若手社員の活躍を後押しする企業を紹介する本企画。今回は、VTuberなどのXRコンテンツの企画制作を手がけ、ライブプラットフォーム「SPWN」を運営するバルス株式会社にインタビューしました。
バルス株式会社は、「世界中のどこにいても、アーティストとファンが繋がれる世界」を目指し、アーティストやクリエイターの運営を全方位で支援する会社です。
都内最大級のモーションキャプチャースタジオを活用し、VTuberをはじめとするアーティストのライブ企画や制作を支援する「XRライブ事業」を展開しています。また、アーティストのライブ配信やチケット販売、グッズ販売などエンタテインメントに関わるあらゆるビジネスを一元管理するプラットフォーム「SPWN portal事業」も展開しています。
会社名 | バルス株式会社 |
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住所 | 東京都 |
事業内容 | ・ライブプラットフォーム「SPWN」の運営 ・エンタメDXツール「SPWN portal」の提供 ・XRコンテンツの企画・制作及び運営 |
設立 | 2017年10月 |
公式ページ | https://balus.co |
働き方 | ・フレックスタイム制度(コアタイム 11:00〜16:00) ・リモートワークあり |
技術の発展が目覚ましいXR業界において、新しい技術を取り入れたサービスを積極的に展開しているバルス株式会社は、大手クライアントからの信頼も厚く、若手社員でも大きなプロジェクトに責任ある立場で関わることができます。
今回は、企業成長の理由や若手社員の活躍を支えるカルチャーについて、カスタマースケール&サクセス部門の伊藤慎之介さんと横矢ひとみさんにお話を伺いました。
バルスの事業概要:エンタメ業界の「インフラ」を支えるXRテックカンパニー
▲バルス株式会社は「Update Entertainment」をミッションに、エンタメ業界のインフラとして企画、制作から収益化まで支援している。(公式サイトから引用)
編集部
はじめに、バルスさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
伊藤さん
弊社は、リアルとバーチャルを融合した新たなライブ体験を創り出すXR Tech(※)カンパニーとして、大きく2つの事業を展開しています。
(※)XR(クロスリアリティ)は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実空間と仮想空間を組み合わせる技術の総称
ひとつめの「SPWN(スポーン)事業」では、アーティスト様がイベントを開催する際に必要な要素を一元管理するプラットフォーム「SPWN portal(スポーン ポータル)」を提供しています。このプラットフォームでは、ライブ配信やチケットの販売、グッズ販売、ファンクラブ機能などをワンストップでお手伝いしています。
もうひとつが「XRライブ事業」です。ここでは、VTuberさんをはじめとする3DCGモデルを活用したエンタメコンテンツの制作支援を行っています。弊社エンジニアの技術力や、都内最大級を誇るモーションキャプチャースタジオを活用し、ライブやイベントの企画から制作までを総合的に支援しています。
編集部
VTuber人気を受けて、アーティストとして活動してみたいと考える人も増えているのではないかと思います。バルスさんは、そのような人たちの活躍の可能性を広げるサービスを提供しているのですね。
伊藤さん
弊社は、「Update Entertainment:高度な知識がなくても、誰もが気軽に作り、ファンと一緒に楽しめる環境を作る」をミッションに掲げています。
具体的には、企画、制作、収益といったエンタメ業界のインフラとして必要な機能を網羅的に提供しています。これにより、性別や年齢、人種、外見、住む場所に関係なく、アーティストとファンが国境を超えて一緒に楽しめるような場所を創りたいと考えています。
バルスの急成長の秘訣:アーティストからの厚い信頼の源泉
▲バルス株式会社所属のVTuber「MonsterZ MATE」のライブ風景(撮影:稲垣謙一)
編集部
バルスさんの近年の企業成長について教えてください。
伊藤さん
売上については非公開ですが、順調に業績を拡大しています。それに伴って組織も急拡大しており、2021年に30名ほどだった社員数は、2022年に50名、2023年10月現在では70名まで増えました。この2年間で社員数が2倍以上に増加したことになります。
編集部
どのような部署のメンバーが増えているのでしょうか?
