独自のビジネスを展開し成長を続けながら、社員の働きやすさも追求している企業にインタビューする本企画。今回は、ビジネススクール事業を展開しているワンネス株式会社にお話を伺いました。
個人向けビジネススクール「潜在意識アカデミー」を展開
▲思考や感情、イメージなど人々が持つ潜在意識について学べるビジネススクールを展開している
ワンネス株式会社が手掛けているのは、人々の奥底に眠る「潜在意識」をテーマにしたビジネススクール事業です。もともと企業向けに研修・コーチング事業を展開していたことに加え、現在は個人向けのビジネススクール「潜在意識アカデミー」も開催しています。
会社名 | ワンネス株式会社 |
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住所 | 東京都港区海岸2-5-1 ローレルタワー19F |
事業内容 | 人材育成事業 組織開発コンサルティング |
設立 | 2012年8月1日 |
公式ページ | https://oneness.inc/ |
コロナ禍で企業が研修にかける予算を減らしたこともあり、一時は大きく売上を減らしたワンネス株式会社ですが、SNSを駆使した広報戦略などで新規ユーザーを獲得し、成長を続けています。
同社が成長を実現した戦略や働き方に関する考え方について、代表取締役の石山喜章さん、潜在意識アカデミー事業部 顧客支援課の森優実さんにお話を伺いました。
スピリチュアルではなくロジカルに潜在意識について学べる
▲2015年に出版した書籍が反響を呼んだことで、個人向けのビジネススクール「潜在意識アカデミー」を展開するに至った
編集部
初めに、ワンネスさんの事業内容について伺わせてください。
石山さん
ワンネスは企業向け、個人向け双方で人材育成に関する事業を展開しております。もともとは企業向け研修を10年ほど手掛けていましたが、2018年から個人向けビジネススクール「潜在意識アカデミー」を手掛けています。
個人向けのビジネススクールを展開することになったきっかけは、私が書いた本です。2015年に「潜在意識」に関する書籍を出版したところ、1万部を超える大ヒットとなりました。
個人の方から「潜在意識について学べる場所はありませんか」というお問い合わせを頂くようになりましたので、個人向けにも事業を拡大していったという経緯です。現在は個人向け事業が売上の9割を占めています。
編集部
潜在意識アカデミーはどういった内容になっているのでしょうか?
石山さん
潜在意識アカデミーは、「潜在意識の使い方」を体系的に理解、習得できる講座です。ビジネスシーンで活用いただくほか、人間関係を改善したいという思いを持っている方にも参加いただいております。
特徴は、ロジカルに潜在意識について学べるという点です。「潜在意識」と聞くとスピリチュアルなものを想像すると思いますが、ワンネスの潜在意識アカデミーでは瞑想や呼吸法といったアプローチは取り入れていません。
私自身がロジカルなものでないと納得できないこともありますし、再現性の高いものを作りたいという思いがありました。トヨタ様や三菱電機様など法人からのご依頼は150社を超えていますが、ロジカルに学べるという点が多くの企業様に採用されている理由になっていると思います。
編集部
潜在意識アカデミーのほかに個人向けサービスを展開されているそうですが、そちらについてもお聞かせください。
石山さん
個人向けには潜在意識アカデミーのほかに、「潜在意識コーチング」「潜在意識アセスメント」というサービスを展開しています。
潜在意識コーチングとは、個別で6回のコーチングを受けることで潜在意識を書き換えられるサービスになっております。潜在意識アセスメントは最先端のソフトウェアが導入されている機械を活用して利用者の声を6秒間録音し、声の波形から潜在意識と顕在意識を可視化するという声紋分析サービスです。
編集部
潜在意識に関するサービスを幅広く展開されているのですね。
「人は変われる」、潜在意識アカデミーに込められた思い
▲「自分が変われば周りも変わりますし、それが回り回って社会を変えていく」と話す石山さん
編集部
潜在意識アカデミーを受講された方にはどんな効果が生まれているのでしょうか?
