦割り組織を廃止し、全員が営業から現場管理まで担当
業務効率化の取り組み
  • 700以上のマニュアルを整備し、全社員で共有・更新
  • 通常業務を労働時間の80%で完了する仕組み
  • 完全ペーパーレス化を実現し、場所を選ばない働き方が可能
キャリア開発
  • 業界著名な建築家の設計専門学校への派遣制度あり
  • 筑波大学との共同研究など、技術革新に積極的
  • 残り20%の時間を研究開発や新規事業開発に活用可能
職場環境
  • ブックカフェを併設し、2000冊以上の専門書を完備
  • 社員は1日2杯までドリンクが無料で提供
  • ベテランと新人が交互に座る座席配置で活発なコミュニケーション
事業の特徴
  • 土地探しから家づくり、庭、アフターメンテナンスまで一貫対応
  • 大分県産の素材を活用した独自製品の開発
  • 職人技術の社内育成による技術継承を推進

日本ハウジング株式会社の基本情報

企業名 日本ハウジング株式会社
住所 大分県大分市大字片島75-1
事業内容
  • 日本ハウジング建築設計事務所 「府内町家」、新築事業部 「府内町家」、リノベーション事業部、「つなぐ家」事業部
  • 暮.Labo Book Cafe くらぼ、Garden&Green春夏秋冬、インテリアショップtsu-naguの運営
  • 町家不動産(不動産の売買・仲介・鑑定・管理)
  • 不動産活用の企画コンサルティング
  • 湯布珪藻土 湯布珪藻土の製造・販売
  • バイオマス事業(薪ストーブ・ペレットストーブの販売・施工・メンテナンス、薪・ペレット・関連用品の取扱い)
設立 1972年12月
働き方 リモートワーク可能(出社が基本)
公式ページ https://www.nihonhousing.co.jp/
採用ページ https://www.nihonhousing.co.jp/recruit
募集職種 技術系職(社内の職人)
取材・編集
保科有伽のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

保科 有伽

企業の採用や働き方に関する取材を担当し、サッポロビールやYahoo! JAPAN、キヤノンマーケティングジャパンなど、これまでに約500件の取材を実施。人事・採用の現場で15年以上の経験を持ち、国家資格キャリアコンサルタント、有料職業紹介責任者、メンタルヘルスマネジメントII種などの資格を有す専門家。