伊藤さん
30名規模の組織だった頃は、ビジネス部門と技術部門の明確な区別がなく、ベンチャー企業として一人ひとりがあらゆる業務に関わっていました。しかし、2022年に私が入社してからビジネス部門を担うカスタマースケール&サクセス部門が創設されました。この部門では、横矢のような渉外を担当するアカウントプロデューサーや、クライアント様に提案を行うメンバーが増えています。
これにより、これまで手がけてこなかったような案件も生まれ、それに伴ってクリエイターやエンジニアもどんどん増えています。つまり、ビジネス部門の拡大が技術部門の成長にも繋がっているのです。
バルスの強み:最先端技術と豊富な経験が生み出す高品質サービス
▲バルス株式会社はモーションキャプチャスタジオを完備し、バーチャルキャラクターの撮影から編集、XRライブの配信までを一貫して行う。
編集部
バルスさんの企業成長の要因についても教えてください。
伊藤さん
ハリウッド映画のCG制作にも使用されている技術を導入した大規模モーションキャプチャスタジオなど、ハイクオリティなコンテンツを制作できる設備を持っていることが、ひとつの要因だと言えます。
代表の林がバルスを創業した2017年当時は、まだVTuber黎明期とも言える時期でしたが、他社に先駆けて思い切った設備投資をしました。そこからの経験が積み上がっているため、高品質なコンテンツやバーチャルライブの制作に関するノウハウに強みがあり、お客様からの信頼につながっているのだと思います。
編集部
バルスさんは、過去3年間のXRライブ制作数が日本一(※バルス調べ)だと伺いました。クライアント様からの評価はいかがですか?
伊藤さん
私たちは主催者と一緒にイベントを企画する段階から参加し、技術サポートのみならず、制作の進行や演出の提案を主軸に行っています。そのため、一度ご利用いただいたクライアント様にリピートしていただくことがとても多いです。単に場所を貸すだけでなく、総合的なサポートを提供していることが評価されていると考えています。
編集部
XRは技術の発展が目覚ましいですが、新しい技術の導入も積極的に行っているのでしょうか。
伊藤さん
はい、その通りです。先進的な取り組みを通じて常に新しい体験をお届けしていることも、弊社の強みと言えます。
例えば、2023年7月にはキヤノンさんが開発した「ボリュメトリックビデオ技術」(※)と弊社の技術を組み合わせ、実際の人間とバーチャルキャラクターが同じ空間で共演する生配信ライブを行い、没入感の高いライブ体験を多くの人に楽しんでもらいました。
(※)100台規模のカメラで撮影した画像から3Dデータを生成する技術。撮影した空間内をカメラ付きドローンで撮影しているかのような、360度自由な視点での映像制作が可能。
▲バルスが提供する技術により、リアルアーティストとバーチャルアーティストが共演している
SPWN portalの特長:エンタメビジネスの一元管理を実現するプラットフォーム
編集部
クリエイターの活動を一気通貫で支援する「SPWN portal」の強みについても教えていただけますか?
伊藤さん
「SPWN portal」は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにオンラインで楽しむエンターテインメントが普及していくと見込んでスタートしたサービスです。2020年4月にサービスを開始した当時は、チケット販売や配信、物販などを一元管理するプラットフォームはそれほど多くなく、当社は市場をリードする存在となることができました。
編集部
コロナ禍以降、同様のサービスを始めた企業はほかにもありますが、そのなかでも「SPWN portal」が存在感を保てた理由はなんでしょうか。
伊藤さん
弊社は創業当時から、イベント制作を通じて多くのバーチャルユーチューバー(VTuber)の方々との繋がりを構築してきました。そのため、VTuberの方々やファンの間でバルスの認知度が高く、結果的に「SPWN portal」についても大手事務所をはじめ、様々なイベントでご利用いただけるまでに至りました。
新サービス「SPWN CREW」:個人クリエイターの収益化を支援
編集部
SPWN事業では、個人のクリエイターが収益を出せるようなサポートもあるのでしょうか?
伊藤さん
大規模な収益が見込めるような大型イベントは、主に大手事務所や著名な個人クリエイターが開催できる状況です。そこで、幅広いクリエイターの方々の活動を支援するため、2023年3月に新しいファンマネジメントプラットフォーム「SPWN CREW」をリリースしました。
「SPWN CREW」は、月額制のサブスクリプション形式で動画などのコンテンツ配信ができるプラットフォームです。このサービスの特徴は、ファンの行動履歴データ(サイトへのアクセスやグッズ購入など)と属性データ(性別や年齢など)を分析し、ファンの熱量を可視化する機能があることです。クリエイターはこの機能を活用してファンへの理解を深め、「ファンにより好きになってもらう」ための効果的な戦略を立てることができます。
編集部
常に新しい技術やサービスを提供し続けるバルスさんの革新力は、まさに「Update Entertainment」というミッション通りだと感じました。
バルスの若手育成方針:大規模プロジェクトでリーダーシップを発揮する機会
▲バルス株式会社所属のVTuber「MonsterZ MATE」のライブ風景(photo:稲垣謙一)
編集部
ここからは、バルスさんで働くメンバーについてお伺いします。まず、社員の年齢層について教えていただけますか?
