注目企業の躍進の理由や新しい働き方などについてインタビューをしていくこの企画。今回は、非金融事業領域の企業向けにブロックチェーン技術導入の支援を行うITベンチャー企業、トレードログ株式会社にお話を伺いました。
トレードログ株式会社とは
トレードログ株式会社は、「失敗のない市場を作る」をビジョンに掲げ、2018年に創業したITベンチャー企業です。製造・物流・小売・社会インフラ・農業等の主にIoTを活用する非金融事業領域に対し、ブロックチェーン技術導入を支援しています。また、データ活用支援事業も推進しており、ブロックチェーン技術導入支援とデータ活用支援の両輪から、複合的なソリューションを提供しています。
会社名 | トレードログ株式会社 |
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住所 | 東京都豊島区南池袋1-16-15 ダイヤゲート池袋5階 |
事業内容 | ブロックチェーン関連事業、データ活用支援事業 |
設立 | 2018年2月26日 |
公式ページ | https://trade-log.io/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
今回は、リモートワークを主体とするハイブリット勤務を推奨している環境と、実際の働き方について、トレードログ株式会社の藤田さん、青木さん、權さんの3名にお話を聞かせていただきました。
非金融領域に特化し、自社で企画~開発まで行う。大手との直取引実績も
▲トレードログ株式会社の自社プロダクト、ブロックチェーン導入ツール「YUBIKIRI」の画面。
編集部
はじめに、トレードログさんがどのような事業展開をされているのか教えていただけますか?
藤田さん
トレードログは、非金融領域の事業会社向けにブロックチェーン技術を導入する支援を行っています。具体的には、製造・物流・小売・社会インフラなどの領域の大手の中でも、年商規模が数千億円から数兆円の企業様にフォーカスしています。
弊社では最初のコンサルティングからシステム開発、保守までワンストップで行っているほか、二つの自社開発プロダクトを用意しています。
1つはデジタルイノベーション推進担当者向けにIoT・ブロックチェーン・AIを活用したデータ連携ツール「YUBIKIRI(ユビキリ)」、もう一つはブランドホルダー向けのブロックチェーンを活用したトークンエコノミー導入ツール「OHAJIKI(オハジキ)」です。これらのツールを活用することで迅速かつコストを抑えた導入を可能としています。
編集部
同業他社と比較したときの御社の特徴や強みは何でしょう?
藤田さん
小規模の会社でありながら日本を代表する大企業と直接取引をしていること、開発では最上流から最下流まで全部の工程をできることが、他社さんとは異なる点であり、非常にやりがいを感じられる部分なのではないかと思います。
弊社と同じくらいの規模の一般的なシステム開発の会社ですと、大手SIerや戦略系コンサルティングファームの下請けもしくは孫請けをして、かつ常駐を求められているケースも多いと思います。お客様と直取引をするとしても、小規模な案件がほとんどではないでしょうか。
また、領域を絞る代わりにデータの取得や活用まで含めて支援しておりますので、一部のみを行う他社様とも差別化できていると考えております。
編集部
同じ業界、同じ規模の他社さんとは案件の大きさなどが異なっており、そこが御社の特徴でありやりがいになっているということですね。
トレードログではリモート主体のハイブリッド勤務を推進
編集部
トレードログさんでの働き方は、リモートワークが主体のハイブリッド勤務だそうですね。出社とリモートワークの比率はどれほどなのでしょうか?
青木さん
営業のメンバーでいうと、今は固定で週2日出社しています。特に予定がない時は週2日、何かあれば週3日程度出社するかなといった感じです。
営業以外のマーケティング、管理、エンジニアのメンバーに関しては、必ず週に何回来なければいけないという縛りは特にありません。
必要なときだけ出社するという形なので、コミュニケーションや運動のためにと週2〜3日出社するメンバーもいれば、来ない人は月に1日出社するかどうかといったメンバーもいます。エンジニアのメンバーの中にはまったく会社に来ない人もいますね。
編集部
勤務時間については規定などありますか?
藤田さん
勤務時間は9時〜18時に設定しています。残業時間は通常だと月に5時間から15時間程度で、多い月だと40時間近くになるようなイメージです。残業が多い時期は年に大体3ヶ月ほどでしょうか。
残業については、あまり遅い時間まで働くと生産性が低くなるので、基本的にはできるだけ早出をすることを推奨しています。
編集部
時期によって残業時間も変わってくるような環境ということですね。テレワーク導入のきっかけや、理由がございましたら、ぜひ教えてください。
藤田さん
きっかけらしいきっかけはなくて、自然とリモートワーク主体の会社になっていった形ですね。トレードログは本当に小さい会社から始まりました。社員が徐々に増え始めたのは2年ぐらい前からです。創業から約2〜3年間は私と業務委託を含めた数名だけのチームでした。
それまではいわゆる零細企業の規模でやっていたので、事務所は机1つだけで、私も他のメンバーもほぼリモートワークで仕事をしていました。その流れが、社員の数が増えつつある今も続いているような感じです。
編集部
リモートワークをしていて良かったと感じたことや、逆にここが難しかったと思ったことがあれば教えてください。
權さん
エンジニアだとディスプレイやマウス、キーボードなどパソコンの周辺機器を自分で持っていたり、こだわりを持っていたりする方が多いんですね。リモートワークだとそういった仕事に必要なものが自分に合った環境ですし、すぐ仕事にかかれるのでとてもいいと感じています。
反対にリモート環境で難しかったことは、入社当初にわからないことがあっても先輩にすぐには聞きづらかったことです。周りの方たちはみなさん優しいですし、少し時間が経てば聞きやすくなってはきますが、やっぱり最初は聞きづらさは多少あったかなと思います。
編集部
最初のころは聞きづらかった時期もあったかなとのことですが、そういったときはチャットでご相談されていたのですか?
