さまざまな企業の社内文化や働き方に関するインタビューを行っているこの企画。今回は、防災機器メーカーとして国内トップシェアを誇るホーチキ株式会社に取材しました。ホーチキ株式会社は、火災報知設備や消火設備などの防災システムを提供する企業として知られています。
ホーチキ株式会社:日本の防災機器業界をリードする老舗企業
▲長い歴史を誇るホーチキ株式会社の歴史的展示コーナー
ホーチキ株式会社は、1918年に創業した国内トップシェアを誇る総合防災メーカーです。日本で初めて火災報知機を製造したメーカーとしても知られ、日本の防災業界をリードしてきました。
会社名 | ホーチキ株式会社 |
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住所 | 東京都品川区上大崎二丁目10番43号 |
事業内容 | 火災報知設備、消火設備、情報通信設備、防犯設備等の製造販売、施工ならびに保守管理 |
設立 | 1918年(大正7年)4月2日 |
公式ページ | https://www.hochiki.co.jp/ |
ホーチキ株式会社は、長い歴史と伝統を持ちながらも、年功序列にとらわれない評価制度を導入し、若手社員の活躍を積極的に支援しています。今回は、若手の活躍を支える会社の体制や、ホーチキ株式会社が求める人材像についてお話を伺いました。
ホーチキの企業理念:「使われないことを願う」独自の製品開発姿勢
▲ホーチキ株式会社は「誰もが安心して暮らせる社会。災害による犠牲者ゼロの世の中。」を使命に掲げている(引用:公式サイト)
編集部
ホーチキさんは長い歴史と伝統を持ち、業界シェア率も国内1位と、広く世間に浸透していますね。学校の廊下にある赤いボタンを誰もが一度は目にしたことがあると思いますが、改めてどのような事業に取り組まれているか教えてください。
遠藤さん
弊社は「誰もが安心して暮らせる社会。災害による犠牲者ゼロの世の中」を目指して、防災を目的とした機器を製造して社会に提供している会社です。具体的には、火災報知機や消火設備などの防災製品を取り扱っている総合防災メーカーです。
身近な例では、先ほど話題に出た学校の廊下にある赤いボタンの「発信機」や、自宅の寝室やキッチンの天井などに取り付けられている「感知器」などが挙げられます。
編集部
私たちの暮らしの安全に欠かせない防災機器を製造されているのですね。防災メーカーと他のメーカーとの違いはあるのでしょうか。
遠藤さん
ホーチキが他のメーカーと違うのは、「使われないことを願いながら、最良の製品づくりをしている会社」だということです。
一般的なメーカーでは大量生産・大量消費が前提となっていることが多いですが、ホーチキが扱うのは防災製品です。災害は本来あってほしくないもの。だからこそ「使われないことがベスト」だと言い切っています。これがホーチキの他にはない特徴だと考えています。
編集部
「使われないことがベスト」のものを製造するというのは確かに、防災メーカーならではですね。人々の安全安心を第一に考えたホーチキさんの特徴がよくわかりました。
▲誰もが一度は目にしたことのあるホーチキ株式会社の発信機
ホーチキの人事改革:若手の活躍を促進する新評価制度
▲異例の若さで所長に抜擢された栗本さん
編集部
ホーチキさんでは若手社員がたくさん活躍されていると聞きました。具体的に若くして重要な役職に抜擢された事例はありますか?