伊藤さん
弊社には20代から30代前半のメンバーが多く、20代の若手でもリーダーやマネージャーとしてチームを率いる社員がたくさんいます。若い世代に責任ある立場を任せることで、新しいアイデアや活力を生み出す環境を整えています。
編集部
伊藤さんも、入社して1年弱で執行役員兼カスタマースケール&サクセス部門長に就任されていますね。
伊藤さん
はい。私は2022年4月に入社し「SPWN portal」の営業チームマネージャーを務めました。その後、2023年1月に現在のポジションに就任し、カスタマースケール&サクセスの責任者として、バルスの可能性を広げるような事業開発に取り組んでいます。
キャリア成長の実例:未経験からアカウントプロデューサーへの道のり
編集部
横矢さんは2023年4月に入社し、カスタマースケール&サクセスのアカウントプロデューサーとしてご活躍されていると伺いました。具体的なお仕事内容について教えてください。
横矢さん
アカウントプロデューサーの仕事は、新規顧客の開拓や窓口対応を行い、顧客ニーズに応じたサービス提案を行うことです。一般的な「プロデューサー」とは異なり、主に顧客との関係構築と提案業務を担当しています。
具体的には、VTuber事務所様やアニメキャラクターなどの知的財産を保有する会社様に対して課題の聞き取りを行います。そして、それぞれの顧客に適したマネタイズ方法やイベント企画を考え、提案しています。
編集部
XRなどの先端技術に関する知識は入社前からお持ちだったのでしょうか?
横矢さん
いいえ、入社前は技術について深い知識があったわけではありません。入社直後は弊社のサービス内容とXR技術について理解するのに苦労しましたが、各サービスの責任者が個別に事業内容を説明してくれる機会があり、効率的に学ぶことができました。
また、早く一人前のアカウントプロデューサーになれるよう、自主的に過去のプロジェクトを調査するなど、積極的に知識を深める努力をしました。
バルスの問題解決アプローチ:根本原因の追究と仕組みの改善
▲バルス株式会社所属のVTuber「MonsterZ MATE」のライブ風景(写真:稲垣謙一)
編集部
横矢さんがアカウントプロデューサーとして成長する際、周囲のサポートに助けられた場面はありましたか?
横矢さん
はい。入社直後に大規模なプロジェクトのメインアカウントプロデューサーを担当しました。当時は経験不足から、クライアントとのやり取りで判断に迷うことが多々ありました。
そういった場面で、適切な対応方法についてアドバイスをいただきました。また、チーム全体の業務改善を提案した際には、真摯に耳を傾けていただき、実際に新しい運用方法を導入するまでサポートしてもらえました。
編集部
その場しのぎの問題解決ではなく、根本原因を探って改善に活かそうとするカルチャーがあるのですね。
アイデア創出の仕組み:Slackを活用した全社的な提案制度
▲バルス株式会社所属のVTuber「MonsterZ MATE」のライブ風景(photo:稲垣謙一)
編集部
バルスさんには、横矢さんのように入社間もないメンバーであっても大きなプロジェクトを経験して欲しいという思いがあるのでしょうか。
伊藤さん
はい、会社としてそのような姿勢を持っています。新しいメンバーにも裁量ある仕事に挑戦してもらえるよう、社内の情報共有を常にオープンにするよう心がけていますし、困ったことや改善しなくてはならないことをフラットに話し合えるような環境づくりを意識しています。
横矢も入社してすぐに大きなプロジェクトを担当して大変だったと思いますが、周囲は常に彼女をサポートし、うまく乗り越えられるようにしました。年次に関係なく責任ある仕事にチャレンジできる分、難しい問題に直面することもありますが、それをチームや会社としてサポートする体制があるので、若いメンバーには安心して思い切り挑戦して欲しいですね。
編集部
そのようなカルチャーがあると、若手メンバーはアイデアや提案も積極的に出せそうですね。
伊藤さん
はい。実際に、横矢をはじめとするアカウントプロデューサーチームは、事業の新しい可能性を探るために様々なお客様や事業パートナーの方々と話し、そこから見出したニーズを社内に積極的に共有してくれています。
また、イベントのディレクターやエンジニアサイドは、新しい技術の導入案や斬新なイベントのアイデアを積極的に出してくれるため、興味深いものがあればチーム横断で具体化に向けて取り組んでいます。
編集部
普段からアイデアを共有できるような仕組みがあるのでしょうか?