石山さん
潜在意識アカデミーを受講された方は、家族や友人から「性格が変わったね」と声をかけられるそうです。言葉や行動などすでに表に出ている顕在意識を変えようとしても、人はなかなか変われません。根本的な潜在意識を変えることで、自然と無理なく表情や言葉、行動が変わってくるのです。
旦那さんとの関係にイライラしていて喧嘩が絶えず、離婚を考えていたという女性の方が潜在意識アカデミーを受講されて、夫婦で一緒に事業を始めるほど関係が改善したという事例もあります。
編集部
そこまで人が変われるとは驚きです。石山さんご自身はどのような思いを持って潜在意識アカデミーを広げているのでしょうか?
石山さん
私は「人は変われる」という希望を発信したくて潜在意識アカデミーを展開しています。自分が変われば周りも変わりますし、それが回り回って社会を変えていくことにもなると思います。
社会では日々、虐待や突発的な事件など、凄惨なニュースであふれています。それは全て人の心の問題であると思うのです。心の問題を突き詰めると、もちろんすべてのケースに当てはまるわけではないですが、幼少期の環境に問題があることも多いです。
私自身も、中学生のころにいじめを受けていて、本当につらい思いをしてきました。そんな経験を経て今があるからこそ、人は変われると信じているのです。
編集部
潜在意識アカデミーは、「自分を変えたい」という方のサポートになっているのですね。
コロナ禍でピンチもSNS活用やサービス育成で成長を維持する
編集部
潜在意識アカデミーに参加される方は、やはりビジネスパーソンが多いのでしょうか?
石山さん
潜在意識アカデミーは経営者やマネージャー、会社にお勤めの方などビジネスパーソンの方にご参加いただいております。参加される方は、自分自身を成長させるために変わっていきたいという思いを持っていらっしゃいますね。
参加いただいているビジネスパーソンの業界や職種はさまざまで、年代も20~70代と幅広いです。海外在住の方もいらっしゃいますね。
またビジネスパーソン以外にも、人間関係を改善したいという思いを持った主婦の方など、本当にさまざまな受講生がいらっしゃいます。
受講されて「営業成績が上がった」「マネジメントが楽になった」「小説を書いていて結果が出た」「高校生の息子との関係性が改善した」というお声をいただいております。
編集部
幅広いお客様に愛される講座を展開し、順調に成長を続けていらっしゃるのですね。
石山さん
2021年の売上高は4千万円ほどでしたが、2022年には3倍の1億2千万円ほどになりました。
一見順調のように見えると思いますが、コロナ禍によって研修事業の売上が9割ほど減ってしまうこともありました。特にワンネスは飲食系チェーンのお客様が多かったこともあり、影響が出ましたね。
ただ、2019年ごろから企業向けのコーチングサービスを育てており、コロナ禍のタイミングで伸び始めましたので最終的な売上は維持することができました。
また、2021年に流行したClubhouseでの配信を弊社も始めましたが、2カ月間でフォロワーが8000人になり、126名がClubhouseを通じて潜在意識アカデミーを受講されました。以上のような要素が2022年の売上に結びついたのです。
ここ数年で感じる「潜在意識」への興味関心の高まり
編集部
Clubhouseのフォロワーの伸びからも伺えるように、潜在意識という部分が社会的にもフォーカスされているのを感じるでしょうか?
石山さん
最近では「潜在意識」というワードが一般化してきたと感じます。Clubhouseの配信によって、多くの人が潜在意識に興味を持っているものの学べる場が少ないのだと気付きました。
ワンネスを立ち上げたころに潜在意識について説明しても、みんな「何それ」という反応で、ほとんど相手にされませんでした。
前例も知名度もありませんでしたので、「スピリチュアルなもの」「怪しいもの」というイメージを持たれていたと思います。メディアに取材されることもなかったですね。
ただ、ここ3年で確実に状況が変わってきたなと感じています。多くの方がマインドフルネスやアンガーマネジメント、アドラー心理学を学んでおられて、実践されているのではないでしょうか。
ただ、実践するものの目の前の問題が解決しないというケースもあるでしょう。何かほかの方法を探しているうちに、潜在意識アカデミーに出会ったという方が増えていますね。
編集部
どういったところから世間の変化を感じているのでしょうか?