遠藤さん
はい、ホーチキには史上最年少の31歳で所長に登用された社員がいます。これまでは35~36歳でも非常に若いとされていましたが、その常識を覆すほどのスピード出世です。
編集部
会社が若者に現場を任せるようになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
遠藤さん
2017年に実施した従業員満足度調査で、処遇制度に課題があることが明確になりました。「評価制度が成果を十分に反映していない」「給与体系に満足していない」「管理職になりたくない」といった意見が多く見られました。
これらの課題を解消するため、制度改定に取り組みました。簡単に言うと「頑張った人が報われる人事制度」です。この制度により、若手社員も成果に応じて適切に評価されるようになり、先ほど申し上げたようなスピード出世を果たす若手社員も出てくるようになりました。
具体的には、「早期昇給制度」を新設しました。従来の等級制度では次の等級に上がるまでに6年かかっていましたが、一定の評価を受けている人は3年で昇格できるように改革しました。
これまでの一般的な昇進モデルは、30歳で主任、36歳で係長、42歳で課長でしたが、この早期昇給制度により、早ければ最短で33歳くらいまでに課長の役職に就けるようになりました。
編集部
なるほど。従業員満足度調査で明らかになった課題に対して、具体的な制度改革を行ったのですね。その結果、若くして所長に就任するという実例が生まれたことがよく分かりました。
ブラザー・シスター教育制度:若手社員の成長を長期的に支援
編集部
先ほど説明された評価制度と合わせて、ホーチキさんでは周囲のサポートがあるからこそ若手が活躍できるという面もあると思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
遠藤さん
ホーチキの特徴的な制度として「ブラザー・シスター教育」があります。これは、入社した新入社員全員に先輩社員が「お兄さん・お姉さん」として付く制度です。ブラザーとシスターは、配属から1年間、新入社員にマンツーマン指導を行い、業務に関する様々な相談にも乗ってくれます。
制度としては1年間という期間を設けていますが、実際には多くの場合、5年後も10年後も、新入社員時代のブラザーやシスターとの関係が続いているようです。同期以外にも長期的に相談できる相手がいることは、若手社員の成長と活躍を支える大きな要因になっていると考えています。
ホーチキが評価する若手社員像:コミュニケーション力と成長意欲
編集部
お話しいただいた制度や社内体制が若手社員の活躍を支えていると思いますが、その中でも特に評価される若手社員の方には、どのような特徴があるのでしょうか。
遠藤さん
お客様からの評価が高いことはもちろん大切です。しかしそれだけでなく、社内外での折衝に長けているというのは、若手社員が活躍できるための大きなポイントだと思います。
例えば先ほど説明したブラザー・シスター教育の制度でも、評価されている社員はブラザーやシスターとの関係が良好なことが多いです。評価されている社員は「私が今あるのはこの人のおかげです」というような感謝の言葉をさらっと言えるんですよね。ホーチキにはそのような社員が多いです。周りへの配慮やコミュニケーション能力の高さはとても大切ですね。
また、ホーチキの特徴として、評価されればされるほど仕事を任せられるという点があります。年齢などには関係なく、評価の高い方に仕事が任されるんです。それが成長につながるという面もあるのではないかと思います。
編集部
なるほど。素直に学んで感謝の気持ちを表すことができるというのは、社内でも社外でも重要な部分ですね。そういう人間力があることで成長でき、それによって任せられる仕事も増えてまた成長していく、という好循環ができているんですね。
ホーチキの継続的人材育成:キャリアステージに応じた充実の研修制度
▲ホーチキの社内研修風景
編集部
ホーチキさんでは人材育成にもかなり注力されているそうですね。どのような研修制度があるのでしょうか。
遠藤さん
新入社員の場合は、入社後まず1週間泊りがけの合宿教育があります。そこでビジネスマナーを教え、学生から社会人への意識改革を促します。その後、自社製品の防災設備や消防法など、会社全体に関わる内容を2か月程度学びます。
5月のゴールデンウィーク頃に配属が決まり、6月から職種別の教育が始まります。ホーチキには開発・製造・営業・施工・メンテナンスなど多様な職種があり、教育期間は職種によって異なります。開発や製造など、長いものでは翌年3月末まで続くこともあります。職種ごとにきめ細かな教育制度があることは、新入社員からも高く評価されています。
▲町田工場での研修の様子
遠藤さん
ホーチキでは新入社員だけでなく、3年目・6年目・10年目という節目でも職種別の教育機会を設けています。さらに、主任、係長、課長への昇任時にも教育の機会を用意しています。
編集部
入社直後の教育はもちろん、長く働く中でも定期的に教育を受けられる環境を会社が整備しているのは、非常に重要ですね。
自己啓発を奨励:ホーチキの選択型教育プログラム
編集部
会社として提供している学びの機会についてお聞きしましたが、選択型教育についてはどのようなものがあるのでしょうか。
遠藤さん
ホーチキには社員が自分の意思で受講できる通信教育があり、毎年全社に向けてどのようなプログラムがあるかを周知しています。
受講の判断はもちろん社員に任せていますが、毎年約20%以上の社員が自主的にこういった通信教育を選んで受講しています。これは、業務スキルの向上や自己啓発に関心が高い社員が多いことを示しています。
編集部
ホーチキさんが会社として学びの機会を整えているからこそ、社員の学ぶ意欲が高まっているのではないでしょうか。育成に力を入れられていることがよく伝わりました。
“真面目さ”と“冗談を言い合える空気”が共存した暖かい社内風土
▲テレビコマーシャルでも知られるホーチキ株式会社のオフィシャルキャラクター、インコの「チーちゃんキーちゃん」
編集部
ホーチキさんの社内全体の雰囲気はいかがでしょうか。多くの職種があるということですが、職種ごとに違いはありますか?