伊藤さん
私たちはコミュニケーションツールとしてSlackを使用しており、いつでも誰でもアイデアを投稿できるチャンネルを設けています。そこで出されたアイデアについて、週に1度みんなで議論しています。
横矢さん
私もアイデアベースで気軽に発信しています。「可能性がありそうだから提案書を作ってみよう」と背中を押してもらい、実際にクライアントに提案したものもあります。
編集部
自分のアイデアを認めてもらえることは若手社員の自信やモチベーションにつながりますし、みんなで議論することによってよりアイデアが発展しそうですね。
バルスの働き方改革:成果重視の柔軟な勤務体制と透明性の高い組織文化
編集部
バルスさんには、フレックスタイム制など柔軟な働き方を実現する仕組みはありますか?
横矢さん
弊社は11時から16時をコアタイムとしたフレックスタイム制を導入しており、状況に合わせて出勤時間を変えたり勤務時間を調整したりできます。クライアント様とのミーティングの時間などに合わせて柔軟に勤務時間を変えられるので、顧客と直接やり取りすることが多いアカウントプロデューサーとしてはとても働きやすいと感じています。
また、リモートで勤務するメンバーも多いです。このような環境でもコミュニケーション不足にならないよう、チームごとに定期的な出社日を設けて対面で集まる機会を確保しています。
編集部
柔軟な働き方を取り入れるにあたり、会社として心がけていることはありますか?
伊藤さん
弊社では、勤務時間より成果にコミットする文化を大事にしています。極論ですが「成果さえ出していれば働き方は各メンバーに任せる」という姿勢で、成果が出ていないのであれば原因をしっかり考え、改善してもらうようにします。
また、弊社は情報共有を大切に考えているので、Slackでのテキストコミュニケーションが増えても会社で会話しているのと変わらないような環境を保つように心がけています。例えば、他の人に見えないSlackのダイレクトメッセージを使って裏で話を進めるようなことはせず、オープンな場で議論するように呼びかけています。これにより、透明性の高い組織文化を維持しています。
半年に1度のキャンプ&バーベキューで交流促進
▲バルス株式会社は、社内交流の一環で半年に一度キャンプとバーベキューを開催している。
編集部
バルスさんには、社員同士の懇親を図るイベントはありますか?
横矢さん
半年に1回の頻度でキャンプとバーベキューを開催しています。このイベントは平日に行われ、社員はキャンプへの参加か通常の業務かを選択できます。
私も入社後2回参加しましたが、普段のオフィスとは異なり、リラックスした雰囲気で会話を楽しむことができます。
編集部
定期的にこのような機会があると、新入社員でもメンバーの個性や社風を理解しやすそうですね。
横矢さん
そうですね。入社1ヶ月後に初めて参加した際、DJブースで音楽を披露する人やドリンクバーでカクテルを作る人がいて驚きました。
バルスは専門性を活かして働くスペシャリストが多い会社ですが、仕事だけでなくプライベートでも何かを極めている人が多いことがわかりました。そんな個性豊かなメンバーと働けることが、ますます楽しみになりました。
編集部
プライベートでもエンターテインメントを追求するほどエンターテインメント愛にあふれた人たちが集まっている会社とも言えそうですね。
バルスが求める人材像:自己表現力とエンタメへの情熱を持つ挑戦者
編集部
最後に、記事を読んでバルスさんのお仕事に興味を持った方に向けて、求める人物像やメッセージをお伝えいただけますか?
伊藤さん
バルスで活躍してもらえるのは、「誰かに仕事をもらう」という姿勢の方より、自分から「こういうことをやりたい」と提案し、積極的に自己実現できる方だと思います。
エンターテインメントに関わることなら大抵のことはカバーしている会社なので、そのなかでご自身の強みや好きなことに関わりながら挑戦や成長をしたい方に、ぜひ仲間になっていただきたいです。
編集部
横矢さんは、どのような方と一緒に仕事をしたいですか?
横矢さん
恐れることなく企画を提案するなど、積極的な方とお仕事をしたいと思っています。
また、バルスは「VTuber」のイメージが強い会社ですが、VTuberに詳しくなくてもエンターテインメントが大好きな方なら活躍していただけると思います。「自分が好きなエンタメとバルスの技術やサービスを掛け合わせたら、こんな面白いことができるのではないか?」といった発想力を持ち、エンターテインメント分野で新しい挑戦をしたい方はぜひご応募ください。
編集部
VTuberやXRという成長分野で、業界をリードする活躍を続けるバルスさん。若手メンバーの挑戦を歓迎し、成長を支えるカルチャーがあることは大きな魅力だと感じました。
本日は、ありがとうございました。
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バルス株式会社:https://balus.co
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