石山さん
潜在意識についてメディアの取材を受ける機会が増えたことから、世の中の変化を感じています。2022年に2件ほどラジオに出演させていただきました。
潜在意識の専門家としてメディアに呼ばれることが増えてきましたので、みなさんの潜在意識への興味関心の高さを感じています。
編集部
コロナ禍によってこれまでの価値観を疑う流れもできました。そういった世の中の変化もあり、潜在意識への関心が高まったのかもしれませんね。
株式会社ワンネスの研修は受講者を変え、受講者の周囲にいる人をも変えていく
編集部
潜在意識アカデミーや企業研修を受講されたお客様の事例を少し伺わせてもらいましたが、もう少し詳しく事例をご紹介いただきたいです。
石山さん
以前、日立グループで研修を手掛けさせていただきましたが、研修中に上司と部下で初めて本音で話し合うことができたそうです。7年間一緒に仕事をしていたのにも関わらず「こんなことを考えているなんて気付かなかった」と涙するシーンもありました。
また、トヨタのエンジン開発室長で若いリーダーを育てる立場にあった方の事例ですが、その方は遠慮して部下を叱れずにいたそうです。ただ研修中にその方と部下が本音で対話できたことで、「本当は叱ってもらったほうが嬉しい」と部下が思っていることに気付いたそうです。
またほかの事例では、リーダーを務めているものの自分の学歴にコンプレックスを持っている方がいらっしゃいました。その方が、周囲と研修中にざっくばらんに話したところ、自分以外にも同じ悩みを抱えていることに気付いて楽になったというケースもありましたね。
編集部
本音で対話することで人への接し方も変わっていくのですね。
石山さん
他人軸でなく自分軸で物事を考えられることで、人への接し方も変わっていきます。
私が一番印象に残っている事例ですが、300人規模のITベンチャー企業の研修を実施した際、マネージャーを務めていた方が部下との面談の際、研修で学んだことを実践されたそうです。すると、部下のスタッフが泣きながら本音を話してくれたそうです。
なんでも、そのスタッフはマネージャーの方が怖くて鬱のような状態になり、会社を辞めようか悩んでいたとのことでした。その会社は体育会系の気質があり、少しコミュニケーションの取り方が強めの傾向がありました。
なのでマネージャーの方もそのようなマネジメントを実践されていたそうですが、接し方を変えたことで離職を止めることができたのです。
自分の接し方に問題があると気付き、実際に代わっていった事例として私としても強く印象に残っております。
編集部
まさに自分が変わり、人の状況が変わっていくという事例ですね。
社員同士も本音で語り合うことで働きやすい環境が作られる
編集部
森さんは子育て中のお母さまでもいらっしゃるそうですが、ワンネスさんの働く環境についてどう感じられていますでしょうか?
森さん
育児と仕事の両立という部分で会社にサポートしてもらっていることはたくさんありますね。
子どもが朝に熱を出してしまってスムーズに業務ができないということもあるのですが、石山さんは「できる範囲でがんばってくれればいい」と全面的に受け入れてくれます。本当にありがたいですね。
編集部
ワンネスさんに入社を決められた理由として、やはり育児と仕事を両立できる会社というのが大きかったのでしょうか?