權さん
そうですね。最初はチャットで相談していて、技術的に複雑な話になる時はGoogle MeetやSlackのハドルミーティング機能を使って相談させてもらっていました。
社員同士の食事代補助と、会社近隣に住んだ場合の手当で交流を促進
編集部
リモートワークが主体となると社員さん同士の交流も少なくなってしまうのではと思います。リモート環境でのコミュニケーションで工夫されていることがあれば教えてください。
藤田さん
基本的にはSlackとオンライン会議ツールを使用していて、ショートミーティングなどをこまめに実施するように伝えています。他に、普段リモートワークでほとんど会わない代わりに出来るだけコミュニケーションを取ってもらえるように、トレードログでは大きく2つの制度を用意しています。
一つ目は、社員同士の会食にかかった費用を毎月決まった額を補助する制度です。この補助を受けるには、「社長が参加しないこと」を条件としています。会社ができてからまだ日が浅く、社員同士横の繋がりを作ってほしいという思いがあって、できるだけ僕がいない場でコミュニケーションを取ってもらうために作りました。
編集部
社員のみなさんはよく利用されているのでしょうか?
藤田さん
そうですね。出社日は社員の自由なので、この日に出社して仕事終わりにみんなで飲みに行こうと連絡を取り合っていたりしているようです。あとは、たまたまその日出社したメンバー同士で「せっかくだから一緒にランチにいこう」といった会話も交わされているようで、自然と社員同士のコミュニケーションを促せているかなと思っています。
これは同じ部署の中だけではなく、他部署のメンバーにもお互いに声を掛け合ってくれているようです。
編集部
制度があることで、社員さんが自主的に他部署の方との交流もされるようになっているのですね。では、二つ目の制度についてお伺いできますか?
藤田さん
もう一つの制度は沿線在住手当です。弊社のオフィスが池袋にあり、西武池袋線が通っているので、この沿線に住んでくれたら毎月手当を支給するという制度です。
そうするとみんな比較的近くに住んでくれて、社員同士の会食の領収書を見ると、事務所のある池袋以外ではみんなの家から近い場所であることがほとんどなんですね。昼間はみんなリモートで仕事をして、夜に近場で集まって飲んでいたりしている。社員同士のコミュニケーションの促進にもなっている制度なんだと実感しています。
社長自身の経験をもとにした「見える部分を評価する」制度
編集部
リモート環境の中では成果の見えづらさもあるのでは思いますが、トレードログさんではどのようにメンバーの評価をされているのか教えていただけますか?
藤田さん
もちろん、スキルや業務成果などの「見えている部分」で評価はします。しかし、今は規模も小さいですし、「見えない部分」はどこまでいっても残るので、細かく数字を追いかけるよりも、できるだけ本人の自己評価と上司の評価、特にモラルや仕事の進め方などに対する評価をまずはすり合わせることを大事にしています。
具体的には、モラルや価値観、仕事のプロセス、会社の判断基準など、企業文化の指針を細かく定めた冊子を作って週1回事例を共有したり、評価にも取り入れるなどして工夫しています。マイクロマネジメントの代わりに、こうした「価値観の共有」をすることが非常に効果的だと感じています。
編集部
そのような評価制度にされている理由は何でしょうか?
藤田さん
この制度設計の理由は、自分の経験が元になっています。サラリーマン時代に、「営業の前後や会議の間に何をするか」を厳しく監視したがる上司がいて、あまり口が達者でない先輩が毎日のように詰問されていました。
例えば「なぜ12分前に到着する電車に乗るの?僕の時間が5分無駄になるよね?」など、ルールとして設定されておらず共感もできない理由で小言を言われ、当時の部署のメンバーは大きなストレスを感じていました。
当時を振り返ると、明文化されていないし価値観の裏付けもない瑣末なルールで小言を言われて、それがモチベーションの低下につながっていたように思います。トレードログでは、価値観に基づき明文化されたルールに沿って個々のメンバーが自発的に動き、それを評価するようにしています。
編集部
なるほど。ご自身の経験に基づいて、マイクロマネジメントはされていらっしゃらないということですね。
リモートワーク主体だからこそ地方在住や長めの帰省も可能
▲実際の勤務予定表の一部を抜粋。実家で仕事をこなす社員さんも多くいることがわかる。
編集部
ワークライフバランスを実現するための制度や環境についてお伺いしたいと思います。ハイブリッド勤務もその一つだと思いますが、そのほかに副業や中抜け可などの制度はございますか?