遠藤さん
はい、職種によってかなり違いがあります。例えば、開発・製造部門のメンバーは比較的静かに集中して業務に取り組む社員が多く、一方で営業部門はチームワークが重要なので、より活気のある雰囲気です。
私のような管理部門は、社内全体をサポートする役割があるため、常に様々な部署とコミュニケーションを取りながら仕事を進めています。
ただし、全社員に共通しているのは「真面目さ」だと思います。当社は安全と安心を提供する企業であり、その理念は製品にも反映されています。そのため、和やかな雰囲気の中にも、業務に対する真摯な姿勢が感じられます。
若手社員を支える社風:ホーチキのアットホームな職場環境
編集部
ホーチキさんには「何かわからないことがあっても質問できる環境がある」ということもお聞きしました。そのような「聞きやすい環境」が若手社員の活躍を支えているという面もあるのでしょうか。
遠藤さん
はい、それはあると思います。具体例を挙げると、以前、新入社員が初めて配属される部署があり、その社員のことを心配していました。しかし、その新入社員から「みんな優しすぎて毎日泣きそうです」という連絡があったんです。直接目が届かない部分もありますが、各部署でこのように温かい雰囲気をつくってくれているのだと知り、とても安心しました。
質問がしやすかったり、他愛もない冗談を言い合えたりする雰囲気があり、良い意味で「古い会社」的なアットホームさがある会社だと思います。例えば、現場に向かう若手社員に対して、部長が「頑張って来いよ!」と大声で声をかけるようなこともあります。
これは一見「古い光景」と言えるかもしれません。しかし、若手社員にとっては「見ていてくれている」「必要とされている」という感覚につながる、大切な一言なのではないかと思います。
ホーチキが求める人材:情熱・チームワーク・リーダーシップを備えた人材
編集部
ホーチキさんにフィットする人材はどのような方だとお考えでしょうか。
遠藤さん
ホーチキが求める人材のポイントは3点あります。1点目は「情熱がある人」、2点目は「チームワークを大切にする人」、3点目は「リーダーシップがある人」です。
リーダーシップについては、ホーチキの人材という観点から「自ら進んで率先垂範できる人」と定義しています。具体的には、現在の立場に関わらず、上位職の視点で考え、行動できる社員を高く評価しています。例えば、一般社員であっても課長や部長の視点で考え、自主的に行動することが求められます。
ホーチキは、業界内で唯一の独立系メーカーです。そのため、自ら道を切り拓き、常に上を目指す姿勢が特に重要視されています。この企業文化が、私たちの求める人材像にも反映されているのです。
ホーチキの採用方針:企業理念に共感し、自ら成長する人材を歓迎
編集部
最後に、ホーチキさんに興味を持った求職中の方にメッセージをお願いします。
遠藤さん
ホーチキは「古き良きアットホームな温かみのある雰囲気」と、実績を上げた人が正当に評価されるという、「従来の年功序列ではない新しい評価体制」を併せ持った会社です。
また最初に申し上げた通り、我々の目的は、人々に安全・安心、そして快適で便利な暮らしを提供することです。ホーチキは「使われないことを願って」皆さんの安全と安心を支える防災機器メーカーなのです。
この想いに共感し、私たちと共に活躍したいと考える方を歓迎します。興味を持った方には、ぜひチャレンジしていただきたいです。
編集部
長い歴史を持ちながら、年功序列ではなく実力が評価されるホーチキさんでは、多様な人材が活躍できると感じました。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!
■取材協力
ホーチキ株式会社:https://www.hochiki.co.jp/
採用サイト:https://www.hochiki.co.jp/recruit/