森さん
育児と仕事を両立できるような柔軟な環境にあるということが、ワンネスに入社する決め手となりましたね。子どもが生まれて育児に専念していましたが、大人とコミュニケーションを取れる場が欲しくて仕事に復帰しようと考えていました。
自分のやりたいことを大切にしながら働ける職場を探していたので、ワンネスはありがたい環境でした。
最初の面接では、出社できるか?と石山さんから尋ねられましたが、私としてはどのタイミングで出社できなくなるかわからなかったので、正直に在宅勤務を基本ベースにしてほしいと伝えたのです。
石山さんはその言葉を受け入れてくれて、「在宅ができる業務も多いから、そういった業務を在宅でやっていこう」といってくれました。
編集部
面接の段階でしっかりと働き方についてすり合わせを行ったのですね。
森さん
面接では働き方だけでなく、将来のキャリア像や目標なども聞いていただきました。その時点では想像できていなかったキャリアであっても、今働きながら少しずつ具現化できていますので、キャリア形成といった面でも手厚くサポートしていただけていると思います。
もちろん、在宅勤務をする中でコミュニケーションミスは発生します。それでも、石山さんにしっかりフォローしていただいています。電話で互いに本音を話して、思い違いだった部分を理解したうえで修正をしていきます。
モヤモヤしていた部分もすぐ解消できますので、とても働きやすい環境にあります。
編集部
潜在意識アカデミーでも本音のコミュニケーションについてお話しがありましたが、社内のコミュニケーションでも生かされているのですね。
モヤモヤを放置するのはNG、社員からの本音のフィードバックを大切にする
編集部
森さんのお話から石山さんが本音のコミュニケーションを非常に大切にされていることが伝わりましたが、その点はいかがでしょうか?
石山さん
先ほど森が申し上げた「モヤモヤする部分」について、一般的な会社では我慢する方が多いのではないのかなと思います。勇気を振り絞って上の立場にいる人に伝える方は少ないでしょう。
ただ私は、そのモヤモヤを放置していると、いずれは会社が腐って潰れてしまうのではないかと考えています。動脈静脈で血液が流れて生命が保たれているように、会社もトップダウンで機能していても、ボトムアップで情報が返ってこないと正しい意思決定ができません。
本音でない建前の情報をもとにして戦略を作っても、当然結果は出ないでしょう。会社が成長するためには本音のフィードバックが大切で、本音をもとにした戦略を立てて、トップから伝えてまたフィードバックをもらってというループを回さなければならないのです。
以上の考えから、私は社員の本音を聞き出すことを大切にしています。何か引っかかっていることがあれば遠慮なく伝えられるような環境を作ることはもちろん、こちらから意見を聞きに行くよう努めていますね。
編集部
石山さんの美学を感じる姿勢ですね。
石山さん
私は社長について「自分のために働く人」「社員のために働く人」の2つに大きくわかれると考えています。自分のために働く社長に共通しているのは、社員を道具のように扱って自分だけ稼いで、社員には還元しないという姿だと思うのです。
私はあくまでプロデューサーに徹したいと考えています。例えるとタレント事務所のマネージャーのようでありたいと思っているのです。マネージャーは、自分が有名になって稼ごうという発想は持っていませんよね。あくまでタレントというプレーヤーを支える立場です。
そのような姿勢でいたほうが結果として人が生きますので、会社が成長していくのではないかと思います。
心の社会課題を解決したいと考える人材を歓迎
▲「多くの社会課題の根っこには、人の関係や人の心の課題がある」と話す石山さん
編集部
最後に、ワンネスさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
森さん
石山さんもおっしゃっていた通り、ワンネスは本音ベースで話し合うことを大切にしています。なので、大切なシーンで自分の思いやどうしていきたいかを伝え合えるような人と一緒に働きたいと思っています。
石山さん
いろいろな社会課題がありますが、私は心の社会課題を解決したいと思っている方に仲間になってほしいですね。多くの社会課題の根っこには、人の関係や人の心の課題があると考えています。
エネルギーの問題にしても、実は風力と太陽光だけで地球上のエネルギーは賄えるそうなのです。ではなぜ課題が解決しないかというと、国境があるからエネルギーの融通が難しいのです。結局は人の心が原因で解決できない問題がたくさんあります。
ですので、顕在化している問題を解決するのではなく、潜在的な人の心の課題を解決したいという方を歓迎します。
編集部
潜在意識について学ぶ人が増えることが結果的に顕在化している社会課題を解決できる。ワンネスさんのサービスに大きな魅力を感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
ワンネス株式会社:https://oneness.inc/
潜在意識アカデミー:https://oneness.inc/oc/program/