藤田さん
中抜けに関しては、通院などの事情もあるので比較的融通は利くような環境だと思います。あとは、女性については生理休暇を数時間単位でも取得できるように工夫しています。副業については、今はキャリアが浅いメンバーが多く、まずは会社のことができるようになってほしいので、許可制にしています。
ワークライフバランス関連ですと、リモートワークが主体ですので勤務地は割と自由ですね。広島に住んでいるメンバーが一人いるのですが、この方は普段は広島にいて西日本地区のお客様を担当しつつ、2〜3ヶ月に1回程度上京して社員と直接コミュニケーションを取ったりしています。
あとは年末年始やゴールデンウィーク、夏休み、シルバーウィークなどは実家に帰りたい時期だと思うんですけど、この前後は実家でも働けるようにしています。リモートワークだからいつ帰省するか、どれくらいの期間いるかなど、かなり融通が利きやすくしています。
編集部
実家でお仕事もできるということですね。みなさん帰省の期間は長めなのでしょうか?
藤田さん
人それぞれではありますが、社内で共有している勤務予定表を見ると、例えば年末年始休暇の前から帰省してゆっくりしている方もいれば、夏休み過ぎてもしばらく実家にいる方など様々ですね。帰省したりまた東京に戻ってきたりするときに、ピークと重なると混雑していたり、渋滞に巻き込まれたりするのは嫌ですよね。
あとはせっかく帰省するなら実家でのんびりしたい方もいるかと思います。なのでピークとずらして帰省したり、実家でリフレッシュしながら働いたりというのも推奨しています。
また、自分が元々バックパッカーだったので、場所に関してはできるだけ自由度の高い働き方を実現したいと考えています。希望者はまだいないですが、今後は帰省だけではなく夏休みとワーケーションをかねて半月ほどいつもと違う場所に滞在してみようという方も出てくるんじゃないかなと考えています。
編集部
働いている中だとなかなか長期間の帰省はしにくかったりするので、社員の皆さんにとって非常にありがたい環境なんじゃないかなと思います。
スキーやバーベキューなど、プライベートでの交流もさかんな文化
▲社員さんが企画したスキー旅行の様子。参加は各自の自由。
編集部
トレードログさんに在籍されている皆さんは、どのような経歴の方が多いのでしょうか?
藤田さん
今、社員は10数名おり、経歴は割とみんなバラバラですね。でも、エンジニアのメンバーだと地方高校から理系学部に進学して、卒業後に一、二社経験してトレードログに入社してきた方が多いですね。ここにいる權がまさにこうした経歴を持っています。
営業やマーケティングについては、今はたまたま経験の浅いメンバー中心なので、僕が1人ずつ教えながら仕事を覚えていってもらっている状況ですね。
編集部
育児と両立しながら働いている方もいらっしゃるのでしょうか?
藤田さん
先ほどお話しした広島に住んでいる方は、妻子持ちで育児をしながら働いていますね。後は単身者が多いので、スポーツやバイクなど趣味を謳歌しながらだったり、友人や同僚との交流を楽しんだりしながら働いていると思います。權さんや青木さんはどうですか?
權さん
トレードログに入社してから自炊にハマるようになりました。前職はフル出社だったので夜ご飯は外食やコンビニばかりでしたが、今はリモートワークが中心なので平日も土日も自炊しています。私生活が充実すると仕事も頑張れますね。
青木さん
会社のメンバーとの交流はプライベートでも多いですね。トレードログは比較的若めのメンバーが多くて、先ほどの社員同士の会食の費用補助を利用して、ご飯に行ったり飲みに行ったりしています。
それ以外にも、權さんがスキーやバーベキューなど季節ごとに企画してくれて、参加できる人たちで集まって活動しています。
編集部
社員さんが自主的に活動をされていると、入社されたばかりの方も会社の皆さんと馴染めるきっかけになるのではないかと思います。
トレードログには柔軟な働き方ができる環境がある
編集部
最後にこの記事をご覧になって、トレードログさんに興味を抱いた方に向けてメッセージをお願いします。
藤田さん
トレードログは働き方に関してはだいぶ柔軟な会社だと考えていますし、柔軟な中でもチームワークを発揮して助け合ったり、仕事を身に付けていけるような工夫をしていると思っています。
エンジニアの方も、営業とかマーケティングの方も、仕事とプライベートのバランスを取りながら働いていただけるような環境です。少しでも弊社に興味があれば、ぜひ気軽にご連絡いただけたら嬉しいです。
編集部
トレードログさんはリモートワークが主体で職種によっては勤務場所に縛られずに働けるので、今は単身者の方が多いとのことですが今後ライフステージに変化があっても長く働き続けられる環境だと感じました。
また、社員さん同士のコミュニケーションを促進させる制度があって、社員さんたちも積極的にイベントなどを企画されているので、リモートワークばかりで馴染めるのか不安に思っている方も安心なのではと思います。
本日はありがとうございました。
■取材協力
トレードログ株式会社:https://trade-log.io/